去年の秋頃から、台湾では深刻な水不足に見舞われています。台湾中部では週2日間給水停止、そのほかの多くの地域でも給水制限が実施されています。
ところで、6月に入ってから、もともと水不足の深刻さがトップレベルの地域、台湾中部と南部では逆に連日の大雨により野菜の価格が上がりました。一部の野菜の値上がり幅が、なんと7割も超えています。どうしてこのような変化があるのでしょうか?
その原因は、台湾の各地域における、季節ごとの降水量の変化に関係しています。
台湾は、ユーラシア大陸と太平洋の境目にあり、気候は季節風、台風、そして海流の影響を受けています。さらに、台湾を南北に貫く中央山脈が隔たりとなっているため、台湾の北部、中部、南部、東部、それぞれの地域の降水量の多さと、季節による変化が違っています。
その特徴としては、1、東部が西部より降水量が多い。2、北部が南部より多い。3、山間部が平地より多い。4、内陸が海岸より多いです。
そのため、台湾西部と南部の平地の年間平均降水量は、台湾の他の地域と比べて比較的少なくて、水資源の配分に特に要注意な地域です。
台湾の降水量の変化の特徴を考えますと、一年には、5つの時期があります。まずは、2月から4月まで、春の雨が降る「春雨」の時期、5月と6月に降る「梅雨」の時期、7月から9月までの「夏」、そして12月から翌年の2月までの「冬」です。台湾の気象庁に相当する、中央気象局は以前、この5つの時期における降水量の変化の統計資料を発表しました。
この時期の降水は、台湾北部にとってはかなり重要です。台湾北部の1日あたりの降水量は6ミリリットル、およそ北部の年間降水量の22%もあります。中部と東部における1日の降水量はおよそ3ミリリットルから4ミリリットル、それぞれの年間降水量の19%と12%を占めています。台湾南部における降水量は特に多くはなく、およそ年間降水量の7%しかありません。
台湾西部にとっては、2番目に水を蓄える重要な時期です。台湾西部の降水量は5月中旬から一気に増加し、6月上旬にピークを迎え、そして6月下旬、梅雨前線の離れとともに、降水量が明らかに減少します。梅雨前線に伴う降水は、台湾西部において、南にいくほど多いという特徴があります。そして、西部より、東部の降水量はやや少ないです。
梅雨の降水量が各地域の年間降水量に占める割合は、中部と南部ではおよそ32%、北部では23%、かなり重要だと見られます。東部では19%、同じ地域の夏と秋の降水量より少ないです。
7月から9月まで。この時期の降水は、主に台風に由来しています。梅雨と同じように、南に行くほど降水量が多い、そして台湾西部の降水量が東部より多いという傾向があります。統計によりますと、夏の降水量が各地域の年間降水量を占める割合は、南部では56%、中部では44%、そして北部と東部では39%です。どの地域においても、年間降水量に占める割合が一番高い時期です。
台湾の一年中の水資源は、ほとんど梅雨と台風に頼っています。この傾向は、台湾中部と南部で特に顕著です。梅雨と夏の降水量を合わせてみますと、台湾中部も南部も、年間降水量の8割以上も占めています。北部は62%、東部は58%で、比較的低いですが、それでも半分以上占めていますね。
台湾では毎年の10月から翌年の2月まで、北東からの季節風が吹きます。海の水蒸気を取り込んだ季節風は、台湾北東部の山々にぶつかるため、台湾の北部と東部では雨が降ります。台湾中部と南部では、中央山脈が隔たりとなる影響で、雨が少ないです。
10月と11月に降る雨が年間降水量を占める割合は、台湾東部では24%もあり、同地域では夏に次ぎ2番目に多いです。北部では10%、中部と南部では、それぞれ2%と3%しかありません。
冬は、一年で最も雨の少ない季節です。台湾北部と東部は、北東からの季節風により雨が降り、1日あたりの平均降水量はおよそ3ミリリットルです。一方、台湾中部と南部の1日あたりの降水量は、1ミリリットル未満です。実際、冬になりますと、台湾中部と南部では、数週間連続、さらには1、2ヶ月連続雨が降らないことがよくあります。冬の降水量が年間降水量を占める割合は、北部と東部ではおよそ6%が、中部ではおよそ3%、南部ではおよそ2%です。
台湾の北部の雨が降る季節が、比較的平均的。中部と南部は、主に梅雨と夏に集中していて、それ以外はほぼ乾季です。東部は、その両者の間、と言えるでしょう。台湾中部と南部は、地理的特性と、雨が降る季節が集中しすぎたため、水資源の安定的な利用に不利な条件となっているのです。
2020年年末から最近まで、台湾が過去56年で最も深刻な水不足に見舞われています。去年、2020年の梅雨の時期、5月22日以降、台湾では雨があまり降らなくなりました。台風が来ず、冬の雨も少なかったです。今年に入ってからも、春の雨が降っていませんでした。各地のダムのデータによりますと、去年6月から今年の5月19日まで、わずか807ミリの雨しか降っていません。その量は、例年の平均降水量の三分の一しかないということです。
幸い、5月末から、梅雨前線の到来と、午後の対流雲がもたらした雨のおかげで、水不足問題が少しずつ改善されています。まだまだ台湾の多くの地域では、給水制限を実施することを象徴する、「オレンジ信号」のままですが、中央気象局は、6月の降水量は、例年の平均値である300ミリに達することができると予測しています。水不足問題が1日も早く解消できるよう、みんなが期待しています。