目に見えない「壁」と、ある逆転劇
法廷という土俵で、対立する当事者が闘う。対立当事者間の本格的な取組み(審理)が始まる前に立ちはだかる、(目に見えない壁が「原告適格(スタンディング)」と呼ばれる概念である。
分かりやすく言うと「法廷という土俵」にのぼるための資格(髷、廻し)である。これは、訴えを起こした当事者が裁判を戦う正当な利害関係を有しているかを問う憲法上の要件である。もし、自分たちのビジネスを根底から脅かす規制が存在するにもかかわらず、「あなたは規制の直接の対象ではないから、裁判を起こす権利すらない」と門前払いを食らわされたらどう感じるだろうか。
2025年6月、合衆国最高裁(Diamond Alternative Energy, LLC v. EPA)は、カリフォルニア州州の規制を争うエタノール燃料事業者のスタンディングを認めた。
この背景については、「カリフォルニア州の大気浄化法の独自規制と連邦との対立」を参照のこと。また『アメリカ気候変動法と政策: カリフォルニア州を中心に』(勁草書房)も参照のこと。
またLoper Bright判決の「行政機関の判断に縛られない。尊重ではない、専門性を有し、現場で、問題に精通する行政機関の説明に納得するかである。(ただ最高裁の表現方法(言い方)が変わっただけという指摘もあるだろう」という点については、「司法審査の正統性と裁判官の法解釈 -ローパー判決を素材にして-」を参照のこと)