今日は、嘘の社会的機能についてお話をしたいと思います。
最近何か嘘をついた出来事はありますか。日常生活の中では、もしかしたら人を傷つけないような嘘であればちょこちょこあるかもしれません。
例えば、子どもに「お菓子を買って」と言われて「今度」と言ってそのままになってしまっていて、後から子どもに「お母さん嘘つき」と言われるなど、その場をやり過ごすための嘘をついていたり、逆に、子どもたちは親から「買い物に行っている間に宿題しておきなさい」と言われていて、お母さんが帰宅する音を聞いて慌てて宿題をしていたふりをしてみたりと、日常には小さな嘘が溢れているかもしれません。
広辞苑で「嘘」という言葉を調べてみると、「真実でないこと、正しくないこと」とされています。
では、嘘をつくことは良いことか、悪いことかと尋ねられたらどうでしょうか。
基本的には、人に何か損害を与えたり傷つけたりしてしまうような嘘は良くないと思います。けれども、相手のことを思って本当にことを言わないというのはあると思います。そのため、嘘をつくことが良いことか、悪いことかは一概には言えません。
嘘にまつわる言葉は沢山あります。例えば、「嘘つきは泥棒の始まり」という言葉がありますが、これは嘘を平気でつく人は泥棒することも悪いことだと思わなくなって、その内悪事をするよという意味ですが、この言葉だと嘘をつくことは悪いことだと思うかもしれません。
そして、一つ嘘をついてしまうとそれを正当化するためにまた次の嘘をつくはめになり、嘘を塗り重ねてしまうこともあり、それは凄く危険だなと思います。
また別の言葉では、「嘘も方便」という言葉もあります。これは、嘘も時と場合によっては必要なことがあるという意味になります。この言葉だと、嘘をつくことは悪いことでもないのかなと思うかもしれません。嘘が悪いことなのか良いことなのかというのは中々難しい問題です。
では、なぜ人は嘘をつくのでしょうか。
その理由の一つとして、嘘は社会的な潤滑油として機能しているからという考え方があります。
例えば、仕事中に届いたメールの返信をうっかり忘れてしまったとします。相手から「先週メールした件どうなっていますか」と再度メールが届いた時に、「すみません忘れていました」と正直に言うこともできるのですが、最近メールの調子が悪くてどうやら届いていないようですと嘘をつけば、最初にメールを送った人はメールが届いていなかったんだと思って相手に返事を貰っていないというやきもきした気持ちを鎮めることができるかもしれません。また、返事をしていない方は相手のやきもき感を沢山受けずに済みます。そうなると、この時の嘘というのは二人のやり取りの潤滑油になったことになります。
嘘が社会的な潤滑油として成立するためには、ついた嘘を相手に信じてもらうことが前提となります。先ほどの最近メールの調子が悪くてどうやら届いてないようですという嘘が相手にばれてしまうと、メールの返信が遅れたことについて嘘を言う人だと相手に思われて、もしかしたら信用を無くしてしまうかもしれません。そのため、嘘が社会的な潤滑油になるからと言って何でも嘘をついて良いというわけではなく、相手に信じてもらえるような嘘をつかなくてはなりません。
では、相手に信じてもらえる嘘ならおおいに嘘をついて良いのでしょうか。それは違います。嘘の内容がどんなものかということが大事になります。
例えば、自分に責任がない理由で嘘をつくと大抵の怒りを抑えることができます。先ほどのメールの返信をうっかり忘れていた例で考えると、「他の業務が忙しくて返信までたどり着けませんでした」と嘘をついたとします。もしその嘘が自分に責任がある嘘だと相手に思われてしまった場合、「業務が忙しいって私のメールを業務の優先順位の後にしたわけね」と思われるかもしれないため、相手の怒りは大きくなってしまいます。しかし、「体調不良が続いていてお返事ができませんでした」と嘘をついたとした時に、体調不良は自分ではどうしようもないことなので自分に責任がない嘘になります。相手にも自分に責任がない嘘だと思われれば、体調不良は仕方のないことだからということで相手の怒りを抑えることができるかもしれません。
嘘が社会的な潤滑油としての機能を持つのであれば、自分のために嘘をつくだけでなく、相手のために嘘をつくこともあるかと思います。
例えば、貰ったお土産のお菓子が美味しくなかった場合、「美味しくなかった」と言うと相手を傷つけてしまうかもしれないため、中々言えません。その時に、「お土産ありがとう美味しかったよ」と嘘をつくことで相手を喜ばせることができ、この時の嘘は社会的な潤滑油として機能します。
では、今日のまとめです。
今日は、嘘が社会的な潤滑油として機能していることについてお話しました。嘘が社会的な潤滑油になるかどうかは、相手に嘘を信じてもらうことが大事になります。しかし、潤滑油として機能すればいつでも嘘をついて良いというわけでもありません。本当に嘘をついて良い状況かどうかをしっかり判断してください。