永井均さんは日本大学で哲学を教えている。哲学好きな読者ならば知らない人はいない、現代の日本の哲学を牽引してきた哲学者の一人だ。34歳で『〈私〉のメタフィジックス』を上梓してから、平均して年に一冊の著作を発表し続けている。難解でとっつきにくいというのが哲学の一般的なイメージである日本国内で、このペースで新刊本が次々に書店に並べられる、作家としての哲学者は数少ない。過去には、朝日新聞や日本経済新聞でもその随筆が連載され、大学で高校生と保護者向けの説明会を開けば、愛読者も詰めかける。それが哲学者、永井均さんだ。桜の新緑が眩しい4月のある日、編集部に永井さん自ら自転車で駆けつけて下さってインタビューが実現した。