年末。
世の中が静まり返るころ、農場だけは変わらず朝を迎える。
牛は生きていて、仕事は止まらない。
船方農場の大晦日。
ボスと二人、牛舎の片隅でこの一年を振り返りながら、
「派手じゃないけど、淡々と続けること」について話した。
マイナス5度の朝、凍りつく搾乳パイプ。
牛の脱走から始まった元旦。
ダイヤモンドダストのように光る冬の牛舎。
そして、フォークの刃はなぜ4本なのか、という話。
失敗を重ねて、削ぎ落とされ、
機能を追い求めた先にだけ現れる“美しさ”。
それは道具も、仕事も、農業も同じかもしれない。
放牧への挑戦、うまくいかなかった牧草、
それでも続けることで見えてきた輪郭。
「ただの農業会社ではなく、コミュニティであること」。
その問い直しの一年の終わりに、
来年、私たちが見つめたいのは“食卓の風景”だった。
静かな年末の記録。
変わらない日常の中にある、確かな前進の話。