ざっくり明確な違いを言えば、馬の扱いが人間の選手同様の“競技者”として丁重なのか、フェンシングのサーブル(刺突剣)や拳銃等と同じ“道具”なのかの差があります。
その為、同じ馬を扱う競技であっても、馬術の選手にとって馬は相棒であり、その体調管理や手入れは、選手自身で行なってます。勿論、競馬同様に裏方として厩務員や獣医、装蹄師がチーム組んで、競技に参加する馬を、いつでもベストコンディションに仕上げて試合に臨む訳だし、総合馬術は馬場→クロカン→障害飛越の3種目を一頭の馬と騎手一人で挑む競技なので、競技毎のメンテに余念がありません。
対して近代五種の馬術は、あくまで選手の騎乗技術だけを競ってるので、競技場で用意された馬とは、ほぼ初対面で挑む為、現場で用意された馬に、それこそ乗馬経験初心者クラス状態で御しろという無茶振りもある訳です。それ故に参加する選手にとっては、他の種目は優秀でも、普段の練習で馬の騎乗経験が乏しく、障害馬術は不得手という人の方が圧倒的であり、また、競技開催国によっては、馬産農家がいなくて調達が困難なトコも多く、また夏季の大会だと、連続使用による過労や熱中症で、馬が命を落とす事故もあるのです…前回の東京五輪での事故も、ほぼこれが原因です。
ただ、残念な事に一般の観戦者からすれば、同じ“競技”と誤認してることが多く、故に“パリ五輪で馬術は全廃”というデマが一人歩きしてるのです。