現地時間9月25日、Perplexityが「Perplexity Search API」を公開しました。これまで自社の回答エンジンを支えてきた大規模インデックスと検索基盤を、開発者や企業が直接呼び出せるようにしたものです。ブログは「Perplexityの公共向け回答エンジンと同じグローバル規模のインフラへアクセスできる」とうたい、ウェブ全域からの情報取得をシンプルなインターフェースで扱える点を強調しています。
APIの心臓部はハイブリッド検索です。セマンティック手法と伝統的な検索を組み合わせ、さらにLLMによるランキングと人手の評価フィードバックで結果を磨き込む――同社のAPIプラットフォームはこの構成を「低レイテンシのハイブリッド検索」と表現しています。生成AIの“根拠離れ”を防ぐための「Grounded LLM」も同じプラットフォームから利用でき、検索→要約→引用の一連を製品に組み込めるのが売りどころです。
スケール面の自己評価も開示されています。研究ブログは「1日2億件規模のクエリをさばく設計」を掲げ、エージェントやRAG(社内文書+ウェブ)の実装を想定した“文脈の賢い切り出し”を解説。大量アクセスを前提に、複数クエリの束ね処理や深掘り用のクエリ拡張といった実務寄りの工夫が語られています。
導入の敷居は低く、公式ドキュメントから数分で初回リクエストを投げられる構成です。料金は専用の「Pricing」ページで公開され、検索リクエストやトークン処理量を基準に課金される前提。運用ではAPIグループや上限管理の仕組みも案内されています。
外部の初期報道は、このAPIを「検索データの主導権をビッグテックから切り離す動き」と位置づけ、開発者が直接“ウェブの目”を自社アプリやエージェントに埋め込める意義を指摘しました。特に、企業内アシスタントや調査エージェントが、裏側で継続的に検索→検証→要約を回す用途は伸びると見られます。
実装現場の視点で押さえたいポイントは三つです。第一に、検索を「同期の1回呼び出し」で終わらせず、タスクごとにマルチクエリで段階的に深掘る設計が肝心なこと。第二に、引用リンクやスニペットをUI上で“必ず見せる”前提で設計し、監査可能性を確保すること。第三に、SDKとコミュニティの整備が早く、Node/Pythonの公式SDKや開発者フォーラムのアナウンスが立ち上がっているため、PoCの立ち上がりが早いことです。
エコシステムの広がりという文脈でも、Perplexityは企業案件や地域展開を加速させています。APIの公開は、既存のPro課金中心の収益源に“検索インフラ提供”という新しい柱を足す動きで、生成AI検索のプレイヤーが「回答サービス」から「開発者向けプラットフォーム」へと軸足を移しつつあることを示しています。