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「供給を増やす」「調達先を分散する」という発想は、エネルギーや鉱物の安全保障を考えるときの出発点になりがちです。しかし今回の3本の記事に共通しているのは、供給を確保する政策としてだけでなく、需要をどう設計するかという視点です。今回のエピソードでは、「需要から安全保障を設計する」をテーマに、フィリピンの屋根置き太陽光、インドの産業電化、重要鉱物の需要側戦略という3本の記事を紹介します。
■キーワード
フィリピン:屋根置き太陽光/投資回収3年/需要家主導の急拡大と公式統計の乖離
インド:買い手不在の42GW/産業の熱需要への電化/電力購入モデルの転換
重要鉱物:供給側偏重の死角/材料代替・効率化・再設計/マテリアル・セキュリティ・バイ・デザイン
■今回のトピック
[01:18] フィリピンの屋根置き太陽光 — 危機対応の主体が家計や企業へ
Ember の記事をもとに、電気料金の高騰とパネル価格の低下により、屋根置き太陽光の投資回収期間が家庭用で約3年まで短縮し、経済合理性が高まっている事例を取り上げます。本エピソードでは、次の3点について議論しました。第一に、フィリピンの屋根置き太陽光容量の公式統計は約52メガワットしか捉えていないのに、実態は約1,300メガワットと推計され、統計と市場実態が乖離していること。第二に、供給側の条件はすでに整っており、融資や小口導入、蓄電池といった需要側の政策こそが普及の鍵になること。第三に、国家のエネルギー安全保障の担い手が、政府や電力会社から家計や企業へ一部移っていくという見方です。
出典: Ember, "How the Philippines' Rooftop Solar Surge Can Flip the Energy Emergency Script" https://ember-energy.org/latest-insights/how-the-philippines-rooftop-solar-surge-can-flip-the-energy-emergency-script/
[23:00] インドの産業電化 — 余った再エネを工場の熱需要につなぐ
Energy Innovation の研究者らによる記事をもとに、競争力のある約42ギガワットの再エネが買い手を見つけられずにいる中で、その出口として工場の熱需要に注目する視点を取り上げます。本エピソードでは、次の点について議論しました。問題はコストではなく市場構造にあること、太陽光と蓄電池が産業用電気料金より安くなっていること、電気加熱が温度帯ごとに石炭・石油・ガスに対して競争力を持ち、クリーン電力で支えられれば産業のCO2排出を51%削減できると試算されていること、そして電力購入モデルが配電会社中心から大口需要家中心へ移行しつつあるという見方です。
出典: Energy Innovation / Renewable Watch, "Plugging In: Harnessing Solar for Industrial Electrification" https://renewablewatch.in/2026/06/04/plugging-in-harnessing-solar-for-industrial-electrification/
[43:11] 重要鉱物の需要側戦略 — 調達先分散だけでは足りない
Atlantic Council の報告書をもとに、重要鉱物政策が「どこから調達するか」という供給源に集中し、「そもそもどれだけ必要か」「誰が需要を形づくるか」という問いを扱ってこなかった、という死角についての議論を取り上げます。本エピソードでは、次の点について議論しました。材料代替・材料効率化・システムや製品の再設計という三つの需要側イノベーション、連邦調達や事前認証プログラムを通じて代替技術の需要を高める政策、設計段階から鉱物依存を考える「マテリアル・セキュリティ・バイ・デザイン」という発想、そして公共調達が間接的に製品アーキテクチャを誘導し、2030年代の鉱物依存を形づくるという視点です。
出典: Atlantic Council, "Innovation as Resilience: Demand-Side Strategies for Critical Mineral Supply Chain Security" https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/innovation-as-resilience-demand-side-strategies-for-critical-mineral-supply-chain-security/
■PEP Thinkとは
PEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。
■YouTubeでも配信中
PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg
■登壇者
馬田 隆明(PEP ディレクター)
■主催
政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/
公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
今回は、社会保障政策のうち、医療・介護を中心とする領域について、直近3か月の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を横断して整理します。
本エピソードは、各記事の翻訳や全文要約ではありません。社会保障政策、特に医療・介護の提供体制をめぐる論点を、公共政策関係者向けに整理するものです。
00:00 イントロダクション00:35 今回の全体像01:58 【論点1】介護・長期ケア04:18 記事1: 在宅生活支援給付と既存制度の実行力07:13 記事2: 長期ケア費用と中間層の資産10:27 記事3: 介護人材、海外人材、無償ケアラー14:34 論点1まとめ16:33 【論点2】地域医療・プライマリケア18:39 記事4: 生活圏単位の健康づくりと地域チーム21:16 記事5: 地方部の医療提供インフラ25:03 記事6: プライマリケアの支払い改革27:58 記事7: 国際比較から見た米国医療30:47 論点2まとめ33:44 【論点3】医療DX・AIガバナンス35:12 記事8: 医療AIを現場で役立てる条件37:27 記事9: 医療分野のデジタル技術・AIへの意識39:48 記事10: 健康情報源としてのAI利用42:19 論点3まとめ
■ 紹介した論考
1. Brookings
Aging with dignity: Providing long-term supports and services at home for our nation’s elders
https://www.brookings.edu/articles/aging-with-dignity-providing-long-term-supports-and-services-at-home-for-our-nations-elders/
2. Roosevelt Institute
How Long-Term Care Costs Drain the Middle Class and Deepen Intergenerational Wealth Inequality
https://rooseveltinstitute.org/publications/how-long-term-care-costs-drain-the-middle-class/
3. The King’s Fund
Social care 360: workforce and carers
https://www.kingsfund.org.uk/insight-and-analysis/long-reads/social-care-360-workforce-carers
4. The King’s Fund
What can England and Singapore learn from each other on neighbourhood health?
https://www.kingsfund.org.uk/insight-and-analysis/long-reads/england-singapore-learn-from-each-other-neighbourhood-health
5. Brookings
Rural health care infrastructure: Trends and considerations for the future
https://www.brookings.edu/articles/rural-health-care-infrastructure-trends-and-considerations/
6. California Health Care Foundation
Medi-Cal Bold Idea — Multipayer Primary Care Payment Reform Model
https://www.chcf.org/resource/medi-cal-bold-idea-multipayer-primary-care-payment-reform-model/
7. Commonwealth Fund
U.S. Health Care from a Global Perspective, 2026
https://www.commonwealthfund.org/publications/issue-briefs/2026/may/us-health-care-global-perspective-2026
8. Commonwealth Fund
Sharing a Workplace: How Health Systems Make Artificial Intelligence Useful to Clinicians
https://www.commonwealthfund.org/publications/2026/apr/sharing-workplace-how-health-systems-make-artificial-intelligence-useful
9. The Health Foundation
Attitudes to technology and AI in health care: Findings from our 2025 survey
https://www.health.org.uk/reports-and-analysis/analysis/attitudes-to-technology-and-ai-in-health-care
10. KFF
KFF Tracking Poll on Health Information and Trust: Use of AI For Health Information and Advice
https://www.kff.org/public-opinion/kff-tracking-poll-on-health-information-and-trust-use-of-ai-for-health-information-and-advice/
■ PEP Thinkとは
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馬田 隆明(PEP ディレクター)
■ 主催
政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/
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今回のエピソードに共通しているのは、政策は成立後に初めて現場で試される、という視点です。予算を確保するだけでなく、その予算を使いこなし、成果に変えられるか。制度や資金を現場で動かす力が、これからの地域の競争力を分けるのではないか。この問いを考えます。
今回は、「『政策実装力』が地域の競争力になる時代」をテーマに、バージニア州の有給家族・医療休暇、小規模企業支援、農村ブロードバンド整備という3本の記事を取り上げます。
バージニア州の事例では、他州の運用経験を法案設計に組み込む方法を扱います。小規模企業支援では、ばらばらの補助金や相談窓口を、資金、顧客、人材、販路につながる支援基盤としてどう束ねるかを取り上げます。農村ブロードバンドでは、補助金があっても、申請、設計、データ整備、実装管理の能力がなければインフラは届かない、という課題を整理します。
■キーワード
政策実装:制度成立後のサービス設計/申請処理・証明・支払い/実装KPIとフィードバック
小規模企業支援:補助金から支援基盤へ/資金・顧客・人材の接続/地域の調整役
農村ブロードバンド:50万ドルの支援と4,000万ドル超の資金獲得/申請・設計能力/信頼される支援ハブ
■今回のトピック
[01:49] バージニア州の有給休暇法 — 政策を使える制度に落とし込む
New America の記事をもとに、バージニア州の有給家族・医療休暇制度を、労働政策に加えて政策実装の事例として取り上げます。本エピソードでは、法案成立をゴールにせず、申請処理、医療証明、支払い、広報、データ共有、雇用主対応まで含めて制度を設計する必要性を議論しました。New Practice Lab が他州の実装経験をバージニア州の法案設計に生かしたこと、制度の本体には、法律だけでなく申請画面、職員研修、医療証明の取りやすさ、雇用主通知、データ連携も含まれることを扱っています。また、実装の失敗が制度そのものへの反発につながり得る点にも触れています。
出典: New America, "Virginia’s New Paid Leave Law Closes the Loop Between Implementation and Policy" https://www.newamerica.org/insights/virginias-new-paid-leave-law-closes-the-loop-between-implementation-and-policy/
[21:00] 小規模企業支援 — ばらばらの支援を地域の成長経路につなぐ
Brookings の記事をもとに、小規模企業支援を、補助金や相談窓口を増やす施策としてだけでなく、地域の中で資金、顧客、人材、経営支援、販路をつなぐ仕組みとして取り上げます。本エピソードでは、小規模企業が米国の企業数と雇用の大きな部分を占めていること、支援制度があっても経営者が自力で探さなければならない構造があること、地域の官民の支援機関を束ねる調整役が必要になることを議論しました。大型投資や公共調達、データセンター、インフラ投資を地元企業の取引機会に変えるには、自然な波及を待つだけでは不十分です。調達基準、品質認証、納期、人材確保に対応できるよう、地域側で受け皿を設計する必要がある、という論点も扱っています。
出典: Brookings, "Time to level up: How to help America’s small businesses survive and thrive in tumultuous times" https://www.brookings.edu/articles/level-up-small-businesses-survive-thrive/
[40:02] 農村ブロードバンド整備 — 補助金をインフラに変える地域の実装能力
Brookings の記事をもとに、農村ブロードバンド整備を、資金の問題に加えて、資金を使いこなす地域の能力の問題として取り上げます。本エピソードでは、米国の農村部や先住民部族地で、固定ブロードバンドへのアクセスが十分に行き届いていないことを扱いました。農村部では、距離、地形、住宅密度、保守コストの問題により、市場任せでは投資回収が難しくなります。さらに、支援制度が増えるほど、申請側の負担も重くなります。Rural Prosperity Partners が、研修、個別支援、実務ツールを通じて、申請準備や技術支援を担ったことも取り上げました。50万ドルの支援が4,000万ドル超の資金獲得につながった一方で、これは社会的便益そのものではなく、資金獲得額として見る必要がある点にも触れています。日本の地域DXや地方創生でも、制度を作るだけでなく、申請能力、設計能力、実装能力をどう育てるかが問われます。
出典: Brookings, "Strengthening capacity in underserved rural areas: USDA-RD Oregon’s approach for broadband deployment" https://www.brookings.edu/articles/usda-reconnect-rural-broadband-oregon/
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今回は、経済・財政・金融政策に関する直近3か月の海外シンクタンク・国際機関の論考を横断して分析します。英語圏の国際機関・政策研究機関などによる最近の論考10本をもとに、高債務時代の財政余地、国債市場と金融仲介、防衛支出、供給ショックとインフレ、エネルギー・食料価格ショック、関税コストの物価転嫁、米国金融政策サプライズ、ノンバンク投資家、債務サービス一時停止条項、ユーロ共同債と安全資産市場といった論点を整理します。本動画は、各記事の翻訳や全文要約ではありません。経済・財政・金融政策をめぐる論点を、公共政策関係者向けに整理するものです。00:00 イントロダクション00:35 今回の全体像02:18 【論点1】高債務時代の財政余地03:20 記事1: 高債務・高金利下の財政政策06:08 記事2: 金融安定が財政余地に課す制約10:19 記事3: 防衛支出の財政・マクロ経済への影響14:47 【論点2】供給ショックとインフレへの対応16:15 記事4: 中東情勢と世界経済の強靭性19:25 記事5: エネルギー・食料価格ショックへの政策対応21:48 記事6: 関税コストの消費者物価への転嫁26:19 【論点3】グローバル金融条件と資本フロー27:13 記事7: 米国金融政策サプライズと新興市場国29:27 記事8: ノンバンク投資家と新興市場国の資本フロー33:26 【論点4】危機に備える制度設計34:21 記事9: 債務サービス一時停止条項36:56 記事10: ユーロ共同債と欧州の安全資産市場40:50 4つの論点の横断整理と日本への示唆
■ 紹介した論考
1. IMF
Fiscal Policy under Pressure: High Debt, Rising Risks
https://www.imf.org/en/publications/fm/issues/2026/04/15/fiscal-monitor-april-2026
2. Bank for International Settlements
Financial stability limits on fiscal space
https://www.bis.org/publ/work1339.htm
3. OECD
Fiscal and macroeconomic impacts of defence spending
https://www.oecd.org/en/publications/fiscal-and-macroeconomic-impacts-of-defence-spending_b4860378-en.html
4. OECD
OECD Economic Outlook, Interim Report March 2026: Testing Resilience
https://www.oecd.org/en/publications/oecd-economic-outlook-interim-report-march-2026_d4623013-en.html
5. IMF Blog
Responding to the Energy and Food Price Shock: Getting the Policy Details Right
https://www.imf.org/en/blogs/articles/2026/05/20/responding-to-the-energy-and-food-price-shock-getting-the-policy-details-right
6. Federal Reserve Board
Detecting Tariff Effects on Consumer Prices in Real Time – Part II
https://www.federalreserve.gov/econres/notes/feds-notes/detecting-tariff-effects-on-consumer-prices-in-real-time-part-II-20260408.html
7. Bank for International Settlements
Monetary responses to external shocks in emerging market economies: the role of financial vulnerabilities
https://www.bis.org/publ/qtrpdf/r_qt2603e.htm
8. IMF Blog
As Emerging Markets Attract More Nonbank Capital, They Also Face New Challenges
https://www.imf.org/en/blogs/articles/2026/04/07/as-emerging-markets-attract-more-nonbank-capital-they-also-face-new-challenges
9. Center for Global Development
Better Debt Shock Absorbers for Poor Countries: A Proposal
https://www.cgdev.org/publication/better-debt-shock-absorbers-poor-countries-proposal
10. Peterson Institute for International Economics
Eurobonds: Despite objections, they are more needed than ever
https://www.piie.com/blogs/realtime-economics/2026/eurobonds-despite-objections-they-are-more-needed-ever
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気候政策を、排出削減目標や規制の話として捉えると、「削減にいくらかかるのか」に目が向きがちです。
しかし、削減が遅れることで残る損失や、制度がまだ評価しきれていない便益もあります。
今回のエピソードでは、「見えない気候コストの制度設計」をテーマに、ドイツの蓄電池、インドの炭鉱メタン、米国の温室効果ガス規制を扱います。
今回の3本を通じて、気候政策の費用対効果をどう測り直すかを考えます。
■キーワード
蓄電池:調整力/容量市場/出力抑制/輸入ガス依存/柔軟性市場
炭鉱メタン:上流排出/MRV/測定・報告・検証/資源調達/メタン回収
米国規制:危険性認定/費用便益分析/健康被害/労働生産性/産業競争力
■今回のトピック
[01:13] ドイツの蓄電池 — 電気をためる設備から調整力へ
Ember の記事をもとに、蓄電池を「電気をためる設備」としてだけでなく、電力網の混雑やガス火力への依存を減らす調整力として捉える視点を取り上げます。本エピソードでは、ドイツで風力・太陽光の出力抑制が起きていること、発表済みの大規模蓄電池が稼働していれば、その一部を避けられた可能性があることを扱いました。あわせて、容量市場でガス火力を優先すれば、蓄電池や需要側の柔軟性を活用する機会を逃す可能性も議論しました。停電を防ぐためにガス火力という保険を買うのか。それとも、蓄電池、需要応答、スマート制御を新しい保険として育てるのか。制度設計が、消費者負担、再エネ統合、輸入ガス依存を左右するという論点を整理しました。
出典: Ember, "Germany's battery opportunity" https://ember-energy.org/latest-insights/germanys-battery-opportunity
[26:34] インドの炭鉱メタン — 測れない排出は削減も投資もできない
Ember のレポートをもとに、石炭を燃やすときのCO2ではなく、石炭を掘る段階で漏れるメタンに焦点を当てます。本エピソードでは、インドで炭鉱メタンが化石燃料部門の漏えいメタン排出の大きな割合を占めること、排出量を測り、報告し、検証する全国制度が十分でないことを扱いました。鉱山別のデータがなければ、規制もクレジットも投資判断も難しくなります。そのため、MRV、クリアリングハウス、カーボンクレジット、気候ファイナンスをつなげる制度設計が重要になります。メタン回収を、気候対策だけでなく、鉱山安全、輸入ガス代替、投資誘導にもつなげる視点を議論しました。
出典: Ember, "Understanding India's coal mine methane landscape" https://ember-energy.org/latest-insights/understanding-indias-coal-mine-methane-landscape
[43:07] 米国の温室効果ガス規制 — 規制対応費の外にある社会コスト
CSIS の論考をもとに、米国で自動車やトラックの温室効果ガス規制が大きく巻き戻され、州や環境団体が訴訟を起こしている動きを取り上げます。政権側は、自動車規制の見直しによって、新車価格や規制対応費を下げられると説明しています。しかし、本エピソードで扱った中心論点は、コスト計算の範囲です。規制対応費だけを見れば負担は軽くなる一方で、熱波や大気汚染による医療費、労働生産性の低下、インフラ被害は残ります。気候政策を、企業に優しいか、環境に優しいかという二択で見るのでは不十分です。健康、労働力、産業政策、医療制度、輸出競争力を守る政策基盤として、規制をどう評価するかを議論しました。
出典: CSIS, "Overturning the Endangerment Finding Threatens Americans’ Health, Wealth, and Security" https://www.csis.org/analysis/overturning-endangerment-finding-threatens-americans-health-wealth-and-security
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今回は、産業・通商・経済安全保障政策に関する直近三カ月の海外シンクタンクの記事を横断して分析します。
英語圏の国際機関・シンクタンク等による最近の論考10本をもとに、産業政策の実行可能性、EUの新産業政策、関税政策、重要原材料の輸出制限、米中の技術・重要鉱物対立、重要鉱物の認証・検証、政府出資、クリーンテック製造投資、蓄電池供給網といったトピックに関して整理します。
本動画は、各記事の翻訳や要約ではなく、産業政策の論点整理です。特定の政策立場を推奨するものではなく、産業政策と経済安全保障をめぐる最新の議論に関する見取り図を提供することを目的としています。
00:00 イントロダクション
00:37 今回の全体像
02:07 【論点1】産業政策は実装能力の競争へ
02:46 記事1: 産業政策の実行可能性
05:47 記事2: EUのIndustrial Accelerator Act
08:25 記事3: EU産業政策が米国IRAから学ぶべき教訓
11:14 記事4: 米国相互関税政策の1年後検証
15:45 【論点2】重要鉱物は供給フローの争点へ
16:25 記事5: 重要原材料への輸出制限
19:22 記事6: 米中の技術・重要鉱物貿易戦争
22:20 記事7: 重要鉱物・レアアースの認証・検証制度
24:46 記事8: 重要鉱物供給と政府出資
29:22 【論点3】クリーンテックと蓄電池の産業基盤
29:56 記事9: クリーンテック製造投資の減速
32:42 記事10: 米国蓄電池産業の新局面
36:30 日本への示唆
■ 紹介した論考
1. World Bank
Industrial Policy for Development: Approaches in the 21st Century
https://openknowledge.worldbank.org/entities/publication/9f8098d5-fa1f-4c1b-97b5-f04262818bb3
2. German Marshall Fund
The EU’s Industrial Accelerator Act Puts Pedal to the Metal
https://www.gmfus.org/news/eus-industrial-accelerator-act-puts-pedal-metal
3. Carnegie Endowment for International Peace
Europe’s New Industrial Policy Can Learn From U.S. Mistakes
https://carnegieendowment.org/emissary/2026/03/europe-iaa-industrial-policy-ira-us-mistakes
4. Cato Institute
One Year After “Liberation Day”: Here’s What We Know and What We Don’t
https://www.cato.org/blog/one-year-after-liberation-day-heres-what-we-know-what-we-dont
5. OECD
OECD Inventory of Export Restrictions on Critical Raw Materials 2026
https://www.oecd.org/en/publications/oecd-inventory-of-export-restrictions-on-critical-raw-materials-2026_d5ca8f62-en/full-report.html
6. Peterson Institute for International Economics
Negotiating a win-win end to the lose-lose US-China trade war over technology and critical minerals
https://www.piie.com/publications/working-papers/2026/negotiating-win-win-end-lose-lose-us-china-trade-war-over
7. CSIS
Leading the Way: Building Secure Supply Chains for the Advanced Economy
https://www.csis.org/blogs/charting-geoeconomics/leading-way-building-secure-supply-chains-advanced-economy
8. Chatham House
To secure critical minerals supply governments need to take a stake in industry
https://www.chathamhouse.org/2026/03/secure-critical-minerals-supply-governments-need-take-stake-industry
9. Bruegel / Rhodium Group
Understanding the Global Clean Tech Manufacturing Slowdown
https://www.cleaninvestmentmonitor.org/reports/understanding-the-global-clean-tech-manufacturing-slowdown
10. CSIS
A New Phase for the U.S. Battery Industry
https://www.csis.org/analysis/new-phase-us-battery-industry
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ソーシャルメディアや生成AIの台頭によって、情報の信頼性は大きく揺らいでいます。ただし、今回の3本に共通しているのは、「正しい情報を出せばよい」という単純な話ではありません。情報の空白に入り込んだナラティブに対抗するには、情報の素早い提供とその正確性を支えるためのインフラが必要になります。
今回のエピソードでは、「ナラティブの真空を埋めるインフラ」をテーマに、3本の記事を取り上げます。扱うのは、国連PKO撤退時の戦略的コミュニケーション、欧州が直面する認知戦の脅威、そして民主主義を支える制度的記憶です。
■キーワード
PKO撤退:戦略的コミュニケーション/期待値管理/国連ラジオと情報インフラ
認知戦の脅威:生成AIと偽情報/官民連携と危機対応手順
制度的記憶:歴史的記録/ナラティブの完全性/民主主義の説明責任
■今回のトピック
[01:35] PKO撤退の説明設計 — 信頼は撤退後に自然には残らない
International Peace Institute の記事をもとに、国連平和維持活動が撤収・移行する局面における住民とのコミュニケーションの問題を取り上げます。
戦略的コミュニケーションは、単なる広報ではありません。住民の期待管理、誤情報・偽情報への対応、政府や加盟国との調整、職員への内部説明、国連ラジオなどの情報インフラの移行を支える機能です。
本エピソードでは、部隊が去った後に、誰が事実を伝え、誰が不安を受け止め、誰が信頼を引き継ぐのかを議論しました。また、撤退前から発信能力や情報インフラを設計しておく必要性も扱っています。国連ラジオは、単なる広報媒体ではありません。地域の公共圏や紛争予防能力を支える制度でもあります。その閉鎖や移行は、情報の空白を生みかねません。
出典: International Peace Institute, "Strategic Communications and UN Peacekeeping Transitions" https://www.ipinst.org/?p=43004
[23:06] 認知戦の脅威 — 事件直後の空白を誰が埋めるのか
European Council on Foreign Relations の記事をもとに、欧州が直面する認知戦の脅威を取り上げます。ドローン事案、サイバー攻撃、選挙介入、SNS上のナラティブが動いたとき、民主主義側は初動で何をすべきなのでしょうか。最初の数十分で、状況をどう理解し、説明し、関係機関と連携するのかが問われています。
偽情報を一つずつ消すだけでは不十分です。重要なのは、事件直後の時間帯に、誰が、何を、どの範囲で説明するのかを制度化しておくことです。
また、生成AIは、地域の言語や文脈に合わせた操作的コンテンツを低コストで作れます。一方で、プラットフォーム企業の対応には、検閲批判や政治的リスクも伴います。だからこそ、危機対応手順、独立監査、官民の責任分担が必要になります。
出典: European Council on Foreign Relations, "The battle for the mind: How Europe can stay safe in the cognitive threat era" https://ecfr.eu/article/the-battle-for-the-mind-how-europe-can-stay-safe-in-the-cognitive-threat-era/
[53:25] 民主主義を支える制度の記憶 — 記録が消えると神話が入り込む
Centre for International Governance Innovation の記事をもとに、民主主義社会における歴史的記録と制度的記憶の重要性を取り上げます。
記事は、ロシアによるウクライナ侵攻初期の事例から始まります。軍事施設だけでなく、博物館や文化機関も占拠されました。そこで狙われたのは、ウクライナの独立した過去を支える遺物です。
本エピソードでは、歴史的記録の破壊を、単なる略奪ではなく、主権を説明する根拠を切断する行為として捉えました。偽情報や分断は、短期的な「嘘」の問題だけではありません。後から検証できる記憶が消える問題でもあります。
メール、クラウド、短命な業務ツールに、意思決定の文脈が散らばる時代です。誰が、どの根拠で、どの制約のもとで判断したのか。その記録を、時点、作成者、文脈とともに残すことが、将来の説明責任と民主主義の基盤になります。
出典: Centre for International Governance Innovation, "Institutional Memory, Narrative Integrity and the Future of Democratic Resilience" https://www.cigionline.org/articles/institutional-memory-narrative-integrity-and-the-future-of-democratic-resilience/
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今回は、労働政策に関する直近三カ月の海外シンクタンクの記事を横断して分析します。
英語圏の国際機関・シンクタンク等による最近の論考10本をもとに、AI、社会保障・税制、子育て支援、フリーランス、移民、人手不足、GX人材といったトピックに関して整理します。
本エピソードは、各記事の翻訳や完全要約ではなく、労働政策上の論点整理です。特定の政策立場を推奨するものではなく、労働政策の最新の議論に関する見取り図を提供することを目的としています。
■今回のトピック
[00:00] イントロダクション
[00:23] 今回の全体像
[03:12] 【論点1】AI 時代の労働政策
[04:01] 記事1: AI への労働者の曝露
[07:50] 記事2: 生成 AI 曝露のジェンダー差
[11:22] 記事3: AI 時代の労働の未来に向けた人間中心のビジョン
[17:06] 【論点2】社会保障と働き方の制度設計
[18:03] 記事4: 変化する労働市場における普遍的社会保護
[23:15] 記事5: 独立請負人の誤分類問題
[28:43] 記事6: 労働課税の累進性と「税のくさび」
[34:19] 記事7: 仕事、保育、親になることへの移行のバランス
[40:28] 【論点3】移民と人手不足
[41:14] 記事8: 移民と地域経済パフォーマンス
[44:21] 記事9: Brexit が英国への移民流入に与えた影響
[49:25] 記事10: 労働力は足りているか?米国グリーン技能市場の事例
[56:55] 日本への示唆
■紹介した論考
1. ILO
Workers’ exposure to AI: What indicators tell us – and what they don’t
https://www.ilo.org/publications/workers%E2%80%99-exposure-ai-what-indicators-tell-us-%E2%80%93-and-what-they-don%E2%80%99t
2. ILO
Gen AI, occupational segregation and gender equality in the world of work
https://www.ilo.org/publications/gen-ai-occupational-segregation-and-gender-equality-world-work
3. Brookings Institution
A people-first vision for the future of work in the age of AI
https://www.brookings.edu/articles/a-people-first-vision-for-the-future-of-work-in-the-age-of-ai/
4. ILO
Universal social protection in changing labour markets: Protecting workers in all types of employment
https://www.ilo.org/publications/universal-social-protection-changing-labour-markets-protecting-workers-all
5. Economic Policy Institute
Misclassifying workers as independent contractors is costly for workers and social insurance systems
https://www.epi.org/publication/misclassifying-workers-as-independent-contractors-is-costly-for-workers-and-social-insurance-systems/
6. OECD
Taxing Wages 2026: The Progressivity of Labour Taxation in OECD Countries
https://www.oecd.org/en/publications/taxing-wages-2026_3a5169ef-en.html
7. Urban Institute
Balancing Work, Child Care, and the Transition to Parenthood: Findings from the District of Columbia New Parent Study
https://www.urban.org/research/publication/balancing-work-child-care-and-transition-parenthood
8. Brookings Institution
Metro Monitor 2026: The relationship between immigration and regional economic performance over the past decade
https://www.brookings.edu/articles/metro-monitor-2026-immigration-and-regional-economic-performance/
9. Centre for European Reform
The impact of Brexit on immigration to the UK
https://www.cer.eu/insights/impact-brexit-immigration-uk
10. Center for Global Development
Do We Have Enough Workers? The Case of Green Skills in the US
https://www.cgdev.org/publication/do-we-have-enough-workers-case-green-skills-us
■PEP Thinkとは
PEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。
■YouTubeでも配信中
PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg
■登壇者
馬田 隆明(PEP ディレクター)
■主催
政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/
公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
「石油危機」は、脱炭素政策を止める理由になるのでしょうか。それとも、化石燃料への依存を減らす理由になるのでしょうか。
今回のテーマは、「石油危機が問い直す世界の脱炭素政策」です。世界の電力転換、気候外交の再設計、グローバルサウスのエネルギー移行を扱う3本の記事をもとに、化石燃料ショックの時代に脱炭素政策をどう位置付けるべきかを考えます。
■キーワード
クリーン電力:太陽光・風力が需要増を吸収/再エネが石炭を上回る/送電網・蓄電池・市場制度
気候外交:地政学が協力条件を再定義/クリーンエネルギー安全保障/資金動員と連合の再設計
石油危機:ホルムズ海峡リスク/グローバルサウスの脆弱性/重要鉱物と国家能力
■今回のトピック
[01:39] 再エネが担う電力需要増 — 化石燃料を増やさずに成長できるのか
Ember のレポートをもとに、2025年の世界の電力転換を取り上げます。昨年度、世界の電力需要増のほとんどを太陽光発電と風力発電が吸収しました。低炭素電源の増加量も、世界の電力需要増を上回りました。
本エピソードでは、再生可能エネルギーが電力需要の伸びを支える中心技術になりつつあることを議論しました。再エネが石炭を上回ったことも、大きな転換点です。一方で、昼間の太陽光を「いつでも使える電力」に変えるには、送電網、蓄電池、市場制度の整備が欠かせません。クリーン電力をどれだけ早く整えられるかは、将来の製造業や立地戦略にも関わります。
出典: Ember, "Global Electricity Review 2026" https://ember-energy.org/latest-insights/global-electricity-review-2026
[23:25] 気候外交の構造変化 — 地政学が協力の条件を変える
E3G の記事をもとに、気候政策が地政学と切り離せなくなっている状況を取り上げます。気候政策は、環境政策の一分野にとどまりません。エネルギー安全保障、貿易、産業政策、開発金融と結び付き、国際秩序そのものに影響を及ぼす政策領域になっています。
本エピソードでは、中東の対立、エネルギー市場、貿易ルート、インフレ、米国政府の気候協力からの後退、中国の供給網支配が、気候協力の条件を変えていることを議論しました。クリーンエネルギー安全保障、開発金融、気候資金、官民連携、COPやG7を通じた連合形成を、どのように設計し直すかが問われています。
出典: E3G, "Geopolitics and climate cooperation for a world in flux" https://www.e3g.org/news/geopolitics-and-climate-cooperation-for-a-world-in-flux/
[43:32] 石油危機が移行を試す — グローバルサウスの国家能力
New Security Beat の記事をもとに、2026年の石油危機を、グローバルサウスにおけるエネルギー移行のストレステストとして捉えます。
本エピソードでは、フィリピンの事例を通じて、燃料輸入への依存、再エネ導入の遅れ、重要鉱物の加工能力不足、規制能力の弱さが同時に表面化していることを議論しました。
フィリピンにはニッケル資源がありますが、国内で電池材料へ加工する力は十分ではありません。一方、インドネシアはニッケル加工を国内に取り込みました。ただし、その加工工程の多くは石炭火力に依存しています。産業化が進んでも、低炭素化と結び付かなければ、環境負荷を別の場所に移すだけになりかねません。石油危機は脱炭素を遅らせる理由ではなく、再エネ、電化、低炭素の鉱物加工、送電網、公共交通、社会保護を一体で設計する理由になります。
出典: New Security Beat, "A New Oil Crisis Stress-Tests the Global Energy Transition" https://www.newsecuritybeat.org/2026/04/a-new-oil-crisis-stress-tests-the-global-energy-transition/
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「AIを使うこと」と「AIで成果を上げること」の間には距離があります。今回のエピソードでは、「成果につながるAI導入に必要なもの」をテーマに、医療AIの優先順位づけ、成熟したAI経済、政府調達制度という3本の記事を通じて、AI導入を技術選定だけで考えるのではなく、課題設定、長期的な採算、調達の設計として捉え直します。
■キーワード
医療AI:課題起点の優先順位づけ/低リスク領域からの段階導入
AI経済:トークン・API・クラウド計算資源/ワークフロー再設計/産業別の実用的AI応用
政府調達:FAR改革/RFO/簡素化と標準化/共通インターフェースと現場裁量
■今回のトピック
[01:55] 医療AIの優先順位づけ — どのAIを使うかではなく、どの制約を解くか
Tony Blair Institute for Global Change の記事をもとに、保健医療でAIを導入する際に、技術やベンダーからではなく、その国の医療制度の課題から出発すべきだという論点を取り上げます。本エピソードでは、人手不足、需要増、予算制約が重なる医療現場で、スタートアップの売り込みやデモの印象に振り回されないための手法として、AIの用途を6領域・23サブカテゴリに整理し、実現可能性、インパクト、拡張可能性、国家戦略との整合性から優先順位をつける考え方を議論しました。また、診断や臨床意思決定支援のような高リスク領域だけでなく、記録作成、予約、病床管理、在庫管理など、医療オペレーションを変える低リスク領域から段階的に導入する可能性についても考えます。
出典: Tony Blair Institute for Global Change, "“Where Do I Start?”: How Governments Can Prioritise AI Solutions for Health" https://www.institute.global/insights/public-services/where-do-i-start-how-governments-can-prioritise-ai-solutions-for-health
[23:19] 成熟したAI経済 — AIを使わない場所まで設計する
CSIS の記事をもとに、AI経済が成熟するためには、AIをもっと使うという単純な話ではなく、いつ、どこで、どこまで使わないかまで含めて経済価値を最大化する必要があるという論点を取り上げます。本エピソードでは、データセンター、トークン消費、API、クラウド計算資源のコストが見え始める中で、AIを既存業務に組み込むだけでは長期的な利益率を下げる可能性があること、AIの導入量ではなく、ワークフローやビジネスモデルを再設計できるかが競争力を決めることを議論しました。また、産業別のAI応用、データとプライバシーの規制、人材育成、電力やインフラ制約、そしてAIのコストをどう管理するかという実務的な論点にも触れています。
出典: Center for Strategic and International Studies, "Toward a Mature AI Economy: Policy Priorities for the Road Ahead" https://www.csis.org/analysis/toward-mature-ai-economy-policy-priorities-road-ahead
[46:36] 政府調達の制度設計 — ルールを短くすれば速くなるのか
Niskanen Center の記事をもとに、米国の連邦調達規則、FARの改革を題材として、調達制度を単純化することの隠れたコストを取り上げます。本エピソードでは、調達が遅く高いという問題意識は重要である一方、ルールを減らしすぎると共通の型まで消えてしまい、省庁や部署、担当者ごとに手続きが分裂する可能性があることを議論しました。公共部門でAIやクラウド、サイバーセキュリティのような仕様の固定が難しい技術を導入するには、現場裁量だけでなく、共通データ、評価基準、リスク管理、実務ガイド、横断的な学習ループが必要です。日本の中央政府や自治体調達、スタートアップ参入、デジタル、インフラ、防災、医療、研究開発にもつながる制度設計の論点として考えます。
出典: Niskanen Center, "The hidden cost of simplicity: Procurement reform’s fragmentation problem" https://www.niskanencenter.org/the-hidden-cost-of-simplicity-procurement-reforms-fragmentation-problem/
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