クラシック名曲サウンドライブラリー

By アンドウトワ

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ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「...

08.21.2021

昨日、食料を買うために家を出て歩いていると、すぐ近くで街頭放送の音が聴こえました。 私が暮らす街の市長が現在のコロナの危機的な状況を訴え、 ワクチンを打っても不要不急の外出は控えてくださいとアナウンスしていました。 市長自身が街頭放送で直接呼びかけるのは初めてのことです。 一日の感染者がかつてない数に達していると語る声は沈痛でした。 私はこの時、「これはただ事ではない」と思いました。 戦時下の空襲警報は、このようなものだったのかもしれないと想像しました。 今も数多くの人々が、感染しながらも入院先がなく、 不安の中に自宅で時を過ごしていると聞きます。 救急車が来ても、そのまま置いて行かれることも少なくないといいます。 こうした方々の恐怖と不安はいかばかりでしょうか? 想像することさえできません。 ある医師は医療状況は逼迫しているのではなく、 すでに崩壊しているとテレビで言っていました。 私の街も、昨年の同時期に比べ、一日の感染者数が十数倍に達しています。 病床の稼働率は100%で、感染しても入院はほぼ不可能でしょう。 多くの人々がいつ終息するとも知れぬコロナの恐怖と闘い疲弊しています。 しかし私たちは生きていかなければなりません。 市長のただならぬアナウンスを聴いた後、 頭の中には自然と第九の第1楽章が流れていました。 この難局を乗り切るには、通常を超えた強い意志力が必要だと思います。 その思いに突き動かされながら、1年ぶりにこの曲を新たに録音し直しました。 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2021] L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 I. Allegro ma non troppo, un ...

クラシック名曲サウンドライブラリー episodes:

08.21.2021

ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2021] / L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso

昨日、食料を買うために家を出て歩いていると、すぐ近くで街頭放送の音が聴こえました。 私が暮らす街の市長が現在のコロナの危機的な状況を訴え、 ワクチンを打っても不要不急の外出は控えてくださいとアナウンスしていました。 市長自身が街頭放送で直接呼びかけるのは初めてのことです。 一日の感染者がかつてない数に達していると語る声は沈痛でした。 私はこの時、「これはただ事ではない」と思いました。 戦時下の空襲警報は、このようなものだったのかもしれないと想像しました。 今も数多くの人々が、感染しながらも入院先がなく、 不安の中に自宅で時を過ごしていると聞きます。 救急車が来ても、そのまま置いて行かれることも少なくないといいます。 こうした方々の恐怖と不安はいかばかりでしょうか? 想像することさえできません。 ある医師は医療状況は逼迫しているのではなく、 すでに崩壊しているとテレビで言っていました。 私の街も、昨年の同時期に比べ、一日の感染者数が十数倍に達しています。 病床の稼働率は100%で、感染しても入院はほぼ不可能でしょう。 多くの人々がいつ終息するとも知れぬコロナの恐怖と闘い疲弊しています。 しかし私たちは生きていかなければなりません。 市長のただならぬアナウンスを聴いた後、 頭の中には自然と第九の第1楽章が流れていました。 この難局を乗り切るには、通常を超えた強い意志力が必要だと思います。 その思いに突き動かされながら、1年ぶりにこの曲を新たに録音し直しました。 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2021] L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 I. Allegro ma non troppo, un ...

08.23.2020

オンライン特別プログラム - モルダウ/クラシック名曲集 Vol.1 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Classical Music Best Selection Vol.1

今回は夏休み期間中ということで、これまでのように交響曲まるごと1曲ではなく、 様々な楽曲からいいところを集めたオムニバス形式でお届けします。 中には1楽章すら完全ではないものもあります。 ですが、とにかく楽曲中の美しい旋律に光を当てたいと思い、あえてそうした形にしました。 モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183 第1楽章 モーツァルトの生涯を描いた映画「アマデウス」で印象的に使用されて以来、 一躍人気曲になった楽章です。 モーツァルトは41曲の交響曲を書いていますが、短調は25番と40番のみでいずれもト短調です。 冒頭のシンコペーションの主題は鮮烈で、シンプルながらインパクト大です。 カリンニコフ:交響曲第1番 ト短調 第1楽章 提示部 カリンニコフは若くしてこの世を去ったロシアの作曲家で、 作品数は少ないものの、特に2つの交響曲によってその名を残しています。 晩年の病床ではもはや自身で譜面を書くことさえできず、 傍らにいた妻が口述筆記の形で、代わりに書いていたともいわれています。 そう思いながらこの楽章の主題を聴くと、胸に迫るものがあります。 ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 Op.27 第3楽章より 交響曲の名曲として紹介されることが少ないラフマニノフの第2番ですが、 ことに第3楽章の美しさは比類がなく、あらゆる交響曲の中でも屈指の名作です。 ピアノ協奏曲第2番やヴォカリーズを書いたラフマニノフだからこその旋律美です。 主題は米ロック歌手エリック・カルメンがシングルで引用したほか、 月9ドラマ「ピュア」では挿入曲として用いられていました。 ショパン:練習曲 第3番 ホ長調 Op.10-3 「別れの曲」 ショパン自身も気に入っていたというこの曲の旋律は、古今東西のクラシックの名旋律の中でも、 片手の指に入るほど美しく、完成されています。 ショパンほどに魅力的な旋律が多い作曲家もめずらしいですが、 その中でも「別れの曲」と呼ばれるこのエチュードには特別なものがあります。 エルガー:愛のあいさつ ...

08.08.2020

オンライン特別プログラム - ジョン・ウィリアムズ 映画音楽集 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - John Williams:Chinema Music (Star Wars etc.)

『シンドラーのリスト』は、スティーヴン・スピルバーグ監督による1993年のアメリカ映画。 第二次世界大戦時にドイツによるユダヤ人の組織的ホロコーストが東欧のドイツ占領地で進む中、 ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を自身が経営する 軍需工場に必要な生産力との名目で絶滅収容所送りを阻止し、その命を救った実話を描いています。 シンドラーは決して絵に描いたような善人の英雄ではなく、むしろ快楽主義に取りつかれた遊び人で、 プレイボーイのライフスタイルを楽しみ、生きることをそのすべての面で享受していました。 同時代の人たちから見てくれよく育ってきた人間とみなされて、上流社会の中で立ち回り、 良い身なりをし、女性たちからももてはやされ、金銭を湯水のように使っていました。 当初は戦争に乗じてひと儲けするためにポーランドにやって来たシンドラーでしたが、 ポーランド系ユダヤ人たちに対するナチス党政権の度を越えた弾圧に不信感を募らせ、 自らもナチ党であったにも関わらず、無力なユダヤ人住民たちを救うことに意識が転換していきました。 やがて出来る限り多くのユダヤ人を救済したいという願望の下に、 最後には全財産をこの目的のために投じただけでなく、自らの生命まで賭けようとしたのでした。 彼の救済の行動は執念ともいえるもので、動きを怪しんだナチスの親衛隊に3度も逮捕されるも、 時には収容所の看守に賄賂を渡すまでして、徹底した救済活動に身を投じました。 戦後に事業に行き詰まり困っていたシンドラーを、彼に救われたユダヤ人たちはイスラエルに呼び、 今度は反対に援助して彼の生活を支えたということです。 映画で音楽を担当したジョン・ウィリアムズは、フィルムを観て自分には荷が重すぎると感じ、 スピルバーグ監督に「この作品には自分よりもっと適任の作曲者がいると思う」と進言しました。 しかし監督は、「知ってますよ、でもその人たちはみんなすでに故人なんです」と返しました。 ジョン・ウィリアムズはこの作品でアカデミー作曲賞、英国アカデミー賞 作曲賞を受賞しました。 サウンドトラックにおいて、メインテーマなどの主要なヴァイオリンソロは、ユダヤ人であり、 20世紀の最も偉大なヴァイオリニストの一人と評価されるイツァーク・パールマンが演奏しました。 尚、今回併せて公開した『スターウォーズ』と『E.T.』のメインテーマは、最近使用してきた ベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を更に研究して、効果を最大限に引き出しました。 過去に公開した音源に比べ、よりダイナミックで立体的なサウンドをお楽しみいただけると思います。 ジョン・ウィリアムズ:映画「シンドラーのリスト」から メインテーマ John Williams:Main Theme from "Schindler's List" [4:07] CMSL Classical masterpieces Sound ...

08.01.2020

オンライン特別プログラム - ビル・コンティ 映画音楽集 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Bill Conti:Chinema Music (Rocky)

映画「ロッキー」の主人公ロッキー・バルモアは、フィラデルフィアに暮らす無名のボクサーでした。 才能がありながらもそれを活かそうともせず、4回戦ボーイとして日銭を稼ぐ日々。 これといった目的も持たず、ただ自堕落に過ごすだけの生活でした。 そんな彼にあるチャンスが舞い込みます。 それは無敵の王者アポロが無名の選手を相手にしたイベント試合を行うというもので、 その相手として何人かの候補の中からロッキーが選ばれたのです。 最初はこれを拒否するロッキーでしたが、周囲の勧めや愛するエイドリアンのため、 そして何より自分自身のために、この無謀な試合に挑むことを決意します。 それまでとは打って変わって過酷なトレーニングにも耐え、 自分の人生をかけた闘いに正面から向き合うロッキー。 しかし、はなからアポロに勝てるはずがないとわかっていたロッキーは、 とにかく最終15ラウンドまで闘いぬくことを目標とし、それをエイドリアンに告げます。 試合ではアポロに激しいパンチを浴び、腫れ上がった顔でフラフラしながらも、 ついにロッキーは王者アポロを相手に、互角の試合で全ラウンドを成し遂げます。 判定にもつれ込んだ試合は結果として僅差でアポロの勝利となりましたが、 そんなことには構わず、ロッキーはひたすらエイドリアンの名を叫ぶのでした。 映画「ロッキー」の作曲を手がけたビル・コンティは、イタリア系アメリカ人の作曲家。 主に映画音楽、テレビドラマ劇伴を手がけ、「ロッキー」の音楽は特に有名です。 イタリア・オペラが流れる家庭に育ち、ナイトクラブでジャズを弾いた経歴もある彼は、 名門ジュリアード音楽院で学士・修士を修得するも、しばらくは無名の作曲家でした。 しかし、映画「ロッキー」の大ヒットにより、作曲家として一躍時の人となりました。 「ロッキー」は当初、主演のスタローンの弟が音楽を手がけていましたが、 思いもかけずめぐってきたチャンスをコンティは見事にものにしました。 そして、1983年の映画「ライトスタッフ」でついに、アカデミー音楽賞を受賞します。 このサントラで実質のテーマ曲として、人気が高いのが「イェーガーの勝利」です。 4回に一度は死の危険が伴うという、テストパイロットの過酷な任務に果敢に挑み、 パイロットとしての己の“正しい資質”が命ずるままに生きる主人公のチャック。 そんな彼を象徴するような音楽が、勇壮な管弦楽曲「イェーガーの勝利」なのです。 ビル・コンティ:映画「ロッキー」から 「ロッキーのテーマ」 Bill Conti:Gonna Fly Now from "ROCKY" [2:53] CMSL Classical masterpieces ...

07.29.2020

オンライン特別プログラム - ベートーヴェン序曲集 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Ludwig Van Beethoven - OVERTURES

ベートーヴェンの管弦楽作品を堪能しようとする場合、真っ先に挙げられるのが、 九つの交響曲であるのはもちろんのことですが、全部で11曲ある序曲にも、 彼の交響曲レベルの感動と充足感をもたらしてくれる作品は少なくありません。 ベートーヴェンが生涯に作曲したオペラは「フィデリオ」のみで、 11曲中の4曲は「フィデリオ」から生まれています。 その中の「レオノーレ序曲 第3番」を含む、代表作を3曲お届けします。 序曲とは言え、3曲を通して聴くと40分近いので、 あたかも交響曲を1曲聴いたかのような満足感を得ていただけると思います。 コリオラン序曲 Op.62 ブルタークの英雄伝に登場するローマの英雄コリオランを扱った戯曲家コリンの悲劇に、 感銘を受けたベートーヴェンが1807年に作曲した演奏会用序曲です。 ベートーヴェンは主人公コリオランの性格に、自らに通じるものを見出し、 この序曲を通じて自己表現を試みたといわれています。 ワーグナーは、「偉大な力、不撓の自信と熱狂せる反抗心が、憤怒、憎悪、復讐、 破壊的な精神のうちに台頭する姿を眼前に髣髴たらしめる」とこの曲を評しました。 エグモント序曲 Op.84 ゲーテの悲劇「エグモント」に感激したベートーヴェンが、 1809年から1810年にかけて作曲した、最もよく知られる彼の序曲のひとつです。 導入では苦難に対して凛とした態度で臨む崇高な姿が描かれ、 その後は過酷な運命との闘いと、最終的な勝利に至るまでが表現されています。 「ベートーヴェンが大詩人の言葉から霊感を得て描き出した最初の一例である」 とこの曲についてリストは語っています。 レオノーレ序曲 第3番 Op.72b ベートーヴェンの唯一の歌劇「フィデリオ」は、計3回の修正が行われました。 そして修正されるごとに新たな序曲が書かれ、つごう4曲が残っています。 今日、歌劇の序曲としては「フィデリオ」が演奏されますが、 この他に3つのレオノーレ序曲が存在しています。 中でも第3番はベートーヴェンの序曲中で最もスケールが大きく、 音楽の造りのバランスも良く、最大傑作と呼べる堂々たる佇まいがあります。 歌劇「フィデリオ」の上演では、最後の場面の前に第3番が慣例で演奏されています。 ベートーヴェン:コリオラン序曲 Op.62 [2020][IR] Ludwig Van ...

07.22.2020

オンライン特別プログラム - ショパン ピアノ協奏曲 第1番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - F.Chopin:Piano Concerto No.1 in E minor, Op.11

生涯に2曲しか残されていないショパンのピアノ協奏曲のひとつです。 第1番というものの、実際の作曲順ではこちらが第2番。出版順で番号が入れ替わっています。 ショパンが故郷のポーランドを去る20歳の年に完成した作品で、骨太で重厚な曲調が特徴です。 特に第1楽章は「これがショパン?」と思うほどに男性的で力強く、 ドイツの古典派、ロマン派の王道をいくような品位と風格があります。 初演は1830年10月11日、ショパン自らのピアノ演奏により行われました。 このコンサートはウィーンへと旅立つショパンの告別演奏会で、 ショパンの初恋の人である一歳下のソプラノ歌手、コンスタンティア・グラドコフスカが、 白いドレス姿で髪にバラの花を挿して助演したと伝えられています。 彼女はすばらしかったとショパンは書き記していて、最後に彼女から渡されたリボンを ショパンは終生にわたり手元に置いていたということです。 ピアノ協奏曲第1番は「ピアノの詩人」として知られるショパンとしては、 伴奏の管弦楽部分も充実していて、第1楽章でピアノが登場するまで4分もの時間を要しています。 また、ショパン自身の自信作だったようで、その後のコンサートでも度々取り上げていました。 第1楽章の印象的な主題が、都はるみの75年のレコード大賞曲「北の宿から」に似ている とも言われますが、作曲家の小林亜星氏は「特に本作をもとにして作曲したわけではない」と 雑誌『ショパン』(2009年1月号)で語っています。 第2楽章は一転して甘美で幻想的な音楽ですが、ショパン自身はこれについて 「春の月のおぼろに霞んだ夜の瞑想」と説明しています。 尚、漫画「のだめカンタービレ」では主人公の野田恵が、シュトレーゼマンの指揮により 最初のコンサートのステージでピアノ協奏曲第1番を披露しています。 ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 第1楽章 [2020][IR] Frederic Francois Chopin:Piano Concerto No.1 in E minor, Op.11 1. Allegro maestoso [20:36] ...

07.15.2020

オンライン特別プログラム - チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique"

「傑作を書きました。これは私の心からの真実と申しましょう。 私は今までにないほどの誇りと喜びと満足を感じています」(出版商ユルゲンソンへの手紙) 「私は今度の交響曲の作曲に全精神を打ち込みました」(コンスタンチン大公への手紙) 交響曲第6番「悲愴」はチャイコフスキーが最後に遺した一大傑作です。 ベートーヴェンなどの古典様式を意識した前作の第5番とは違い、 型にとらわれずに自らの作曲スタイルを自由に羽ばたかせています。 その結果、チャイコフスキーの天才が臨界点を超えて発揮された名作になりました。 交響曲第5番についてチャイコフスキーは「あの曲の中に潜む不自然さが私には気に入りません。 なにか虚飾的な感じがします」と支援者のメック夫人への手紙でもらしていました。 「悲愴」での一転したオリジナリティの爆発は、第5への不満の反動だったのかもしれません。 チャイコフスキーの音楽は多分に感傷的で、それが常に作風を特徴づけていましたが、 「悲愴」の場合は感傷を超えた慟哭、絶望までが感じられ、 作曲家が極限の精神で自らの内奥の心をさらけ出し、明るみにしているのがわかります。 作曲しながら目頭ににじんだ涙で楽譜が見えなかったという話もあります。 「悲愴」を語るうえで個人的に連動して思い起こされるのがブラームスの交響曲第4番です。 ふたりはロシアとドイツと国こそ違え、どちらも19世紀の同時代を生きた作曲家。 同じ5月7日生まれで、愁いを含むどこか寂し気な作風も共通しています。 さらにブラームスは交響曲第1番で、チャイコフスキーは交響曲第5番で、 苦悩から歓喜へという「運命」に象徴されるベートーヴェンのモットーを踏襲しています。 しかし最後の交響曲となった第4番と「悲愴」ではそうした縛りを離れ、 自らの人生観や音楽的趣向を解き放っています。 最終楽章が短調で締めくくられる構成も同じです。 もっともチャイコフスキーはブラームスについて「尊敬しているが彼の音楽は嫌いだ」と語り、 むしろグリーグが自分には身近でわかりやすく、血のつながりを感じると日記に書いています。 3人は1887年12月20日、ライプツィヒのヴァイオリニスト、プロツキイの家で知り合いました。 チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 第1楽章 [2020][IR] Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique" ...

07.09.2020

オンライン特別プログラム - ブラームス 交響曲第4番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98

ブラームスは作曲家として常にベートーヴェンを指標としていました。 やるからにはベートーヴェンを越えねばと、作曲に21年もの歳月を費やした交響曲第1番は、 「運命」と同じハ短調で、苦悩から歓喜へと至る同じ構成を持っています。 第4楽章の「第九」を思わせる主題などから、「ベートーヴェンの交響曲第10番」とも呼ばれました。 また、ブラームスの交響曲第2番は牧歌的で自然を思わせる曲調から「ブラームスの田園」と呼ばれ、 男性的なたくましさもある交響曲第3番は「ブラームスの英雄」とも言われることがあります。 つまり、ブラームスの全4つの交響曲のうち、前の3曲はベートーヴェン絡みで語られるわけです。 ですが、最後の第4番ホ短調だけは、そうした関連付けは一切されていません。 ブラームスがベートーヴェンの呪縛を離れて、初めて自己表現を全開にした作品とも言えます。 最終楽章で勝利を高らかに謳いあげた第1番以降、ブラームスの交響曲は後にいく程暗くなっています。 第3番でも後半のふたつの楽章は短調が主体で、第4番ではついに短調で全曲を締めくくっています。 ベートーヴェンは気にせずに、「これが本当の私自身だ」と言わんばかりに、 自分の人生観や音楽的趣向をめいっぱい詰め込んだのが、最後の交響曲第4番と言えます。 ですから人によっては「沁みったらしくてついていけない」と感じるかもしれません。 しかし、それまである意味、仮面をつけていたブラームスが、初めて自分をさらけ出したという意味で、 彼の他の交響曲にはない真実味や誠実さが感じられるのも事実です。 また、人生に少し疲れた人には、心に寄り添う優しさが慰めとなるかもしれません。 交響曲第4番は最終楽章にバッハ以来使われなくなったパッサカリアという形式を用いるなど、 古典派のベートーヴェン以上に古典的なところも注目すべき点です。 ブラームスは第4番のあと、亡くなるまでの13年間に、二度と交響曲を作ることはありませんでした。 そして死の床で彼自身が第4番を「最も好きな曲だ」と語ったということです。 ≪こぼれ話≫ ある時、一人暮らしのブラームスの隣家で火事が起こりました。 ブラームスはすぐに消火活動にあたり、率先してバケツリレーにも参加しました。 自身の家に火が燃え移りそうになっても「それどころではない」と目もくれず、 隣家の消火に専心していたといいます。 見かねた知人がブラームスの家に飛び込み、寸前のところで交響曲第4番のスコアを持ち出しました。 信仰に厚く実直なブラームスらしいエピソードです。 ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 第1楽章 [2020][IR] Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, ...

07.02.2020

オンライン特別プログラム - ブルックナー 交響曲第9番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Anton Bruckner:Symphony No.9 in D minor

交響曲第9番はブルックナーが最後に遺した大作です。 作曲の半ばに亡くなったため、全4楽章の予定が第3楽章までの未完となっています。 しかし、敬愛するシューベルトの「未完成」が2楽章のみで充分に成立しているように、 ブルックナーの第9番も、この後に何も付け足す必要がないほどに音楽として完成しています。 ブルックナーはこの曲を愛する神様に捧げました。 通常、楽曲の献呈は支援者などの身近な人たちになされるもので、 それを神様に対して行ったのは、おそらくブルックナーが初めてです。 ブルックナーの音楽は不思議で、一般的な音楽のように「聴こう」と身構えると、 つかみどころがなく、何が言いたいのかもわからず肩透かしをくらってしまいます。 音楽は少し進むとそこで途切れ、まったく違うブロックが開始されます、 これが延々と続くので、どうしても聴いていて身が入らないということもあります。 しかし一度「聴こう」という態度をやめ、聴くのではなく音楽に身を浸す感覚になると、 たちまちその魅力に気づき、そこから抜け出せなくなります。 本場オーストリアのファンは、ブルックナーの長大な交響曲が終わると、 またすぐに最初から聞き直したくなるということです。 ブルックナーはお風呂に楽譜を持ち込み、湯船につかりながら作曲していました。 ですから温泉に入るようにリラックスして、何も考えずに聴くのがいいかもしれません。 ブルックナーの交響曲第9番は、名作第8番に続く「奥の院」とも言える究極の作で、 音楽の深遠さは計り知れなく、地上世界を遥かに超えた宇宙的なスケール感があります。 第8番にはまだ人間的な葛藤や孤独感などが感じられますが、 第9番では徹頭徹尾、大自然や神羅万象、大宇宙の運行が描かれています。 特に感動的なのは第3楽章で、信仰の極に達したかのような法悦は他に例えるものがなく、 自身の死を前にした心境の深まりが、冒頭の輝かしいトランペットからも伝わってきます。 ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 第1楽章 [2020][IR] Anton Bruckner:Symphony No.9 in D minor I. Feierlich misterioso [28:23] Bruckner-Symphony-No9-1st-2020-IR.mp3 Bruckner-Symphony-No9-1st-2020-IR.mp3 ブルックナー:交響曲第9番 ...

06.24.2020

オンライン特別プログラム - ベートーヴェン「運命」バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - L.V.Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67

「ハイリゲンシュタットの遺書」と呼ばれる手紙があります。 これはベートーヴェンが悪化する難聴への絶望と、それでも果たさなければならない芸術家としての 使命感との間で揺れ動く心情を綴ったもので、甥であるカールと弟のヨハンに宛てられています。 『…6年このかた治る見込みのない疾患が私を苦しめているのだ。 物の判断も出来ない医者達のために容態はかえって悪化し、症状は回復するだろう という気休めに欺かれながら1年1年と送るうちに、今ではこの状態が永続的な 治る見込みのないものだという見通しを抱かざるを得なくなったのだ。 人との社交の愉しみを受け入れる感受性を持ち、物事に熱しやすく、感激しやすい 性質をもって生まれついているにもかかわらず、私は若いうちから人々を避け、 自分ひとりで孤独のうちに生活を送らざるをえなくなったのだ。 耳が聞こえない悲しみを2倍にも味わわされながら、自分が入っていきたい世界から 押し戻されることがどんなに辛いものであったろうか。 …そのような経験を繰り返すうちに私は殆ど将来に対する希望を失ってしまい 自ら命を絶とうとするばかりのこともあった。』 (http://www.kurumeshiminorchestra.jp/beethoven_heiligenstaedt.html) 新進気鋭の音楽家としてウィーンの社交界に登場したベートーヴェンは、 自在な変奏による得意のピアノ即興演奏で名をはせた存在でした。 後年のイメージとは違い、ベートーヴェンは社交好きで人とのつながりも多く、 人々にもてはやされる日々は彼の心を高揚させました。 しかし、30代になるにつれ、彼の耳は次第に具合が悪くなり、 やがてはまともに人の声も聞きとれず、会話も困難になっていきました。 音楽家として耳が聞こえなくなるという事態はあってはならないもので、 ベートーヴェンはこの事実を悟られまいと社交界から遠のいていきました。 元来、人付き合いを好む彼には、難聴と同じくらいに苦痛なことでした。 (ベートーヴェンが散策した19世紀のハイリゲンシュタット) 人々の前から姿を消したベートーヴェンは、療養でウィーン郊外のハイリゲンシュタットに居を構え、 自然豊かなこの地で演奏よりも作曲に専念するようになっていきました。 日の出と共に作曲を開始すると昼過ぎには切り上げ、午後は数時間をかけて周辺を散策しました。 おそらく歩きながら楽想を練り、翌日には朝から譜面に書き留めていたものと思われます。 『そのような死から私を引き止めたのはただ芸術である。私は自分が果たすべきだと 感じている総てのことを成し遂げないうちにこの世を去ってゆくことはできないのだ。』 芸術家としての使命感から自ら命を絶つことを思いとどまったベートーヴェンは、 このような暮らしの中で後年に残る数々の名曲を生み出していきました。 そうした作品のひとつが交響曲第5番「運命」です。 過酷な運命に立ち向かい、人としての務めを果たすべく克服していく様を描いたこの曲は、 作曲から200年以上を経た今も、逆境に苦しむすべての人を励まし鼓舞し続けています。 遺書から6年が過ぎた1808年、「運命」は「田園」と共に作曲家自身の指揮で初演されました。 「運命」の作曲に着手したのは、遺書を書いた1801年から1802年の頃とみられています。 ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 ...

06.16.2020

オンライン特別プログラム - ブルックナー 交響曲第8番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor

この4月からバーチャルコンサート・シリーズで公開してきた楽曲のほとんどには、 あるひとつの共通項があり、それが一貫したシリーズのテーマにもなっています。 それは楽曲の構成はいずれも、ベートーヴェンの交響曲「運命」がモデルになっていて、 短調の第1楽章に始まり、同主調で長調の終楽章に終結することです。 全編を通じて暗闇から光、苦難から勝利、絶望から希望へと至る変遷が描かれています。 例えばベートーヴェン自身の「第九」はニ短調からニ長調、 ブラームスの交響曲第1番はハ短調からハ長調、 ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」はホ短調からホ長調、 チャイコフスキーの交響曲第5番もまたホ短調からホ長調、 そしてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はハ短調からハ長調という具合です。 今回のブルックナーの交響曲第8番も、そうした「運命」モデルを踏襲した作品で、 「運命」と同じくハ短調からハ長調という展開を通じて、闇に対する光の完全勝利を描いています。 また、第8の第1楽章では「第九」第1楽章のタターンという動機が用いられ、 「第九」と同じく第2楽章に短調のスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章が置かれています。 しかし、ベートーヴェンの場合は人間が主役として中心にあるのに対して、 ブルックナーではむしろ大宇宙や大自然が前面に出て、 その偉大さを前にして佇む人間存在の孤独さ、小ささが描かれています。 ですから第8でも苦難に立ち向かう英雄像が見えるものの、闘争の末に勝利するというより、 一旦はすべてを受け入れ、その上でそれらを超えていくというような懐の深さも感じます。 第4楽章のコーダでは、それまでの楽章の主題が長調で混然一体となって絡み合い、 否定しようもない完全な光の勝利が爆発するなか、圧倒的な威力で全曲を終結します。 第1楽章の最後では短調で物寂しく響いた「ミレド」のフレーズ(正確には半音下降を含む)は、 終楽章の最後ではオーケストラの全体合奏で華々しく「ミレド」と長調で演奏されています。 ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 第1楽章 [2020][IR] Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor I. Allegro moderato [17:38] Bruckner-Symphony-No8-1st-2020-IR.mp3 Bruckner-Symphony-No8-1st-2020-IR.mp3 ブルックナー:交響曲第8番 ...

06.10.2020

エルガー:《エニグマ変奏曲》 Op.36 - 第9変奏 「二ムロッド」 [2020][IR] / Elgar: Variations On An Original Theme, Op.36 "Enigma" - 9. Nimrod (Adagio)

♪友人とベートーヴェンを語り明かした夜の思い出 ある日のこと、エルガーがピアノに向かい、とりとめもなく旋律を奏でていると、 ひとつの旋律が夫人の注意を引き、「もう一度聴かせてほしい」と頼まれました。 その旋律こそが『エニグマ変奏曲』全体の基となる主題になりました。 エルガーはこの主題から次々と、即興的に変奏を弾き始め、 それぞれの変奏を友人たちの音楽的な肖像としてまとめました。 たとえば、第1変奏は夫人のキャロライン・アリス・エルガーを表し、 譜面には「第1変奏 L'istesso tempo "C.A.E."」と頭文字を記すといった具合です。 ただ、はっきりとは人物名を記さず、楽曲全体を通した隠し主題があるという理由から、 『独創主題による変奏曲(Variations on an Original Theme for orchestra)』という 正式名称よりも『エニグマ(謎の)変奏曲』という通称が一般化しています。 14の変奏からなるこの変奏曲の中でも、もっとも高い人気を誇り、 単独の演奏会用ピースとしても取り上げられるのが、第9変奏「二ムロッド」です。 二ムロッドとは出版社勤務の友人イェーガーにエルガーがつけた愛称で、 彼の高貴な人柄がその音楽を通して描き出されています。 エルガーとニムロッドはある夜に、ベートーヴェンの緩徐楽章について語り合いました。 その時の記憶が第9変奏「二ムロッド」に反映されています。 それだけにこの音楽には崇高な気高さがあります。 背後にうしろで手を組みたたずむベートーヴェンの姿が透けて見えるかのようです。 尚、今回からベルリンフィルハーモニー大ホールの音響をリバーブに使用しています。 過去にはウィーン・コンツェルトハウスの音響をメインに使用していましたが、 今後は近代的なオーケストラサウンドが堪能できるベルリンフィル大ホールの音響で録音していきます。 参考として、新しい音響で録音した演奏(ハイライト)をお聴きください(mp3) ♪ブルックナー:交響曲第8番 第1楽章より ♪ブラームス:交響曲第4番 第1楽章より ♪ベートーヴェン:交響曲第7番 第2楽章より ♪ワーグナー:楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕への前奏曲より ♪チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」第1楽章より ...

06.05.2020

オンライン特別プログラム - ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Sergey Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18

ラフマニノフは身長2mに達しようかという大男でした。 彼がピアノの前に座ると、ピアノがまるでおもちゃのように見えたといいます。 この長身と長い指を活かした演奏はダイナミックでピアニストとしても注目の存在でした。 小さい頃から神童と持て囃され、学生時代から発表した自作曲も次々と高評価を受け、 ラフマニノフはピアニスト・作曲家として前途洋々とした道を歩んでいました。 ところが1897年、24歳の秋、順風満帆の彼の音楽家人生に大きな壁が立ちはだかります。 ペテルブルクで初演された交響曲第1番が悪評を受け、彼は一気に自信を消失しました。 生まれつき繊細で神経症気味だったラフマニノフは、ショックでひどいうつ状態に陥り、 創作意欲も失せ、音楽家人生も終わったと危ぶまれるほどになりました。 各種の治療を試みたものの事態は一向に改善されず、絶望的な状況は続きました。 こうした様子を見て心配した彼の友人が紹介したのが、精神科医ニコライ・ダール博士です。 ラフマニノフは1900年1月から4月まで連日のように博士のもとへ通い治療を受けました。 これが功を奏しラフマニノフの症状は徐々に好転していきました。 ダール博士が施したのは一種の暗示療法でした。 博士は「あなたは今に世界に知られる傑作を書くことになる」とラフマニノフに言い続けました。 失われていた創作意欲を取り戻し始めたラフマニノフは、ついには新作の着手を決意しました。 こうして作曲を再び開始した復帰第一作が「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」です。 ラフマニノフは手始めにまず第2楽章から取り掛かり、次いで第3楽章を仕上げました。 そして最後に時間をかけて第1楽章を完成させました。 1901年10月27日、27歳の時、モスクワで彼自身のピアノとモスクワ・フィルハーモニーの演奏により、 「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」は初演され、すぐさま大絶賛を浴びました。 その後、1905年にはこの曲にグリンカ賞が贈られ、ラフマニノフの名は不動のものとなりました。 英国映画「逢いびき」で使用され、米ロック歌手エリック・カルメンの「All By Myself」に 引用されたことでも知られる第2楽章は、ラフマニノフが復帰で最初に着手した楽章ということもあり、 強度のうつ状態にあった彼の精神状態が少なからず反映されているといわれています。 冒頭の弦楽による和音の進行は、彼が尊敬した先輩チャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章を思わせ、 その後も同じように祈りにも似た、切実で精妙な調べが続いていきます。 特に終結へと向かう10:36からの展開は美しく、すべての悲しみが洗い流されるかのようです。 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18 第1楽章 [2020][VR] Sergey Rachmaninov:Piano Concerto No.2 ...

05.30.2020

オンライン特別プログラム - チャイコフスキー 交響曲第5番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - P.I.Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64

交響曲第5番を書いた頃のチャイコフスキーは、ひどく疲れていました。 まるで創作意欲がなく、楽想も気分も何も湧きませんでした。 作曲に先立ち彼は支援者のメック夫人に、次のように書き送っています。 「それほど年を取ったとは思いませんが、年を感じ始めました。 私は近頃、疲れます。夜、ピアノを弾くことも本を読むことも苦労になりました」 こうした状況を打破するためか、第4番から10年ぶりに取り掛かったのが第5番です。 ベートーヴェンの第5番「運命」と同じく、苦難との闘いとそれに対する勝利が描かれています。 しかし、主人公には「運命」のようなたくましさはなく、ナイーブで傷つきやすい姿があります。 その分、生身の人間には共感できる部分が多く、また甘美な旋律は彼ならではのものです。 第1楽章の冒頭では、クラリネットが全楽章を貫く陰鬱な主題を奏でます。 困難に見舞われても、それに立ち向かう気力もなく、仕方なくとぼとぼと歩き始めます。 その嘆きは次第に大きくなり、苦しさを叫ぶ絶叫は頂点に達します。 第2楽章は短調のほの暗い弦楽合奏に始まり、やがて夢幻的な旋律をホルンが奏でます。 続く主題もこの上なく美しく、ふたつの主題は旋律作家チャイコフスキーの真骨頂です。 最近、この楽章は「祈り」を表現していると感じています。 苦しい状況にあっても、どうか心には安らぎがあるようにという願いです。 しかし、美しい旋律のあとにも、過酷な運命の主題が再び襲い掛かってきます。 第3楽章は一時、すべてを忘れて憩いの時を持つワルツです。 主人公は楽しかった過去の思い出に浸っているかのようです。 しかしここでも、最後に運命の主題が静かな影を落とします。 そして第4楽章の冒頭では、第1楽章の運命の主題が長調に転じて演奏されます。 しばらくは各楽器により明るい気分が表現されますが、その後にまたも闘いが開始されます。 音楽は様々な変遷を経たのち、最後にオーケストラ全体での勝利の行進になります。 短調だった第1楽章の第2主題もコーダで長調になり、金管が高らかに謳いあげます。 そして最後に念を押すように、全体が「タタタタン」とリズムを踏みしめて締めくくられます。 「タタタタン」はベートーヴェン「運命」の主要な動機でもあります。 チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第1楽章 [2020][VR] Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64 ...

05.23.2020

オンライン特別プログラム - シューベルト 交響曲第8番「未完成」 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Franz Peter Schubert:Symphony No.8 in B minor, D.759 "Unfinished"

シューベルトとベートーヴェンは同時代のウィーンに生きた作曲家です。 生年はベートーヴェンが27年先ですが、亡くなったのはわずか2年も違いません。 そんなシューベルトは友人の引き合わせで、最晩年のベートーヴェンに会ったことがあります。 病床でシューベルトの楽譜に目を通したベートーヴェンはページをめくり声をあげました。 「シューベルトのうちには神のひらめきがある」 また、友人とシューベルトを前にして、ベートーヴェンはこう賞賛しました。 「シューベルトは私の魂をもっている。今に世界にその名を知られる人だ」 ベートーヴェンが亡くなったのはそれから間もない1827年3月26日のことでした。 シューベルトの「未完成」は長らくベートーヴェンの「運命」と人気を二分する、 レコードや演奏会でも定番の交響曲の組み合わせでした。 「運命」「未完成」「新世界より」を3大交響曲とする演奏会もあります。 それだけに「未完成」がもつ音楽の佇まいは立派で、まさに名曲の趣きがあります。 本来、4楽章であるべき交響曲が2楽章で終わっているため「未完成」と呼ばれるものの、 内容は2楽章でも充分に完結しており、この後に何を付けても役不足になりそうです。 ブラームスはこれについて「天才の直感で途中で筆を置いたのだろう」と言っています。 しかし、「未完成」が世に出たのはシューベルトの死後37年が過ぎてからでした。 彼をベートーヴェンに引き合わせた友人のヒュッテンブレンナーが所蔵していたのです。 シューベルトは絶えず貧困に苦しんだ人で、亡くなった時はほとんど餓死状態でした。 楽譜一枚を買うことさえできず、ピアノもないため、友人たちのピアノを借り歩いたほどです。 「私の音楽は私の才能と貧乏の産物ですが、自分が一番苦しいときに作った音楽を、 世間の人は好むらしい」とシューベルトは言っています。 1828年11月19日、「このようなところにはいられない。ここにはベートーヴェンはいないんだ」 とうわごとのようにつぶやくと、シューベルトは31年の短い生涯を終えました。 彼の父や兄たちはお金を出し合い、彼の墓を敬愛するベートーヴェンのそばに置きました。 ところで、日本における新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向を見せ、 25日にも首都圏の緊急事態宣言が解除されようかという方向に向かっています。 世間では自粛ムードも薄まり、徐々に人出も多くなりつつあるようです。 これは多くの日本人の超常的な意志と努力の賜物だと思います。 しかし、一方で実際の医療現場では、現在も医療スタッフの闘いが続いているようです。 医療従事者たちは自らの生活を犠牲にし、生命をかけて任務にあたっています。 また今も、患者とその家族が苦しみの最中にあります。 こうした現状を見ると、まだまだ気を引き締めなければならないと感じました。 医療現場がかつての落ち着きを取り戻したときに、初めて収束と言えるのかもしれません。 焦点:「解除の日」遠い医療現場、聖マリアンナ病院の葛藤 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200522-00000102-reut-asia シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D759 「未完成」 ...

05.16.2020

オンライン特別プログラム - ベートーヴェン「田園」バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - L.V.Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastorale"

交響曲第6番「田園」は、ベートーヴェンの9つの交響曲の中でも異質な存在です。 「英雄」「運命」「第九」などの有名曲は、いずれも男性的な強さ、困難に立ち向かう意志を描いていますが、「田園」にはそうした闘争の姿はなく、自然への感謝と穏やかな心境のみが表されています。 ベートーヴェンは「田園」について、「自然の描写というより人間感情の表現」と説明しています。 ベートーヴェンは自然が見せる様々な表情を通して、人生そのものを描いているのです。 第6番「田園」は、全くタイプの違う第5番「運命」と同時進行で作曲されました。 そしてどちらも1808年、38歳の年に書き上げられ、その年の12月にウィーンで同時に初演されました。 コンサートでは、第1部で「田園」、第2部で「運命」がベートーヴェン自身の指揮で演奏されています。 ベートーヴェンは激しい闘争の「運命」と、静かでやすらかな「田園」の二面性をもって、 様々なできごとが起こる人間の人生を総括的に描こうとしたのかもしれません。 そして人間には、強さとやさしさの両面が必要だと伝えているような気がします。 「運命」と「田園」を作曲した頃のベートーヴェンは、耳疾の療養のために、しばしばウィーン郊外の ハイリゲンシュタットに居を構え、そこで作曲の作業を進めました。 朝は日の出とともに作曲を始め、午後2時頃まで仕事を続けると、その後はウィーン近郊を 日が暮れるまで、時には夜中までをかけて延々と散歩で歩き回っていたといいます。 毎日のように、自然の中を散策したベートーヴェンはそこからインスピレーションを受け、 おそらくは歩きながら作曲の構想を頭の中でまとめていたのかもしれません。 ベートーヴェンは親しいドロスティック男爵夫人に、「誰か、私より田園生活の好きな人がいるでしょうか?色々な木々や茂みは、私の心の疑問に答えてくれるようです」と書き送っています。 第2楽章「小川のほとりの情景」には次のような説明がついています。 「さらさらと流れる小川のせせらぎにも似た弦楽器の音。そして、それを伴奏にしてきれいな懐かしい旋律は、時には初夏の野辺を照らす太陽のように、また楽し気に飛び交う小鳥の群れようにも聴こえるでしょう。やがてフルートがナイチンゲールの声を吹き、オーボエがうずらの鳴き声をまね、クラリネットはカッコウの歌をうたいます」 「田園」を作曲した頃のベートーヴェンは、ほとんど聴覚を失くしていました。 ですから第2楽章の最後に奏でられるナイチンゲールの声も、うずらの鳴き声も、 カッコウの歌も実際には聴こえていませんでした、ベートーヴェンはそれらを心の耳で聴き、 想像をめぐらせ、音符にして譜面に書き留めていたのです。 ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」 第1楽章 [2020][AR/VR] Ludwig Van Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 I. Allegro ma ...

05.04.2020

オンライン特別プログラム - ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"

今回も引き続き特別プログラムでお届けします。 交響曲第9番「新世界より」はドヴォルザークが作曲した最後の交響曲。 「新世界」とはこの曲が作曲されたアメリカのことで、故郷ボヘミアへの想いが込められています。 1892年、ニューヨークに新設されたナショナル音楽院の院長に招かれたドヴォルザークは、 故郷をしばらく離れることになるこの任務を快く引き受けました。 彼は大の鉄道ファンだったため、アメリカに行けば好きなだけ鉄道を見れると思ったのです。 妻子を連れて初めてアメリカに渡ったドヴォルザークは、当初はそこでの日々に満足していましたが、 やがてすぐに故郷ボヘミアが恋しくなり、極度のホームシックにかかってしまいました。 素朴な人情家の彼にとって、機械文明のアメリカはあまり馴染める場所ではなかったようです。 そこでドヴォルザークはアメリカでありながらボヘミア人が多く住み、 ボヘミアをそのまま移したようなアイオア州のスピルヴィルという地区に暮らすようになりました。 「新世界より」を始め、弦楽四重奏曲「アメリカ」やチェロ協奏曲などの名曲は、 スピルヴィルで過ごした2年間のうちに書き上げられました。 これらの曲には5音階(ペンタトニック)の旋法が多用されており、 ドヴォルザークがアメリカの黒人霊歌や原住民の民謡に影響されたのを物語っています。 「新世界より」を象徴するのは何と言っても第2楽章のラルゴです。 のちに弟子のフィッシャーが合唱曲「Going Home」に編曲して大人気になりました。 日本でも「遠き山に日は落ちて―」の歌詞で知られる「家路」として有名です。 イングリッシュホルンで奏でられるどこか寂しい旋律を通じてドヴォルザークは、 遠く離れた懐かしい故郷ボヘミアへの想いを切々と表現しています。 「新世界より」はまた、交響曲としてはかなり速い作業で作曲が進められました。 アメリカに来た翌年の1893年1月10日にスケッチが着手され、5月24日には完成しています。 そして、その年の12月16日にアントン・ザイドルが指揮する ニューヨーク・フィルハーモニック協会の演奏会で初演されました。 ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第1楽章 [2020][VR] Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From ...

04.29.2020

オンライン特別プログラム - ブラームス 交響曲第1番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68

今回も通常とは違うスタイルでお届けします。 交響曲第1番はブラームスが22歳で作曲に着手してから、21年もの歳月をかけて完成した力作です。 全部で4曲あるブラームスの交響曲の中でもひと際力強く、たくましさがあり、 困難に怯まずに立ち向かっていこうという前向きなエナジーに満ちています。 4曲を並べて聴くと、明らかに1番だけが異質の精神性を持っていることがわかります。 ブラームスは先人ベートーヴェンの巨大な交響曲群を意識するあまり、 それを超えなければならないと推敲に推敲を重ねました。 前の3つの楽章は約10年でスケッチを終えたものの、 第4楽章の完成には更に10年もの月日を費やさなければなりませんでした。 それだけにこの曲は、交響曲史上でも特筆すべき壮大さと感動的で充実した内容を持っています。 指揮者のハンス・フォン・ビューローはそれを「ベートーヴェンの第10交響曲」と表現しました。 その言葉の通り、第1番には普段のブラームスには見られないような気迫が感じられ、 音楽的には後期ロマン派の香りが漂うものの、根底に流れる強い意志力はベートーヴェンそのものです。 第1楽章はあたかも運命の鉄槌が振り下ろされるかのようなティンパニーの序奏に始まり、 その後はオーボエとチェロが沈みきった心を表現すると、意を決して困難との闘いが始まります。 この闘いは外部の敵が相手というより、くじけそうな自身の弱さとの闘いとも思えます。 第2楽章は穏やかなやすらぎの音楽で、過酷な戦闘の合間のひと時の休息です。 第3楽章も激しさはない箸休め的な小品で、最後には希望を象徴する第4楽章の主題も見え隠れします。 そしてこの交響曲では最も長い演奏時間を要する第4楽章が始まります。 長い闘いの果てに訪れた、希望の兆しを表すかのようなアルペンホルンの主題(3:22)は感動的で、 あたかも遠い水平線か雲海の彼方から、ゆっくりと昇り始める朝の太陽のようです。 また、ベートーヴェン第九の「歓喜の歌」に似た主題も胸に沁みるものがあります。 交響曲第1番はベートーヴェン「運命」と同じくハ短調で始まりハ長調で終結する、 「苦悩を突き抜けて歓喜へ至れ」というベートーヴェンのモットーをも感じさせています。 ブラームスが最初の交響曲でいかにベートーヴェンを強く意識していたかがわかります。 終楽章の最後は交響曲史上最大と言われるスケールの大きなコーダを迎え、 闘いの完全勝利を告げるファンファーレが鳴り渡ると、畳み掛けるように凱歌が続きます。 そして念を押すようにハ長調に転じた和声が踏みしめられ、全曲が輝かしく締めくくられます。 ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第1楽章 [2020][VR] Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68 ...

04.22.2020

オンライン特別プログラム - ベートーヴェン「第九」バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125

今回は通常の形を変更した特別なプログラムです。 第4楽章「歓喜の歌」の合唱のイメージがあまりに強い「第九」ですが、 実際は前半の二つの楽章にかけて、個人の内面の激しい闘いが描かれています。 「運命」「コリオラン」「エグモント」など、ベートーヴェンにはこうした勝利に向けての闘争を描いた 短調の音楽がいくつもありますが、わけても「第九」の第1楽章は別格です。 約15分以上におよび、ひたすらに胸を引く裂くような闘いが続きます。 第2楽章になってもそれは変わらず、過酷な運命はこれでもかと襲い掛かってきます。 しかし主人公はそれに怯むことなく、時にユーモアさえ見せながら気丈に立ち向かうのです。 第3楽章は一転して、天上界か、あるいは心の奥の安らかな場所を描いたような穏やかな音楽です。 最初のテーマは宗教的な祈りを思わせる旋律、次のテーマは愛や感謝を思わせるあたたかな旋律です。 この二つのテーマが入れ替わり変奏を繰り返し、満ち足りた時間を紡いでいきます。 特にワルツの変奏で軽やかにスウィングする場面(11:29)は感動的です。 しかし、この安楽にも金管が「眠ってはならない」と警鐘を鳴らすのです。 そして第4楽章では過去の三つの楽章が否定され、低音弦が提示する「歓喜の主題」に あたかもフラッシュモブのように各楽器が賛同していき、ついには盛大な全体合奏に至ります。 その後はベートーヴェン自身が書いた冒頭の「おお友よ、もっと快い歌をうたおうではないか」 という呼びかけが歌詞付きでバス歌手により再現されると、それに呼応して合唱が歌い始め、 オーケストラと合唱による壮大な「歓喜の歌」のシンフォニーが繰り広げられていきます。 ベートーヴェンは「第九」作曲のごく初期の段階で、声楽(頌歌)を加えることをイメージしており、 「管弦楽編成は通常の十倍の大きさで」とスケッチにプロットを記入しています。 「第九」には人生に訪れる過酷な試練の闇とそれとの闘い、また打ち勝つための揺るがない意志、 不動の中心(精神的)、ユーモア、大胆不敵さ、心のやすらぎ、祈り、統一、希望、光、愛、感謝、 覚醒、再起、連帯、調和、平和といった要素が凝縮されています。 現在、世界を覆う厳しい状況に最も求められる音楽だと思います。 天はベートーヴェンという器を通し、音楽という言葉で人々に語り掛けているのかもしれません。 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2020][AR] L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 I. Allegro ma ...

04.16.2020

ホルスト:組曲『惑星』 Op.32:第4曲 木星、快楽をもたらす者 / Gustav Holst:The Planets Op.32:IV. Jupiter, the Bringer of Jollity

♪国を超えて愛される「木星」の主題 グスターヴ・ホルスト(Gustav Holst / Gustavus Theodore von Holst, 1874年9月21日 - 1934年5月25日)は、イギリスの作曲家。最も知られた作品は、管弦楽のための組曲『惑星』ですが、全般的に合唱のための曲を多く遺しています。イングランド各地の民謡や東洋的な題材を用いた作品、また、吹奏楽曲などでも知られています。 大管弦楽のための組曲『惑星』(わくせい、The Planets)作品32は、ホルストの作曲した代表的な管弦楽曲です。この組曲は7つの楽章から成り、それぞれにローマ神話に登場する神々にも相当する惑星の名が付けられています。「木星」中間部の旋律は、イギリスの愛国歌、またイングランド国教会の聖歌となっています。 ホルストの代表曲として、ホルスト自身の名前以上に知られており、近代管弦楽曲の中で最も人気のある曲の1つです。イギリスの管弦楽曲を代表する曲であるとも言えますが、むしろイギリス音楽とは意識されず、その枠を超えて親しまれている曲でもあります。ただし、特殊楽器の多用や女声合唱の使用などが実演の障壁になることも多く、全曲を通しての演奏の機会は必ずしも多いとはいえません。 この作品は惑星を題材としていますが、天文学ではなく占星術から着想を得たもので、地球が含まれないのはこのためです。西欧ではヘレニズム期より惑星は神々と結び付けられ、この思想はルネサンス期に錬金術と結びついて、宇宙と自然の対応を説く自然哲学へと発展しました。この作品は、日本語では「惑星」と訳されてはいますが、実際の意味合いで近いのは「運星」です。 それぞれの曲の副題は、かつては「…の神」と訳されていましたが、近年では本来の意味に則して「…をもたらす者」という表記が広まりつつあります。かねてよりホルストは、作曲家アーノルド・バックスの兄弟で著述家のクリフォードから占星術の手解きを受けており、この作品の構想にあたり、占星術における惑星とローマ神話の対応を研究しています。 初演当初は好評をもって迎え入れられましたが、同時代の作曲家の意欲的な作品(ドビュッシーの『海』やストラヴィンスキーの『春の祭典』など)と比較してやや低水準と見なされた本作品は、ホルストの名とともに急速に忘れられる道をたどることになり、一時は英国内の一作曲家のヒット作という程度の知名度に甘んじるようになりました。 今日のような知名度を獲得するのは、1961年頃にヘルベルト・フォン・カラヤンがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会で紹介したことがきっかけです。カラヤンは続いて同じオーケストラでレコードを発売、鮮明な録音もあって大ヒットとなり、この曲は一躍有名になりました。それ以後、近代管弦楽曲で最も人気のある作品の一つとして知られるようになりました。 *音響にアルゴリズムリバーブを使用した新演奏、新録音です。 音の鮮明さと立体感を実現するため、管楽器+打楽器群と弦楽器群に分けて録音したあと、それぞれに深度の異なる音響をかけて、最後にミックスしています。 ホルスト:組曲『惑星』 Op.32:第4曲 木星、快楽をもたらす者 [2020][AR] Gustav Holst:The Planets Op.32 IV. Jupiter, the Bringer of Jollity [8:35] Holst-ThePlanets-Jupiter-2020.mp3 Holst-ThePlanets-Jupiter-2020.mp3

04.08.2020

ブルックナー:交響曲 第8番 ハ短調 第3楽章 / Joseph Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor:III. Adagio

♪祈りにも似た美しく崇高なアダージョ アントン・ブルックナーの交響曲第8番ハ短調は、ブルックナーの作曲した10曲目の交響曲です。演奏時間80分を越すこともある長大な曲で、後期ロマン派音楽の代表作の一つに挙げられます。 交響曲作家であるブルックナーの作品中でも極めて完成度が高く、充実した内容をもっています。わけても演奏時間25分におよぶ第3楽章アダージョの美しさは比類なく、ブルックナー音楽の最高峰と言っていい至極の名品です。 ブルックナーはこの交響曲以降、ベートーヴェンの交響曲第9番と同様の第2楽章にスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章を置く楽章配置を採用するようになりました。 作曲が開始されたのは、交響曲第7番の初演準備をしていた1884年7月で、1887年夏に第1稿が完成しています。しかし、「私の芸術上の父」と敬愛した指揮者ヘルマン・レヴィから「演奏不可能」と言われたブルックナーは落胆し、第8番の全面改訂を決意。 まず1889年3月4日から5月8日にかけて第3楽章が改訂され、続いて第4楽章の改訂が年7月31日まで行われました。さらに第2楽章スケルツォが改訂され、そして第1楽章、1890年3月10日に改訂は終了しました。これが「1890年・第2稿」であり、現在の演奏はほとんどこの稿を採用しています。 ブルックナーは同時期に交響曲第4番、第3番の改訂も行っています。この時点で第9番の作曲もある程度が進んでいましたが、この晩年の改訂期のために中断を余儀なくされ、結局未完に終わっています。 交響曲第8番の初演は1892年12月18日、ハンス・リヒターの指揮によりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会で行われました。ヘルマン・レヴィは当初マンハイムでカペルマイスター(楽長)を務めていたフェリックス・ワインガルトナーをブルックナーに推薦しました。 ところが、ワインガルトナーは全く返事をせず、ブルックナーから再三の要請を受けた後、1891年4月に辞退の手紙を書きました。そのため初演指揮者が見つからない時期がありました。そこでリヒターが1892年度のウィーン・フィル定期演奏会で初演することが決まったのでした。 初演時のウィーン楽友協会の大ホールには、ヨハネス・ブラームスやフーゴー・ヴォルフなどの著名な音楽家たちも聴衆として訪れました。全曲中で特に第2楽章スケルツォと第3楽章アダージョが好評を受けました。ヴォルフは初演の1週間後に、この作品の成功を「闇に対する光の完全な勝利」と評しています。 日本初演は1959年、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の東京公演にて行われました。 *このアダージョ楽章はサイト開設以来15年にして初録音、初掲載になります。 現在、世界を取り巻くパンデミックの状況にもっとも響く音楽だと思い、制作に専心しました。 ブルックナー:交響曲 第8番 ハ短調 第3楽章 Joseph Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor:III. Adagio [26:11] Bruckner-Symphony-No8-3rd-Adagio.mp3 Bruckner-Symphony-No8-3rd-Adagio.mp3

04.08.2020

フランシスコ・タレガ:アルハンブラの思い出 / Francisco Tarrega:Recuerdos de la Alhambra

♪ギターのトレモロ奏法を活用して名高い作品 フランシスコ・タレガ(慣用的にタルレガ、またはアクセント記号を重視してターレガとも。Francisco Tarrega, 1852年11月21日 - 1909年12月15日)は、スペインの作曲家・ギター奏者。 カステリョン県ヴィラ=レアル出身。幼い頃に用水路に落ちて危うく失明しかけ、おそらくはこのため(目が不自由でも音楽で生計が立つだろうという父親の考え)に、家族に連れられカステリョーン・デ・ラ・プラーナに移り、音楽学校に進みました。最初の音楽教師エウゲニ・ルイスとマヌエル・ゴンサレスはいずれも盲人でした。 1862年にギター奏者のフリアン・アルカスに神童と認められ、その奨めによりスペイン楽壇の中心地バルセロナを訪れました。父親は伴奏楽器の色合いが強かったギターだけでなく、ピアノの勉強もすることを望みました。 アルカスが海外ツアーでいなくなり、10歳ばかりのタレガはカフェやレストランでギター演奏をすることで研鑽を積んでいました。しかし、それが見つかり間もなく父親によって連れ戻されました。1865年に家出し、バレンシアでロマの一団に加わるも、再び父親に見つかり連れ戻され、もう一度家出しバレンシアに行くと、今度は自発的に戻り、家計を助けるようになりました。 1874年にマドリッド音楽院に進学。豪商アントニオ・カネサの援助のもとに、作曲をエミリオ・アリエータに師事。1870年代末までにギター教師として立ち(門人にミゲル・リョベートとエミリオ・プジョル)、定期的な演奏会も行いました。ギターのヴィルトゥオーソとして鳴らし、「ギターのサラサーテ」の異名をとった彼は、バルセロナに定住して1909年に逝去しました。 『アルハンブラの思い出』(西: Recuerdos de la Alhambra)は、タレガが1896年に作曲したギター独奏のための性格的小品。原語の発音に近い『アランブラの思い出』と表記されることもあります。 高度な演奏テクニックであるトレモロ奏法を活用した曲としても名高く、右手の薬指、中指、人差し指で一つの弦を繰り返しすばやく弾くことによりメロディを奏します。親指はバス声部と伴奏の分散和音を担当します。 クラシックギターでは、バリオス作「最後のトレモロ」「森に夢見る」と共に最も有名なトレモロ作品として数えられ、スペインにちなんだギター作品では最もポピュラーな作品です。 *音響にアルゴリズムリバーブを使用した新演奏、新録音です。 フランシスコ・タレガ:アルハンブラの思い出 [2020][AR] Francisco Tarrega:Recuerdos de la Alhambra [4:38] Tarrega-Recuerdos-de-la-Alhambra-2020-AR.mp3 Tarrega-Recuerdos-de-la-Alhambra-2020-AR.mp3

04.08.2020

ドビュッシー:ベルガマスク組曲:第3曲 「月の光」 (Clair de Lune) / Claude Achille Debussy:Suite bergamasque:III. Clair de Lune

♪ピアニッシモで演奏される8分の9拍子のロマンティックな夜想曲 『ベルガマスク組曲』(フランス語: Suite bergamasque)は、クロード・ドビュッシー作曲のピアノ独奏曲。 親しみやすい曲想で知られ、第3曲「月の光」はドビュッシーの作品のなかでも最も有名であり、単独での演奏機会も多い人気曲です。1890年ごろに作曲され、1905年に改訂版が出版されました。ドビュッシー初期の作品であり、和声法や旋律の感覚およびピアノの書法に、グリーグ、マスネ、フォーレなどの先人の影響が認められます。 タイトルの「ベルガマスク(「ベルガモの」、あるいは「ベルガモ舞曲」の意)」は、ポール・ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』(Fetes galantes)に収録されている詩「月の光」(Clair de lune)の、"Que vont charmant masques et bergamasques"(現われたる艶やかな仮面喜劇者たちとベルガモの踊り子たちは)という一節に使用されている言葉です。 また、これに基づくガブリエル・フォーレの歌曲『月の光』(1886年-1887年)があり、その伴奏の一部に似た音形が『ベルガマスク組曲』の「前奏曲」に登場することなどから、ドビュッシーがヴェルレーヌやフォーレを意識したことを窺わせています。 同じ詩にはドビュッシーがその初期に単曲として歌曲を作曲しており、当時、彼が心惹かれていたヴァニエ夫人に献呈されています。そしてその歌曲は改訂され、前述のヴェルレーヌの詩集による歌曲集「艶なる宴」に収録されました。この組曲内の「月の光」は、歌曲版とは全く異なる音楽です。 当初、ドビュッシーは『仮面』(Masques)(前述の詩に基づく)および『喜びの島』(L'Isle joyeuse)をこの『ベルガマスク組曲』に加えようとしましたが、出版社の都合でそれぞれ単独で出版されました。 第3曲「月の光」 (Clair de Lune)は、ほとんどピアニッシモで演奏される8分の9拍子の夜想曲(ノクターン)で、優しく切ない曲想でも有名です。中間部の優雅な旋律は教会旋法の一種「ミクソリディア旋法」が採用されています。 尚、1900年から1901年にかけて出版されたドビュッシーの「夜想曲」に掲載されたこの曲集の広告では、当初のタイトルは「感傷的な散歩道(Promenade sentimentale)」となっていましたが、後にこのタイトルへ変更されました。 *音響にアルゴリズムリバーブを使用した新演奏、新録音です。 (今夜のスーパームーンを見ながらお楽しみください) ドビュッシー:ベルガマスク組曲:第3曲 「月の光」 (Clair de Lune) [2020][AR] Claude Achille Debussy:Suite bergamasque:III. Clair de Lune [4:14] ...

04.04.2020

いつくしみ深き -What A Friend We Have In Jesus- / Charles Crozat Converse:What A Friend We Have In Jesus

♪日本では賛美歌、文部省唱歌の旋律として有名 「いつくしみ深き」(いつくしみふかき、原題: What A Friend We Have In Jesus〈英語〉)は、日本でも教会での結婚式や葬式などで歌われることが多い賛美歌のひとつです。 この曲を作曲したチャールズ・クローザット・コンヴァース(Charles Crozat Converse 1832年10月7日 - 1918年 10月18日)はアメリカ合衆国の弁護士。ドイツ留学時代(1855-1859)に音楽理論と作曲を修めたアマチュアの作曲家でもありました。 1855年から1859年まで、ドイツのライプツィヒ音楽学校で作曲法を専攻。米国に帰国後、アルバニ大学法学部を卒業しました。そして、ペンシルベニアのエリーで弁護士をしながら作曲活動をしました。1895年にはラザフォード大学が彼に法学博士号を贈っています。 作曲家としては、二つの交響曲、二つのオラトリオ、管弦楽曲、室内楽曲、合唱曲等を書きました。 現在は、ホワイト・スピリチュアル様式の賛美歌「慈しみ深き友なるイエスは What a Friend We Have in Jesus 」のみによって世界的に有名です。この旋律は日本では、賛美歌から文部省唱歌の旋律に転用され、「星の界(よ)」「星の世界」などの名で親しまれています。 この歌を作詞したのはアイルランド人ジョセフ・スクライヴェン (1819 - 1886) 。スクライヴェンはアイルランドのシーパトリックに生まれ、ダブリンのトリニティ・カレッジを卒業して、25歳の時にカナダに移住し、オンタリオの学校で教鞭を取りました。彼は、プリマス・ブレザレン派に属して、一生を不幸な人や貧しい人への奉仕活動に捧げました。1886年にライス・レイクで溺死しました。 この歌は闘病生活をしていた母親を慰めるため、自らの婚約者を事故、病気で2度も失った絶望の中でもイエスを信頼する気持ちを綴った詩と言われています。 最初は、Hasting, Social Hymns, 1865に匿名で収録され、後に福音唱歌系の歌集に転載されました。その後、一般の礼拝用歌集に必ず収録されるようになりました。1920年には彼が溺死した場所に記念碑が建てられました。 *まったく初めての公開曲です。音響はアルゴリズムリバーブを使用しています。 いつくしみ深き -What ...

04.01.2020

チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 《悲愴》 第4楽章 [2020][AR] / Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique":IV. Finale. Adagio lamentoso

♪短調のまま消え入るように終わる異質な最終楽章 「悲愴」の初演から4日後、チャイコフスキーはあまりに突然に死を迎えてしまいました。一般的に信じられているのは、生水を飲んだため当時、流行していたコレラにかかり亡くなったというもの。 弟のモデストによれば、チャイコフスキーは1893年10月20日の夜、アレクサンドリン劇場でオストロフスキーの劇を見た後、「レイネル」という名のレストランで甥たちと共に夕食をとりました。翌21日の朝、チャイコフスキーは腹痛を訴え、朝食には起きて来ませんでした。前日の昼食で生水を飲んでコレラにかかったのです。 また、チャイコフスキーの妹アレクサンドラの末息子でクリンの記念館の館長を務めていたユーリイ・ダビドフは、前夜のレストランでの会食の際、チャイコフスキーは皆が止めるのを聞かずに、生水を飲んだと伝えています。 彼は回想記でチャイコフスキーの死にまつわり新聞で噂された毒殺、自殺、その他の説について触れ、「このようなことはすべて根も葉もない話です。私は確信をもって証言します。ピョートルおじさんを死なせたのは正真正銘のコレラで、その当然の余病が腎臓にきて尿毒症を引き起こし、そのために衰弱した身体が回復できなかったのです」と述べていました。 しかしその一方で、コレラによる死者の措置は厳重に監視されていたのにチャイコフスキーの場合は例外で、その遺体は自身の住居に安置されたままでした。さらに、故人の死を悼み数百人の弔問客がこの部屋を訪れ、遺体の手や顔に接吻をしましたが、誰ひとりとしてコレラに罹患した者はいなかったといわれています。 このため、チャイコフスキーの死は生水を飲んでコレラにかかったのが理由ではなく、当時は重罪だった同性愛が発覚して、名誉法廷で作曲家が自殺するという判決が下されたためとの説もあります。チャイコフスキーが飲んだのは砒素系の毒が入った水だったとされています。真相は今も不明のままです。 当時、すでに名声を得ていたチャイコフスキーの死は衝撃をもって全世界に伝えられ、11月7日のナブラーヴニク指揮による「悲愴」の再演は凄まじい反響を呼びました。チャイコフスキーが自殺したとの噂と重なり、この交響曲は多くの物語を生みました。そして、1890年代のうちにチャイコフスキーの名を全ヨーロッパに広めました。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 全般にいつもより深めにリバーブをかけています。 (チャイコフスキーの「悲愴」に関しては、社会的に不安が広がる状況下、聴いてくださる方々の心労が少しでも和らげばとの思いから、カタルシスの意味で二つの楽章を掲載致しました。しかしその後、状況は日々深刻さを増しているため、このまま掲載していてよいものかと自問を繰り返しています。今後の状況を見て、不適当であれば一旦掲載をやめることも考えています。もしそうなった際はどうぞご了承ください) チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 《悲愴》 第4楽章 [2020][AR] Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique" IV. Finale. Adagio lamentoso [11:50] Tchaikovsky-Symphony-No6-4th-2020-AR.mp3 Tchaikovsky-Symphony-No6-4th-2020-AR.mp3

03.26.2020

チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 《悲愴》 第1楽章 [2020][AR] / Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique":I. Adagio - Allegro non troppo

♪最晩年のチャイコフスキーが遺した人生をかけた一大傑作 交響曲第6番ロ短調 作品74は、チャイコフスキーが作曲した6番目の番号付き交響曲にして、彼が完成させた最後の交響曲。『悲愴』(ひそう)という副題でも知られています。 チャイコフスキー最後の大作であり、その独創的な終楽章をはじめ、彼が切り開いた独自の境地が示され、19世紀後半の代表的交響曲のひとつとして高く評価されています。 弟のモデストはこの曲のテーマとしていくつかの証言を残していますが、チャイコフスキー自身は「人生について」としか語っていません。リムスキー=コルサコフの回想によれば、初演の際、演奏会の休憩中にチャイコフスキーに「この交響曲には何か表題があるのでしょう」と確かめると彼は「無論あります。しかし何と言ってよいか説明できかねます」と答えたといいます。 チャイコフスキー自身は世評を気にしがちなタイプでしたが、この曲については大きな自信を持っていました。完成後に出版商のユルゲンソンに送った手紙の中に「傑作を書きました。これは私の心からの真実と申しましょう。私は今までにないほどの誇りと満足とよろこびを感じています」と書いたほか、コンスタンチン大公には「私は今度の交響曲の作曲に全精神を打ち込みました」と伝えています。 また初演後は周りの人々に「この曲は、私の全ての作品の中で最高の出来栄えです」と語っていました。 チャイコフスキーは1891年に着想を得た変ホ長調の交響曲(自身で『人生』というタイトルをつけていた)を途中まで書いたところで、出来ばえに満足出来ず破棄し、ピアノ協奏曲第3番に改作しました(未完)。しかしこの「人生」というテーマは彼の中で引き継がれていたようで、資料によれば1893年2月17日に第3楽章から第6交響曲の作曲に着手しました。 作業は急ピッチで進められ、それから半年後の8月25日にはオーケレストレーションまで完成し、同年10月16日に作曲者自身の指揮によりサンクトペテルブルクで初演されました。あまりに独創的な終楽章もあってか、初演では当惑する聴衆もいたものの、この曲へのチャイコフスキーの自信が揺らぐことはありませんでした。しかし初演のわずか9日後、チャイコフスキーはコレラ及び肺水腫が原因で急死し、この曲は彼の最後の大作となりました。 それから二週間後の11月18日、ペテルブルクで行われたチャイコフスキーの追悼演奏会で「悲愴」が再演された際には、聴衆は涙を流して聴き入り、演奏が終わってもしばらく立ち上がる人はいませんでした。聴衆のひとりであった作曲家スターソフは「作曲者はこの交響曲を激しく泣きながら作曲したのだろう。終楽章はことに絶望感を抱かせる。何という恐ろしい交響曲だ」と感想をしたためています。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 立体感を生むために、弦楽器に対して管楽器と打楽器のリバーブを深めにとっています。 現在、新型コロナウイルスにより世界的に大変な状況にある中、多くの人々の精神的な不安のカタルシスになればとの思いから、あえてこの曲を選びました。 チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 《悲愴》 第1楽章 [2020][AR] Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique" I. Adagio - Allegro non troppo [20:14] Tchaikovsky-Symphony-No6-1st-2020-AR.mp3 Tchaikovsky-Symphony-No6-1st-2020-AR.mp3

03.21.2020

チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第2楽章 [2020][AR] / Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64:II. Andante cantabile

♪2つの美しい主題が織りなす感動的な音楽模様 交響曲第5番ホ短調 作品64は、チャイコフスキーが1888年に作曲した交響曲。チャイコフスキーの数ある曲中でも交響曲第6番『悲愴』と並ぶ人気曲となっています。 チャイコフスキーは1877年に交響曲第4番を作曲したあと、『マンフレッド交響曲』を作曲したほかは、交響曲から遠ざかっていました。しかし、1886年にヨーロッパに演奏旅行し、当地で好評を得たことや、マーラーやリヒャルト・シュトラウス、グリーグら作曲家との交流が刺激となり、意欲を取り戻したといわれます。作曲者48歳、1888年の5月から8月にかけて作曲されました。 同年11月、作曲者自身の指揮によりサンクトペテルブルクで初演されました。初演では、聴衆は好意的でしたが、「チャイコフスキーは枯渇した」、「3つのワルツを持つ交響曲」などといわれ、専門家の批評は芳しくなく、チャイコフスキー自身もこの曲について「こしらえ物の不誠実さがある」と手紙に書くほどでした。 しかし、その後は演奏会のたびごとに大好評となり、成功作として本人も評価するようになりました。 第2楽章は厳かでやや陰鬱な弦の序奏のあと、夢幻的であまりに美しい主題がホルンのソロで奏でられます。この主題が弦によって再現されると、息をつく間もなくさらに美しい第2主題が続けて演奏されます。それぞれが別個の楽章の主要主題にできるほどの優れた旋律で、これが惜しげもなく一度に使用されるところにこの楽章の特別さがあります。また、クラシックでも屈指のメロディメイカーの彼だからこそ成せる技とも言えます。 特に、第2主題がオーケストラで全体合奏されるクライマックスは、チャイコフスキーの多くの作品中でも最高に感動的な場面です。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 ホルンソロの音色は前回公開したものから変更しました。 弦に対して管楽器はリバーブが深めなため、ホルンの夢幻性が増したと思います。 チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第2楽章 [2020][AR] Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64 II. Andante cantabile, con alcuna licenza [14:08] Tchaikovsky-Symphony-No5-2nd-2020-AR.mp3 Tchaikovsky-Symphony-No5-2nd-2020-AR.mp3

03.20.2020

ベートーヴェン:ピアノソナタ 第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」 第2楽章 [2020][AR] / L.V.Beethoven:Piano Sonata No.8 C minor, Op.13 "Grande Sonate pathetique":II. Adagio cantabile

♪美しい冒頭の主題で知られる物憂げな楽章 ピアノソナタ第8番『大ソナタ悲愴』は、ベートーヴェンの創作の初期を代表する傑作。ピアノソナタ第14番(月光)、第23番(熱情)と合わせてベートーヴェンの三大ピアノソナタと呼ばれることもあります。 正確な作曲年は特定されていないものの、1798年から1799年にかけて書かれたと考えられており、スケッチ帳には作品9の弦楽三重奏曲と並ぶ形で着想が書き留められています。楽譜は1799年にウィーンのエーダーから出版され、早くからベートーヴェンのパトロンであったカール・アロイス・フォン・リヒノフスキー侯爵へと献呈されました。 本作は作曲者のピアノソナタの中で、初めて永続的に高い人気を得た作品で楽譜の売れ行きもよく、気鋭のピアニストとして、また作曲家としてのベートーヴェンの名声を高める重要な成功作となりました。 約100年後にチャイコフスキーが作曲した交響曲第6番『悲愴』の第1楽章には、このピアノソナタの冒頭主題とよく似たモチーフが使用されています。 第2楽章「Adagio cantabile」はベートーヴェンの書いた最も有名な楽章のひとつです。ヴィリバルト・ナーゲルはベートーヴェン全作品中でも指折りの音楽と評価しており、マイケル・スタインバーグはこの楽章のために「ハープシコードの所有者は最寄りのピアノ屋に駆け込んだに違いない」と述べました。 静かに奏で始められる美しく、物憂い主題は特に有名で、歌詞をつけて歌にされる機会も多く、ベートーヴェンの主題としては「運命」「第九」「エリーゼのために」などのように広く知られるものとなっています。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 ベートーヴェン:ピアノソナタ 第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」 第2楽章 [2020][AR] L.V.Beethoven:Piano Sonata No.8 C minor, Op.13 "Grande Sonate pathetique" II. Adagio cantabile [4:45] Beethoven-PianoSonata-No8-2nd-2020-AR.mp3 Beethoven-PianoSonata-No8-2nd-2020-AR.mp3

03.15.2020

メンデルスゾーン:劇付随音楽《真夏の夜の夢》Op.61 から「結婚行進曲」 [2020][AR] / Felix Mendelssohn:A Midsummernights Dream, Op.61 "Wedding March"

♪ワーグナーと並び定番の堂々たる結婚行進曲 『真夏の夜の夢』は、フェリックス・メンデルスゾーンが作曲した演奏会用序曲(作品21)及び劇付随音楽(作品61)です。いずれもシェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』が元になっており、中でも『結婚行進曲』は結婚式の定番曲として有名です。 メンデルスゾーンが1826年に17歳で作曲した序曲に感銘を受けた、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の勅命により、1843年に序曲の主題も再利用して『夏の夜の夢』上演のための付随音楽作品61が作曲されました。 作品61の劇付随音楽は、全12曲で構成されています。ここから「スケルツォ」「間奏曲」「夜想曲」「結婚行進曲」を抜粋し、序曲と組み合わせて組曲の形でも演奏されています。 結婚式用の音楽は、1858年1月25日、プロイセン王子フリードリヒ(のちのドイツ皇帝フリードリヒ3世)とイギリス王女ヴィクトリアとの結婚式で演奏され人気を博すようになりました。ヴィクトリア王女の母であるヴィクトリア女王はメンデルスゾーンの音楽を気に入っており、メンデルスゾーンはイギリスを訪れている間に女王のためしばしば演奏を行っていました。 メンデルスゾーンが自らこの曲を演奏したオルガンは、ロンドン・トッテナムの聖アン教会に保存されています。 メンデルスゾーンの「結婚行進曲」は、ワーグナーと並ぶ結婚式の定番曲で、あまりにそのイメージが定着していますが、堂々として立派なその音楽は結婚式はもちろん、もっと広い意味での"新たな門出"に相応しい内容を持っています。 3月と言えば多くの人々が、4月から始まる新しい生活に胸を躍らす時期ですが、現在は新型コロナウイルスにより社会全体に閉塞感が蔓延しています。 しかし、生活の節目に気持ちだけは明るく前向きに過ごしていただきたいという思いを込め、この曲を選びました。結婚式のみならず、様々な形の"新たな出発"の応援曲として聴いていただけたら幸いです。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 弦楽器と管楽器を分けて録音した結果、サウンドがよりクリアになりました。 メンデルスゾーン:劇付随音楽《真夏の夜の夢》Op.61 から「結婚行進曲」 [2020][AR] Felix Mendelssohn:A Midsummernights Dream, Op.61 "Wedding March" [5:58] Mendelssohn-WeddingMarch-2020-AR.mp3 Mendelssohn-WeddingMarch-2020-AR.mp3

03.08.2020

ウェーバー:歌劇『魔弾の射手』より「序曲」 [2020][AR] / Carl Maria von Weber:Der Freischutz Overture

♪ワーグナーなど後世の作曲家たちに多大な影響を及ぼした歌劇 『魔弾の射手』は、カール・マリア・フォン・ウェーバーが作曲した全3幕のオペラ。 台本はヨハン・アウグスト・アーペル、フリードリヒ・ラウンの『怪談集』を元にヨハン・フリードリヒ・キーントが書きました。 初演は1821年6月18日にベルリンの王立劇場にて行われました。 原題はドイツの民間伝説に登場する、意のままに命中する弾(Freikugel)を所持する射撃手(Schutz)の意です。この伝説では7発中6発は射手の望むところに必ず命中するが、残りの1発は悪魔の望む箇所へ命中するとされています。 舞台は1650年頃のボヘミアと設定されています。当時のボヘミアはドイツ=神聖ローマ帝国支配下にあり、ドイツ人も多数住んでいた地域(14世紀には帝都が置かれていたこともある)でした。 ドイツの民話を題材とし、魔の潜む深い森や、封建時代の素朴な中にも良き生活を描いたこの作品は、オペラにおけるドイツ・ロマン主義を確立した記念碑的作品です。 その清新な音楽は新しいドイツ音楽を確立するものとして受け止められ、後のワーグナーなどにも大きな影響を与えました。 また、序曲は特に有名であり、その冒頭部分の主題は賛美歌『主よ御手もて引かせ給え』としても知られています。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 弦楽器と管楽器を分けて録音した結果、サウンドがよりクリアになりました。 ウェーバー:歌劇『魔弾の射手』より「序曲」 [2020][AR] Carl Maria von Weber:Der Freischutz Overture [11:50] Weber-Der-Freischutz-Overture-2020-AR.mp3 Weber-Der-Freischutz-Overture-2020-AR.mp3

03.08.2020

ロッシーニ:ウィリアム・テル序曲:第4部 スイス軍隊の行進 [2020][AR] / Gioachino Antonio Rossini:William Tell Overture

♪ロッシーニが最後に作曲したオペラの有名な序曲 ロッシーニは、多数のオペラを作曲したことで知られるイタリアの作曲家です。『セビリアの理髪師』『チェネレントラ』などのオペラの定番をはじめ、『タンクレーディ』『セミラーミデ』などのオペラ・セリアも作曲しました。 人生の半ばに相当する37歳の時に、フランスに移ってグランド・オペラ『ウィリアム・テル』を作曲した後は、オペラ作曲はせずにサロン風の歌曲やピアノ曲、宗教作品を中心に作曲を行いました。 オペラの作曲から離れた後半生は、料理研究に没頭したほどの美食家としても知られています。ある時、ドイツの作曲家ワーグナーがイタリアのロッシーニを訪ね、オペラの作曲について話を聴こうとしたところ、食材の話ばかりで一向に作曲法に触れなかったため、ワーグナーを憤慨させたといわれています。 ロッシーニは作曲をやめた理由について、「モーツァルトがあれだけの完璧な作品を遺したというのに、これ以上何をすることがあるだろう?」と語ったと言われています。 ウィリアム・テル序曲は、1829年にロッシーニが作曲したオペラ『ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)』のための序曲。日本でも特に広く知られるクラシック音楽作品のひとつです。 フリードリヒ・フォン・シラーが1804年に書いた戯曲『ヴィルヘルム・テル』(独: Wilhelm Tell)を元に、1829年にロッシーニがオペラ『ギヨーム・テル』(仏: Guillaume Tell)を作曲。その序曲が日本で一般に『ウィリアム・テル序曲』(英: William Tell Overture, 伊: Guglielmo Tell Introduzione)と呼ばれています。 特に第4部「スイス軍の行進」はコンサートやレコーディングの際の演奏曲目としてよく取り上げられているほか、ラジオやテレビなど、さまざまな場面で使用されています。映画『時計じかけのオレンジ』や『大英雄』では、序曲の一部が重要な場面で使われています。 ショスタコーヴィチが交響曲第15番の第1楽章に引用したり、ヨハン・シュトラウス1世がアレンジして『ヴィルヘルム・テル・ギャロップ』(作品29b)として発表したりと、以後の多くの楽曲にも形を変えて登場しています。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 弦楽器と管楽器を分けて録音した結果、サウンドがよりクリアになりました。 ロッシーニ:ウィリアム・テル序曲:第4部 スイス軍隊の行進 [2020][AR] Gioachino Antonio Rossini:William Tell Overture [3:55] Rossini-William-Tell-Overture-2020-AR.mp3 Rossini-William-Tell-Overture-2020-AR.mp3

02.29.2020

シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.97「ライン」第1楽章 [2020][AR] / Robert Schumann:Symphony No.3 in E flat major, Op.97 "Rheinische":I. Lebhaft

♪宇宙の悠久の時の流れを表したかのような雄大なシンフォニー シューマンの交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」は、1850年に作曲され1851年2月6日にデュッセルドルフにおいてシューマン自身の指揮によって初演されました。 シューマンが完成した4番目の交響曲で、実質的には最後のものにあたります。しかし、2番目のものが後年改訂出版されて「第4番」とされたため、第3番に繰り上がりました。「ライン」の副題はシューマン自身が付けたものではありません。 日本初演は1927年9月25日、日本青年館にて近衛秀麿と新交響楽団によって行われました。シューマンの交響曲のなかで最も早く日本で演奏されています。 1850年、デュッセルドルフの管弦楽団・合唱団の音楽監督に招かれたシューマンは、9月に同地に到着すると夫妻で盛大な歓迎を受けました。シューマンはライン川沿岸を好んで散歩し、9月と11月にはライン川上流に位置するケルンにも足を延ばしました。 壮麗なケルン大聖堂に感銘を受け、折しもこの時期に挙行されたケルン大司教ヨハネス・フォン・ガイセルの枢機卿就任式の報に接し、交響曲の霊感を得たといいます。 シューマンは同年11月にチェロ協奏曲を完成させると、直ちにに交響曲の作曲に取りかかり12月には完成しています。 シューマンはライン川の川下りやそれを取り巻く環境に大いに触発され、第1楽章(ローレライ)、第2楽章(コブレンツからボン)、第3楽章(ボンからケルン)、第4楽章(ケルンの大聖堂)、第5楽章(デュッセルドルフのカーニヴァル)など、その音楽もまたラインに関連が深くなっています。 「ライン」はシューマンの交響曲のなかでも極めて音楽的な充実度が高く、そのインスピレーションにはベートーヴェンの大作群にも通じるものがあります。 ある日、お気に入りの丘陵地帯を歩いていた私は、脳裏に「ライン」の第1楽章が流れるのを聴きました。その調べは「川」の流れというより、宇宙の不変の法則や、悠久の天体の運行を表しているかのようでした。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 弦楽器と管楽器を分けて録音した結果、サウンドがよりクリアになりました。 シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調 Op.97 「ライン」 第1楽章 [2020][AR] Robert Alexander Schumann:Symphony No.3 in E flat major, Op.97 "Rheinische" I. Lebhaft [9:56] Schumann-Symphony-No3-Rheinische-1st-2020-AR.mp3 Schumann-Symphony-No3-Rheinische-1st-2020-AR.mp3

02.22.2020

スコット・ジョプリン:ジ・エンターテイナー [2020][AR] / Scott Joplin:The Entertainer

♪アカデミー賞受賞映画『スティング』のテーマ曲として一躍有名に スコット・ジョプリンはアメリカ合衆国のアフリカ系アメリカ人の作曲家、ピアノ演奏家。ラグタイムで有名な演奏家・作曲家であり、「ラグタイム王」(King of Ragtime)と呼ばれています。 「ジ・エンターテイナー」(The Entertainer)は、1902年に作曲されたピアノのためのラグタイム。後に、1973年のアカデミー賞受賞映画『スティング』のテーマ曲として使用され、1970年代のラグタイム復興に影響を与えました。 マーヴィン・ハムリッシュによる編曲版は、翌1974年のビルボード Hot 100で3位、イージー・リスニング・チャートで1位を記録しました。しかし、『スティング』の時代設定である1930年代においては、スコット・ジョプリンによるオリジナル・バージョンはほとんど注目されていませんでした。 「ジ・エンターテイナー」には「ラグタイム・トゥー・ステップ」(A rag time two step)という副題がつけられています。これは、1911年頃に流行したダンスの一種で、当時作られたラグタイム曲に良く用いられていたものです。 曲の構成はA-B-A-C-Dの形態で、メロディは繰り返しの際に1オクターヴ上げるよう指示されています。 常にどこかで耳にしないことはないほどの人気曲で、テレビCMを始め、サッカー日本代表やJリーグの各クラブのサポーターのチャントとしてもよく使われています。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 以前よりもかなりテンポを上げ、軽快さが出るよう努めました。 スコット・ジョプリン:ジ・エンターテイナー [2020][AR] Scott Joplin:The Entertainer [3:47] Scott-Joplin-TheEntertainer-2020-AR.mp3 Scott-Joplin-TheEntertainer-2020-AR.mp3

02.11.2020

メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90『イタリア』第1楽章 [2020][AR] / Felix Mendelssohn:Symphony No.4 in A major, Op.90 "Italian":I. Allegro vivace

♪イタリア旅行の快活な気分を描いた躍動感あふれる音楽 交響曲第4番イ長調『イタリア』はフェリックス・メンデルスゾーンが1831年から1833年にかけて作曲した交響曲です。 メンデルスゾーンの交響曲は全部で17曲におよびますが、はじめの「弦楽のための交響曲」12曲は弦楽合奏用の習作的なものであり、その後の5曲が番号付き交響曲として数えられています。 「第4番」は出版順で「イタリア」は5曲の中では第1番、第5番「宗教改革」に次いで実質3番目に完成されました。「イタリア」の後の作曲順は、第2番「賛歌」、第3番「スコットランド」です。 イタリア旅行中に書き始められたこの曲は、躍動的なリズム、叙情と熱狂、長調と短調の交錯による明暗の表出が特徴的で、メンデルスゾーンの交響曲の中でも最も親しまれています。 1830年10月から翌1831年4月にかけてイタリアに旅行したメンデルスゾーンは、ローマでは謝肉祭や教皇グレゴリウス16世の就任式などを目にしました。その間にこの曲の着想を得て、作曲に取りかかったことが彼の手紙などから分かっています。しかし作曲は旅行中には仕上がらず、一度は中断しました。 1832年の11月、メンデルスゾーンはロンドンのフィルハーモニック協会から交響曲、演奏会用序曲、声楽曲各1曲の作曲依頼を受けました。これを快諾した彼は、放置していたこの交響曲の作業を1833年1月に再開して3月には完成。演奏会用序曲『フィンガルの洞窟』と共にフィルハーモニック協会に提出しました。メンデルスゾーン24歳のときでした。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 弦楽器と管楽器を分けて録音した結果、サウンドがよりクリアになりました。 また、木管の3連のタンギングを強調しました。 メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90『イタリア』第1楽章 [2020][AR] Felix Mendelssohn Bartholdy:Symphony No.4 in A major, Op.90 "Italian" I. Allegro vivace [11:35] Mendelssohn-Symphony-No4-Italian-1st-2020-AR.mp3 Mendelssohn-Symphony-No4-Italian-1st-2020-AR.mp3

02.10.2020

リヒャルト・シュトラウス:交響詩 《死と変容》 Op.24 [2020][AR] / Richard Strauss:Tod und Verklarung Op.24

♪現世での激しい闘争の果てに天上界から射すひと筋の光 ベートーヴェン、ワーグナー、ブルックナー、ブラームスなど、ドイツ・オーストリア系の偉大な管弦楽曲の系譜を継ぐ名作です。 この曲には上記の作曲家たちの最良の部分が濃縮されており、それでいながら巨大な管弦楽を巧みに駆使したシュトラウス自身の力量も示されています。 シュトラウスには優れた交響詩が多くありますが、そのどれとも違う異質な次元の音楽です。 題材はシュトラウスをワーグナーに開眼させたマイニンゲンのヴァイオリニスト、アレキサンドル・リッテルの詩に基づくとされますが、実際はシュトラウスの音楽をリッテルがあとから詩に置き換えたとも言われています。 ― ひとつの灯火しかない淋しいみじめな部屋に病人が寝ている。 死が沈黙のうちに彼の元へと近づいてくる。 彼は死の苦悶に悶えながら、それに対し必死に抵抗する。 そして激しい闘いの果てに、かすかな光と共にあの世の世界が開けてくる。 その浄らかな光明に病人は両手を伸ばしつつ息を絶つ。 しかし横たわる彼の顔は崇厳な微笑を湛えていた… 「死と変容」には現世に執着し、欲望の中に迷い苦しむ人間(肉体)の姿と、浄化された精神的な存在(意識)としての姿が対照的に描かれています。 それは極めて宗教的な世界観で、仏教が示す泥沼の現世と、そこから茎を伸ばし大輪の花を咲かせる蓮の花のようでもあります。 晩年、死の床で昏睡状態に陥ったシュトラウスは、意識を取り戻したあとに「私が『死と変容』の中で作曲したことは全て正確だったと、今こそ言うことができる。私は今しがたそれを文字通り体験してきたのだよ」と妻子に語ったと言います。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。昨年公開の音源ではオーケストラの音が混然一体と成り過ぎていましたが、弦楽器と管楽器を分けて録音した結果、サウンドがよりクリアになりました。 リヒャルト・シュトラウス:交響詩 《死と変容》 Op.24 [2020][AR] Richard Strauss:Tod und Verklarung Op.24 [26:44] RichardStrauss-Tod-und-Verklarung-2020-AR2.mp3 RichardStrauss-Tod-und-Verklarung-2020-AR2.mp3

01.27.2020

シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D759『未完成』第1楽章 [2020][AR] / Franz Peter Schubert:Symphony No.8 in B minor, D.759 "Unfinished":I. Allegro moderato

♪未完のままに終わった理由は今も謎のまま… 交響曲第8番『未完成』はオーストリアの作曲家、フランツ・シューベルトが1822年に作曲した未完の交響曲です。 シューベルトの代表作のひとつであり、ベートーヴェンの『運命』、ドヴォルザークの『新世界』などと並んで「三大交響曲」に数えられることもある人気作です。かつてのレコード業界では『運命』と『未完成』は定番のカップリングでした。 シューベルトは25歳でグラーツ楽友協会から「名誉ディプロマ」を授与された際、返礼として交響曲の作曲に取り掛かりました。しかし、シューベルトが送付したのは第1楽章と第2楽章だけで、残りの楽章は送付しなかったとされています。 そのままシューベルトは別の交響曲(ハ長調 D 944)の作曲を開始。結局、ロ短調交響曲を完成させる前に逝去しました。シューベルトの名声が確実なものとなった没後数十年を経て、残された2楽章分のみが出版されることになりました。 初演は1865年12月17日、ウィーン。初演された当時、シューベルトはすでに「大家」の扱いで、未完成の理由について多くの推察が行われましたが、決定的な証拠は遺されませんでした。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 弦楽器と管楽器を分けて録音した結果、サウンドがよりクリアになりました。 シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D.759『未完成』第1楽章 [2020][AR] Franz Peter Schubert:Symphony No.8 in B minor, D.759 "Unfinished" I. Allegro moderato [12:28] Schubert-Symphony-No8-Unfinished-1st-2020-AR2.mp3 Schubert-Symphony-No8-Unfinished-1st-2020-AR2.mp3

01.22.2020

ビゼー: 《アルルの女》第2組曲 第4曲:ファランドール [2020][AR] / Georges Bizet: L'Arlesienne: Orchestral suite No.2:IV. Farandole

♪友人エルネスト・ギローの手により完成された壮大な終曲 『アルルの女』(L'Arlesienne)は、ジョルジュ・ビゼーによる全27曲の付随音楽。アルフォンス・ドーデの同名の短編小説『アルルの女(フランス語版)』およびそれに基づく戯曲の上演のために1872年に作曲されました。 付随音楽から編曲された2つの組曲が一般には最も広く知られています。 作曲期間が短く、契約の関係で極めて小編成のオーケストラしか使えなかったため、作曲には大変苦労したという話が伝わっています。初演の評価は芳しくなく、6年後に再演された時は大好評のうちに迎えられましたが、その時すでにビゼーはこの世の人ではありませんでした。 一般に知られているのは、演奏会用に劇付随音楽から数曲を選んだ組曲で、第1組曲はビゼー自身が通常オーケストラ向けに編成を拡大して組曲としたものです。劇付随音楽が初演された直後の1872年11月10日に初演されて成功を収めました。 第2組曲は、ビゼーの死後の1879年に彼の友人エルネスト・ギローの手により完成されました。ギローは管弦楽法に長けており、「アルルの女」以外の楽曲も加えて編曲しました。 第4曲「ファランドール」は、劇音楽No.21のファランドールなどからギローが終曲として構成。プロヴァンス民謡「3人の王の行列」(短調)に基づく旋律とファランドールが組み合わされ、熱狂的なクライマックスを築き上げます。 「ファランドール」の軽快な旋律は、民謡「馬のダンス」(長調)に基づいています。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 過去のものより全体にテンポを上げ、活気ある演奏に努めました。 ビゼー: 《アルルの女》第2組曲 第4曲:ファランドール [2020][AR] Georges Bizet: L'Arlesienne: Orchestral suite No.2 IV. Farandole [3:48] Bizet-LArlesienne-Suite-No2-Farandole-2020-AR.mp3 Bizet-LArlesienne-Suite-No2-Farandole-2020-AR.mp3

01.22.2020

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 Op.8『四季』より「夏」第3楽章 [2020][AR] / Antonio Lucio Vivaldi:Four Seasons Op.8 - L'Estate:III. Presto

♪農作物を襲う夏の雷鳴と雹を弦で表現 「四季」(The Four Seasons)は、アントニオ・ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』(Il cimento dell'armonia e dell'inventione) 作品8のうち、 第1から第4曲の「春」「夏」「秋」「冬」の総称。ヴィヴァルディ自身は作品8の献辞以外でこれら4曲を「四季」と称したことはありません。 各曲はそれぞれ3つの楽章から成り立っており、各楽章にはソネットが付されています。これらのソネットの作者は不明でですが、ヴィヴァルディ自身の作という説もあります。 「四季」は4つの楽曲から構成されています。構成4楽曲全てを通しで演奏する場合の演奏時間は約40分。 協奏曲第2番ト短調 RV 315「夏」(L'Estate) ■第3楽章 プレスト(夏の嵐) 『嗚呼、彼の心配は現実となってしまった。 上空の雷鳴と雹(ひょう)が誇らしげに伸びている穀物を打ち倒した。』 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 以前よりテンポを上げ、演奏により厳しさが出るよう心がけました。 ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 Op.8『四季』より「夏」第3楽章 [2020][AR] Antonio Lucio Vivaldi:Four Seasons Op.8 - L'Estate III. Presto [2:43] Vivaldi-FourSeasons-LEstate-3rd-2020-AR.mp3 Vivaldi-FourSeasons-LEstate-3rd-2020-AR.mp3

01.22.2020

イサーク・アルベニス:《アストゥリアス (伝説曲)》[2020][AR] / Isaac Albeniz:Asturias (Leyenda)

♪ピアノのオリジナルからギターに編曲されて有名に 《アストゥリアス (伝説曲)》は、イサーク・アルベニスのピアノ曲の一つ。元来は、《スペインの歌》作品232の第1曲「前奏曲」として書かれた曲です。 アルベニスは全8曲から成る《スペイン組曲( "Suite Espanola" )》を構想していましたが、実際に作曲したのは第1~3曲、第8曲のみで、残る第4~7曲はタイトルしか残しませんでした。 アルベニス没後にこの曲集が《スペイン組曲( "Suite Espanola" )第1集》作品47として出版された際、実在しない第4~7曲にはアルベニスの他の作品が宛てられました。 第5曲アストゥリアス (Asturias)に宛てられたのが前出の「前奏曲」です。その後、原題より「アストゥリアス」のタイトルの方がよく知られるようになりました。 《スペイン組曲》の中でも最も印象的な楽曲の一つ。アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ト短調、4分の3拍子で、コーダの付いた3部形式。 後にアンドレス・セゴビアによりギター曲として編曲されました。その際、調性は音域上の問題からホ短調に移調されており、16部音符による同音連打は一部3連符に変更されています。 単独の小品としてはギター版のほうが原曲よりも有名であり、ドアーズやアイアン・メイデンなどのロック・バンドによっても曲の一部が利用されています。また、映画音楽やCM曲にも利用されています。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 これまでギター版を公開してきましたが、今回初めてオリジナルのピアノ版を掲載しました。 イサーク・アルベニス:《アストゥリアス (伝説曲)》[2020][AR] Isaac Albeniz:Asturias (Leyenda) [6:24] Albeniz-Asturias-2020-AR.mp3 Albeniz-Asturias-2020-AR.mp3

01.22.2020

リスト:『パガニーニによる大練習曲』第3番 嬰ト短調『ラ・カンパネラ』[2020][AR] / Franz Liszt:Grandes Etudes de Paganini, S.141 No.3 "La Campanella"

♪煌びやかなピアノの高音で繊細な鐘の音を表現 『ラ・カンパネラ』(La Campanella)は、フランツ・リストのピアノ曲。ニコロ・パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章のロンド『ラ・カンパネラ』の主題を編曲して書かれました。 題名の『Campanella』は、イタリア語で「鐘」という意味です。 リストが「ラ・カンパネラ」を扱った作品は4曲存在し、最終稿の『パガニーニによる大練習曲』第3番は、数多くあるリストの作品の中でも最も有名なものの一つです。 1851年に作曲された最も有名な版で、今日「ラ・カンパネラ」として演奏されるほぼ全てがこの作品です。以前の作である『パガニーニによる超絶技巧練習曲』と比較して曲全体の構成が洗練され、リストはピアノの高音による鐘の音色を全面に押し出しました。 全体として、器用さ、大きい跳躍における正確さ、弱い指の機敏さを鍛える練習曲として使うことができます。最大で15度の跳躍があり、この跳躍を16分音符で演奏した後に演奏者に手を移動する時間を与える休止がないまま、2オクターブ上で同じ音符が演奏されます。ほかにも薬指と小指のトリルなどの難しい技巧を含んでいます。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた新録音です。 ピアノが壊れんばかりの激しい演奏で、失神する聴衆が続出したという話をイメージしました。 リスト:『パガニーニによる大練習曲』第3番 嬰ト短調『ラ・カンパネラ』[2020][AR] Franz Liszt:Grandes Etudes de Paganini, S.141 No.3 "La Campanella" [4:25] Liszt-LaCampanella-2020-AR.mp3 Liszt-LaCampanella-2020-AR.mp3

01.22.2020

ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op.73 第4楽章 [2020][AR] / Johannes Brahms:Symphony No.2 in D major, Op.73:IV:Allegro con spirito

♪風光明媚な避暑地での快活な気分にあふれる楽章 ブラームスは、避暑で訪れたペルチャッハから批評家エドゥアルト・ハンスリックに宛てた手紙に「ヴェルター湖畔の地にはメロディがたくさん飛び交っているので、それを踏みつぶしてしまわないよう、とあなたは言われることでしょう。」と書き送っています。 その後ブラームスは2年間続けてペルチャッハで夏を過ごし、この地でヴァイオリン協奏曲やヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」などが生み出されました。 ブラームスの親友のひとりである外科医のテオドール・ビルロートは、第2交響曲に接して「ペルチャッハはどんなに美しいところなのだろう。」と語ったとされます。 1877年12月30日、ハンス・リヒター指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって初演されました。この初演は大成功で、第3楽章がアンコールされました。 また翌年9月にブラームスは故郷のハンブルクに招かれ、自身の指揮によって再演を果たしています。 *演奏と音響を改めた新録音です。弦楽器と管楽器+打楽器は分けて録音しています。 ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op.73 第4楽章 [2020][AR] Johannes Brahms:Symphony No.2 in D major, Op.73 IV:Allegro con spirito [10:20] Brahms-Symphony-No2-4th-2020-AR2.mp3 Brahms-Symphony-No2-4th-2020-AR2.mp3

01.07.2020

ボロディン:歌劇 《イーゴリ公》より 「ダッタン人の踊り」 [2020][AR] / Alexander Porfir'yevich Borodin: Prince Igor : Polovtsian Dances

♪どこか懐かしく琴線に触れる名旋律 『イーゴリ公』は、ボロディンによって書かれた序幕付きの4幕からなるオペラです。 中世ロシアの叙事詩『イーゴリ遠征物語』を題材に、1185年、キエフ大公国の公(クニャージ)イーゴリ・スヴャトスラヴィチによる、遊牧民族ポロヴェツ人に対する遠征を描いています。 ボロディンはこの作品を完成させないまま1887年に死去したため、リムスキー=コルサコフとグラズノフの手により完成されました。 総譜には「このオペラはリムスキー=コルサコフが序幕と第1・2・4幕、第3幕の「ポロヴェツ人(韃靼人)の行進」の編曲されていなかったところを編曲し、グラズノフはボロディンに残された断片を使い、第3幕を構成し作曲し、ボロディンが何度かピアノで弾いた序曲を思い出し再構成と作曲をした。」と書かれています。 初演は1890年11月4日、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場にて行われました。アメリカでの初演は1915年12月30日、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場にて行われました。日本での初演は1965年のスラブ歌劇ザグレブ国立劇場合唱団、管弦楽はNHK交響楽団によります。 このオペラの中の序曲、「ポロヴェツ人(韃靼人)の踊り」(第2幕)は有名で、広くオーケストラ・コンサートなどでも演奏されています。また、この2曲に「ポロヴェツ人の娘たちの踊り」「ポロヴェツ人の行進」を加えて組曲のようにも扱われています。 *演奏内容と音響(アルゴリズムリバーブ)を改めた、2006年以来14年ぶりの完全新録音です。 弦楽器と管楽器を分けて録音した結果、サウンドがよりクリアになりました。 (2/13 調性が違う部分を修正しました) ボロディン:歌劇 《イーゴリ公》より 「ダッタン人の踊り」 [2020][AR] Alexander Porfir'yevich Borodin: Prince Igor : Polovtsian Dances [12:22] Borodin-Prince-Igor-Polovtsian-Dances-2020-AR2.mp3 Borodin-Prince-Igor-Polovtsian-Dances-2020-AR2.mp3

01.01.2020

ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲 Op.228 [2020][AR] / Johann Strauss I.:Radetzky-Marsch Op.228

♪ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでお馴染みの人気曲 『ラデツキー行進曲』作品228は、ヨハン・シュトラウス1世が作曲した行進曲です。 作曲者の最高傑作といわれ、クラシック音楽全体でみても有数の人気曲です。 1848年革命の最中に、当時はオーストリア帝国領であった北イタリアの独立運動を 鎮圧したヨーゼフ・ラデツキー将軍を称えて作曲されました。 当時イタリア半島では民族統一運動が盛んで、オーストリア帝国領であった北イタリアでは 「ドイツ民族からの独立」を目指して激しい闘争が繰り広げられていました。 1848年7月、ヨーゼフ・ラデツキー将軍の率いるオーストリア陸軍がこれの鎮圧に成功しました。 この勝利を記念するために、「イタリアで戦った勇敢なる将兵の賞賛と傷病兵への募金を兼ね、 寓意的、象徴的表現と格別な啓蒙を意図した大勝利感謝祭」が8月31日に開かれることになりました。 シュトラウスはこの祝典のために新曲を依頼され、作曲に取りかかりました。 かつての楽団員ですでに独立していたフィリップ・ファールバッハ1世の協力を得て、 ウィーンの民謡を2つ採り入れて、わずか2時間で完成したといわれています。 この行進曲はやがてオーストリア帝国の愛国の象徴として扱われるようになりました。 帝政が廃止された現在のオーストリア共和国でも国家を象徴する曲であり、 国家的な行事や式典でたびたび演奏されています。 また、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤーコンサートでは、 1958年以降は2005年を除いて、毎年プログラムのアンコールの最後の曲として、 必ず演奏される曲として知られています。 現在演奏されているものは、長年にわたって手を加えられてきたものであり、 原典版とは大きく楽器法や音の強弱などが変化しています。 自筆譜は紛失したとみられていましたが、1978年4月に破棄されて断裁される寸前だった 楽譜の山の中から発見されました。 このオリジナル版の『ラデツキー行進曲』は、2001年のニューイヤーコンサートの 冒頭を飾る曲としてニコラウス・アーノンクールにより演奏されています。 *演奏と音響を改めた新録音です。以前より全体にテンポを速め、強弱を明確にしました。 ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲 Op.228 [2020][AR] Johann Strauss I.:Radetzky-Marsch Op.228 [2:44] JohannStraussI-Radetzky-Marsch-2019-AR.mp3 JohannStraussI-Radetzky-Marsch-2019-AR.mp3

12.27.2019

パッヘルベル:カノン ニ長調 [2019][AR] / Johann Pachelbel:Canon in D

♪時代を超えて愛され続ける永遠の名曲 『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ 二長調』が原題で、 「カノン」と「ジーグ」を続けて演奏するのが正式なスタイルです。 しかし、一般的に「カノン」だけを演奏するのがほとんどになっています。 『カノンとジーグ ニ長調』には、パッヘルベルの自筆譜がありません。 パッヘルベル作なのは確かなようですが、楽器編成には疑問も持たれています。 研究者や指揮者によっては、元はオルガン曲だったとする声もあります。 パッヘルベルは生前からオルガン奏者としてとても有名でした。 作曲家としても特に、オルガン曲のジャンルで知られ、『コラール変奏曲集』 『コラール前奏曲集』など多数のコラール編曲を作曲しています。 このあたりにも“カノン=オルガン曲説”の根拠があると考えられます。 「カノン」で知られるヨハン・パッヘルベルは、バロック期のドイツの作曲家です。 南ドイツ・オルガン楽派の最盛期を支えたオルガン奏者、教師でもありました。 オルガン曲・弦楽曲・声楽曲など、様々なジャンルの音楽を作曲。 その作品は200曲以上にも上ります。 またコラール前奏曲やフーガの発展に大きく貢献したところから、 バロック中期における最も重要な作曲家の一人に数えられています。 師事する弟子も多く、ドイツ中部・南部の多くの作曲家の手本となる存在でした。 (最近のNHK朝ドラの主題歌にもカノンの変奏の旋律が見受けられました) *編曲、演奏と音響を改めた新録音です。以前より全体にテンポが速くなっています。 パッヘルベル:カノン ニ長調 [2019][AR] Johann Pachelbel:Canon in D [6:18] Pachelbel-Canon-in-D-2019-AR.mp3 Pachelbel-Canon-in-D-2019-AR.mp3

12.27.2019

リスト:愛の夢 第3番 変イ長調 「おお、愛しうる限り愛せ」(ピアノ&管弦楽版)[2019][AR]/ Franz Liszt:Liebestraume No.3 "O lieb, so lang du lieben kannst"

♪歌曲を自らピアノ曲に編曲したロマンティックな作品 「愛の夢」はリストの作品の中でも、特に美しい旋律が魅力の有名なピアノ曲。 元はドイツの詩人フェルディナント・フライリヒラートの詩集から、 「おお、愛しうる限り愛せ」にリストが曲をつけ、歌曲として発表していたもの。 これを後に自身がピアノ用に編曲し、同じように歌曲から編曲した2曲とあわせ、 「愛の夢 - 3つのノクターン」として出版されたものが、現在知られる作品です。 この3曲はいずれも、キリスト教的な人間愛をテーマにした詩が採られています。 一般に「愛の夢」といえば、男女の恋愛を描いたものというイメージがありますが、 ロマンティックな曲調に反して実際はそうではなく、 宗教心の厚かったリストの精神が反映された、格調高い作品になっています。 『おお、愛しうる限り愛せ』 詩:フェルディナント・フライリヒラート(大意) 愛しなさい、あなたが愛しうる限り 愛しなさい、あなたが望むだけ 時は来る、あなたが墓の前で悲しむ時が だから心を尽くし、人を愛せよ あなたに対して他者の心が あたたかな愛で脈打つ限り あなたに胸を開く人があれば あなたはその人にできる限りのことをせよ その人の時を喜びで満たし 一時も暗いものにすることがあってはならない そして言葉には気をつけなさい 「それは誤解です」と言い訳しても その人は嘆き立ち去ってしまうでしょう *編曲、演奏と音響を改めた新録音です。弦楽器と管楽器に分けて音響処理しています。 リスト:愛の夢 第3番 変イ長調 「おお、愛しうる限り愛せ」(ピアノ&管弦楽版) [2019][AR] Franz Liszt:Liebestraume No.3 "O lieb, so lang ...

12.24.2019

ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第3楽章 [2019][AR] / L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 III. Adagio molto e cantabile

♪まるで天上世界のように美しい第3楽章 短調の激しい二つの楽章が終わると、別世界の音楽のように始まるのが第3楽章です。 ベートーヴェンは1822年夏に「第9」の作曲に着手すると、まずは第1楽章を完成させ、 次いで第3楽章、第2楽章、最後に第4楽章の順で作曲の作業を進めました。 第3楽章には特別なインスピレーションを感じるに感動的な部分がいくつかあります。 ひとつは気品ある第1主題に続いて、愛らしい第2主題が始まる場面。 B♭からDという遠隔調への転調ながら不自然さがなく、 旋律が始まるのを聴くたびに、言葉にならない感情が込み上げてきます。 もうひとつの印象的な部分は、最後の変奏の途中にスウィング調の旋律が現れる場面です。 全体に格調高い第3楽章にあって、少し気軽な感じのするフレーズで、 ベートーヴェンが人生を愛しむ思いが伝わってくるかのようです。 *演奏と音響を改めた新録音です。前作に続き、弦楽器と管楽器に分けて音響処理しています。 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第3楽章 [2019][AR] L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 III. Adagio molto e cantabile [16:12] Beethoven-Symphony-No9-3rd-2019-AR.mp3 Beethoven-Symphony-No9-3rd-2019-AR.mp3

12.22.2019

チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》から 第2幕 第14曲 パ・ド・ドゥ [2019][AR] / P.I.Tchaikovsky:The Nutcracker Act2:14. Pas de Deux -Adage

♪孤独な少女クララがクリスマスの夜に見た夢の中の物語 毎年、クリスマスになると演奏されるチャイコフスキーの「くるみ割り人形」。 バレエの物語が、主人公のクララがクリスマスの夜に見た夢を題材にしているためで、 このバレエ音楽はチャイコフスキー自身によって8曲の組曲に編纂されています。 「花のワルツ」「こんぺい糖の踊り」など、誰もが知る旋律が並び、 組曲を聴くだけでも、物語のメルヘンな世界に心遊ばせることができます。 そして、組曲からもれた作品の中にも、忘れがたい名曲があります。 第2幕の後半で「花のワルツ」の後に演じられる舞台の見せ場パ・ド・ドゥ。 4曲からなるこのセットのトップを飾る旋律美豊かな「アダージュ」がそれです。 なぜチャイコフスキーはこの曲を組曲の中に入れなかったのか、 不思議になるほどに美しく、温かく、まさにクリスマスにぴったりの作品です。 この曲は過去に何度か公開して来ましたが、今回は全体にテンポを上げて緩急をつけた他、 いつも以上に音響にこだわり、録音に時間をかけました。 これまではオーケストラ全体に、一度にリバーブをかけていましたが、 「パ・ド・ドゥ」では弦楽器と管楽器+打楽器に分けて、別個の音響を施しました。 客席から見て近い弦楽器には浅めのリバーブをかけ、遠い管楽器+打楽器には 深めのリバーブをかけることで、オーケストラサウンドに奥行きが生まれました。 また、分けて処理することで、音像がよりくっきりと分離したと思います。 今後はこのスタイルを基準にして、録音していこうと考えています。 *すでに録音済みの音源に関しては、これまで通りの音響処理になります。 チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》から 第2幕 第14曲 パ・ド・ドゥ [2019][AR] P.I.Tchaikovsky:The Nutcracker Act2:14. Pas de Deux -Adage [5:16] Tchaikovsky-Nutcracker-Pas-de-Deux-Adage-2019-AR.mp3 Tchaikovsky-Nutcracker-Pas-de-Deux-Adage-2019-AR.mp3