以下は、『行政機関の憲法学的統制』を抜粋し、分かりやすく書き直したもの。いくつか読み間違いがあります。トランプ「前」政権という説明もありますが、AIのミスです。
アメリカの政治システムにおいて、政府予算を決定する権限、いわゆる「財政権(power of the purse)」は連邦議会が掌握しているというのが基本的理解である。大統領がいかに強力な政策目標を掲げようとも、その実行に必要な資金は議会の承認なくして確保できない。
しかし、もし議会が明確に拒否した予算を、大統領が別の経路を用いて調達できるとすればどうなるであろうか。トランプ前大統領は、メキシコ国境の壁建設という公約を実現するため、議会が予算を否認したにもかかわらず、数十億ドル規模の資金を確保することに成功したのである。
本稿では、トランプ大統領がいかなる法的・政治的手法を用いて議会の壁を乗り越えたのかを検討する。この事例は、アメリカ大統領に与えられた権限の強力さと同時に、その危うさを示す象徴的なケースである。
「国家非常事態」宣言という禁じ手
トランプ大統領が最初に打った大胆な一手は、2019年2月15日に「国家非常事態」を宣言したことである。この宣言こそが、議会の承認なしに予算を動かすための核心的手段となった。
この宣言は「国家緊急権限法」を根拠とするものであり、議会が壁建設に必要とされた予算措置を拒否したことへの直接的な対抗措置であった。すなわち、大統領は国家安全保障を名目として非常事態を宣言し、議会のコントロールを迂回する道を開こうとしたのである。