「テラヘルツ波99.8％吸収…東大と新日本電工、「酸化チタンフィルム」開発」　東京大学の大越慎一教授らは新日本電工と共同で、テラヘルツ波（テラは１兆）を９９・８％吸収する酸化チタンフィルムを開発した。０・１テラ―１テラヘルツを４８マイクロメートル（マイクロは１００万分の１）の薄膜が吸収する。０・３テラヘルツ以上の吸収フィルムは実用化されていなかった。第６世代通信（６Ｇ）の電磁波干渉を防ぐなど、電磁波制御や電波安全対策などに提案していく。

「風邪流行で「市販薬」需要急増、高付加価値品が特に好調」　風邪やインフルエンザの流行を受け、一般用医薬品（ＯＴＣ）の需要が急増している。コロナ禍をきっかけとした消費者の健康への意識の変化や、長期化する医療用医薬品の供給不安もＯＴＣ医薬品需要の高まりの要因となっている。ＯＴＣ医薬品を手がける企業は、幅広い製品ラインアップで消費者のニーズに応える。（安川結野）

「大豊工業は赤字幅拡大…トヨタ系部品5社の通期見通し、事業基盤の強さに差」　トヨタ自動車系中堅部品メーカー５社が３０日発表した２０２５年３月期連結業績予想は、フタバ産業と愛三工業、中央発條の３社が売上高と全利益段階を上方修正した。主要顧客であるトヨタの減産影響はあるものの、為替の円安効果や新製品・新事業などにより収益を積み上げる。一方、大豊工業は中国やタイでの不振に加え、環境対策費用などの特別損失を計上し当期損益の赤字幅が拡大する。手がける部品は各社で異なるが、事業基盤の強さに差が出た。

「「日本は世界一のサーキュラーエコノミー国家になれる」…再生プラで車部品、国プロで成果」　サーキュラーエコノミー（循環経済）システム構築に向けた研究開発が国家プロジェクトとして進んでいる。東京大学の伊藤耕三特別教授がプログラムディレクター（ＰＤ）を務め、リサイクル技術にとどまらず、資源循環を支えるデジタル基盤開発も確立する。２０２４年度は再生プラスチックを使った自動車部品の試作で成果を上げた。伊藤ＰＤは「日本は世界一のサーキュラーエコノミー国家になれる」と力強く手応えを語る。（編集委員・松木喬）

「トヨタ・ホンダ・日産…乗用車メーカー8社の世界生産、４年ぶり前年割れの要因」　乗用車メーカー８社が３０日発表した２０２４年の生産・販売・輸出実績によると、８社合計の世界生産台数は前年比６・６％減の２４０９万８７６４台となり、４年ぶりに前年実績を下回った。国内での認証不正に加え、中国での新エネルギー車（ＮＥＶ）市場拡大による競争激化、インドネシア・タイなどでの厳格なローン審査継続などが影響した。

「牧野フライスに面会求める…ニデック、質問状回答で買収効果強調」　ニデックは牧野フライス製作所による１月２８日付の質問状に対し、あらためて同社買収によるシナジーを訴えた。ただ個別具体的な情報については回答を控え、非公開情報や機密情報を相互提供した上で協議する必要があるとして、牧野フライス経営陣との面談を強く求めた。

「技術進展早く予想難しいが…電力需要は34年度4.4％プラスに、DC・半導体工場の新増設影響」　電力広域的運営推進機関（ＯＣＣＴＯ）は最新の電力の需要想定を公表し、２０３４年度の最大需要電力が２４年度想定実績比４・４％増の１億６４５９万キロワットになる見通しを示した。データセンター（ＤＣ）や半導体工場の新増設が主な要因で、２４年に実施した想定を１・８％程度上回る。一方、ＤＣ向けの電力需要は読みにくい面もある。（梶原洵子）

「妊婦の喘息、子もリスク…九大が解明した悪化のメカニズム」　九州大学の伊藤美菜子准教授と高尾智彬大学院生、須山幹太教授らは、妊娠中の喘息（ぜんそく）やストレスが産まれてくる子の喘息リスクを増大させるメカニズムを解明した。妊娠中の喘息やストレスホルモンへのばく露は、胎児の肺の免疫環境を変化させる。その影響が生後も続き、成体でもアレルギー性炎症を増悪させることが分かった。子の喘息予防には、妊娠中の喘息コントロールやストレス管理が重要となる。

「住友金属・JX金属・三菱マテリアル…現場DXに弾み、中核人材の育成進む」　非鉄金属各社は現場レベルでのデジタル変革（ＤＸ）を推進するため、中核となる人材の育成に力を注ぐ。住友金属鉱山は習熟度別に３段階に分けた人材育成計画を策定、ＪＸ金属は研修プログラムを拡充するなど、それぞれ独自の戦略に基づいた教育プログラムを打ち出した。各社はＤＸに向けた取り組みを着実に進捗（しんちょく）させており、非鉄業界全体のデジタル化にも弾みが付きそうだ。（岡紗由美）

「東洋紡が増産、世界シェア約60％「液晶向けフィルム」の機能」　東洋紡は液晶ディスプレー向けの偏光子保護フィルム「コスモシャインＳＲＦ」の生産能力を増強する。敦賀事業所（福井県敦賀市）で別のフィルムを製造していた既存設備を改造し、２０２５年中をめどにコスモシャインＳＲＦ用として立ち上げる計画。コスモシャインＳＲＦの世界シェアは現状で約６０％としており、増産によってシェア拡大を狙う。