SUNDAY MORNING WAVE

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SUNDAY MORNING WAVE episodes

  • 【地震に自信を】日本海溝でのスロースリップ(2026年6月21日 今村文彦先生)

    日本海溝(太平洋プレートが陸側のプレートの下に沈み込む境界)は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)以降も活発な地殻変動が続いており、科学的な監視と防災対策が非常に重要視されているエリアです。スロースリップとは、通常の地震のように一気に断層が動いて激しく揺れるのではなく、数日から数週間かけて「ゆっくり」とプレート境界がすべる現象で、海底地震津波観測網(S-net)や地殻変動観測などの高度な観測データにより、日本海溝沿いでもスロースリップが多発するエリア(十勝沖、岩手県沖、茨城県沖など)が具体的に特定されています。巨大地震との関係として、これらのスロースリップ多発エリアは、2011年の震災の際に「大きく滑らなかった(破壊され残った)領域」と重なっています。これは、スロースリップがプレート間のひずみを定期的に逃がす役割を果たしている可能性を示唆していますが、一方で、周辺の「固着が強いエリア(次に大地震を起こしうる場所)」にストレスを押し付け、巨大地震のトリガー(引き金)になる危険性も指摘されており、GNSS-Aなどの海底地殻変動観測でリアルタイムに監視されています。
    今後想定される巨大地震と確率は、地震調査研究推進本部の長期評価によると、日本海溝北部や隣接する千島海溝沿いでは、今後30年以内にM7〜M8クラスの巨大地震が発生する確率が「非常に高い(数十%)」と予測されています。 万が一、日本海溝・千島海溝沿いで最大クラスの連動型地震が発生した場合、岩手県などで30mを超える巨大津波が押し寄せ、最悪のケースでは死者が約19万9,000人に達するという甚大な被害想定が政府から公表されています。
    進化する監視体制と「後発地震注意情報」では、ただ予測するだけでなく、「次に起こるかもしれない大地震にどう備えるか」という運用が具体化しています。東日本大震災から15年以上が経過した現在も、日本海溝周辺では依然として大きな地震への警戒が必要です。 

    9 min
  • 【地震に自信を】アジア太平洋防災閣僚級会議の実行委員会開催(2026年6月14日 今村文彦先生)

    仙台市で日本初開催となる「2027年アジア太平洋防災閣僚級会議」に向け、実行委員会の設立総会および第1回委員会が5月26日に開催されました。郡和子仙台市長が会長、本学の冨永悌二総長が副会長に就任、地元の関係機関や有識者を交えた推進体制がスタートしました。

    アジア太平洋地域の約60カ国から、防災担当閣僚、NGO、研究機関、民間企業などが一堂に会する国際会議で、2015年に仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」で採択された「仙台防災枠組2015-2030」の終期(2030年)を目前に控えた、極めて重要なタイミングでの開催となります。仙台市まちづくり政策局内に設置された「アジア太平洋防災閣僚級会議準備室」が中心となり、国(内閣府)や国連防災機関(UNDRR)との実務調整、公式ホームページの作成に向けた調達手続きなどが順次進められています。
    実行委員会では、市民や事業者を巻き込んだ関連イベントの企画、海外からの参加者を迎える「歓迎事業」の立案、情報発信を通じた開催機運の醸成を本格化させています。「より良い復興(Build Back Better)」の共有として、東日本大震災の経験・教訓や、近年の大規模災害からの復興の取り組みを世界へ向けて改めて発信するとともに、日本の優れた先端防災技術やノウハウを、アジア太平洋地域のリーダーや民間セクターに直接共有・提案する場となります。

    9 min
  • 【東北大学防災UPDATES!】AIとは何か(2026年6月7日 藤井進先生)

    2026年6月7日 災害科学国際研究所 災害医学研究部門 災害医療情報学分野教授/東北大学病院医療データ利活用センター長 藤井進先生

    災害医療情報学分野では、「情報を活用して、より安全で質の高い医療を実現する」ことを目指して研究しています。医療情報とは、患者さんの訴えや診察結果、血液検査、画像検査、処方される薬など、医療に関わるさまざまなデータのことです。医療情報学は、これらの情報を適切に活用し、医療の安全性や効率性を高める学問分野です。例えば、電子カルテを活用してアレルギーのある薬剤の誤投与を防いだり、薬の種類や量の間違いを減らしたりする仕組みがあります。また、病院や地域を越えて情報を共有することで、より迅速で効率的な医療が可能になります。

     近年はAI技術が注目されており、医療画像の解析や重症化リスクの予測などへの活用が進んでいます。私たちの分野では、こうしたAI技術を医療現場で安全かつ有効に活用するための開発や検証、評価に取り組んでいます。特に災害時には、限られた医療資源の中で迅速な判断が求められるため、情報共有やAI活用の重要性がさらに高まります。

    10 min
  • 【地震に自信を】「フタバスーパーゼロミル」の取り組み(2026年6月7日 今村文彦先生)

    「スーパーゼロ(SUPER ZERO®)」(商品登録)は、岐阜県の老舗撚糸メーカーである浅野撚糸株式会社が開発した、世界初の特許技術による「魔法の撚糸」です。廃業の危機に立たされた町工場が、歳月をかけて完成させたこの技術は、日本の撚糸業の起死回生をかけた「闘い」の結晶と言えます。二代目社長の浅野雅己氏は、下請け脱却を目指し、10年にわたる苦闘の末に自社ブランドを確立させました。そして、東日本大震災後には福島復興への挑戦が始まります。

    経産省から「福島復興と日本の繊維を助けてほしい」と打診を受け、全町避難が続いていた双葉町を視察されました。伊澤町長からの「双葉は一番復興が遅れている。それでもここに来てほしい」という熱い言葉に心を打たれ、最も困難な地での挑戦を決めました。
    浅野社長の母校がある福島県への恩返しとして、2023年4月に福島県双葉町へ新工場「フタバスーパーゼロミル」を建設し、地域復興のシンボルとしても注目されています。約30億円を投じて建設されたフタバスーパーゼロミルはシンボリックな外観が特長的で、上空から見るとSUPER ZEROの文字と「0(ゼロ)」の形をした建物は、震災で失われたものを「ゼロから再生する」という決意の象徴で、単なる製造拠点を超えた「産業観光の拠点」となっています。交流人口の創出として、年間50万人の来場を目指し、工場見学、タオルショップ、カフェを併設しています。雇用の創出にも貢献しています。地元の高校生や大学生、移住者を採用し、町に新しい活力を生み出しています。5月の連休に訪問させていただきましたが、多くの方々が訪問されていました。https://www.reconstruction.go.jp/jireishuu/2023jirei/24/

    9 min
  • 【地震に自信を】朗読劇「10年後の君へ2026」(2026年5月31日 今村文彦先生)

    仙台市出身の俳優、岩田華怜さんが自ら企画・脚本・演出・主演に挑戦する朗読劇が再演されます。震災から15年が経った今、改めて伝えたいこと、世界に向かって叫びたいことが詰まった作品になります。華怜さんは100回以上の被災地訪問で見たり聞いたり体験したことをメモに書き留めており、脚本を書き上げたそうです。自身の被災体験を元にリアルな感情が描かれており、「涙が止まらなかった」「胸を打たれた」といった絶賛の声が多数寄せられています。国内での大成功を経て、昨年には海外進出を果たしました。現地でも大きな反響を呼び、「被災地代表」として自身の想いを海を越えて伝える活動が各メディアで注目を集めています。
    「10年後の君へ」の紹介文より
    【今を生きる私たちが、忘れてはいけないことは何か。震災を知らない世代が高校生になる、この2026年に、今一度、自分の命を守ること の大切さを知って欲しい。自殺願望を持った若者が増え続ける日本で、”当たり前に明日が来る”ってどんなことなのか。 「我々が生きている今日は、あの日亡くなった人たちが生きたかった今日なんだ。」と、震災の経験を通して、子供達に、すべての人に、私は伝えていきたいです】


    東京公演は,6月3日から7日まで,6月14日に名取公演(名取市増田公民館)および6月20日に栗原公演(栗原市文化会館)が予定されています。

    9 min
  • 【地震に自信を】島根県石見(いわみ)地方を襲った「万寿地震津波」について(2026年5月24日 今村文彦先生)

    万寿3年(西暦1026年)に発生したこの津波から、2026年でちょうど1000年という大きな節目を迎えます。この地震は、日本海側で発生した歴史地震の中でも非常に謎が多く、かつ象徴的な事象として知られています。

    発生日:万寿3年5月23日旧暦

    場所:石見国(現在の島根県西部・益田市周辺)

    特徴:「地震の揺れ」に関する記録が乏しい一方で、「巨大な津波」の伝承や記録が圧倒的に多いのが特徴です。そのため、揺れのわりに津波が大きい「津波地震」であった可能性や、海底地滑りが原因だった説などが議論されています。

    この津波には、歴史ファンや地質学者の心を捉えて離さない「鴨島(かもしま)伝説」があります。益田沖にあったとされる「鴨島」という島が、この津波によって一夜にして海に沈んだという伝説です。また、歌聖・柿本人麻呂を祀った「人丸寺(にんがんじ)」が鴨島にあり、津波で流されたものの、御神体が現在の高津柿本神社がある地へ流れ着いたと伝えられています。

    近年のトレンチ調査(地層の掘削調査)により、益田平野で11世紀頃の津波堆積物が実際に確認されており、伝説が単なる作り話ではないことが証明されつつあります。

    2026年の1000年紀を前に、島根県や益田市では改めてこの万寿津波の教訓を現代の防災に活かそうとする動きがあります。日本海側の津波リスクは太平洋側に比べて頻度は低いものの、日本海側でもひとたび地震が起きれば数分〜十数分で巨大津波が到達する恐れがあることを、この歴史的事実は物語っているからです。1000年前の被災を「遠い昔の出来事」とせず、次の千年を守るための知恵として再確認する時期が来ていると言えます。

    8 min
  • 【東北大学防災UPDATES!】朝顔プロジェクト(2026年5月17日 保田真理先生)

    2026年5月17日 災害科学国際研究所地震津波リスク評価寄附研究部門プロジェクト講師 保田真理先生

     石巻市内の被災児童が育てていた朝顔のタネから始まった朝顔プロジェクトは、全国各地にタネが受け継がれていったのですが、静岡県藤枝市でも毎年朝顔を育て続けてくれていす。今年1月に藤枝市立朝比奈第一小学校に東北大学減災教育「結」プロジェクト出前授業で訪問させていただいたところ、6年生から石巻から来た朝顔のタネを毎年育て続けています。これが昨年花を咲かせた朝顔の種ですとその種をプレゼントしていただきました。東日本大震災後から15年間途絶えることなく毎年朝顔を育て、丁寧にタネを収穫し、学校を訪問するゲストに、震災を伝承してくれていたのです。宮城県から遠く離れた静岡県の山間の学校で、脈々と受け継がれている子どもたちの思いに触れてとても感動しました。震災から15年目の今年、故郷の土に帰るタネには、被害に遭った子ども達、朝顔を育て続けてくれた子ども達、一人一人の命への想いを感じさせてくれました。3月の仙台防災未来フォーラムで配布し、石巻市震災伝承推進係長にも直接お渡しできました。故郷の石巻の地で元気な朝顔の花を咲かせてほしいと思います。

    9 min
  • 【地震に自信を】災害と映画・映像について(2026年5月17日 今村文彦先生)

    東日本大震災をテーマにした映画は、震災の記憶を風化させず、被災地の再生や個人の喪失と向き合う作品が多く制作され、防災の面でも重要な活動となっています。代表作として、福島第一原発事故の現場を描いた『Fukushima 50』(同発電所の事故が発生した後も残った約50名の作業員に対し、欧米など日本国外のメディアが与えた呼称)、岩手県大槌町の「風の電話」(故人と「話す」ための受話器だけの電話ボックスで震災後に多くの遺族らが訪れる場所)をモチーフにした作品、遺体安置所での日々を描いた『遺体 明日への十日間』(岩手県釜石市の遺体安置所での現状をありのままを綴ったルポルタージュ『遺体 震災、津波の果てに』を実写映像化した作品)などがあります。

    そして、『最後の乗客』(2023年制作/2024年公開)は、東日本大震災からおよそ10年を経た被災地を舞台にした自主制作映画で、この番組に堀江貴監督にもご出演いただきました。さらにアニメ作品もあり、代表的なものは新海誠監督による「すずめの戸締まり」 (2022年)で、被災地を巡る物語でした。

    関連の新書【災害と映像―防災ドラマは社会を救えるのか】をご紹介します。著者の安本真也氏は災害情報や避難行動を専門とする研究者であり、東日本大震災後の「災害映画」におけるリスク描写や、災害情報の受け止め方について研究を行っています。この本ではメディアが描く避難行動と実態の乖離や、防災啓発としての映画の役割を分析しています。 映像表現は人々をどう動かすのか?災害映画が描く喪失の「受容」、また防災ドラマが導く大災害への「備え」の可能性は?等です.また、後半ではNHKの防災ドラマ『パラレル東京』をめぐる大規模追跡調査から、視聴者の認知と行動がいかに変化したのかを検証した内容です。この『パラレル東京』はマグニチュード7.3の首都直下地震が発生したとの想定で、地震発生から4日間のテレビ局のニュースチームの闘いを描いています。

    10 min

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東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授が地震・津波をテ-マにわかりやすく解説する『地震に自信を』を中心に、防災・減災に役立つ情報と音楽をお送りします。