今回はニコニコ動画回の後編として、前回( https://spoti.fi/3Mo8BYO )の内容を踏まえた2022年的ニコニコ動画文化を、イントロクイズ出題者の視点も絡めながら考えていきます。
まず本題に入る前に、この回から参加するナルのニコ動遍歴を確認。
そこで挙がるジャンル/タグは、前回キョンが挙げたものとかなり近い様子。
そして同様に、時が経つにつれ徐々に見る頻度が減ってきたことも確認します。
キョンは見る頻度は減ったと語るものの、「音MAD」動画のような現在でもニコ動で盛んな動きがあるものに関しては見るとのこと。ここでソキウスが挙げるような、こういった「ならでは」なものに現在でのニコ動の独自性を見出すという考え方は一つの可能性としてあります。
続いてソキウスは今回の対話の大きな方向性を明確にしようと、いくつかの数値データを引き合いに出します。
一つ目は、「動画サービスの認知率・利用率」。[モバイル社会研究所 2021]
この調査の結果によると、2021年時点でのYouTubeの認知率が「95.9%」、月1以上の利用率が「64.6%」。対して同時点でのニコニコ動画の認知率が「79.3%」、月1以上の利用率が「8.3%」という値。
二つ目は、ニコ動を運営する親会社であるKADOKAWAが発表しているデータを時系列順にまとめたもの。[ておりあ 2021]
こちらの結果では会員数は単調増加。ただしこれはニコ動のサービス形態の実状を考慮する必要があります。それを裏付けるものとして、プレミアム会員数やアクティブユーザー数は2016年頃をピークに減少傾向。
これらのデータに対してはナルもキョンも、「おおよそそんな感じだろう」なという感想。自身がYouTuberにハマりだした時期を考えるとその結果により納得がいくようです。
【参照:YouTuber/Podcaster回( https://spoti.fi/3rIH39G )】
この回の前半部分の総括として、ここからは我々なりに2022年的ニコニコ動画との向き合い方を考えてみました。
【参照:リアタイ/後追い回( https://spoti.fi/3soo2aQ )】
ソキウスは始めにナルに「ニコ動文化の影響は『今の』自分に影響を及ぼしているか」と質問。それに対しナルは「ほとんど無い」と言い切ります。かつてはYouTubeと並行で見ていたのでその影響はあったとのこと。
同様の質問をキョンにも投げかけると、音MADからの影響として「DJ的」な感性の存在を挙げました。
ニコ動文化からの現在の(自身が直接感じた)影響をかなり限定的な形で答えたキョンとナル。
この答えを聞いたソキウスは、場合によっては自身がその影響を明確に意識していない領域がある可能性も考え、イントロクイズ出題とニコ動文化の影響を結びつけて再度問いを投げかけます。
「たまにある」というナルの回答にソキウスは、そのような要素は「皆に通じる話題」かどうかをナルに質問。これにナルはそういった動画が皆に通じるとまでは思わないので「紹介」程度に盛り込むと答えます。
ソキウスは、その「紹介」の仕方は(イントロクイズ的な)ジャンル限定の場のとき、特にニコ動文化と直接的に繋がっているとまでは言えない「J-POP」限定の場のときだとどうなるのかをナルに問います。
【参照:「J-POP」限定イントロの会/回( https://spoti.fi/3fu3dWr )】
ナルは「J-POP」限定の場だと、「どちらかというと少ない」とのこと。対照的にアニソンジャンル限定だと、ニコ動文化に触れる可能性が高くなると答えました。
ソキウスはこのジャンル限定での場の話を受けて、今度は「オールジャンル」出題の場だとどうなるかを尋ねます。
ナルは「オールジャンル」出題の場だと、J-POPの場とアニソンの場の間にある「ちょうどいい比率」のところでニコ動文化を織り込むようです。
ここでソキウスはナルにもう一点、「J-POP」限定の場でナルがニコ動文化の要素を盛り込む度合いを少なくする、その理由を問います。
ナルは自身の見ている動画が「アニソン系に偏っている」ことを理由に挙げますが、ソキウスとしてはニコ動文化とアニメ・ゲーム文化とには親和性が高いだろうという点にそのナルが挙げた理由は含まれるという考え。先ほどの答えに補足する形でソキウスは、ジャンルによって区別される様々なイントロクイズ的場が持つ違いをより強調します。
ニコニコ動画由来で知った音楽が多いこともあり、イントロクイズの場でニコ動の存在を挙げることが他の人よりも多いだろうと回答。
どのような性質の場であってもニコ動の要素を入れ込む可能性が高く、「自分の軸として」ニコ動が存在しているキョンとしては、「全員に伝わるかどうかは定かではない」が「自分が伝えたいなと思った」ものは出題の際に言及しています。
この回答を受けてソキウスは、先ほどナルが挙げたような要素はキョンにとってほぼ無いものなのかを尋ねます。
キョンは「場は選ぶかも」とした上で、その例として参加者の年齢層が自身より上の場合を挙げますが、やはりキョンはニコ動をきっかけに楽曲の存在を知ったことそれ自体に「出題価値」が生まれる可能性を強く感じているので、場は選びつつも言及はするだろうとのこと。
【参照:「出題価値」回( https://spoti.fi/3lMtthD )】
キョンは、自身が持つニコ動由来の楽曲経験が参加者のそれとの間に「ギャップ」を生む場合、その「ギャップ」に価値を見出しており、仮にそのニコ動経験に共通了解が得られなかったとしても、「自分と同じような考えを持っている人がいたら嬉しい」と感じています。
ここでソキウスは、以前の回で挙がった「善いイントロクイズ出題者とは何か」という倫理的な論点を引き合いに出し、このキョンの「ギャップ」に対する態度は、イントロクイズ出題者における倫理的な問いを進めるかもしれないと提示。
【参照:音源量回(後編)( https://spoti.fi/3637Nco )】
またそのような態度は、以前から挙げている「参加者の反応をうかがう」ような出題スタイルとは「喰い合わせ」が悪くなる可能性を指摘します。
【参照:出題者回(前編)( https://spoti.fi/2STzBJQ )】
キョン自身も「多少異なるもの」があるだろうと認めていますが、出題者としての「自身の色」の独自性を示すために、「ある程度は織り交ぜたい」ものとしてこの2つを捉えています。
これを聞いてくださった皆さんは、イントロクイズのような半ば公共的な場で、自身が(ニコニコ動画、またはそれ由来のものに限らず)ある文化の影響を言及するときにどのような態度を取るでしょうか?
毎回最後に1分以内で今紹介したい1曲を持ち回りで語ってもらう「本日の一曲」。
今回はナルが、ニコ動きっかけ(?)で熱が再燃した楽曲を紹介。
ニコニコ動画/ニコ動独自の文化/動画サービスの認知率・利用率/プレミアム会員/特定の文化とジャンル限定の場との関係/出題価値/倫理/「ギャップ」/『閃乱カグラ』
モバイル社会研究所, 2021, 『モバイル社会白書2021年版』, NTTドコモ モバイル社会研究所, (2022年4月23日取得,https://www.moba-ken.jp/whitepaper/wp21.html).
ておりあ, 2021, 「ニコニコの利用状況データの推移をまとめた」, 駄, (2022年4月23日取得,https://theoria.hatenablog.com/entry/2021/05/13/034502).