「落としぶた」というのを説明できますか? では「びっくり水」はどうでしょう?
「落としぶたってどんな豚肉ですか?」とか、本に「落としぶた」と書いてあったので「豚肉の薄切りを1枚入れました」とか。
これホントの話。
「落としぶた」というのは、調理中の煮物に乗せる蓋のことです。
鍋の中の汁を効率よく対流させることができ、煮物がおいしくきれいに仕上がります。
「びっくり水」というのは、麺類をゆでる時、ふきこぼれを防ぐためお湯の中に水を差すことです。「差し水」とも言います。
「びっくり水はどこに売っていますか?」という質問も結構ありますが、水道の水で大丈夫です。
メーカーの味の素の調査では、未就学児で料理の手伝いをする子は、全体の半分以上。
ところが、中学生になると、男子6%・女子8%。1割にも満たないという結果です。
親も部活や塾で忙しいからと手伝わせないそうです。
中学生ぐらいですと、包丁も火も自分で使え、料理の本も読めます。
この時期にやってないから、先ほどの「びっくり水」や「落としぶた」のような質問が出てしまうわけですね。
1986年に出版した『調理用語辞典』が、この2月、大幅に見直され最新版の『総合調理用語辞典』となりました。
この四半世紀で食にまつわる事情が大きく変わっています。
「スローフード」や「こしょく」「食育」「メタボリックシンドローム」など、当初のものにはありませんでした。
高度成長期以来、日本人の食生活は、手軽さや便利さがもてはやされ、その分、調理への関心や感動が薄れてしまったように思います。
このような今だからこそ、調理という原始的な行為を見直すべきではないでしょうか。
『総合調理用語辞典』に関するお問い合わせは、
全国調理師養成施設協会(電話03-3374-5381)です。
全国調理師養成施設協会のホームページ http://www.jatcc.or.jp/index.html