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今回は2024年に東京大学出版会より出版された『アウシュヴィッツ以後、正義とは誤謬である〜アーレント判断論の社会学的省察』の著者である橋本摂子さんにお話を伺いました。インタビュアーは森川輝一さんです。
【著作概要】
私たちは何に依って善と悪を判断することができるのか。本書はこの問いをめぐって、20世紀を生きたハンナ・アーレントのテクストを読み解き、社会学知との共鳴を通じて、彼女の思考を「純粋政治批判」として描き出す試みである。本書で目指したのは、社会学や社会理論の伝統的な問題構制に沿うよう、アーレントを恣意的に読みかえたり改変したり応用したりすることではない。あるいは、アーレントを通じてなにか社会学に資するような有益な知見をもたらそうという意図もない。ただ単純に、アーレントの残したテクスト群の有機的なつながりとその核心にあるものを、既存の社会学知の枠組みを用いて、それ自体において理解することを目指した。アーレントは、神や道徳や一般意志を拒み、判断を自由の可能性へと開いた。本書の議論を通じ、あらためてその強靭な思考の核心を提示したい。
【ゲスト:橋本摂子 プロフィール】
1974年生まれ。1997年,東京工業大学工学部卒業。東京工業大学大学院社会理工学研究博士課程退学、博士(学術)。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は、社会学、社会理論、社会的不平等、社会調査と計量分析。
【インタビュアー:森川輝一 プロフィール】
1971年生まれ。1995年、京都大学法学部卒業。京都大学大学院法学研究科博士課程満期退学。博士(法学)。現在、京都大学大学院法学研究科教授。専門は、西洋政治思想史、現代政治理論。主な著作に『〈始まり〉のアーレント〜「出生」の思想の誕生』(岩波書店 2010年)、『講義 政治思想と文学』(共編著 ナカニシヤ出版 2017 年)などがある。
今回は2025年に勁草書房より出版された『感覚の植民地主義と言語のヘゲモニー〜フィリピンろう者の身体と文化実践』の著者である山下惠理さんにお話を伺いました。インタビュアーは北田依利さんです。
【著作概要】
フィリピンのような多言語社会で、手話はどのように生まれ、継承され、周縁化されてきたのか。ろう文化をめぐる知られざる文化実践の歴史を通し、音声言語を前提とした制度や社会の中での複層的な権力構造、そして「言語のあり方」そのものを問い直す試み。
【ゲスト:山下惠理 プロフィール】
立命館大学グローバル教養学部教員。専門は障害学・フィリピン地域研究。とくに、ろう者文化や手話をめぐる歴史・教育・政策を通して、感覚や言語がいかに社会的・政治的に編成されてきたのかを学んでいる。
【インタビュアー:北田依利 プロフィール】
東京大学 東京カレッジ ポストドクトラルフェロー。歴史学を専門とし、米国およびアジア太平洋地域の人種・ジェンダー/セクシュアリティ・植民地主義を勉強している。
今回は2025年に雄山閣より出版された『「わだつみ」の歴史社会学〜人びとは「戦争体験」をどう紡ごうとしたのか』の著者である那波泰輔さんにお話を伺いました。インタビュアーは門脇愛さんです。
【著作概要】
戦没学生という悲劇を繰り返さないこと、平和のために寄与することを活動の根幹に据えている「わだつみ会」。「わだつみ会」のそれぞれの時期の活動内容や特徴などに焦点を当てることで、「戦争体験」がどう捉えられ、いかにして向き合われていったのかを描くとともに、戦後日本の歴史が、「戦争体験」を語り継ぐという行為にどのような影響を及ぼしていったのかを明らかにする。
【ゲスト:那波泰輔 プロフィール】
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。現在、成蹊大学 社会調査士課程室 調査・実習指導助手。社会理論・動態研究所所員。専攻分野は歴史社会学。主な業績として「ハチ公像が時代によってどのように表象されたのか〜戦前と戦後以降のハチ公像を比較して」(『年報カルチュラル・スタディーズ』vol.2 2014年)、「わだつみ会における加害者性の主題化の過程〜一九八八年の規約改正に着目して」(『大原社会問題研究所雑誌』764号 2022年)、「『わだつみ』という〈環礁〉への航路〜ミュージアム来館者調査から」(清水亮・白岩伸也・角田燎編『戦争のかけらを集めて〜遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』 2024年)。
【インタビュアー:門脇愛 プロフィール】
東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻修了、修士(文学)。2015年よりわだつみのこえ記念館でのボランティアに従事する。専攻分野は文化資源学。
今回は2024年に名古屋大学出版会より出版された『「後進国」日本の研究開発〜電気通信工学・技師・ナショナリズム』の著者である河西棟馬さんにお話を伺いました。インタビュアーは小堀聡さんです。
【著作概要】
本書は、電気通信工学を題材にとり、日本近代技術史を、先端的研究領域への参入という切り口から論じた著作である。幕末・明治期に西洋近代技術の本格的移転・導入を開始した「後進国」日本の技術者たちは、日露戦争の勝利を一つのきっかけとし、「文明国」の一員として創造的研究へと乗り出していく。本書は明治後期からアジア・太平洋戦争直前までの電気通信工学者・技術者たちの活動を手がかりに、どのような動機が彼らをオリジナリティや独創性へと駆り立て、その到達点と限界はどこにあったのかを検討したものである。
【ゲスト:河西棟馬 プロフィール】
東京科学大学リベラルアーツ研究教育院講師。博士(文学)(京都大学)。専門は技術史。戦前日本の電気通信工学や情報科学の形成史などを研究してきた。主著に今回ご紹介した『「後進国」日本の研究開発〜電気通信工学・技師・ナショナリズム』(名古屋大学出版会、2024年)。
【インタビュアー:小堀聡 プロフィール】
京都大学人文科学研究所准教授。博士(経済学)(大阪大学)。専門は近現代日本経済史。戦後日本の社会経済史や環境史を主要なテーマとし、エネルギー開発・利用と環境変化の関係、高度経済成長期の政策・公害問題、社会運動史などを歴史的に分析している。これまで名古屋大学大学院経済学研究科で講師・准教授を務めた後、2021年より現職。
今回は2025年にRoutledgeより出版された『Medical Women in the Japanese Empire〜Sources and Critique』の編者のお一人である藤本大士さんにお話を伺いました。インタビュアーは岩間有希奈さんです。
【著作概要】
本書は、日本語・中国語・朝鮮語の一次史料の翻訳とその分析を通じ、帝国日本において女性医師、看護婦、産婆、栄養士として働いた女性たちの多様な経験を明らかにする。日本という国家および帝国は、彼女たちにとって機会ともなり、制限ともなった。本書は、彼女たちが当時の女性に対する規範にいかに向き合い、女性のための新たな空間を切り拓こうとしたか、あるいは、医療の機会を求めて国境や地域的境界を越えた、あるいは越えなければならなかったかなどを示す。
【ゲスト:藤本大士 プロフィール】
2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、ハイデルベルク大学トランスカルチュラル・スタディーズ・センター講師。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教〜日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。
【インタビュアー:岩間有希奈 プロフィール】
東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程2年。専門はドイツ近現代史、ジェンダー史。関心はヴァイマル期およびナチ期ドイツの女性医師の国際関係について。博士前期課程修了後、2018年より5年間東邦大学にて額田記念東邦大学資料室を担当し、女性への理科系教育の歴史を扱う。
今回は2025年に慶應義塾大学出版会より出版された『日々賭けをする人々〜フィリピン闘鶏と数字くじの意味世界』の著者である師田史子さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。
【著作概要】
フィリピンにおいて賭博は、政治家から市井の人々に至るまで、社会のあらゆる階層に深く埋め込まれている。本書は、フィリピン社会の日常的な賭博実践、とりわけ闘鶏と数字くじに注目し、日々賭け続ける賭博者たちの姿を鮮やかに描き出していく。なぜ彼らは賭けるのか、賭けを通じた世界にはどのような意味が付与されているのか。「運」によって自らを世界と相関しようとする賭博者たちの思考と実践を通して、「賭ける」ことの意味を探究する。
【ゲスト:師田史子 プロフィール】
1992年神奈川県横須賀市生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教・博士(地域研究)。専門は、文化人類学、フィリピン地域研究。フィリピンを中心としたギャンブル実践を調査し、「賭ける」という行為の意味を探っている。著書に今回紹介した『日々賭けをする人々:フィリピン闘鶏と数字くじの意味世界』(慶應義塾大学出版会、2025年)。
【インタビュアー:鶴見太郎 プロフィール】
1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)
今回は2024年に風響社より出版された『土楼〜円い空の下で暮らす福建客家の民族誌』の著者である小林宏至さんにお話を伺いました。インタビュアーは川口幸大さんです。
【著作概要】
本書は土楼という巨大な民間建築に関する民族誌的研究です。著者はそこに2年間暮らし、居住者と15年以上にわたって交流することで民族誌を書き上げました。土楼ってなんでこんなに巨大で変な形をしているのだろう…というのが本書の入り口です。それを明らかにしていく中で、そこで暮らす人びとと建物との関係を紐解くことが必要になってきました。そのため本書は、建物の話が半分(第一部)、そこで暮らす人々の話がもう半分(第二部)となっています。
土楼という建物も、そこに暮らす親族集団も、合理的で美しく「完璧」な理念モデルはありながらも、実際は増改築を繰りかえしたり、人物呼称を変えたりしながら、互いを「更新」しています。その「更新」作業においてタテモノ/ヒトの主体性は同等です。結論部では、この現場レベルでの「更新」の在り方を音律論を交えて解説しました。
インタビューの内容は専門性が高く、気軽に聴けないかもしれません。ただ逆に言えば、漢族を研究対象とする人類学者同士が、普段どんな会話をしているのかというものが如実に再現されております。そういった意味で、メタ的にお楽しみいただければ幸いです。
【ゲスト:小林宏至 プロフィール】
1981年東京都生まれ。専門は社会人類学。客家社会研究。東京学芸大学(教育学部K類アジア研究)卒業。首都大学東京大学院(人文科学研究科)博士前期課程を経て、同大学院(人文科学研究科)博士後期課程満期退学。博士(社会人類学)。日本学術振興会特別研究員PD(東北大学)を経て、現在、山口大学准教授。
【インタビュアー:川口幸大 プロフィール】
東北大学大学院文学研究科・文学部 教授(広域文化学専攻 域際文化学講座 文化人類学分野)。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。 国立民族学博物館機関研究員を経て、2010年より現職。研究分野は東アジア、特に中国における家族親族、宗教、移動、食など。
今回は2024年に名古屋大学出版会より出版された『在日フィリピン人社会〜1980~2020年代の結婚移民と日系人』の著者である高畑幸さんにお話を伺いました。インタビュアーは和田吾雄彦アンジェロさんです。
※本インタビューの構成・企画において、北田依利さん(東京大学・東京カレッジ・ポストドクトラルフェロー、歴史学)にもご協力いただいております。
【著作概要】バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出す。
【ゲスト:高畑幸プロフィール】静岡県立大学国際関係学部教授。1969年、大阪生まれ、秋田育ち。大阪外国語大学(現・大阪大学)大学院を経て大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程(社会学専攻)修了。博士(文学)。専門分野は都市社会学、都市エスニシティ、在日外国人問題(特に在日フィリピン人)。静岡県多文化共生審議会委員、焼津市多文化共生推進協議会会長等。フィリピン語の法廷通訳者としても約30年活動している。
researchmap https://researchmap.jp/read0138628
【インタビュアー:和田吾雄彦アンジェロ】1997年、神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程に在籍中。修士(国際貢献)。専門は社会学(特にジェンダー研究)で、在日フィリピン人女性の社会調査を行っている。
今回は2025年に慶応義塾大学出版会より出版された『植民地朝鮮と「出産の場」〜産婆と胎教の衛生史』の著者である扈素妍さんにお話を伺いました。インタビュアーは長澤裕子さんです。
【著作概要】日本統治下にあった20世紀前半の朝鮮における「出産の場」、とくに産婆や胎教がどのように機能していたか、言説分析を通して明らかにする。「出産」をめぐって日本人の役人、医師、朝鮮人産婆、優生学者などが、新聞・雑誌でさまざまな言説を展開した。「近代の知」が旧弊の「風習」とときに対立し、ときに協力関係を結ぶといった複雑なせめぎあいがあったことを実証的に論じ、出産する女性をとりまく様相を起点に「歴史叙述を女性へ取り戻す」ことを試みる。
【ゲスト:扈素妍プロフィール】京都大学大学文書館特定助教。2011年ソウル市立大学人文学部国史学科卒業。2016年京都大学大学院文学研究科歴史文化学専攻日本史専修修了。2021年京都大学大学院文学研究科歴史文化学専攻日本史専修研究指導認定退学。2023年同大学院同研究科博士号(文学)取得。奈良文化財研究所企画調整部アソシエイトフェローを経て、現在に至る。主要論文に、「植民地朝鮮の出産風習としての胎教と生政治〜『優生学』言説を中心に」(『朝鮮学報』第260巻、2022年)、「植民地朝鮮における出産風習と産婆養成政策」(『史林』第103巻第5号、2020年)など。
【インタビュアー:長澤裕子プロフィール】高麗大学校政治外交学科博士課程終了、博士(政治学)。東京大学大学院総合文化研究科、特任准教授を経て、現在、ソウル大学校アジア研究所、訪問研究員フェロー兼早稲田大学国際和解学研究所、招聘研究員。専門は日米韓外交史。朝鮮半島の分断と政治・文化政策、日韓・日朝国交正常化交渉を研究している。著作に外村大・長澤裕子『<負の遺産>を架け橋に〜文化財から問う日本社会と韓国・朝鮮』(ころから、2024年)など。近刊に、編著『ようこそ韓国・朝鮮世界へ』(昭和堂)、単著『朝鮮の南北分断と日本の主権〜太平洋戦争から対日講和条約締結まで』(ソウル:高麗大学校出版文化院、ハーバードイェンチン研究所出版助成)。
今回は2025年に法政大学出版局より出版された『ILOの対中関与と上海YWCA〜労働と平和の国際機構間関係史1919-1946』の著者である小野坂元さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。
【著作概要】第一次世界大戦後に設立された国際労働機関ILO。現状維持的な妥協の産物としての一面もあったが、本書は中国で労働運動が高揚したのをきっかけに変化し始めていく過程を描いた。治外法権の租界があり、女性や児童が劣悪な条件で働く上海で、ILOはなぜ、民間団体YWCAと協力できたのか。日中戦争期の抗日運動の国際化についての新知見をもふまえ、民族・階級・ジェンダーから戦争と平和を考察する。
【ゲスト:小野坂元プロフィール】1989 年新潟県小千谷市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術、2023 年)。現在、早稲田大学現代政治経済研究所・次席研究員。専門は、国際政治史、労働運動史、キリスト教社会主義思想、和解学。本書およびその初出となった論文以外の業績として、"Reconstruction and Resistance: China YWCA during the Sino-Japanese War and Wartime Assemblies of International Organizations," International Association for Reconciliation Studies (IARS) 5th Annual Conference (Assisi Italy: 3 July 2024).(学会報告)
【インタビュアー:鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源』(講談社、2020年)、『ユダヤ人の歴史』(中央公論新社、2025年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)
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