残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

By kotaro zammaBusinessEntrepreneurship
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残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか" episodes

  • つながっていないからつながるノベーション(1784回)

    「風の電話」という電話ボックスがあります。


    電話線はつながっていません。

    でも、その電話は世界中の人とつながっています。


    亡くなってしまった人。

    今はもう会えない人。

    あるいは、生きているけれど、どうしても言えないことがある人。


    そんな人に話しかけるために、多くの人がこの電話を訪れます。

    今では海外からも人が訪れるそうです。


    この電話を取材された

    NHK番組ディレクターの 伊藤麻衣さん の言葉が、とても印象的でした。


    「あのボックスだと2人きりになれる。

    電話だと一対一で話すから、他の人にも聞かれないし、生前とまったく行為が一緒だから、今もいる気がするっていうふうに言ってたのがすごく印象的で」


    (参考:NHK「週末のNスペは…それからの、風の電話」2026年3月7日放送)


    この言葉の中に、私はイノベーションの本質を見た気がしました。


    私はそこから3つの気づきを思いました。


    1、見えないから「いる」と思える

    2、繋がってないから繋がっている

    3、思いは時空を超える


    1、見えないから「いる」と思える


    普段、私たちは見えるものだけを現実だと思いがちですが


    哲学者 マルティン・ハイデガー は

    人間の存在についてこう言っています。


    「人間は世界の中で、すでに関係の中に投げ込まれている存在である。」

    (『存在と時間』)


    つまり、人間は

    物理的な存在だけで生きているのではなく、関係性の中で存在しているということかなと思います


    だからこそ、


    姿が見えなくても

    関係が残っていれば

    その人はまだ「いる」。


    風の電話は、

    この 関係の存在 を思い出させてくれる装置なのだと思いました。


    イノベーションも同じで、

    新しい価値は、

    見えるものからではなく


    見えない関係性


    そこを如何に捉えていくか?

    から生まれることもあるなあと思いました


    2、繋がってないから繋がっている


    電話線はつながっていません。


    でもその電話は世界中、さらには、全宇宙、もっと言えば、現世を超えた場所ともつながっています。


    ここに、デザインの本質を感じました。


    デザイナー 佐藤卓さん は、こんなことを言っていました。


    「ありとあらゆるものは、人に届くとき必ずデザインを経る。」

    (NHK「最後の講義」)


    つまり、デザインとは

    形を作ることだけではなく


    いろんなものや、ことの、意味をつなぐこと、だと言ってもいいのかなあと思いました。


    風の電話は、通信機能はありませんが


    でも

    • 電話ボックス

    • 受話器

    • 一対一の空間


    この 行為のデザイン によって、つながっていないものをつなげる意味を持たせることができる。


    技術はゼロでも意味は最大。


    ここに、イノベーションの面白さがあるなあと、改めて思いました。


    3、思いは時空を超える


    芸術家や哲学者は、昔から「思いは時間を越える」

    と言い続けてきましたように思います。


    詩人 リルケ はこう書いています。


    「愛する者は、死者であっても私たちの中で生き続ける。」

    (『若き詩人への手紙』)


    人間の記憶や感情は、時間に閉じ込められません。


    だからこそ、亡くなった人にも電話をかけることもできる。


    そしてそれは、ただの感傷ではなく


    人間の精神の構造そのもの


    なのかもしれないと思いました。


    我々は、いろんなものや人の、かけらでできている。


    だからもしかしたら、そのかけら達と、改めて会話をしているのかもしれないなと。


    これまで、接続できなかった、かけらたちと、新しいつながる意味を与えることで、改めて会話をすることができるようになるのかもしれないなと。


    このイノベーションは


    人の心の奥にあるかけらの関係を、

    そっとつなぎ直すこと


    なのかもしれません。


    風の電話は、

    そんなことを教えてくれる


    とても静かで

    とても深い


    イノベーション


    なのだと思いました。


    一言で言えば

    つながっていないからつながるノベーション


    そんな話をしています


    参考:NHK 週末のNスペは...それからの、風の電話

    3月7日(土)


    16 min
  • 大地の子ノベーション(1783回)

    山崎豊子さんの命を賭けたと言われる名作、大地の子の、舞台を観て、心から魂が打ち震えました


    私は以下のことを思いました

    1、我々は誰の子なのか?

    2、我々はどこに還るのか?

    3、共感力を発動させられるか?


    1、我々は誰の子なのか?

    この大地の子と言うタイトルは、本当に深く考えさせられました


    どの国に生まれ、どの国に育ち、誰から生まれ、誰に育てられたのか?それは、そんなに大切なことなのか?と思ってしまいました


    私は世界20都市でオープンイノベーションコンテストを主催してきて、5大陸を巡りながら、様々な国の人たちとお会いして、お食事をして、ビジネスについてたくさんお話ししできました


    その時に感じたのは、どの国の人でも、どんな風習、風土の人たちでも、みんな話せばおんなじなんだなということでした


    もちろん、国があって、風土が違って、文化が違って、それがとても面白いと思います。そしてみんなが、大地は1つ。自分が大地の子であると、思えればだなぁと思いました。


    2、我々はどこに還るのか?

    大地から生まれた子は、大地に還る。そしてその大地から、草木が生まれて、花が咲いて、虫が集う。


    そこに動物たちも集って、いつしか木々が育って、森になる。その森から生まれた恵みを、大地の子が頂いて、恋に落ちて、新たな生命が生まれて、そして大地に還っていく。


    そんな当たり前のことを、想像するだけで、とても幸せな気持ちになれるような気がしました


    人は1人で生まれて1人で死ぬのだ


    それは真実だと思いますが、全てが繋がっていることも、真実だと思いました


    3、共感力を発動させられるか

    イノベーションを行う上では、共感力がとても大切と言われます


    デザインシンキングをする時にも、そこに本当のペインのある人をいかに炙り出せるか、が求められると思います


    コンサルをしていた時には、「それで、お前は、実際に現場でユーザーになったのか?!」とよく怒られました


    ユーザーヒアリングをして、机上で付箋紙を貼って、ホワイトボードに書いて、議論をしているだけでは、とてもじゃないけど、本当の痛みは、わからないよなあと、限界を感じることがあります


    今回、舞台を見させていただき、奈緒さんの鬼気迫る叫びと、そして無感情と、その起伏に、まるでその時代のその場に居合わせているかのような、思いを味わいました


    演劇は、その時その場の感情を、ある意味、本当のこと以上に、真実に近づくことができるのだなあと、思ってしまいました


    哲学者リチャード・ローティは、小説や物語が、人の痛みを理解する力を育てる「感情教育」の役割を持つと語っています。


    まさにそんな感じを覚えました。


    山崎豊子さんは、本小説を書くために、現地現場に赴き、何人もの現人にインタビューをして、真実を炙り出そうとしたそうです


    畑村洋太郎さんの言われる、三現主義そのものだと思います


    イノベーションにおいても、三現主義、そして、他の人々に、共感力を発動させるための伝え方、これがとても大切だと思い知りました


    ということで一言で言えば

    大地の子ノベーション


    そんな話をしています


    参考:舞台 大地の子 原作 山崎豊子『大地の子」脚本•マキノノゾミ 演出・栗山民也 出演 井上芳雄 奈緒 上白石萌歌 ほか 主催・制作 明治座 東宝

    20 min
  • 前に進もうとする力ノベーション(1782回)

    先日のミラノ・コルティナパラリンピックの開会式で

    とても心に残る言葉に出会いました。


    世界で初めて車いすユーザーとして宇宙飛行を実現したエンジニア ミヒャエラ・ベントハウスさんの言葉です。


    曰く

    「宇宙エンジニアなので、物理法則からなぜ私たちは落下するのか、どうすれば飛べるのかが分かることは知っています。

    でも私たちが絶えず前進しようとする力の説明はできません。」


    そしてもう一つ。


    「それぞれの夢は違いますが、中核は同じです。

    誰もが障害を見るのではなく、成し得たこと、そして可能性を認めてもらいたいんです。」


    (参考:NHK総合

    ミラノ・コルティナパラリンピック開会式

    2026年3月7日放送)


    私は以下の3つのことを思いました

    1 人間を前に進ませる「説明できない力」

    2 常識を打ち破る「可能性」を見る視点

    3 夢の形は違っても「核」は同じ


    1 人間を前に進ませる「説明できない力」


    科学は多くのことを説明できます。


    なぜ落ちるのか。

    どうすれば飛べるのか。


    でもベントハウスさんは言います。


    「前進しようとする力は説明できない」


    これは哲学でも語られてきたテーマです。


    ドイツの哲学者

    ショーペンハウアーはこう言いました。


    「世界の本質は意志である」


    つまり

    理屈よりも先に

    「生きよう」「進もう」という力がある

    という考えです。


    イノベーションも同じだと思います。


    技術や理論より先に


    どうしてもやりたい


    という

    説明不能なエネルギーがある。


    それを私は情熱(パッション)と呼んでいます


    実は

    そこが、すべての始まりなのだ、というっている気がしました


    2 常識を打ち破る「可能性」を見る視点


    ベントハウスさんは

    こうも言っています。


    「誰もが障害を見るのではなく、成し得たことと可能性を認めてもらいたい」


    これは

    心理学の世界で言う


    リフレーミング(見方の転換)


    とも言えるかもしれません


    つまり


    同じ状況でも

    どう見るかで世界は変わる


    情熱のポートフォリオでいうところの、あくなき成長パッションであり、唯一無二の個性派パッション、そして大好きパッションなのかと思いました


    イノベーションとは

    常識を打ち破ること


    人間がいかに常識を超えていくのか


    それこそが、パラリンピックの舞台なのかもしれない


    そんなふうに思いました


    3 夢の形は違っても「核」は同じ


    ベントハウスさんは言いました。


    「夢はそれぞれ違うが、中核は同じ」


    その中核は、情熱(パッション)の源に他ならないと思いました


    夢の形は違う。


    宇宙に行く人もいれば

    会社を作る人もいる。


    舞台に立つ人もいれば

    研究を続ける人もいる。


    でもその核には


    どんな状況下に置かれたとしても、人間の可能性を信じる力、自分の情熱の源に従おうと突き進む力


    がある。


    重力の法則は

    物体を下に引く


    でも


    人間の中には

    前へ進もうとする力


    がある。


    もしかしたら

    それこそが


    人間の力の本質なのかもしれません


    一言でいうと


    前に進もうとする力ノベーション


    そんな話をしています


    参考:ミラノ・コルティナパラリンピック◆開会式2026/ 3/ 7(土) 地デジNKK総合・東京

    12 min
  • 階段を登り続けるノベーション(1781回)

    世の中には、成功の物語がたくさんありますが


    でも私は、

    まだ成功していない挑戦の物語に、

    とても心を動かされました


    テレビ東京「ガイアの夜明け」で、

    下町ボブスレーの挑戦を続ける

    マテリアル社長 細貝淳一さんの言葉に胸を打たれました。


    曰く


    「悔しい気持ちを持ちながら、俺は前に進んでいけばいいんだし。

    ようやく俺たちは1つずつの階段を上って、最後の階段だけ残してんだよ。

    じゃあそれをやるのかやらないのかっていうのは、自分たちの意思次第でしょ。」


    (参考:テレビ東京「ガイアの夜明け 不屈の町工場!下町ボブスレーのDNA」2026/3/6より)


    この言葉の中に、私はイノベーションの本質を見た気がして、以下のことを思いました


    1、悔しさは創造の燃料になる

    2、イノベーションは階段を登る仕事

    3、最後の一段は続けてる中にある



    1、悔しさは創造の燃料になる


    挑戦がうまくいかなかった時、

    普通はそこで諦めたくなりますが


    でも細貝さんは


    「悔しい気持ちを持ちながら、前に進む」


    と言われてることに感動しました


    心理学者のアンジェラ・ダックワースは、

    長期的な成功を生む力を


    グリット(やり抜く力)


    と呼びました。


    「情熱と粘り強さの組み合わせが、長期的達成を生む。」

    (アンジェラ・ダックワース『GRIT』)


    つまり、

    悔しいと思い続ける気持ちが、次の挑戦を促してくる


    これは私がいつもお話しする、情熱のポートフォリオにおける、成長・脱出パッションだと思います


    ここに火がついた人は、相当な遠くまで飛べる可能性があると思います


    つまり、イノベーションというのは、実は失敗続きの先に


    悔しさの中から生まれる


    それは強いパッションの賜物だと思いました


    2、イノベーションは階段を登る仕事


    細貝さんの言葉で、私が特に好きなのが


    「最後の階段だけ残してる」


    という表現です。


    ニーチェは、偉大なものは完成ではなく「生成の過程」に宿るという趣旨のことを述べています。

    (ニーチェ『力への意志』など)


    つまり、

    創造というのは完成した瞬間ではなく、


    登り続けている途中


    に宿る。


    下町ボブスレーも、

    最初から世界と戦えたわけではありません。


    何度も失敗して、

    何度も作り直して、


    一段ずつ階段を登ってきた。


    イノベーターというのは、


    革命ではなく

    奇跡でもなく


    階段を登り続ける人


    なんだと思います。


    そして階段を登ること自体が、ワクワクして、楽しくて仕方がない


    そんな人なのかなあと思いました


    3、最後の一段は続けてる中にある


    そして細貝さんは、最後にこう言います。


    「やるかやらないかは、自分たちの意思次第」


    ここが、ものすごく大事なところだと思いました。


    芸術家の岡本太郎はこう言っています。


    「芸術は爆発だ。」


    この言葉は有名ですが、

    実はその背景には


    常識を壊す覚悟


    があると感じています


    創造の最後の鍵は、

    技術でも資金でもなく


    覚悟にあると言ってもいいかもしれません


    最後の一段を登るかどうか。


    そこに、

    挑戦者のすべてがかかっている。


    秋元康さんが以前、

    「あと1ミリで届くところまで来ているのに、諦めてしまう人が多い」という趣旨の話をされていたのを思い出しました。


    それを諦めないためには、どれだけパッションの源に火がついているか、そして、それをワクワクして続けられているか、なのかもしれないなと思いました


    イノベーションは、


    天才が突然

    世界を変えることではなくて、


    悔しさを抱えながら

    階段を一段ずつ登り続けていくこと


    でもその登り続けていることがワクワクして仕方がない


    それだけでいいのではないかとさえ思わせて頂きました


    ということで、一言で言えば


    階段を登り続けるノベーション


    そんな話をしています


    (参考)テレビ東京「ガイアの夜明け 不屈の町工場!下町ボブスレーのDNA」2026年3月6日放送

    16 min
  • お互いに苦をなくしていくノベーション(1780回)

    以前、私は

    「まず矢を抜けノベーション」という話を書きました。


    お釈迦さまの教えにある

    「まず矢を抜け」


    つまり

    哲学的な議論より先に

    まず目の前の苦しみを取り除くことが大事だという教えです。


    寳幢寺(ほうどうじ)の僧院長・松波龍源さんからの教えでしたが


    さらに、イノベーションの本質にも通じる、とても深い言葉を教えていただきました。


    松波龍源さんは、番組の中でこう語っていました。


    曰く


    「自分自身のこととしては、苦から離れて楽を得ていきましょう。

    他者に対しては苦を抜き、楽を与えましょうということ。

    そこにお互いにですね苦というものがないような関わり方をするっていうのが慈悲という考え方なんだと思います。」


    (参考:NHK ETV特集

    「それ、仏教かも。〜謎の寺・寳幢寺の実験〜」2026/2/28)


    この言葉を聞いて、私は3つのことを思いました。

    1 イノベーションは「苦を抜く」ことから始まる

    2 他者の苦を感じる力が、新しい価値を生む

    3 競争ではなく「苦を減らす関係」が未来をつくる


    ⸻


    1 イノベーションは「苦を抜く」ことから始まる


    イノベーションというと、

    新しい技術

    すごいアイデア

    巨大なビジネス


    そんなイメージが先に立ちます。


    でも仏教の原点は、とてもシンプルです。


    「苦をなくす」


    実はこれは、現代のイノベーション論と驚くほど一致しています。


    経営学者

    クレイトン・クリステンセンはこう言っています。


    「人々は製品やサービスを“雇う”のは、

    自分の抱える問題を解決するためである。」


    つまり

    人は問題(痛み)を解決するために価値を求める。


    ベンチャー企業のプレゼンでよく聞くのは、自分自身の体験として、痛みがあり、それをなんとかしたいというところから始まりました。ということです。


    私がお話ししている。パッションの源の中では、特に、成長・脱出パッションというのは、自分自身の中にある痛みをなんとかしたいという思いから、情熱が迸る。それはすごく強い情熱にもなると思います。


    仏教は2500年前に

    イノベーションの本質を言っていたのかもしれません。


    苦を抜くこと。そこに情熱が迸る


    そこからすべては始まるのだと思います。


    2 他者の苦を感じる力が、新しい価値を生む


    仏教では

    慈悲とは


    苦を抜き、楽を与えること


    と説明されます。


    これは実は

    哲学や倫理学でも重要なテーマです。


    哲学者ショーペンハウアーはこう言っています。


    「同情(compassion)こそが道徳の基礎である。」


    つまり

    人間の倫理は


    他者の苦を感じ取る力


    から生まれる。


    イノベーションも同じだと思うんです。


    誰かの不便

    誰かの不安

    誰かの孤独


    そこに気づく人が

    新しい価値を作る。


    これもベンチャー企業のプレゼンで多いのは、特に肉親の方の痛みをなんとかしてあげたいという気持ちから、という話をよく聞きます


    中には、情熱のポートフォリオにおける、利他パッションが強い方は、ボランディアなどを積極にされている方がおられると思います


    先日も、お話ししましたが、アフリカの貧困層をなんとかしたい。そんなパッションの方々もいらっしゃいます


    テクノロジーより先にあるのは

    共感なのかもしれません。


    ⸻


    3 競争ではなく「苦を減らす関係」が未来をつくる


    現代社会はどうしても


    勝つ

    負ける

    奪う

    競争する


    という構図になりがちです。


    でも仏教の慈悲は少し違います。


    「お互いに苦がない関係を作る」


    これは、実は社会哲学にもつながる考え方です。


    哲学者マルティン・ブーバーは


    「人間は“我―汝”の関係の中で真に存在する」


    と言いました。


    相手を手段ではなく

    存在として尊重する関係。


    その関係の中で

    人は本当の意味で創造する。


    だから私は思うんです。


    本当に強いイノベーションは


    誰かを倒すことで生まれるのではなく

    誰かの苦を減らすことで生まれるのかもしれないなと


    ⸻


    技術が進んでも

    社会が進んでも

    最後に残る問いは

    とてもシンプルなのかもしれません。


    この世界の苦を、少しでも減らせているか。


    全世界一世帯あたり一法人化の話をたまにしますが、それも、一世帯一世帯が、誰かの痛みを減らそうとする、そんな世界ができればいいなあと思ったりもしています


    と言うことで、


    一言で言えば、

    お互いに苦をなくしていくノベーション


    そんな話をしています


    参考: NHK  ETV特集 それ、仏教かも。~謎の寺・寳幢寺の実験~ 2026/2/28 

    17 min
  • 回り道ノベーション(1779回)

    回り道って、無駄だと思ってしまうことがあります。


    でも実は、

    回り道こそが、その人のオリジナリティをつくるのかもしれません。


    歌舞伎俳優の 中村獅童 さんの話を聞いて、そんなことを思いました。


    曰く


    「ロックやファッションが好きだった中村獅童少年が、歌舞伎を見てレポートを書いているうちに、自分が好きな要素は全部歌舞伎の中にあるんだって気づいちゃったんですよね。」

    (NHKアカデミアでの発言要旨)


    ここから私は、3つのことを思いました。


    1、パッションの源に生きる

    2、回り道に意味がある

    3、それがオリジナリティになる


    ⸻


    1、パッションの源に生きる


    中村獅童さんのお父様は歌舞伎役者でしたが、すでに役者を辞められていたそうです。


    そんな中、学生時代の獅童さんは、ロックやファッションに傾倒していたと知りました。


    それは、自らの生い立ちよりも、

    自分のパッションの源に忠実に生きていたということなのかもしれません。


    でもそれが結果として、

    今の獅童さんのワイルドで型破りな芸風につながっているようにも思います。


    それはまるで、会社の中で役割に縛られず、

    自分のパッションの声に従って新しい事業を生み出していく

    社内アントレプレナーの姿にも重なる気がしました。


    ⸻


    2、回り道に意味がある


    そう考えると、一見回り道をしていたようにも見えます。


    でも、その回り道こそが

    今の獅童さんのキャラクターを作っているのかもしれません。


    私たちもよくあります。


    会社にいると、自社の強みが見えない。

    地元にいると、地元の魅力がわからない。


    でも一度外に出たり、

    違う世界を経験したりすると、


    「こんな価値があったんだ」


    と気づくことがあります。


    イノベーションの世界でも

    **Fast Fail(早く試して早く学ぶ)**という考え方があります。


    行動して、失敗して、また挑戦する。


    その繰り返しが、

    結果としてゴールを近づける。


    つまり


    回り道には意味がある。


    そんなことを思いました。


    ⸻


    3、それがオリジナリティになる


    回り道をするということは、

    その分だけ経験が増えるということでもあります。


    それは、

    異なるものの組み合わせから新しい価値が生まれるという


    経済学者

    ヨーゼフ・シュンペーター

    のイノベーション論にも通じるように思います。


    回り道をしたからこそ

    その人にしか見えない景色がある。


    回り道をしたからこそ

    その人にしかできない挑戦が生まれる。


    それは遠回りではなく


    自分自身に近づくための道だったのかもしれません。


    何歳からでも

    これまでの回り道があるからこそ


    これからの挑戦は

    あなた独自の物語になっていく。


    ⸻


    一言で言えば


    回り道ノベーション


    そんなことを思いました。


    参考 NHKアカデミア

    中村獅童(前編)歌舞伎に魅せられた“かぶき者”3月4日(水)午後10:30

     https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-XW1RWRY45R/ep/QLV1KRW34V



    16 min
  • 子どもに罪はないノベーション(1778回)

    大阪の公立の小中一貫校(田島南小中一貫校)が行っている

    「生きる教育」に、感動で打ち震えました。


    小野先生の言葉が、胸に刺さりました。


    「いい子悪い子とか絶対言ったらあかんなって。

    環境が操作してて、この子に何も罪ない。

    っていう話を納得できたので、じゃあ環境で逆に言ったら、いかんではなんとかなるんやろっていうことも感じましたね。」


    (参考:NHK Eテレ「生きていく力を、君たちへ」2026年3月1日)


    この言葉から、私は3つのことを思いました。


    1、真の課題を探る

    2、逆転の発想

    3、パッションと覚悟


    1、真の課題を探る


    この言葉に至る前に、先生たちは、山梨県立大学大学院特任教授(臨床心理学)の西澤哲さんのセミナーに何度も通い、質問を重ねていたそうです。


    表面的な問題の裏には、必ず構造があります。


    イノベーションでも同じです。


    目の前の問題をモグラ叩きのように解決しても、次から次へと新しい問題が出てきます。


    その時、本当に問うべきなのは


    「そもそも何が問題なのか」


    という問いです。


    先生たちは、その問いを諦めずに追い続けたのだと思いました。


    2、逆転の発想


    環境が子どもに影響を与える。


    そう考えると、学校が関われるのは人生のほんの一瞬。

    そう思ってしまいそうです。


    でも先生たちは、逆にこう考えた。


    「環境が作用するなら、環境を変えればいい」


    これはまさに逆転の発想だと思いました。


    イノベーションの世界でよく言われる

    センターピンを倒す

    という考え方にも通じます。


    全部は変えられない。

    でも、重要なピンを一つ倒せば世界は動く。


    そんなことを思いました。


    3、パッションと覚悟


    「生きる教育」は、すべて先生たちの手作りです。


    学び、議論し、試し、また考える。


    例えば


    ・プライベートゾーンの良いタッチ悪いタッチ

    ・国連の子どもの権利

    ・DVにおける加害者心理


    など、専門家の西澤先生も驚くほど画期的な内容になっているそうです。


    そこにあるのはただ一つ。


    子どものペインをなんとかしてあげたい。


    その想いです。


    先生のパッションから始まり、

    仲間の先生たちと共に、

    子どもたちの痛みを解消しようとする大義へ広がっていく。


    これはまさに

    イノベーターズ・リップルモデル

    そのものだなあと思いました。


    イノベーションは

    起業家や大企業や研究機関の特権ではありません。


    誰かが

    誰かの痛みを

    なんとかしてあげたい


    その思いから始まるものです。


    先生が子どもたちの痛みに本気で向き合ったところから始まった

    「生きる教育」。


    そこに、イノベーションの原点を見た気がしました。


    ということで、一言で言えば


    子どもに罪はないノベーション


    そんな話をしています。


    参考:NHK Eテレ「生きていく力を、君たちへ」2026年3月1日

    20 min
  • 否定の技術ノベーション(1777回)

    ネクストコアテクノロジーズの金清裕和CTOの言葉に、イノベーションの本質を感じました。


    曰く


    「やっぱりね、常識にとらわれないことだと思います。今まであった既存の流れの中で開発してたのではダメ。そこ一旦否定してないと。


    俺はこれに携わってないからこの局面でやったら違うデータ出てくるんじゃないのって思う。否定ですね。否定から入らないとダメだと思います。」


    (参考:テレビ東京「ブレイクスルー」File.082

    ネクストコアテクノロジーズ・金清裕和CTO

    2026/2/28放送)


    この言葉を聞いて、私は 3つのことを思いました。


    1、進歩は「否定」から始まる


    普段の会議の中でことごとく否定から入る人は、なかなか嫌われる傾向があるかもしれません。また、デザインシンキングの中で、心理的安全性を作ろうとしてるのに、否定しないでください、みたいなこともある気がします


    否定というのは、実生活の中では、なかなか言いにくいし、何か悪いことのような印象もあるのではないでしょうか?


    でも実は、否定があるからこそ進歩がある、というお話は、芯を食った話だなあと思いました


    科学哲学者のカール・ポパーは、科学の進歩についてこう述べています。


    「科学的理論は決して証明されない。

    ただ反証されうるだけである。」


    つまり科学とは、正しいことを証明する営みではなく、間違いを見つけ続ける営みだといわれています。


    この考えは、シリコンバレー発のさまざまなイノベーションの、たとえばリーンスタートアップ、ファストフェイル、デザインシンキングなどの元になったのでは?という話もあるようです


    問いを持つ、ということは、否定をするということに、ある意味、通じるところがあると思います


    もし「これは絶対正しい」と思った瞬間、

    そこで思考は止まってしまう


    イノベーションとは、当たり前を疑うこと。前提を問い直すこと。


    この否定するという技術を、いかに実生活の中で習得できるかどうか、これが実はとても大切なのかもしれない、そんな風に思いました


    2、創造とは「壊す勇気」


    ベンチャー企業は、デイスラプティブであるからこそ、イノベーティブである、ということが言えると思いますが


    壊すということは、既得権益者の最大の否定という側面があるように思います


    それは、間違いなく批判の対象になるし、下手すると押し潰されてしまうかもしれない


    しかしそこに挑むのがイノベーターなので、そこには、間違いなく、勇気が必要になります


    哲学者のフリードリヒ・ニーチェはこう言いました。

    「すべての創造者はまず破壊者でなければならない。」


    常識を壊す。

    前例を壊す。

    安全地帯を壊す。


    新しいものを生み出す人は、必ずどこかで既存の枠組みを壊す瞬間を通ります。


    だからイノベーションには、技術よりもむしろ


    勇気


    が必要なのかもしれないなあと、せいしんろではなく、マインドセットととして、思いました。


    3、否定は「対話」で創造になる


    そのためには、孤独な戦いでは、いつかは折れてしまうと思います。


    そこに、イノベーターズリップルモデルでいうところの、1人のパッションの次のフェーズとしては、仲間を作ることが大切になると思います


    仲間は、作業を分担するだけではなくて、世の中の全てを否定するような、破壊的なパッションを、世の中のたくさんの人たちに良い変化を促す大義なのだと、変換するために、とても大切な要素になると思います


    そして、良き大義ができれば、さらに仲間が増えてきて、イノベーションが高速に回り始める


    そのための対話を、イノベーターは、仲間と共に行うことで、イノベーション、つまり創造へ繋げていく、そんなことかと思いました


    「それ本当に正しい?」

    「違う見方できないかな?」

    「別の可能性あるんじゃない?」


    そんな問いを交わす仲間がいると、


    否定は批判ではなく、

    創造のエネルギーになる


    否定とは破壊ではなく、


    未来を開く最初の技術


    なのかもしれないなと思いました


    ということで、一言で言えば


    否定の技術ノベーション


    そんな話をしています


    参考:テレビ東京「ブレイクスルー」File.082 ネクストコアテクノロジーズ 金清裕和CTO 2026/2/28放送

    17 min
  • ベンチャーの3つの型ノベーション(1776回)

    本日は第10回Startup Emergence Ecosystem(SEE)を終えて、ベンチャー企業には、3つの型があるなあと気付かせて頂きました


    1、まずペインを取る型

    2、人生に乗っかってる型

    3、専門性と技術の実装型


    1、まずペインを取る型

    先日、お釈迦さまの教えの「まず矢を抜け」という話をしたばかりですが、これととてもシナジーのあるベンチャー企業があるのだと思いました


    Dots forというベンチャー企業にご登壇いただいたのですが、アフリカの貧困を救うために、ネットのないところに、安価なデジタルインフラでその地域だけにつながるネットワークを張り


    それを活用しながら、たとえば三輪車を分割で購入してもらって、すぐに仕事になるビジネスを始めてもらい、自立支援と回収をしていく、画期的なソリューションを展開されてました


    これはすなわち、まずはスターリングでネットワークを張ってとかではなく、すぐに立ち上がる自分たちだけでまずはペインを除くことを主眼に行っているからこそ、できるサービスだなあと思いました


    2、人生に乗っかってる型

    RED CLIFFというドローショーで国内No.1の企業の社長は、10年前はドローンを持って世界一周をされていたところから始まっています


    また、Emerというスポーツ選手とファンの新しいパーソナライズされたコミュニケーションを実現するサービスですが、ここの社長は、プロのサッカー選手を目指していたところから、このモデルへ到達していることを考えると


    自分の人生における、蓄積していたペインを、ビジネスにしていく、いわば、人生に乗っかっているベンチャー型と言えるなあと思いました


    3、専門性と技術の実装型

    大学の技術者をなんとかベンチャー企業として実装させる方向に、持っていく、これは王道の日本のベンチャーにおける最大のポテンシャルかもしれないと思います


    コルバトヘルスという企業は、現役のお医者さんを経験し、専門性を身につけた上で、AIをいかに生かしていくかを検討して、心臓年齢という新しいソリューションに昇華させていくという、見事なサービスでした


    死の谷などと言われることもありますが、現場の専門性を活かして、科学技術を社会実装する、それはまさに、1でお話ししたペインをすぐに抜く、ということとは、対極にある発想ですが、すごく重要と思いました


    ということで、今回の第10回SEEは、物凄くバラエティに富んでると同時に、これからが楽しみな、買いになりました


    一言で言うならば

    3つの型ノベーション


    そんな話をしています^ ^


    第10回SEEにお越しくださった皆様、支えてくださってる皆様、ご登壇の皆様、本当にありがとうございました!引き続き、何卒よろしくお願い致します


    第10回の詳細か模様は、別途お知らせしますので、お楽しみに!


    参考:第10回Startup Emergence Ecosystem

    13 min
  • 100万回生きた猫ノベーション(1775回)

    ベストセラーの絵本「100万回生きた猫」の作者の佐野洋子さんからの話から、人生のあり方とイノベーションの関係についても、考えさせられました。


    佐野さんはこの本について以下のように語っています


    曰く

    "この猫はただ 1回だけ生きたっていうことです。誰だって何百回もなんか生きられないですよね。


    で、どんな人も 1回しか生きないって非常に平凡なことが大事だっていうことを私は言いたかったんだ。


    人間はただ 1回生きてもし生きるんだったらば、人を愛して、それで死んでいけば、それだけで良い


    っていう非常に簡単なメッセージだったと思うんですけども。"

    (ラジオ音源「自作を語る」1987年5月放送より)


    ここから私は思いました


    1、自分の人生を生きる

    2、自分で誰かのために生きる

    3、100万回の仮説検証


    1、自分の人生を生きる

    いつもイノベーションワークショップなどの際には、自分軸と他人軸の話をします。


    何故かというと、イノベーションには、問いを立てるという行為が必要で、それは、自分軸の中からしか生まれないからです。


    私は会社生活をかれこれ30年以上過ごしてきましたが、あまりに忙しい時などは特に、会社のため、お客様のためが第一で、自分のためは、どっかにいっちゃってる時もたくさんありました


    会社の生活にあまりにも浸かりすぎてしまって、会社のミッションのお客様第一が、自分の人生をさしおいてでも、お客様第一、みたいなところまで、よく行っていたような気がします


    イノベーションワークショップでは、自分軸と他人軸をベン図を書いて、各々の象限を埋めていって、その交わりに、イノベーション案件を創発する鍵があると、進めています


    一度しかない人生においては、自分の人生を生きることを、意識していないと、いつのまにか、搾取されて時間が過ぎる。それはとてももったいないことだよなあと、思い出させて頂きました


    2、自分で誰かのために生きる

    面白いのは、じゃあ自分のために生きる、ということで、勝手気ままに自分勝手に生きるということだと、またうまくいかないというところだなあと思います


    それは、自分で選択するのだけれども、自分の人生として、他の誰かのために生きるということが、実は生き甲斐を持つためには大事なんじゃないかということです


    佐野さんはそれを愛と言われているような気がしました


    またこれは、イノベーターリップルの自らのパッションの源から始まり、それが仲間を通じて、世界の多くの人が喜んでくれる大義として、成長していくことが、真のイノベーションであることと同様に


    自分で選択して、自分の意思として、誰かを幸せにする、それこそが愛であり、イノベーションの大義と、とても同じ構造をしてるなあと感じました


    3、100万回の仮説検証

    教育者の森信三さんが「人生二度なし」と言われていたように、何度も人生はやり直せないけれども、一度の人生の中でも、仮説検証なら、100万回だってできると思いました


    そうしながら、真の自分の人生に近づいていく、真の愛に近づいていく、それが生きがいのある人生なのではないかと思いました


    それはまるで、イノベーションにおける、リーンスタートアップのように、FastFailをしながら、少しずつ近づいていけばいい


    そしてそれは、大きく花開くことはないかもそれないけれども、ひたすら地道に平凡に進んでいく、それが、100万回生きるより、100万ドル稼ぐより


    安らかで満足できる生き方なのかもしれないなあと、思わせて頂きました


    ということで

    一言でいうと


    100万回生きた猫ノベーション


    そんな風に思いました^ ^


    参考: NHK Eテレ東京 100分de名著

    絵本スペシャル (1)佐野洋子「100万回生きたねこ」

    3月2日(月)午後10:25 「※放送日時は変更の可能性あり


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