今回も引き続き特別プログラムでお届けします。
交響曲第9番「新世界より」はドヴォルザークが作曲した最後の交響曲。
「新世界」とはこの曲が作曲されたアメリカのことで、故郷ボヘミアへの想いが込められています。
1892年、ニューヨークに新設されたナショナル音楽院の院長に招かれたドヴォルザークは、
故郷をしばらく離れることになるこの任務を快く引き受けました。
彼は大の鉄道ファンだったため、アメリカに行けば好きなだけ鉄道を見れると思ったのです。
妻子を連れて初めてアメリカに渡ったドヴォルザークは、当初はそこでの日々に満足していましたが、
やがてすぐに故郷ボヘミアが恋しくなり、極度のホームシックにかかってしまいました。
素朴な人情家の彼にとって、機械文明のアメリカはあまり馴染める場所ではなかったようです。
そこでドヴォルザークはアメリカでありながらボヘミア人が多く住み、
ボヘミアをそのまま移したようなアイオア州のスピルヴィルという地区に暮らすようになりました。
「新世界より」を始め、弦楽四重奏曲「アメリカ」やチェロ協奏曲などの名曲は、
スピルヴィルで過ごした2年間のうちに書き上げられました。
これらの曲には5音階(ペンタトニック)の旋法が多用されており、
ドヴォルザークがアメリカの黒人霊歌や原住民の民謡に影響されたのを物語っています。
「新世界より」を象徴するのは何と言っても第2楽章のラルゴです。
のちに弟子のフィッシャーが合唱曲「Going Home」に編曲して大人気になりました。
日本でも「遠き山に日は落ちて―」の歌詞で知られる「家路」として有名です。
イングリッシュホルンで奏でられるどこか寂しい旋律を通じてドヴォルザークは、
遠く離れた懐かしい故郷ボヘミアへの想いを切々と表現しています。
「新世界より」はまた、交響曲としてはかなり速い作業で作曲が進められました。
アメリカに来た翌年の1893年1月10日にスケッチが着手され、5月24日には完成しています。
そして、その年の12月16日にアントン・ザイドルが指揮する
ニューヨーク・フィルハーモニック協会の演奏会で初演されました。
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第1楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
I: Adagio - Allegro molto [12:54]
Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-1st-2020-VR.mp3
Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-1st-2020-VR.mp3
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第2楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
II: Largo [14:05]
Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-2nd-2020-VR.mp3
Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-2nd-2020-VR.mp3
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第3楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
III: Scherzo (Molto vivace) [8:17]
Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-3rd-2020-VR.mp3
Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-3rd-2020-VR.mp3
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第4楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
IV: Allegro con fuoco [12:05]
Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-4th-2020-VR.mp3
Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-4th-2020-VR.mp3
*第3楽章は13年ぶりの新演奏・新録音です。
*第2楽章および両端楽章も演奏と音響を改めた新録音です。
*全楽章を3D・立体音響の音源に差し替えました。6/5