今回も「第1回交渉アワード」の受賞事例をご紹介していきます。5回目となる今回は、マンションの騒音トラブルを見事に解決した交渉事例です。相手を責めるのではなく、共感の言葉から入り、自身の費用負担という大胆な譲歩を交えて解決策を提示し、曖昧な「お互い様」という言葉を具体的なルールへと落とし込み、近隣関係を改善したスマートな交渉ストーリーです。
コメンテーターは、日本交渉協会代表理事の安藤です。
◎山本美和氏(第1回交渉アワード銅賞受賞)
・分譲マンションに居住。
・上の階の家族の子どもたちが走り回る騒音トラブルに対し、管理組合への相談から直接交渉へシフト。
・「音をゼロにするのではなく、双方の生活を尊重できるルールを作ろう」と立ち上がり、見事な価値交換で合意を得て銅賞を受賞。
【TODAY’STOPICS】
◎相手の防御反応を解く「共感」からのスタート
・管理組合の注意喚起でも改善せず、「子どもが小さくお互い様」と主張する相手。
・まずは「子育ては本当に大変ですよね」と相手に寄り添う言葉をかける。
・感情論になりやすい生活の問題において、冷静に相手の立場を理解することで対話の土台を作る。
◎被害の具体化と解決策を「セット」で提示する巧みさ
・「夜9時頃のリビング中央の音」とピンポイントで発生源を伝達。
・費用を負担するので「ジョイントマット」を敷かないかという解決策を提示。
・常識を捨て、自身の生活の質を取り戻すための「投資」と捉え直す大胆な譲歩。
◎「夜間の静寂」と「日中の寛容」の価値交換
・マットを敷くだけでなく、「夜9時以降は走らない」という具体的なルールも提案。
・代わりに「日中は多少の音を気にしない」と寛容さを示し、相手の納得度を高める。
・お互いにとって受け入れやすい提案を重ね、納得できる「感情の着地点」を見つけ出す。
◎対立を協力関係へと変えたスマートな着地
・結果として夜間の騒音は劇的に減少し、山本さんは精神的な平穏を取り戻す。
・相手側も近隣トラブルの加害者という罪悪感から解放され、配慮に感謝。
・問題を単なる障害として終わらせず、より良い近隣関係を築くチャンスへと変えた交渉事例。
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