「おそらくワーグナーの手による最も成功した、かつ最も霊感に満ちた作品」
チャイコフスキーが1871年に、この曲について評した言葉です。
楽曲全編に漂う神妙なインスピレーションは例えようがなく、
あたかも天界の神々の世界に通じるような宗教的な響きがあります。
またこの曲はチャップリンの1940年の映画「独裁者」で感動的に使われています。
ラストシーンでナチスの追っ手に見つかり、失意に伏した恋人ハンナたちに、
チャップリン扮するユダヤ人の床屋がラジオを通じて語りかけます。
「ハンナ泣くのはおよし、ほら雲の切れ間から日が射して来たよ」
ここで前奏曲が絶望の世界に降り注ぐ、天界からの救いの光のように流れて来ます。
そして映画はまだ見ぬ希望を予感するかのように、
顔を上げ空に目を向けるハンナのアップで締めくくられています。
チャップリンはヒットラーが愛したワーグナーの音楽をあえて使用することで、
この曲は戦争のためではなく、平和のために存在するのだと伝えたかったのかもしれません。
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ワーグナー:歌劇《ローエングリン》第1幕への前奏曲 [2019][AR]
Richard Wagner:"Lohengrin" Prelude to Act I [10:53]
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