日本語ペラペラジオ[Casual Japanese radio for leaners!]

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日本語ペラペラジオ[Casual Japanese radio for leaners!] episodes

  • 恥ずかしかった話!(JLPT N3)

    #81 JLPTN3で恥ずかしかった話!


    トランスクリプト:

    さなポン:みなさん、こんにちは。静かにしてください。授業を始めますよ。

    さなポン:はい、じゃあ授業を始めます。

    みなさん、最近嬉しかったことありますか? あ、じゃあ、ジョンさん、どうですか?

    倉川:最近、私、彼女ができました。

    さなポン:おめでとうございます! どんな彼女ですか?

    倉川:そうですね、日本人の彼女なんですけど、とてもかわいくて、目が多いんです。

    さなポン:え? 目が多い? じゃなくて、多いじゃなくて、大きいですね。

    倉川:あ、すいません、間違えました。

    倉川:ああ、間違えちゃった。恥ずかしい。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    JLPT N3で恥ずかしかった話!

    倉川:日本語の先生2人がJLPTのN3ぐらいの単語と文法で、それぞれの恥ずかしかった話をしていこうということで、さっき、私たちが日本語のクラスでよくある恥ずかしいミスみたいな話もちょっとしましたけど、普通の生活の中で、ちょっと恥ずかしいなって思うこと、結構たくさんありますよね?

    さなポン:たくさんありますね。

    倉川:今年になってからあります?

    さなポン:ありますよ。あります。私はありますよ。結構ありますね。小さい恥ずかしいことから大きい恥ずかしいものまで、結構ありますね。

    倉川:今日は大きいのを持ってきたんですね?

    さなポン:一応持ってきました。分かりやすい大きいものを。

    倉川:私はあまりないんですよね、この恥ずかしい経験って。

    さなポン:あ、そうなんだ。

    倉川:あんまりなくて、このテーマ選んだのは私じゃないですか。恥ずかしい話を話しましょうって言ったのは私なんですけど、これは久しぶりに、もう2年とか3年とかぶりにめちゃくちゃ恥ずかしい経験をしたので、あ、これ話せるなと思って持ってきたんですよね。

    さなポン:久しぶりにあったんですね。

    倉川:でも、さなポン先生は結構たくさんあるんですね、恥ずかしい話。

    さなポン:たくさんやってます。今日は話せる恥ずかしかった話をします。私、娘がいまして、今年、幼稚園の入園式、幼稚園に入っておめでとう、入園おめでとうの式、そういう日があったんですよ。イベントが。

    倉川:4月かな?

    さなポン:4月です。初めての式、イベントだったので、娘がもちろん目立つ日、もちろん娘の日ですけど、私も気合が入りますよね。

    倉川:ちゃんといい服を着て、ご主人と一緒に綺麗にしてね、見に行かなければならないよね。

    さなポン:ちょっと綺麗にしようと、久しぶりに思って、写真も撮るし、いろんなご両親の方もいらっしゃるから、綺麗な服で行かなければいけないなと思って服を買ったんです。

    倉川:買ったんだ、そのために。

    さなポン:買いました、そのために。

    倉川:どんな服? スーツみたいな?

    さなポン:普通はスーツですよね、多いのは。

    倉川:そうじゃない?

    さなポン:入園式、入学式の日にご両親が着る服ってだいたいスーツですよね、男の人も。

    倉川:ご主人はスーツでしょ?

    さなポン:そうです、男性スーツが多いですよね。でも私ちょっと、普段も着たいなと思って、ちょっと日常でも、いつでも着られる感じの着物。

    倉川:ジャケットではなく?

    さなポン:ジャケットではなく、襟はないんですよ。襟ないタイプで、でもちょっと無地じゃなく柄があるんですよ、チェックみたいな。ちょっと柄があるフォーマルな。

    倉川:へー、高そうだね。

    さなポン:買ってみました。で、ちょっと、これ早く着たいなーって思うくらい楽しみにしていたんですよ。

    倉川:いい服買ったんだ。

    さなポン:ちょっと久しぶりに服を買って、うわー、早く来ないかなー、これ着られる日。早く来ないかなーって。娘の入園式よりも早く来たいなーっていう気持ちの方が大きくなるくらい楽しみにしていたんですよ。

    倉川:仕事には着ていかなかったんだね。

    さなポン:そうです、我慢して。やっぱその初めて、初めて着る日は入園式にしようと思っていたので。それで入園式来ました。

    さなポン:その日になりました、入園式の日です。楽しみですよね、もう着て。うわー、来たーって思って。

    さなポン:鏡も見て、いいじゃん、いい感じだと。髪の毛も綺麗にして、ちょっと頑張って化粧もちょっと可愛くして、若く見られるようにちょっと頑張って朝行きました。で、入園式始まって、写真ですね、カメラマンの方もいらっしゃって、もういろんな方のパシャパシャって撮ってて、私たちも撮られたんですよ。

    倉川:へー、そうなんだ。それもらえるの? 後で。

    さなポン:後で買えます。

    倉川:あ、買えるんだ。買えます。

    さなポン:お金を払ったら買えます。園長先生も、その幼稚園の一番偉い人もカメラ持っていて、みんなの写真を撮ってて、いろんな人が本当に撮っていたんですよ、写真を。だから私たちは、もちろん娘を撮るけども、両親以外のいろいろな知らない人たちも撮ってたわけですよ。

    さなポン:カメラマンとか先生たちとか、たくさんのカメラが撮られて、一日終えたんですね。私たちももちろん撮って、今日は本当に素晴らしい日だったな。いい写真もたくさん撮れたし、私たちもプロのカメラマンから撮ってもらえて、本当に買うの楽しみだなと思って。

    倉川:その写真を買うのがね。

    さなポン:いい日だったなと思って、帰ってきて、着ていた服を脱いでパッと見たら、Mサイズっていうシールが貼ってあったんですよ。Mサイズ。サイズを。

    倉川:それ気がつかなかったの?

    さなポン:そうなの。Mサイズって胸に書いてあって、嘘でしょって。

    倉川:そんなことある?

    さなポン:恥ずかしすぎて、いろんな人に話しました。こんな嘘みたいな話があるんですよ。思い出しただけで恥ずかしい。

    さなポン:で、買ったんですよ。そのカメラマンの写真を買って見てみたら、Mサイズって書いてましたね。

    倉川:ちゃんと貼ったままだったんだ。

    さなポン:貼ったままでしたね。

    倉川:目立たないシールなの? 透明なシールとか?

    さなポン:私、最初に言った通り、無字じゃなく柄が入ってたので、わかりづらいふうはなっていたんですけど、黒と白の柄で。

    倉川:よく見ないとわからない。

    さなポン:夫は誰も見てないよ。

    倉川:それはそうだね。

    さなポン:そんなの気づいてないよって言ってたけど、Mサイズですよ。しかも結構長い。

    倉川:あ、さなポン先生はそれ、買ったときも気がつかなかったし、買ってからも気がつかなかったし。

    さなポン:そうなんです。

    倉川:家に帰ってから気がついたの?

    さなポン:入園式が終わって、イベントが終わって、はー疲れたー、服を脱いで見たら、え? なにこれ? Mサイズ! みたいな。

    倉川:へー。

    さなポン:誰か言ってよー。やっぱね、友達は必要ですよ。

    倉川:友達?

    さなポン:ついてるよって。

    倉川:でもさ、やっぱりみんな気がつかなかったんだね。一緒に行ったご主人も娘さんも、もちろんさなポン先生見てるわけでしょ? その日にさ。

    さなポン:うん、もちろん。

    倉川:でももちろん気がついたら言うじゃん。あ! シールついてるよ! って言うでしょ?

    さなポン:そうだよね。

    倉川:言わなかったし、で、園長先生も写真撮ってる人も、あ! お母さん、これシール! って言うでしょ? 気がついたら。カメラ撮ってる人も。

    さなポン:もし、倉川先生がその幼稚園、同じね、入園式に参加していて、私がついていたら、言えますか?

    倉川:100%言う。

    さなポン:あ、知らない人だったら?

    倉川:言う言う言う。

    さなポン:知らない人?

    倉川:絶対言う。

    さなポン:へー、知らない人でも?

    倉川:うん、絶対言う絶対言う。言わない方が、なんか失礼じゃない? だってこんな写真撮られてる場で。

    さなポン:でもなんか、言った後ちょっと気まずくないですか? あ、あ、あー、みたいな。

    倉川:えー、さなポン先生言わない人? それ。

    さなポン:言えないですね。知らない人だったら。知ってる人なら言います。

    倉川:教えてあげないの? えー、なんで?

    さなポン:気づくかな? 誰かが気づいて、ご主人が気づいて言ってくれるよな、私じゃないよな、知らない人だしって思います、私は。

    倉川:一日一善のチャンスじゃん。

    さなポン:でも誰も私に一善してくれませんでした。誰も言ってくれなかった。

    倉川:私、2回ぐらいはあるよ。男子トイレ、男の人のトイレで、なんか私が髪を直したり、手洗ったり、鏡の前でしてる時に、隣の人がMサイズとかLサイズとかTシャツについてたりしたら、絶対教えるよ。2回くらい教えたことありますよ。

    さなポン:おー、その時、教えてもらった人はどんな顔ですか?

    倉川:おー、ありがとうございますってみんな言いますよ。

    さなポン:で、その後、倉川先生なんて言いますか?

    倉川:あ、はいって。シールついてますよ。あ、ありがとうございます。はい、これだけ。

    さなポン:もうそういう感じか。私はもう恥ずかしいってなってしまうと思うんですよ、多分。あ、なるほど。言われたら、えーって、ほんとだーってすごい言ってしまうと思うんで。多分、言ってくれた人も、あー、言っちゃったーって思うと思うんですよ。

    倉川:それでも言うよ。だって、その後の方が恥ずかしいじゃん。今、トイレで恥ずかしくっても、さなポン先生は損しないじゃん。でも、写真に撮られたら損するでしょ。あー、のお母さん。損した。のお母さん、Mサイズのシールついてるよってなるから。


    17 min
  • JLPT N3で落語!『皿屋敷』

    #80 JLPTN3で落語を聞こう!『皿屋敷(さらやしき)』

    日本では有名な「皿屋敷」という怪談の落語があります。わかりやすいようにN3レベルで書き直してみました。

    ちょっと怖くて、面白い話です!


    サブスクリプト:

    落語というのは、大体400年ぐらい前から始まった、面白い話を一人で話す、日本の伝統的な芸能、パフォーマンスです。歌舞伎や相撲などと同じですね。

    残念なことに、歴史がある芸能ですから、少しだけ日本語が難しい。そこで、日本語教師の私が、JLPTN3レベルで書き直してみました。書き直すのは大変でした。わからないことが多くて多くて、誰かに質問したかったんですが、全部自分で調べました。昔は、何か困ったこと、わからないことがあると、近くに住んでいる何でも知っているおじいさんがいて、そのおじいさんの家に尋ねに行ったそうです。私も、なんでも聞けるおじいさんが近くに住んでいたらいいんですけどね。

    「こんにちは。おじいさん、いますか。」

    「はいはい。おや、誰かと思ったら、お前たちか。さあ上がりなさい。」

    「ありがとうございます。」×4

    「4人で来たね。一人ならわかるが、どうしたんだ。」

    「実は、おじいさんに聞きたいことがあるんです。」

    「私に聞きたいこと? 知っていることなら教えてあげよう。」

    「実は、この前、北海道に仕事で行ったんですよ。」

    「おお、遠いところだな。どうした。」

    「仕事が終わったら、町の人がみんな集まってきて、『あなた、東京の人?東京の話を聞かせてくれ。』と言うので、相撲や花火の話をしていたんです。すると町の一番のお年寄りが出てきて、『あなた、東京の人なら皿屋敷(さらやしき)の話は知っているか。』と聞くんです。」

    『知りません。』と言ったら、町の人に笑われてしまいましてね。『東京で生まれて東京で育ったのに皿屋敷も知らないのか。』って。恥ずかしかったですよ。

    東京へ帰ってきて友達に聞いてみたんですが、誰も知りません。『おじいさんなら知っているだろう。』と思って、来たんです。」

    「そういうことか。皿屋敷について聞きに来たんだな。

    若い人が知らないのも無理はない。この話は、口に出すだけでも祟り(たたり)があると言われて、昔は誰も話さなかったんだ。」

    「そんなに恐ろしい話なんですか。」

    「ああ。本当は、『番町皿屋敷』という話なんだ。これは本当は実際にあった話だよ。

    昔、麹町の番町というところに青山鉄山(あおやまてっさん)という有名な武士がいた。そこで家事などの仕事をしていたのがお菊さん(おきくさん)という娘だ。それはそれは本当に美しい娘だったそうだ。

    で、その鉄山は美しいお菊が好きになってしまった。しかし、お菊にはもう三平という恋人がいたんだ。だからお菊さんは鉄山の誘いを受け入れなかった。そうなると、てっさんは逆にお菊がどんどん嫌いになった。『お菊、この女!』というようにね。

     この青山鉄山の家には、十枚のきれいな青い皿が家宝としてあったんだけど、その皿の管理はお菊の仕事だった。そこで、ある日、お菊がいない間に、鉄山が一枚だけ皿を隠した。お菊が戻ってきて、てっさんに『皿を出せ。』と言われる。数えてみろ。と言われて、『わかりました。』と皿を並べて数える。『数えてみろ。』

    「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、七枚、八枚、九枚……。」

    と、数えてみるが、何度数えても一枚足りない。当たり前だ。鉄山が隠したんだからな。『あと一枚はどうした。』『いいえ、私は知りません。』『黙れ。お前が盗んだに違いない。』って。最初から、お菊を苦しめるつもりだったんですね。

    お菊をひもで縛って庭につるして、蹴ったり殴ったり、水をかけたり。最後まで苦しめたあと、刀で殺して井戸の中へ捨ててしまったそうだよ。」

    「へえ、そんなひどいことをしたんですか。」

    「でもそれからはね、お菊の幽霊が毎晩井戸から出てくる。『一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、七枚、八枚、九枚……。恨めしや、鉄山様』と。

    これを毎晩聞かされた鉄山は、とうとう頭がおかしくなって、死んでしまった。」

    「なるほど、昔はそういう幽霊がいたんですか。」

    「いやいや昔じゃあない。今でも幽霊は出る。」

    「今でも?」

    「そうだよ。ただし、九枚まで聞いた者はいないらしいんだ。というのも、九枚まで聞くと頭がおかしくなって死ぬと言われている。七枚、八枚まで聞いても高い熱が出るというよ。恐ろしい話だね。」

    「そうなんですか!なるほど、俺たちは絵では見たことがあるが、本物の幽霊は見たことがないので、じゃあ、これから皿屋敷へ行って幽霊を見てきます。」

    「おい、ばかなことを言うな。九枚まで聞いたら死ぬんだよ?」

    「大丈夫ですよ。六枚まで聞いたら逃げてきますから。」

    …なんて気楽なことを言う人たちです。

    まだ夜ではなかったので、4人はそのまま近くの居酒屋で少し酒を飲んで時間をつぶしました。

    「そろそろ行こうか。」

    4人で外へ出て、その皿屋敷のあたりまで来ると、歩いている人もいない。さっきまで元気だった人たちも急に静かになります。

    「おい、おい、本当に今から皿屋敷に行くのか。」

    「もちろん。行くっておじいさんの前で言ったんだから、見ないと帰れないよ。」

    「そうだけど、九枚まで聞いたら気が変になって死ぬんだろ。」

    「だから六枚まで聞いて逃げればいいじゃないか。」

    「そうだけどさ。もし、もし…幽霊が親切じゃなかったらどうする?」

    「はあ?親切じゃない幽霊って何だよ。」

    「普通なら、『六枚、七枚、八枚、九枚。』って数えるだろ。

    でも、性格が悪い幽霊だったら、『六枚……七枚八枚九枚。』って、早く数えたらどうする?」

    「幽霊がそんな変なことするわけがないだろう。…お前、本当は怖いんだろ?」

    「怖くはないけどさ。」

    そんなことを言って、4人で話していると、皿屋敷へ着きました。

    「ここだ。何か、こわい家だな。」

    もちろん、門は閉まっています。

    「あ!あそこは壁が壊れている。あそこから入ろう。」

    みんなで中へ入りましたが、庭は草が伸びていて、長い間人が住んでいないことがわかります。

    「あ!あそこに井戸があるぞ。」

    まだ時間が早いので、井戸の近くで座って待つことにしました。しばらくすると、遠くのお寺の鐘「ぼーん」となりました。夜中の二時ごろです。

    その時、井戸のまわりに青い火が一つ、二つと現れました。その青い火の中から、お菊さんの幽霊がゆ~っくり出てきした。

    「うらめしや。鉄山様。」

    「出た!」「本当に出た!見られないよ!どんな顔をしている?」「俺は怖くて見られないよ。」

    「ちょっと見てくれ。」「あれ、…お菊さん、きれいだな。」

    「本当か…本当にきれいな人だな。」

    「一枚、二枚。」

    「二枚だ。」「まだ大丈夫。6枚まで待とう。」

    「三枚、四枚。」

    「四枚だ。」「もう少しだ。準備してよ。6枚になったら逃げるよ!」

    「五枚、六枚。」

    「六枚だ!」「逃げろ~~~~!」「走れ!右へ!」「そこ右へ曲がれ!」

    「はあ、はあ……怖かった。」「本当に怖かったな。」

    「でも、お菊さんはきれいだったね。」

    「そうだな。あんなにきれいな人は初めて見た。」

    「明日も行こう。」

    「いや、やめなよ。」

    「怖いのは怖いけど、お菊さんをもう一度見たい。」

    「本当に行くの?」

    「もちろんだよ。6枚で逃げたらいいんだよ、簡単じゃないか」


    そんな気楽な人たちでした。

    次の日になると、きれいなお菊さんを見たいと、一人増え、二人増え、十人増えて、また六枚まで聞いて逃げようという人が集まります。


     毎日毎日、少しずつ人数が増えていきました。平日でも、五十人から六十人。休みの日になると百五十人から二百人も集まるようになりました。すると、お菊さんに気に入られようとする人まで出てきました。何かプレゼントをしようとお寿司、お酒、お弁当、お菓子など、いろいろなものを持って、井戸の近くに置きます。そういう人の中には、「お菊ちゃんと友達になりたいな」などと言う人までいました。

    最初は見に来る人も、誰かの友達、とか、誰かの友だちの友達、という人が多かったのですが、今は、見に来ている人が多すぎて、もう誰が誰だかわかりません。

    「お、こんばんは。」

    「あ、どうも。こんばんは。」

    「私、今日は初めて来たんですが、すごい人ですね。」

    「あ、今日初めてですか。私は最初のころから来ています。最初はこんなに人はいませんでした。」

    「そうですか。あなた、お酒を飲んでいるんですか。」

    「そうですよ。最近は早く来ないと前のほうで見られませんからね。お酒でも飲みながらゆっくり待っているんですよ。あなたも一杯飲みますか。」

    「ありがとうございます。お菊ちゃんは本当にきれいなんですか。」

    「きれいなんてレベルじゃありません。最初のころは、少し青白くて、見た感じも幽霊という感じの美人だったんですけど、最近は、みんながたくさんお菓子とかをあげるから、顔色もよくなって、少し健康的になってきました。」


    (スクリプトはここまでです!)

    21 min
  • 新しい日本語を学ぼう!『フレネミー』(JLPT N3)

    #79 日本語の先生と新しい日本語を学ぼう!

    今日の単語は「フレネミー」です。

    friendとenemy、友達と敵(てき)を合わせた、新しい単語ですね。どういう意味でしょうか。

    あなたはフレネミーの知り合いがいますか?


    トランスクリプト:

    倉川:あ、さなぽん、おはよう。
    さなポン:おはよう。
    倉川:どうしたの? 元気ないね。
    さなポン:いや、聞いてよ。私さ、A先輩嫌なんだよね。
    倉川:あ、わかる。A先輩ね。
    さなポン:あ、本当? うん。ちょっと苦手なんだよね。
    倉川:私もちょっと苦手。
    さなポン:いや、今日A先輩と練習嫌だなって思ってて。
    倉川:本当にそうね。頑張って。
    さなポン:うん、ありがとう。

    ~次の日~

    さなぽん:あ、A先輩、おはようございます。
    A先輩:さなポン。
    さなポン:はい。
    A先輩:私のこと嫌いなんだって?
    さなポン:え、いやいや、そんなことないですよ。え、誰から聞いたんですか?
    A先輩:倉川が言ってたよ。
    さなポン:え?
    A先輩:さなポンが私のこと嫌いって言ってるって。
    さなポン:え?…あいつ!

    ~またまた次の日
    さなポン:疲れた。はぁ。
    倉川:あ、さなポン、お疲れ。
    さなポン:あ、お疲れ。
    倉川:聞いて。私、昨日新しいスマホ買ったの。色見て、色。オレンジなの。超かわいくない?

    さなぽん:なんだこいつ。フレネミーだ!!

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    日本語の先生と新しい日本語を学ぼう。「フレネミー」。


    倉川:最近はこのフレネミーという単語がインターネットではよく使われるようになりましたね。
    さなポン:おぉ、そうなんですね。すみません、私、初めて聞きました。
    倉川:初めて聞いた。最近のね、本当に新しい日本語だと思いますね。このフレネミーというのは、英語のフレンドとエネミーを組み合わせた造語ですね。

    さな:合わせた言葉、作った言葉なんですね。

    倉川:表では友達のように親しく仲良くしてくれるけど、裏では、私がいないところでは、私に対して良くないことをしたり、嫌な態度をとったりする人をフレネミーと言います。
    さなポン:こわい。
    倉川:つまり、友達のふりをした人のことですね。
    さなポン:フレネミーって知ったらショックですね、じゃあ。
    倉川:そうだよね、友達だと思っていたけど、実はそうじゃなかったという人だね。
    さなポン:やだ。
    倉川:小学校から大学までの学生時代、大人になってからはよく、あまりこういう人いないけど、学生時代はこういう人よくいたんじゃないかな。
    さなポン:よくいましたか? 倉川先生いましたか? フレネミー。
    倉川:そうだね、いましたね。フレネミーだなって思う人は、多くはないけど、ちょっといて。

    私、大学生の時はいろいろなアルバイトをしたんですよね。本当にいろいろなアルバイトを、短い時間だけしたりしてたんですけど、やっぱりアルバイトってすごく面白いですよね。例えば、ラーメン屋さんなら、ラーメン屋さんで働いているような特別な人たちがいて、例えば、服屋さん。服屋さんで働いたら、服屋さんで働いているような特別な人たちと会うんですよね。
    さなポン:アルバイトの人が?
    倉川:それは全然違う。店員さんが。
    さなポン:お店によって人が違うんですね。
    倉川:違うと思いますね、本当に。
    さなポン:服屋さんの店員さんのような人たちがいるってこと? 同じような人。
    倉川:ホテルなら、ホテルの人がいるし、レストランにはレストランの人がいるんですよね。
    さなポン:面白い。
    倉川:そう思いません?
    さなポン:あんまりアルバイトしてなかったからですかね。ラーメン屋さんの人ってどんな人だろうって思いながら聞いてました。


    倉川:服屋さんですね、私。大学2年生の時に札幌駅あるでしょ?
    さなポン:大きい、にぎやかな、一番大きい駅ですね。
    倉川:デパートも3つ、4つ入ってますよね。で、あそこで働いてたんです、私。
    さなポン:デパートで働いていたんですか?
    倉川:デパートの服屋さんで、人がたっくさん来る忙しい服屋さんでした。そこに、私服が大好きだから、服を売る仕事したいなと思って、大学2年生の時に始めたんですよね。で、本当に広いお店で、今もないですけど、店員さんが6人ぐらいいたのかな、全部で。
    さなポン:結構いますね。結構多い、大きい、本当に広いところで、店長さんがめちゃくちゃ怖い人だったんですよ。
    倉川:厳しい人?
    さなポン:厳しい人。
    倉川:ルールがたくさんあるんですね。
    さなポン:たくさんあるし、すごく目がいい人で。
    倉川:目がいい人?
    さなポン:例えば、服をきれいに整理してないとか、お客さんがいるのに、私がそのお客さんに話しかけなかったとか、店長は遠くにいるのに、私のお客さんが買った服の数が少ないとか、見てるんですよ。
    倉川:チェックしてるんですね、遠くから。
    さなポン:そうなんですよ。
    倉川:アルバイトの仕事をチェックしてるんですね。
    さなポン:怖いでしょ?
    倉川:怖い。
    さなポン:で、それ、ノルマがあったんですね、私。
    倉川:え、アルバイトにノルマ?
    さなポン:ありましたよ、ノルマ。
    倉川:1日何万円売ってくださいとかですか? そうですね。
    さなポン:何着? 1日、6、7、8万円ぐらい。土曜日、日曜日なら、12万以上かな。
    倉川:ちょっと売るように言われて、仕事終わって帰るときに、いつも店長に、今日いくら売りましたか? みたいな、チェックされて。もうちょっと頑張れたよね、とか。いつも言われるっていうのが、たくさんありました。結構厳しい店長でした、本当に。
    さなポン:厳しいね、アルバイトにですか? アルバイトにも?
    倉川:私、そのアルバイトで2回ぐらい泣いたことあります。めっちゃ言われて。
    さなポン:よくやめなかったですね。
    倉川:試着室で泣きました。
    さなポン:悲しい。
    倉川:1年でやめましたけどね、本当に厳しい店長だったんですけど。店長が厳しいから、他のスタッフは優しい人が多いんですよ。
    さなポン:あー、みんなで頑張ろうって。店長に負けないで。
    倉川:そう、そういう雰囲気があったんですよね、お店の中に。もちろん、それは店長には言わないですよ。でも、他のアルバイトの人とか、社員の人とかは仲が良かったんですね、すごく。一緒に途中まで帰ったりとかはしてたんですよね。で、私もまだ19歳かな、すごくまだまだ子供ですよね、19歳なんでね。

    さな:そうだね。
    倉川:今見るとね、本当に子供だったなと思います。純粋だったので。私、何でも話してしまうんですよね、他のアルバイトの人とか。
    さなポン:思ったこと?
    倉川:5人のアルバイトがいて、他の4人のアルバイトは結構長いんですね、もう3年とか5年とか働いてる人が多いんですけど。1人だけ、割と新しいアルバイトの人がいたんですよ。入ってまだ1年ぐらい。
    倉川:年は私より4歳年上とか、それぐらいだったかな、まあまあ近かったかな、男の人で。で、年もまあまあ近いし、その人も入って1年ぐらい、まあまあ最近だし。だから、その人が私にいろんな仕事を教えてくれる。
    さなポン:いいですね、いい先輩だね。
    倉川:先輩だったんですよね。で、いつもその人にいろんな仕事を聞いたり、これってどうしたらいいですかっていうことを話してたんですよね。で、服屋さんって結構暇な時間多いんですよ、実は。
    さなポン:そうなんだ。
    倉川:実は、すごくお客さんが来ない時間多いんですよね。お昼の時間とか、晩御飯の時間ね、全然いないんですよね、人。
    さなポン:確かにね。
    倉川:そういう時間は結構、他のスタッフと店員さんとおしゃべりをするので、で、そのある時に、いや、私本当に店長苦手なんですよね。「いや、本当にこの間店長に怒られすぎて試着室で泣いちゃいましたよ」、みたいな。言ったんですね。
    倉川:「本当に店長と働くのストレスなんですよね」って、その先輩に話したんですよね。で、その先輩は明るい先輩だったので、わかるわかるって。そうそうそう。
    倉川:みんなそうよ、みんなそう、みたいな。まあまあまあ、みたいな。で、私がずっと話をしてて、で、次の日に仕事をしてて、その人は休みだったんですね。
    倉川:その先輩休みで、店長と2人の仕事だったんですよ、その次の日。で、「おはようございます。」ってアルバイト行って、で、仕事をしてる時に、ちょっと暇な時間があったんですね。お客さんがいない時間があって、店長が何か私の方に歩いてきて、で、ニヤニヤしてるんですよ。
    倉川:ちょっと笑ってるんですよ。
    さなポン:うん、やだね。ニヤニヤ。
    倉川:ちょっとニヤニヤ。ちょっと笑ってて。
    さなポン:なんか考えながら、思いながら笑ってたんですね。
    倉川:なんか話したいことがあるんでしょうね。で、来て、「どう? 最近仕事大変?」みたいな。
    さなポン:うわー、やだー、聞き方を。
    倉川:店長が来て、怖い。40歳くらいの男の人でしたね、店長がね。でも、最近仕事慣れてきましたね、みたいな感じで。
    倉川:で、初めてその時に、「え、倉川さんって大学で何勉強してるの?」 とか。

    24 min
  • 10分でことわざ!『棚からぼた餅』(JLPT N3)

    #78 10分でことわざ!『棚からぼた餅(たなからぼたもち)』


    みなさんは日本語の「ことわざ」(Proverb・諺語・속담)を知っていますか?

    今日はさなポン先生が10分でことわざを紹介します!

    今日のことわざは「棚からぼた餅」です。


    トランスクリプト:

    よーし、部屋の片付けをするぞ。

    まずは本から。
    いろいろな本があるなぁ。

    あれ? この本久しぶりだな。見てみよう。
    あ、なんか間に入ってる。
    あれ? 何だろう。

    え、お金だ。
    え、しかも1万円。
    やったー、ラッキー。

    「棚からぼた餅」だ!


    10分でことわざ。「棚からぼた餅」。

    皆さんは「棚からぼた餅」ということわざを聞いたことがありますか?

    意味は、あまり大変な思いをしないでラッキーなこと、いいことが起こった時に言うことわざです。

    あともう一つは、思ってもいなかった、いいことが起きた時にも使います。

    こんな経験はありませんか?

    昔使っていた財布が出てきて、中を見たら、お金が入っていた。

    嬉しいですよね。ラッキー。

    お金が入っていると思わなかったのに、お金が入っていたら、ラッキーと思いますよね。

    やった、いいことだ。

    そういう時に、棚からぼた餅だと言ったりします。

    棚からぼた餅の「棚」(たな)の意味ですが、物を置くところを棚と言いますね。

    本を置くところ、本棚と言います。

    それから、棚に花が飾ってあります。
    写真を棚に置きます。

    いろいろ使いますよね。

    ぼた餅の意味は、日本の昔からあるお菓子の名前です。
    餅の名前ですね。

    餅の周りにあんこがついているお餅のことです。

    今でも食べますよ。私も大好きです、ぼた餅。

    昔は、砂糖は高いもので、なかなか買うことができませんでしたね。

    甘いものが、甘いお菓子が食べたくても、なかなか食べることはできませんでしたね。

    そんな甘いお菓子が、もし棚の上にあったら嬉しいですよね。
    ラッキーですよね。

    あまり大変な思いをしないで、美味しい甘いお餅を食べることができたら、
    お菓子を食べることができたら嬉しいですよね。

    そんなことから、棚からぼた餅ということわざができました。

    棚からぼた餅ということわざは、私もよく使います。

    時々、最近は短く言う人もいますね。

    棚からぼた餅なので、「棚ボタ」と短く言う人もいます。

    私も最近、棚ボタなことがありました。
    棚からぼた餅なことがありました。

    私、よく行くコーヒー屋さんがあるんですね。カフェがあるんですが、
    よくね、そのお店にコーヒーを飲みに行きます。

    あまり買うことはなかったんですけど、コーヒーを買うことはなかったんですけど、
    よくね、一人で飲みに行っているお店なんですが、

    この間、そのコーヒー屋さんに行ったら、セールだったんですよ。
    安くなる日だったんですね。

    家でもおいしいコーヒーが飲みたいなと思って、
    初めてコーヒーを買ってみることにしました。

    店員さんに注文をして、お金を払いました。

    お釣りと、帰ってきたお金とレシートをもらって、
    レシートは買ったものの名前と値段が書いてある紙のことですね。

    レシートとお釣りとコーヒーをもらって、帰りました。

    で、家に帰ってから、コーヒーいくらだったのかなと思って、
    レシートを見たんです。

    そしたら、安くなってなかったんですよ。

    あれ? と思って。

    安くなる日に買ったのに安くなってない! と思って、
    すぐ電話をしました。

    そしたら、そこの店員さんすごく親切な人で、

    「申し訳ございませんでした。私が間違っていました」

    と言って、
    「次、いつお店に来ることができますか?」 と言ったので、

    「明日行きますよ。いいですよ。明日の朝行きますね」

    と言って、電話を切りました。

    で、次の日、またコーヒー屋さんに行ったら、すぐ謝ってくださって、

    「大変申し訳ございませんでした!」

    と言って、お金をすぐ返してくれました。

    私もその後、仕事があったので、仕事に行こうと思ったら、

    「ちょっと待ってください!」

    と店員さんが言って、

    飲んだろうと思ったら、「ドリップコーヒーは好きですか?」 と聞いてくれて、

    私、そこのお店のドリップコーヒーを友達からもらって飲んだことがあったので、

    「すごく美味しいコーヒーですよね。前飲んだことがあります」と言ったら、

    「本当ですか? じゃあ、ここにあるドリップコーヒーも全部あげます!」と言ってくれて、
    袋にたくさんコーヒーを入れてくれるんですよ。

    そんなにたくさん? って私が言ったら、

    「車で来ていますから、ガソリンのお金にはなりませんが、
    ぜひコーヒー飲んでください!」

    と言ってくれて、

    私の車のガソリンのお金のことまで考えてくださって、
    たくさんのコーヒーを入れてくれたんですよ。

    でも、すごい嬉しくて、

    わー! 棚からぼた餅だー!

    と思って、

    まさかお金だけ返ってくると思っていたのに、
    コーヒーがたくさんもらえるとは誰も思いませんよね。

    私も思っていなかったので、ラッキー!
    しかも美味しいコーヒー!

    うわー! めっちゃ嬉しい! と思って仕事に行ったんですけど、

    その日のことが嬉しすぎて、
    家に帰ってコーヒーをたくさんもらったので、
    数えてみたんですね。

    1つ、2つ、3つって数えてみたら、

    なんと! 80杯分のドリップコーヒーをもらったんですよ!

    すごくないですか?
    80杯分ですよ!

    すごい嬉しくて、
    この話をたくさんの人にしたんですよ、私。

    会う人会う人に、
    友達にも知り合いにも、
    学校に行って、学生にもしたんですね。

    そしたらね、今そのお店すごく混んでいて、
    なかなか行くことができなくなりました。

    私のおかげですかね。

    また行きたいなーと思っています。

    すごいね、店員さんもいい人だし、大好きです。

    で、私この経験から思ったんですよね。

    お店でもらうレシートですね。

    「レシートが間違っていた時」と、
    「サービスがいい店」は、
    同じだと思うんですよ。

    どちらも、「言って・行って みたほうがいいでしょう」。

    9 min
  • 新しい日本語を学ぼう!『〇〇パ』

    #76 日本語の先生と新しい日本語を学ぼう!

    今回の単語は「コスパ」「タイパ」などで使われる「〇〇パ」です。


    トランスクリプト:

    さなポン:ここ、前から気になってたレストランだ。行ってみよう。
    倉川:いらっしゃいませ。何名様ですか?
    さなポン:一人です。
    倉川:こちらへどうぞ。お待たせしました。こちらがトマトパスタです。
    さなポン:いただきます。美味しい。来てよかった。
    さなポン:お腹いっぱい。すみません、お会計お願いします。
    倉川:ありがとうございます。お会計は800円です。
    さなポン:800円!? こんなに美味しいのに、こんなに安いなんて。コスパいい!


    倉川:日本語の先生と新しい日本語を学ぼう。○○パ。最近になって、この○○パという日本語をよく使われるようになりましたね。

    さな:よく聞きますね。
    倉川:例えば、どんな○○パがありますか?

    さな:コスパとかタイパ。

    倉川:ですかね。一番よく使われているのはコスパですよね。
    倉川:そうですね。これは何の略か知ってますか?

    さな:コストパフォーマンスですか?
    倉川:そうですね。英語ですよね。コストは「払ったお金」とか「使った時間」のことですよね。
    倉川:パフォーマンスは「どれぐらい満足したか」という意味ですね。だから払ったお金が少しだけ、使った時間が少しだけなのにとても満足したら「コスパがいい」。払ったお金がちょっと高いのにあんまり良くなかったら「コスパが悪い」と言いますよね。
    さなポン:満足しなかったらコスパが悪いですね。
    倉川:でもこれって安いという意味だけじゃないですよね。
    さなポン:確かに。そうですね。ただ安いだけじゃないですね。
    倉川:値段以上の価値を感じるときを使うんですよね。例えば1万円のステーキを食べてみました。1万円って高いじゃないですか。
    倉川:でも本当に感動するほど美味しかったらコスパがいいですよね。
    さなポン:1万円以上の感動があったら満足感ありますね。払って良かった。
    倉川:人生で一番美味しかったと思ったら1万円なら安いよね。
    さなポン:安いね。払います払います。
    倉川:それはコスパがいいですよね。1万円だけどね。このコストパフォーマンス、コスパという単語は和製英語(わせいえいご)、日本で作られた英語だそうですよ。
    さなポン:あ、そうなんですか。
    倉川:アメリカとかイギリスでは使わないかも。
    さなポン:それはびっくりしました。
    倉川:…なんですけど、中国語では同じなんですよね。

    さな:あるんですか?

    倉川: コストパフォーマンスのCとPをとって「CP値」と言うんですね。
    倉川:韓国語だと…「価格対比性能」だよね。
    さなポン:なるほど。それぞれ国であるんだね。

    倉川:そうだね。
    さなポン:英語は…なんて言うんだろうね。
    倉川:調べてみよう笑


    倉川:good value for money。「お金に合う価値がある」。
    さなポン:長いね。
    倉川:面白いね。…アメリカ人は短く言わないのかな。面白いね。
    さなポン:気になりますね。
    倉川:あんまり気にしないのかな。
    さなポン:日本語はコスパですね。3文字。
    倉川:今は「コスパ」、よく使うんですけど、「タイパ」もよく使いますよね。
    さなポン:タイムパフォーマンス。
    倉川:タイムの方、時間ですよね。だから時間、使った時間が短いけどすごく満足したとか、そういう時はタイパがいい。逆に時間をたくさん使ったけどあまり満足できなかったらタイパが悪いと言いますよね。
    倉川:これ、ディズニーランドとか行くとすごく考え方違うと思うんですよね、みんなね。確かに。ディズニーランドすごく長い時間待つでしょ。
    さなポン:並びますね。待ちますね。アトラクションに乗るためにね。
    倉川:アトラクション、乗り物ね。あれを、いやー、ディズニーランドは4時間並んで1つしか乗れなかった。うわー、タイパが悪いなって思う人もいるし、いるね。
    倉川:4時間で1つも乗れた、うわー、タイパがいいなーって思う人もいるんですよね。
    さなポン:えー、4時間で1つで。
    倉川:知らないけど、ディズニーランドが好きな人はね。
    さなポン:そういうこと、例えるんだよね。
    倉川:さなぽん先生、ディズニーランド行きました?
    さなポン:行きますよ。好きですよ、ディズニー。
    倉川:あ、好きなんだ。
    さなポン:あ、そうなんだ。はい、好きです。
    倉川:何回ぐらい行ったんですか?
    さなポン:何回? 4回ぐらいかな。
    倉川:あ、結構行ってるね。
    さなポン:え、これ結構ですか? 少ないと思ってました。
    倉川:私たち北海道人でしょ? 北海道人で4回なら結構多いんじゃない? 遠いから。
    さなポン:うそー、あ、そうですか? え、これ4回、私少ないと思っていましたよ。
    倉川:友達はもっと多いですか?
    さなポン:多いと思います。10回以上は行っている友達いますよ。
    倉川:えー、あ、そうなんだ。
    さなポン:あれ、季節がありますからね。
    倉川:あ、そうだね。
    さなポン:季節でイベントが違いますからね。
    倉川:あ、そうなんだ。そういう人たちは多分、ディズニーランドはタイパがいいと思ってますよね? 知らない。
    さなポン:タイパはどんどん悪くなっていると思います。
    倉川:そうなんだ。
    さなポン:混んでますよね。新しい場所ができると、新しい乗り物ができると、混みますし、今、外国人の観光客の方増えているので、特別なチケットを買わなければ乗れなくなってしまいましたよね。
    倉川:ファストパスでしたっけ?
    さなポン:名前変わって、それから名前変わったんですよ、また。だから、ますますお金がかかる夢の国だなーって。私がいた時は、ファストパスの時だったので、まあ、タイパよく乗れましたね。
    さなポン:計画的にね。計画を立てて乗ればいいんですが、今はお金を払わなければ、早く乗れないので、だから、最近行けないです。もう本当に行けない。
    倉川:最後に行ったのはいつですか?
    さなポン:最後に行ったの? 大学生です。
    倉川:あ、なるほど。私、子供の時、一回しか行ったことないので、ディズニーランド。
    さなポン:終わり? それだけ?
    倉川:それだけ。
    さなポン:えー、そっか。
    倉川:話を聞くと、やっぱり一つの乗り物で2時間、1時間待つのは、ちょっと私の性格では無理ですね。
    さなポン:無理ですか?
    倉川:タイパ悪いなーと思って。ちょっと無理かな。
    さなポン:じゃあ、ディズニーランドじゃなくても、遊園地でも待てませんか? なんか、ジェットコースターとか。
    倉川:そうですね。ちょっと待てないですね。
    さなポン:ラーメン屋さんとか。
    倉川:ラーメン屋なら待ちますね。
    さなポン:あー、あそこは待てるんだ。


    倉川:あの、2025年ですね、去年、日本である調査をしたらしいんですけど、あの調査はですね、「〜パという単語を知っていますか?」という調査で、日本人の70%の人は、コスパという単語を知っていて、60%の人は、タイパという単語を知っていると答えていました。
    さなポン:へー。じゃあ、1位、2位がタイパ、コスパってことですね。
    倉川:そう。日本人の半分以上の人は、タイパ、コスパという単語は知っていると答えていますね。いつから使われ始めたかは、はっきり分からないんですけど、だいたい2010年ぐらいからだそうですね。
    さなポン:それぐらいか。
    倉川:もう10年ぐらいですかね、15年ぐらい使われている新しい単語、タイパ、コスパ。寺本先生はどんなときに、この〜パ使っていますか?
    さなポン:今日、ランチに行ったんですよ。
    倉川:昼ごはんね。友達と?
    さなポン:夫と行ったんですけど、レストランに行くとお金払いますよね。やっぱ、コスパは意識しますよね。毎日の、買ったりするとき、食べたりするときは、コスパがいいな、悪いなっていうのは、お財布と一緒に意識していますよ、いつも。
    さなポン:よく使います。あのお店、コスパ良かったねとか、帰り、よく夫と話したりします。
    倉川:今日のレストランは、コスパ良かったですか?
    さなポン:めちゃくちゃ良かったんですよ。初めて行ったお店で、ずっと気になってたんですよ。イタリアンのレストランだったんですよ。
    倉川:家の近くのレストランなんですか?
    さなポン:家の近くにあって、本当に普通のお家なんですよ。お家がレストランなんですよね。パッと見たら、レストランかどうか分からない。
    倉川:看板もちょっと小さい。
    さなポン:看板も小さくて、イタリアの旗があるので、あっ、うちじゃないんだなって。
    倉川:イタリア料理なんだって分かるね。
    さなポン:気になってて、今日やっと初めて行けたんですよね。私が食べたパスタとサラダとパンとケーキとコーヒーがセットで、全部一緒になって、ケーキもあったんだ。ケーキもあったんですよ。


    18 min
  • 新しい日本語を学ぼう!『ワンオペ』

    #75 日本語の先生と新しい日本語を学ぼう!

    今回の単語は『ワンオペ』です。

    英語の、「one operation」から作られた、和製英語(わせいえいご:日本人が作った英語の単語)ですが、どういう意味か、知っていますか?


    トランスクリプト:


    さなぽん:このお店にしようか。すいません。…え、店員さん?

    さなポン:すいません。…いないんだけど。すいません。すいません、すいません。

    倉川:すみません。お待たせしました。こちらにどうぞ。

    さなぽん:え、何にする?ビール?え、ビール?

    あ、私もビール。うん。じゃあビール3つだね。

    …え、来ないんだけど。もう一回押してみる?え、これ音鳴った?

    倉川:すいません、すいません。遅くなりました。ご注文は?

    さなぽん:ビール3つお願いします。

    倉川:ビール3つですね。少々お待ちください。

    ~5分後~

    さなぽん:ビールしか頼んでないよね。

    ~10分後~

    さなぽん:え、まだ来ないんだけど。喉乾いたよね。

    倉川:すみません、すみません。遅くなりました。ビール3つです。

    さなポン:ちょっと店員さん遅いですよ。どうしたんですか?

    倉川:すみません、今日他のアルバイトがみんな休みなんです。今日は私ワンオペなんです。

    さなぽん:ワンオペ!?

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    日本語の先生と新しい日本語を学ぼう。「ワンオペ」。


    倉川:ワンオペは英語ですね。

    ワン・オペレーションなんですけど、最近になってよく聞くようになりました。

    さなぽん:そうですね、よく言いますね。

    倉川:ワンオペというのは、「もともと2人以上、たくさんの人でする仕事を、1人のスタッフや店員さん、1人のお母さん、お父さんだけが全部していること」ですね。

    さなポン:そうだね、全部仕事をすることだね。

    倉川:「1人で仕事を全部すること」をワンオペと言いますね。これは和製英語、日本で作られた英語ですね。

    さなポン:そうなんですね。英語じゃないんですね。

    倉川:もともとは英語だけど、アメリカでは言わない。もともとはレストランやコンビニなどで、1人の店員さんが全部のこと、レジとか掃除とか、物の整理とかね、出したりね。全部することを言っていました。

    最近ではレストラン、コンビニだけじゃなくて、家でも使いますよね。

    さなポン:家事、育児ですか?家の仕事とか、子供の世話とかですか?

    倉川:お母さんが全部の家のこと、子供のことを1人でしていることをワンオペと言うようにもなりましたね。

    さなポン:なりましたね。

    倉川:よく聞きます。基本的にはマイナスの意味かな。

    さなぽん:ワンオペで大変なんです。大変、とか。疲れる、ワンオペで疲れる。

    倉川:ちょっとネガティブな意味だね。一応、2014年にある有名な日本のレストランで、夜にワンオペで仕事をしているアルバイトの人が、ちょっとインターネットで話題になって、それからこの単語が有名になったそうですね。

    さなポン:その人がワンオペって言ったんですか?

    倉川:そのことが始まりだそうですよ。その人が言ったかどうかはわかんない。他の人が言ったかもしれないけど。

    さなポン:その人が言って、たくさんの仕事を1人でしているってことで、この言葉が生まれたんですね。

    倉川:そのようですね。結構新しいよね。まだ13年ぐらい?

    12年ぐらい?ワンオペという単語なんですけど、さなポン先生はワンオペしていますか?

    さなポン:家でですね、私は。家事はワンオペですね。最近はほとんど。

    倉川:ご主人、仕事ですからね。

    さなポン:そうですね。夫が遅いので、帰りが10時とか、夜10時とかだと、娘を早く寝かさなければならないので、ワンオペをしなければならないですよね。

    倉川:さなポン先生も仕事があるから、仕事から帰って、掃除、洗濯、料理、娘とちょっと遊んで、お風呂、勉強したり、本読んだり、寝て、寝かせるっていう。寝かせて、ほとんどワンオペですね。

    さなポン:ワンオペですね。全部1人でやってますね。

    倉川:ご主人が帰った時には、娘さんは寝ているんですかね?

    さなポン:そうです、そうです。

    倉川:なるほど、なるほど。大変ですか?

    さなポン:いや、それが、夫が早く帰ってきた時の方が、寝かせる時間遅いんですよ。なぜなら、夫と娘は仲がいいんですよ。

    倉川:なるほど。たくさん話したいんだ。

    さなポン:あの2人はね、話したいしね、遊びたいんですよ、2人は。私は困るんですよ。

    倉川:早く寝てほしいんだね。

    さなポン:早く寝てほしいんです。だから、遅く帰ってきてくれた方が嬉しいかもしれません。

    倉川:ワンオペの方がちょっと嬉しい。

    さなポン:ワンオペの方がいいですね。大変だけどね。自分も早く寝られるし、ワンオペの方が自分で早く仕事をすれば、それだけ早く今日の仕事を終わることができるので。

    倉川:頑張ればね。

    さなポン:娘と一緒に早く寝られるので、ワンオペの方がね、いいです。

    倉川:あ、そうなんだ。ワンオペの方がいいって、なかなかあんまりそういう人いないけどね。そうなんだね。

    私のペースで、マイペースにできるので、仕事が。ご主人、もし帰ってきたら、そうだよね、ご主人に会わせなければならないよね。

    さなポン:そうそう、早くお風呂入ってほしいのに、まだ入らないとか、ゆっくり食べてるとか、お皿洗うの誰だとか。

    倉川:なるほどね。ワンオペの方が早くできるということだね。自分の好きなスピードでね。



    さなポン:仕事はね、そうじゃないですよね。

    倉川:仕事をワンオペでするのはちょっと大変ですよね。そうですよね。以前、私、ラーメン屋さんで働いていましたけど、その時は、時々ワンオペの時間があったんですね。

    私が一人でラーメンも作るし、レジのお金ももらうし、電話も出なければならないし、お客さんに水も出さなければならない。

    さなポン:大変だ。

    倉川:から、ワンオペの時間はちょっとね、緊張しましたね。

    さなポン:ワンオペの時間って、どの、何時間ぐらいだったんですか?

    倉川:長くても、2時間、3時間でしょうね。

    さなポン:うわー、でも、緊張しますね。3時間。

    倉川:そうだけど、それはやっぱり、基本的にすごく短いし、あんまりないんですよね。そうなんですね。時々、他のアルバイトの人が、今日はちょっと体調が悪くて、お休みしますとか、突然、家族がちょっと大変なことになって、今日から1週間お休みしますとか、そういうことがあった時は、本当に大変ですよね。

    一人で8時間のワンオペしなければならない。

    さなポン:その日に分かったってことですか?

    倉川:そうですよね。だいたいそれは、突然起きますよね。突然のハプニングなので。

    さなポン:何が一番大変でしたか?

    倉川:私、1回ね、20時間ぐらいのワンオペしたことあるんですよね。20時間?そう、突然。

    さなポン:待って待って、仕事20時間?

    倉川:他のアルバイトの人が、突然、もう辞めますって言って、他の社員さんももう全部、このお店に来られない状況で、もう私しかいない。

    さなポン:全員来られない。

    倉川:私は朝から昼までだったんです、仕事が。

    さなポン:その日は。

    倉川:だけど、昼から夜までの人がワンオペの状態で、その人が休みだったんです。私が朝から夜まで働かなければならない。のが、なんかあったんですよね。

    朝から朝の5時までオープンしてるお店だったので、朝の準備があるでしょ。寝てないってこと?寝てない、寝てない。

    全部20時間のワンオペを1回やったことあります。それは、楽しかったですね、でも逆にね。

    さなポン:楽しかったんですか?なんとかハイ?

    倉川:ハイになっちゃって。

    わ、どうしようどうしようみたいな、全部一人でしなきゃみたいな。友達呼んで、みんな来て!

    倉川:逆にハイになりますよね。人生に1回2回あるかないかでしょ、そんなに大変なこと。

    さなポン:自分しかいないっていうちょっとこう、あれですか。俺が店を守る!

    倉川:そう!

    俺が全部やらなきゃ!

    さなポン:俺しかいないんだ!

    倉川:楽しくなっちゃって。まあまあ、大変だったけど楽しくやれましたね。ワンオペのお店は日本にまだちょっとあるかなと思いますね。

    さなポン:夜とか朝とかありそうですね。

    倉川:うん、そうね、人が来ないときね。少ないとき?さなポン先生、ワンオペのお店行ったことあるでしょ?

    小さいお店のね。居酒屋とかカフェとかレストランとか。喫茶店多いかな。

    さなポン:あんまりそのキッチンに何人いるか、作ってるとこに何人いるかとかわからないんで。

    倉川:あ、まあそうか。

    さなポン:ワンオペかどうかってわからないですよね。

    倉川:まあそうですね、わからないか。

    さなポン:ワンオペっぽいなっていうお店は行ったことありますが。

    倉川:あまり気にしないですね、さなポン先生。

    さなポン:そうそう、気にしない。本当にさっきみたいに遅かったり、ベルを押しても全然来ないねとか、そういうことがないとわからないですよね。

    倉川:私結構その店員さん何人いるかなっていつも見てますね。もし店員さん少なかったら、何回もピンポンピンポンすいません、すいませんってやったら、店員さんも大変だってなるでしょ?

    さなポン:すごい、店員さんを思って。

    倉川:そう、店員さんのこと考えて。

    さなポン:優しい。

    倉川:多分でもレストランで働いたことがある人は結構そう思うかな。

    さなポン:みんな思いますか?

    倉川:多分、店員さんの気持ちがわかるから。

    さなポン:なるほど、確かに働いたことないです、私。

    (スクリプトはここまでです!)




    20 min
  • JLPT N3で日本怪談!『耳なし芳一』

    #75 JLPTN3で日本怪談!「耳なし芳一」


    JLPTN3ぐらいの単語と文法で、日本の古い怪談(かいだん:怖い話)を聞こう!

    2回目は「小泉八雲」(こいずみやくも)という人が書いた、「耳なし芳一」(みみなしほういち)という話です。日本ではとても有名な怪談で、誰でも知っているストーリー。

    琵琶(びわ)という楽器を弾くながら歌うのが上手な、目が見えない少年、芳一(ほういち)。

    近所のやさしい住職(じゅうしょく:お寺で働く人)のおかげで、お寺に住めることになりましたが、ある日、知らない武士(ぶし)が夜に突然訪ねてきて…?


    トランスクリプト:


    七百年以上前のことです。

    京都に住み、西の日本を代表する平家(へいけ)と呼ばれる一族と、鎌倉に住み、東の日本を代表する源氏(げんじ)と呼ばれる一族がいました。

    平家と源氏はいつも戦争をしており、ついに源氏は平家を京都から追い出し、(今は関門海峡のこと)下関海峡の壇ノ浦(山口県の、関門海峡に面しているところ)まで追い詰めて、長い戦いの最後の戦いをしました。この戦いは「壇ノ浦の戦い」(だんのうらのたたかい)と呼ばれており、今も歴史の授業で習います。

    この戦いで、平家は一族の女性や子ども、そして幼い天皇であった安徳天皇とともに、ほとんど全員が源氏に殺されて、なくなりました。

    それから七百年、その海と海岸には平家の人たちの霊がいると言われていました。

    私は以前、「平家蟹」という不思議なカニについての話を書いたことがあります。そのカニの甲羅には人の顔のような模様があり、それを見た人々は「蟹に平家の武士の魂が入っているんだ」と信じていました。

    この海岸では、そのほかにもたくさんの不思議な話があります。暗い夜になると、青白い火が浜辺や波の上をふわふわと動いているのが見えることがあります。漁師たちは、その火を「鬼火」(おにび)や「魔の火」と呼んでいました。また、風が強い日には、昔の戦いの叫び声のような声が海から聞こえてくるのです。


    実は、昔の平家の霊は、今よりも もっと人を苦しめていました。

    夜になると船の近くに現れて船を沈めようとしたり、海で泳ぐ人を海の中へ引き込もうとしたりしたのです。その霊をなぐさめるために、赤間ヶ関には阿弥陀寺というお寺が建てられました。海の近くには墓も作られ、入水(じゅすい)した安徳天皇や家来たちの名前が書かれた石碑も建てられました。そして、お寺では平家の人たちのために、きちんと法要が行われるようになると、それからは、平家の霊が人に悪いことをすることは少なくなったそうです。

    しかし、それでも時々、不思議な出来事は起こりました。それは、殺された平家の人たちの魂が、まだ本当の安らぎを得ていなかったことの証明、ということでしょう。


     何百年か前、この海岸の近く、赤間ヶ関という町に芳一という目の見えない若者が住んでいました。芳一は琵琶という楽器を弾きながら物語を語る、吟踊(ぎんよう)がとても上手で、その名前は広く知られていました。子どものころから琵琶を勉強し、まだ若いときから周りの人に「先生たちよりもうまい」と言われるほどになりました。

    特に、平家と源氏の物語を歌う名人として有名で、中でも壇ノ浦の戦いを歌うと、その悲しさに、鬼だと言われるような厳しい性格の人まで涙を流したと言います。

    しかし、そのころの芳一はとても貧しく暮らしていました。

    幸いなことに、近所の阿弥陀寺(あみだじ)の住職が詩や音楽をとても好きな人で、住職は何度も芳一を寺へ招き、琵琶を弾かせていました。

    住職は芳一のすばらしい才能に感心し、「お金がないなら、この寺を自分の家だと思って住みなさい」と言いました。芳一は心から感謝し、その申し出を受けました。こうして芳一は寺の一部屋を使わせてもらい、食事や寝る場所も用意してもらうことになりました。その代わりに、特に用事のない夜には、住職のために琵琶を弾いてあげるようにお願いされていました。

    ある夏の暑い夜のことでした。

    住職は、亡くなった人の家で法要(ほうよう)を行うため、寺を出かけました。一緒に、寺で働いている僧侶も連れて行ったので、その夜、お寺には芳一だけが残りました。

    とても暑い夜だったので、芳一は少しでも涼しいところへ行こうと思い、自分の部屋の前にある縁側へ出ました。その縁側からは、お寺の裏にある小さな庭が見えました。

    芳一は住職が帰って来るのを待ちながら、一人で琵琶の練習をしていました。夜中になっても、住職はまだ帰って来ません。しかし、部屋の中は暑く、外のほうが少し楽だったので、芳一はそのまま縁側に座っていました。

    しばらくすると、お寺の裏門のほうから足音が聞こえてきました。誰かが庭を歩き、まっすぐ縁側まで来て、芳一の前で止まりました……しかし、それは住職ではありませんでした。力強い声が、芳一の名前を呼びました……それは突然で、失礼な言い方で、侍が下の人間に命令するように……

    「芳一!」

    あまりにも急だったので、芳一はびっくりして、すぐには返事ができませんでした。すると、その声はもっと厳しい命令をするような、強い調子で呼びました……

    「芳一!」

    「はい!」

    芳一はおびえながら答えました……「私は目が見えません!……どなたがお呼びでしょうか!」

    すると、その知らない人は少しやさしい声になって言いました。

    「心配することはない。私はこの寺の近くに住む者で、私の主人から、お前に伝言をするように命じられて来た。私の主人は、とても身分の高い方で、今、多くのお供を連れて赤間ヶ関に滞在しておられる。今日、壇ノ浦の戦いの場所をご覧になったところだ。主人はお前がその物語を語る名人だと聞かれ、ぜひ、お前の琵琶を聞きたいとのことだ。だから、琵琶を持って、すぐ私について来い」

    その時代、武士の命令に逆らうことはできませんでした。

    それで、芳一は草履をはき琵琶を持って、知らないその男について行きました。芳一は武士に手を引かれながら歩きましたが、歩く速さがかなり速かったため、芳一は急いでついて行かなければなりませんでした。また、その武士の手は、まるで鉄のように固く感じられました。歩くたびに「カタカタ」という音が聞こえました。その音から、芳一は武士が鎧や甲冑を身につけていることに気づきました。

    最初は不安だった芳一も、しばらくすると別のことを考え始めました。

    「きっと、とても身分の高い侍様なのだろう。そんな人が私の演奏を聞きたいと言っているのだから、これは大きな幸運かもしれない。」

    そう思うと、芳一は少しうれしくなりました。

    やがて武士は立ち止まりました。その時、芳一は大きな門の前に来たことを感じました。

    しかし芳一は不思議に思いました。この赤間ヶ関には阿弥陀寺の大きな門以外に、このような立派な門があった記憶がなかったからです。

    「門を開けろ!」武士は大きな声で言いました。

    すぐに門を開ける音が聞こえて、二人は門の中へ入りました。

    その後、広い庭を通り、さらに別の入口まで進みました。

    武士は再び大声で呼びました。

    「誰かいるか。芳一を連れて来た。」

    すると、たくさんの足音や、ふすまを開ける音や戸を開く音、さらに女たちの話し声も聞こえました。

    その話し方から、芳一は高い身分の家で働く女たちだろうと思いました。

    しかし、自分がどこへ連れて来られたのかは、まったく分かりませんでした。

    そのことを考える間もなく、芳一は別の人に手を引かれて進みました。

    何段もの石段を上り、一番上で草履を脱ぐように言われました。

    それからは女の人に手を引かれて、長い廊下を歩きました。

    覚えきれないほど何度も柱の角を曲がり、とても広い畳の部屋をいくつも通り過ぎ、そして最後に、大きな部屋の中まで連れて行かれました。

    そこには大勢の人が集まっているようで、着物がこすれる音が、森の木の葉が風に揺れるように聞こえます。また、多くの人が静かに話している声も聞こえました。その言葉づかいは、普通の人のものではなく、昔の宮中で使われていたような上品な言葉でした。

    芳一は座るように言われ、用意された座布団の上に座り、まず琵琶の調子を整えました。

    すると一人の女性の声が…芳一は、その女性が女中たちをまとめる立場の人だろうと思いましたが…聞こえました。

    女性は丁寧な口調で言いました。

    「主人は、ただ今より、琵琶に合わせて平家の物語を歌っていただきたいと希望しております。」

    芳一は少し考えてから答えました。

    「平家物語のすべてを語るには何日もかかりますが、どの部分をお望みでしょうか。」

    女性は答えました。

    「壇ノ浦の戦いをお願いいたします。その場面がもっとも悲しく、心を打ちますから。」

    芳一は琵琶を強く鳴らしながら、激しい海の上の戦い、壇ノ浦の戦いの物語を語り始めました。琵琶を使って、波の音、船が進む音を出したり、矢が飛ぶ音、武士たちの叫び声、

    刀と刀がぶつかる音、切られた人々が海へ落ちる音、……芳一は琵琶だけで、それらを見事に表現しました。演奏の途中で、周囲から小さな声が聞こえてきました。

    「なんと素晴らしい琵琶法師だ!」

    「これほど上手な演奏は聞いたことがない!」

    「日本中を探しても、こんな語り手はいない!」

    その言葉を聞いて、芳一は勇気が出て、さらに力を込めて演奏しました。

    すると、周囲はそのすごさに驚いて、しーんとなってしまいました。

    やがて物語は最後の場面に近づきました。平家の女性たちや子どもたちが海へ沈んでいく場面。そして幼い安徳天皇を抱いた尼僧(にそう)が、自ら海へ身を投げる場面です。

    (スクリプトはここまでです!)

    39 min
  • 【JLPT N3】新しい日本語を学ぼう!『○○一択』

    #74 日本語の先生と新しい日本語を学ぼう!

    今日の単語は「○○一択」(いったく)です。

    JLPTN3ぐらいの単語と文法で話しています。


    トランスクリプト:

    倉川:あ、さなポン先生、久しぶりー。
    さなポン:あ、久しぶりー。
    倉川:いやー、お腹すいたよ。
    さなポン:今日、何食べに行く?
    倉川:いやー、北海道に帰ってきたら、寿司一択でしょ!

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    日本語の先生と新しい日本語を学ぼう!「○○一択」


    倉川:「他に選ぶものがないことや、迷わないでこれに決める」という意味の言葉。何々一択。最近は使いますよね。
    さなポン:聞きますね。
    倉川:私はね、自分でもよく使いますね。何々一択でしょ。なんか、いろいろな選択肢、ABCってあるけど、選ぶとき。なんか、買うときとか、選ぶときに、でも、「そのABCの中では、Aしかない、それしか選べない、他を選ぶ理由がない!」という、強い気持ちを言うときに、よく使われる言葉ですね。
    さなポン:そうだね。
    倉川:結構、強い気持ちっていうのがポイントだと思うんですよね。
    さなポン:これしか考えられないっていう感じね。絶対これ買うっていうね。
    倉川:そして、「○○一択」なんですけど、「○○」のところは、だいたい名詞ですね。
    さなポン:うん、確かに名詞ですね。
    倉川:「暑い一択」とかは使わなくて、昼ごはんはラーメン一択だ。絶対ラーメンだ。いやいや、カレー一択でしょ。いや、カレーのほうがいいでしょ、みたいな意味で使いますね。

    調べてみると、1990年代頃からもう使われ始めていて、2010年ぐらいにはもっと広く使われるようになった、という記事もあるにはあるんですが、ちょっとね、はっきりは分からないですね。とにかくこの10年、20年ぐらいで使われるようになった単語ですね。2015年ぐらいからはいろいろな人に使われ始めているようですね。割と新しい日本語ですね。特に何か選ぶときによく使う単語なんだけど、さなポン先生は何かを選ぶとき、いつもこれを買う、これ一択だと思っているものありますか?


    さなポン:やっぱり選ぶときは、買い物が多いですよね。買い物するとき、スーパーで私はいろんな商品が並んであるので悩むんですけど、やっぱりオーガニック(Organic / 有機 / 유기농 / Organik)一択です。
    倉川:オーガニック一択?
    さなポン:オーガニックは「薬とか使わないで、自然の力だけで作られた食べ物とか物のこと」です。
    倉川:化粧品でもありますよね?オーガニックコスメとか服もあるのかな?
    さなポン:服もあります。オーガニックコットンのシャツとかね。
    倉川:もちろん食べ物もあるし。
    さなポン:なんか体に良さそうなもの。もちろんラーメンとか好きですよ、私も食べます。食べますが、自分の家で作ったり生活するときに、自分で選ぶものはオーガニック一択ですね。
    倉川:自分の健康のためにですか?
    さなポン:そうです。家族の健康、自分の健康のために。健康第一です。たまにお財布をね、相談します、お財布と。
    倉川:オーガニックのものちょっとね。
    さなポン:高いんですよね。
    倉川:難しいってことね。健康を取ればお財布が大変になるしね。
    さなポン:こういうものって、私オーガニック一択と言いましたが、実感はないんです。めっちゃ健康になりました、とか。やっぱりオーガニック一択だわって感じたことないんですよ。
    倉川:そうなんだ。選んではいるけど。
    さなポン:だけど選んでます。
    倉川:いつからやってます?2つものがあって、オーガニックって書いてある。じゃあこれは買わなきゃって思うようになったのは、いつぐらいですか?
    さなポン:自分が歳を取ったなと感じてから。
    倉川:例えば大学生のときは、何も考えないで安いもの買いましたよね?
    さなポン:考えない考えない。安さが一番。
    倉川:安いならじゃあもう安いもの買うみたいな。
    さなポン:安ければ安いほどいい。一番安いもの、スーパーで一番安いものを買ってました。
    倉川:全部同じみたいな感じでしたよね。何食べても。
    さなポン:もちろん同じ。
    倉川:あるポイントがあって、そのポイントから、やっぱりオーガニックの方がいいなってちょっと思ったんですよね。
    さなポン:そうだね。きれいになろうと思ったときから。
    倉川:いつですかそれ。
    さなポン:いつだろうね。私と倉川先生は長い仲じゃないですか。
    倉川:そうですね。10年ぐらい。
    さなポン:私突然きれいになったときがあったと思うんですよ。そのときぐらいからです。
    倉川:いや、難しいな。難しい質問きたな。いや、初めて会ったときからきれいだと思いますよ。
    さなポン:え~!?ありがとうございます。
    倉川:それ言わせたいんでしょ。
    さなポン:そうそうそうそう。ありがとう。いつだろうな。20代後半ぐらいですかね。からオーガニック一択になりました。
    倉川:例えば何を買うときにオーガニックを選ぶようにしてるんですか。いろいろあるじゃないですか。食べ物、飲み物、服とか化粧品とか、いろいろオーガニックのものがあるけど。
    さなポン:本当にトマトを買うとき、普通のトマトとオーガニックトマトってあるんですよ。
    倉川:買うときに名前に書いてあるのかな。オーガニックトマトって書いてあるんですね。
    さなポン:書いてあるんですよ。この商品はオーガニックですと書いてあるものは選ぶようにしています。
    倉川:高くても。
    さなポン:お財布と相談しながら買うようにしています。あと、北海道のものか北海道じゃないところ、東京とか大阪っていうものがあったらできるだけ北海道のものを買うようにしています。
    倉川:食べ物ね。
    さなポン:食べ物。
    倉川:美味しいからね。北海道のものね。
    さなポン:そう。北海道に住んでいるので、北海道のものを食べて応援しなければならないなって思っています。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    さなぽん:倉川先生はどうでしょう。
    倉川:最近は服を買うときはポリエステル(Polyester / 聚酯纖維 / 폴리에스터 / Poliester)一択だなと思うようになりました。
    さなポン:ポリエステル。素材(そざい)ですね。
    倉川:素材の名前ですね。ポリエステル。大体の服は綿、コットンですね。綿で作った服が多いでしょ。
    さなポン:そうですね。今着てる服も。私も今ポリエステル100%でした。そうですか。これ。

    倉川:ポリエステルというのは運動する時の服によく使われますよね。
    さなポン:軽くて涼しいですね。
    倉川:そうそう。大体運動する人の服はポリエステルだと思うんですけど、もともとってさ、私たちが高校生とか大学生の時って、ポリエステルの服ちょっと嫌でしたね。嫌じゃなかったですか。なんかテカテカしてる、キラキラしてる感じ。
    さなポン:触った感じですか?
    倉川:いや、見た感じが。見た感じ?見て、あ、この服ポリエステル100%だな!って、分かりませんでした?
    さなポン:えー、分からなかったですね。
    倉川:私それがすごい嫌だったんですよね。なんかテカテカする、キラキラまでいかないけど、なんか光る感じ?ポリエステルの服って。それがすごく安く見えて、安っぽい感じがして、うわー、ポリエステルの服だ、嫌だなーって思っていたんですよね。
    さなポン:そんな、思ったことない。服を見て。
    倉川:テカテカしてるなーって。
    さなポン:色ぐらいしか見てないかも。あ、黒だ、赤だ、ぐらい。
    倉川:安っぽいなーって思ってたんですよね。
    さなポン:素材まで見て分かる、すごいね。
    倉川:私、服屋さんで働いてたので、大学生の時は。
    さなポン:あー、そうか。
    倉川:すごい嫌でした、そのポリエステルの服が。

    で、でも最近はですね、ポリエステルで作っている服なんだけど、見た目は完全に綿の感じ、コットンの感じ。という服が…。
    さなポン:えー、すごいね、技術が良くなってる。
    倉川:が、たくさん売られ始めましたね。で、ユニクロでも3年か4年ぐらい前から、ポリエステルコットンという名前かな? ポリエステルで作った、本当の普通のTシャツなんだけど、触った感じとか見た感じは、コットンのような、綿のようなTシャツ売ってますよ、ユニクロでも。
    さなポン:いいね、それ。
    倉川:それは、全然そのポリエステルのちょっと安っぽい感じ、なんか運動する服のような感じがないので、いいなーと思って、買い始めましたね。
    さなポン:触ってみたい。
    倉川:うん、ちょっとユニクロで買ってみて欲しいな。
    さなポン:分かりました、行ってみます。
    倉川:で、ポリエステルの服初めて買って、ほとんど初めて買ってみて、ほんと最近なんですよ、今まで全然着てなくて。
    さなポン:いつも何着てたんですか、それまでは。
    倉川:綿です、綿。コットン、コットン。
    さなポン:やっぱ、綿か。
    倉川:私、古着(ふるぎ)、古い服、50年前とか60年前のアメリカの服がすごい好きなので、それは、もちろんポリエステルないじゃないですか、全部コットンなので、全部そういう服を着てたんですけど。



    さなポン:初めて着たってこと?ポリエステル。
    倉川:シャツだね、ボタンがある、衿があるシャツね。は、今まで本当に買ったことも着たこともなかったんですよね、ポリエステルの服。
    さなポン:すごいね。


    22 min
  • 新しい日本語を学ぼう!『ガチ』

    #72 日本語の先生と新しい日本語を学ぼう!

    今回の単語は『ガチ』です。

    若い人が良く使う、話し言葉ですが、

    最近は「ガチ勢(がちぜい)」という言い方もよくされていますね。

    みなさんは何の「ガチ勢」でしょうか?

    JLPTのN3ぐらいの単語と文法で話しています。


    トランスクリプト:

    倉川:ほら、もっと走って! 遅い!
    さなポン:はい、すいません!
    倉川:声が小さい!
    さなポン:はい、すいません!
    倉川:次の試合、勝ちたいか?
    さなポン:はい、勝ちたいです!
    倉川:それなら、もっと走れ! ほら!
    さなポン:はい!

    (この部活、ガチだ!! 私、バスケットはエンジョイ勢だったのに!!)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    日本語の先生と、新しい日本語を学ぼう。「ガチ」。


    倉川:ガチは、「本気」「真剣」「本当に」という意味の言葉ですね。カタカナで、ガチですね。
    さなポン:そうですね。ひらがなでは、あまり書きませんね。
    倉川:「冗談ではなくて、もう本当に」、という意味で、よく使われています。そして、めちゃくちゃ話し言葉ですよね。
    さなポン:話し言葉です。
    倉川:だから、教室とか、会社とか、アルバイトでは、ちょっと使わないほうがいいかもしれませんね。
    さなポン:そうですね。

    倉川:会社では、絶対使ってはいけないと思います。
    倉川:ちょっと面白いのは、「ガチで」の後ろが動詞だったら、「真剣に(しんけん)」という意味になりますよね。例えば、「ガチで勉強する」。
    さなポン:本気で勉強する。
    倉川:「ガチで頑張る」

    さなぽん:「本気で勝負する」。

    倉川:そうだよね。「ガチで頑張る」「ガチで勝負する」。真剣に。で、後ろが形容詞の時は、「ガチで+形容詞」の時は、「本当に」という意味になるね。例えば?

    さなぽん:「ガチで美味しい」。
    さなポン:美味しい。
    倉川:「ガチで怖い」「ガチで面白い」。これは、本当に面白い。
    さなポン:そうだね。本当に、だね。
    倉川:で、「ガチ?」だけ使う時は、「本当?」という意味ですよね。
    さなポン:「その話、ガチ?」みたいな。
    倉川:……さなぽん先生、実は私、先週、結婚したんです。
    さなポン:ガチ?
    倉川:みたいだね。
    さなポン:マジ?
    倉川:「ガチ?」「本当?」で、答える時も、「うん、ガチガチ」「ガチで」と言いますよね。
    さなポン:そうだね。
    倉川:まあ、(結婚したのは)嘘ですね。

    あとは、ガチでそれをしている人、真剣にそれをしているグループのことを、「ガチ勢(がちぜい)」とも言いますね。ガチ勢。「あることに、時間とお金、努力をたくさんしている、たくさん使っているグループ、人たち」のことを、ガチ勢と言いますね。

    例えば、「ゲームのガチ勢」、プロになりたい人たちとか、「アイドルのファンのガチ勢」。ちょっとファンじゃなくて、本当にその人のすごいファンで、全部のコンサートに行く。
    さなポン:お金もたくさん使ってて。
    倉川:時間もね、というのが、ガチ勢と言いますね。
    さなポン:確かにいますね。いろいろなガチ勢が。
    倉川:ガチ勢の反対は?

    さなぽん:「エンジョイ勢」。エンジョイ勢、英語ですよね。
    さなポン:楽しんでいる人たち。
    倉川:という意味になりますね。だいたい2000年ぐらいのテレビ番組から、この単語、「ガチ」という単語が使われるようになったので、結構新しい日本語ですね。20年ぐらいですね。新しい日本語なんですけど、さなポン先生は、何かのガチ勢ですか? 何かのエンジョイ勢ですか?
    さなポン:私はバスケットボールのエンジョイ勢です。でした。
    倉川:なるほどね。部活に入っていたんですよね。
    さなポン:部活で、高校時代、中学生も、バスケットの部活をやっていましたが、すみません、エンジョイ勢でした。
    倉川:なるほど。日本の部活をやる人は、だいたいガチ勢ですよね。
    さなポン:だいたいガチ勢です。ガチ勢でなければなりませんね。
    倉川:毎日、クラスが終わってから2時間、3時間、しっかり練習して。
    さなポン:やってましたね。夜8時くらいまでやってましたよ。
    倉川:そうですよね。私の高校の時、空手部だったんですけど、一応全国大会に行く部活だったので、本当のガチ勢。その高校で一番強い部活だったので、空手部が。試合、大会の前は、完全に全員丸坊主でしたね。丸坊主(まるぼうず)。
    さなポン:髪の毛を。
    倉川:髪の毛を3ミリですね。6ミリはダメ。3ミリにして。
    さなポン:3ミリ!?
    倉川:1ミリの人はいたんですけど、みんな3ミリにして、髪を全部、全部切って、丸坊主でしたね。
    さなポン:怖い。
    倉川:でもそれはやっぱり、ガチ勢の証拠(しょうこ)ですよね。あ、この人たち、真剣に部活をしてるんだ!ということのアピールですよね。
    さなポン:本気で、真剣に。確かに、3ミリの頭の人たちが歩いてたら、髪の毛の、3ミリの髪の毛の人たちが歩いてたら怖い。確かに強そう。ちょっと気持ちで負けてしまうかもしれませんね。
    倉川:それもありましたね。私も、もちろん全部丸坊主にして、試合に行ってましたけど、それで、もし相手が髪の毛がちゃんとある人だったら、「もう絶対負けない!」っていう気持ちありました。
    さなポン:髪の毛を見て?
    倉川:そう、髪を見て。だってこの人は、ガチ勢じゃないから。髪をちゃんとね、おしゃれに、髪を伸ばして、自分の生活を大切にしてる人だから、エンジョイ勢だから、部活エンジョイ勢だから、絶対負けたくない気持ちでやったし、実際負けませんでしたね、そういう人には。
    さなポン:やっぱり相手は頭を見てるからですよ。倉川先生の頭を見てるから負けてしまったんですよ。
    倉川:わあ!!この人たちガチ勢だー!!って。
    さなポン:3ミリだーって。
    倉川:怖いって多分相手も思ったでしょうね。やっぱり見た目大事ですよね。
    さなポン:なんか女子バスケットボール部も、短い髪の毛の女の子たちは怖い。怖かったです。髪でわかるよね。
    さなポン:強かった、やっぱり髪だわ。髪大事だね。
    倉川:本気の人たち、ガチの人たちは、ガチ勢は髪の毛が短いです。短い。あるよね。
    さなポン:ありますね。
    倉川:私、今はバスケットを15年ぐらいやってますけど。

    さなぽん:すごい長い。

    倉川:もう長くなりましたね。それでエンジョイ勢なんですよ。全然本気ではやってないんですよね。なんだけど、2年前ぐらいに、私も友達ががん(がん:Cancer / 癌症 / 암 / Kanker)になったんですよね。若い友達なんだけど、がんになってしまって、がんの友達に頑張ってねという気持ちを伝えるために、私も久しぶりに坊主にしたんですよ。髪を全部3ミリにしたんですよね。また3ミリに。また3ミリにして、写真撮って、頑張ってねみたいな。私も坊主にしたよみたいな。写真送ったんですよね、2年前ぐらいにね。
    さなポン:はい。
    倉川:それで、それはそれとして、またバスケットするじゃないですか。それでバスケットを公演でしてる時って、誰も話しかけてこないですね。
    さなポン:怖いもん。怖いよ。
    倉川:同じチームちょっと入ってくれない? みたいな。よく話をかけられるんですけど、話しする人がいるんですけど、坊主にしてる時はね、全然誰も話しかけてこないですね。
    さなポン:やっぱ世界で坊主は怖いんだ。
    倉川:やっぱりガチ勢の感じ。坊主のおじさんですよね。おじさんがバスケットを練習してたら、ガチ勢かなって思いますよね。
    さなポン:お仕事かな。
    倉川:なんかの人なのかなって思いますよね。スポーツの人なのかなって思うから。やっぱりね、話しかけにくいですよね。
    さなポン:髪の毛大事だね。帽子かぶろう。
    倉川:見た目大事ですよね。
    さなポン:大事ですね。
    倉川:スポーツガチ勢は、ヘアスタイル、髪型にすごく出ますよね。ガチかどうかがね。
    さなポン:出ますね。


    さなぽん:倉川先生は今までガチ勢だったことありますか?
    倉川:私は結構あるんじゃないかな。その期間がね、短いんですけど、これをめちゃくちゃ真剣にやろうと思ったことは、結構たくさんありますね。学生の時はもちろん、空手、空手ガチ勢だったし、空手辞めた後はですね、私テコンドーを始めたんですよね。韓国の。
    さなポン:ちょっと似てますか?
    倉川:似てるんだけど、テコンドーはすごい、足のキックですね。足か。をすごくメインでやるんですけど、それでちょっと大きい怪我をして、辞めてしまったんですけど、怪我をするまでは、すごいガチ勢でしたね。朝から夜までずっとテコンドのことを考えて、朝起きたらテコンドーのストレッチして、トレーニングして、やってましたね。
    さなポン:すごい、テコンドーが中心の生活ですね。
    倉川:そうそう、してました。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    倉川:日本語の勉強もさ、クラスでね。ガチ勢とエンジョイ勢がいると思うんですよね。
    さなポン:そうだね。JLPT、N1先生取りたいです!っていうね、ガチ勢と。
    倉川:絶対合格しないといけないんです!っていう人もいるし、いやいや、別にJLPTとかいらないですね、みたいな。
    さなポン:話せたらいいです、みたいなね。
    倉川:しなくてもいいけど、勉強してます、というエンジョイ勢の人もいますよね。サナポン先生のクラスはどういう人が多いですか? ガチ勢、エンジョイ勢。
    さなポン:クラスに10人生徒が、学生がいたら、8人がエンジョイ勢ですね。

    17 min
  • JLPT N3で日本怪談!『深川の老漁夫』

    #72

    JLPTのN3~N2で、日本の古い怪談(かいだん)を聞いてみよう!

    日本語の先生が、日本の100年前ぐらいの古い怪談を、日本語を勉強している人たちでもわかるようにリライトしました。

    今回は「岡本綺堂」(おかもときどう)という人が1933年頃に書いた、『深川の老漁夫(ふかがわのろうぎょふ)』というストーリーです。魚は取らないけど、なぜかいつも魚がうちにある、という不思議な生活をしている、50歳の漁師の重兵衛(じゅうべえ)。以前は結婚していたようですが、今は独身です。ある日、「おせん」という若くてきれいな女の子をもらってきますが…?


    トランスクリプト:


    T君は話し始めた。

    「今では年を取って、私もすっかり面倒くさがりになってしまったけど、若いころは釣りが大好きでした。春は寒くても寒い中で釣りをしたり、夏は梅雨の雨にぬれながら、鯉や手長えびを釣りに行ったものです。

    秋はうなぎやすずきの夜釣りに行き、冬も寒いのに、はぜを釣るために沖まで船で出かけました。

    今思えば、本当にばかだったと思うほど釣りに夢中だったんです。そのころ、梅雨の雨の中で木場へ手長えびを釣りに行ったとき、そこに住んでいる人から聞いた話があるんですが、これは江戸時代の終わりから明治の初めごろの出来事だそうです。

    深川の猿江(東京都江東区猿江(さるえ))という町の近くに、重兵衛という男が住んでいました。彼には「河童」(かっぱ:日本の妖怪)と「狐」(きつね)という二つのあだ名がありました。

    仕事は漁師(りょうし:魚を取って売る仕事)でしたが、少し変わった人だったようです。

    若いころに一度結婚したんですが、気に入らないことがあったらしく、すぐに妻と別れてしまったそうです。そして、そのあとは五十歳を過ぎるまで一人で暮らしていたんです。

    しかし、不思議なのはそれだけではありませんでした。

    この二、三年、重兵衛はほとんど漁(りょう:魚を取ること)をしに行きませんでした。網を使うことも、釣りに行くこともほとんどなくて、周りの人からは、働かないで暮らしているように見えました。ときどき小さな賭け事はしていたようでしたが、それだけで生活できるほど勝っているわけでもなかったからです。

    それなのに、彼の家にはいつも籠(かご)や桶(おけ)いっぱいの魚があったんです。

    漁師が魚を持っていれば食べることには困らない。そのため重兵衛は、特に働かなくても毎日酒を飲みながら暮らしていたんです。


     もちろん、噂話が好きな近所の人たちはそれを不思議に思いました。

    漁に出ない漁師が、いつも魚を持っているのはおかしい、何か秘密があるに違いないと、みんながうわさしました。

    ある人は、「重兵衛は稲荷(いなり)神社を信じているから、狐を使って魚を取らせているんだ」と言い、

    また別の人は、「狐ではない。河童を使っているのだ」と言いました。

    結局、重兵衛は狐か河童のような不思議なものを使って魚を取らせているのではないか、と近所の人たちに疑われるようになったんです。

    その理由として、こんな話が伝わっていました。


     ある夏の夜遅く、近所に住む十八歳の若者、源吉(げんきち)が小名木(おなぎ)川へ夜釣りに出かけたときのこと。釣りをしていると、少し離れた場所で突然、凄まじい水の音が聞こえました。

    魚が跳ねた音ではなさそうです。

    「もしかして、誰かが川に落ちてしまったのではないか?」

    そう思った源吉は、急いで音がした方へ走っていくと、芦(あし:草の名前)の間に一人の男が座ってタバコを吸っていました。それはあの重兵衛で、源吉が走ってくる足音を聞くと、重兵衛はがばっと立ち上がり、にらむように源吉を見たんです。

    「おじさん、今の音は何だったの?」と、源吉は聞きました。

    「何でもない。岸の石が落ちただけだ。」重兵衛は静かに答えました。

    「ここはおれの釣り場だ。じゃまをするな。もっと向こうへ行け。」

    いつもの重兵衛とは様子が違い、どこか恐ろしい感じがしたので、源吉は逆らわず、そのまま別の場所へ行きました。しかし、不思議なことに、重兵衛は釣り場と言いながら、釣りざおを持っているようには見えなかったんです。それでも、魚籠の中には四、五匹の大きな魚が月明かりに光っていました。


     次の日、源吉はこの話を近所の人たちに話したため、重兵衛への疑いはますます強くなりました。さらに、そのあと新しいことがわかったんです。重兵衛が売る魚には、いつも不思議な傷がついていたのです。よく見ると、どの魚にも頭や背中、腹などに、鋭い爪の跡が残っていました。それは網や釣り針でついた傷ではなく、何か動物に捕まえられたときについた傷だと考えられました。魚問屋の人がその理由を聞いても、重兵衛はいつもはっきり答えませんでした。何度もしつこく聞かれると、重兵衛はとうとう腹を立てて、こう言いました。

    「そんなに細かく調べるなら、もうここへは魚を持って来ない。自分で売る。」

    それから重兵衛は問屋へ魚を持って行くのをやめ、自分で売り歩くようになりました。

    そのころの深川には貧しい長屋がたくさんあり、長屋に住むおかみさんたちは、値段が安いので重兵衛の魚をよく買ったそうです。もちろん、その魚を食べて変な病気になった人は一人もいませんでした。

    しかし、そのうちにまた奇妙な出来事が起こったんです。

    秋の雨の夜、あの源吉が重兵衛の家の前を通りかかると、雨戸のすき間からもれる明かりの中で、誰かが軽くせきをするような声が聞こえました。そう思った次の瞬間、源吉がさしていた傘が急に重くなりました。

    「何だろう。」

    そう思って、傘を持ち直そうとしたとたん、傘は紙も骨も一度にばらばらに壊れ、何かが飛びかかってきて、源吉の顔をめちゃくちゃに引っかきました。源吉は若くて体の強い漁師の男でしたが、突然のことで驚いてしまい、相手をつかまえることもできず、顔から流れた血が目に入り、雨の中で転んでしまいました。その騒ぎを聞いて近所の人たちが集まったが、そこには怪しい物はもう何もいなかったそうです。


     源吉は、「おれを襲ったのは、たしかに獣(けもの)だった。傘の上へ飛び乗ってきて顔を引っかいたのから考えると、たぶん狐だったと思う。」と話しました。


     場所は重兵衛の家の前だったので、もし本当に狐だったなら、「重兵衛は狐を使っている」といううわさは本当かもしれない、と人々は思ったそうです。以前、源吉が偶然、重兵衛が狐にこっそり魚を取らせているところを見てしまって、源吉がそれを人に話して回ったため、復讐のために狐がこんなことをしたのではないか、と考えていた人もいました。


     しかし、源吉は重兵衛に文句を言うことはできませんでした。暗い中で突然襲われたので、相手の正体をはっきり見たわけではないし、また、その獣が重兵衛の家から出入りするところを見たわけでもなかったからです。重兵衛が「知らない」と言えば、それ以上証明することはできない。結局、水かけ論になるだけなので、源吉は悔しくてもあきらめるしかなかった。もちろん、ほかの人たちも重兵衛に何も言えなかった。


     こうして、事件は表面上は終わりましたが、人々の疑いはさらに深くなりました。源吉の顔の傷は治っても、重兵衛についての悪いうわさは消えませんでした。しかも、源吉のような復讐に遭うのを恐れた人たちは、重兵衛に直接何かをすることもできませんでしたが、自然な流れで、人々は少しずつ重兵衛を嫌うようになったそうです。


     人々は、彼がいないところでは、彼のことを「狐」や「河童」と呼び、不気味な人間だと思っていましたが、それでも重兵衛は、誰からも直接いじめられることはなく、相変わらず出どころのわからない魚を安く売り歩き、長屋のおかみさんたちは、その安い魚を喜んで買っていました。重兵衛自身も、「一人暮らしは気楽だよ」というような顔をして、毎晩一合か二合の酒を飲みながら暮らしていたようです。


     そのうち、時代は大きく変わり、江戸は東京と呼ばれるようになりました。(1868年のことで、それからの時代は「明治」と呼ばれるようになりました。)

    しかし、その変化は重兵衛や近所の人たちの暮らしには、ほとんど影響を与えませんでした。

    その次の年、明治二年の夏の終わりごろのことです。

    ある日、重兵衛は蛤町(はまぐりちょう:江東区門前仲町)の裏長屋から、おせんという少女を連れて帰って来ました。

    おせんは十五、六歳で、少し日に焼けた肌の、目鼻立ちの整ったかわいらしい娘だったが、生まれつき声を出すことができませんでした。

    父親は前の年に亡くなり、母親はおせんのほかに二人の子どもを育てながら、苦しい生活を送っていました。姉であるおせんは声を出せないため、奉公(ほうこう:ほかの人の家に住みながら、その家の家事などをして働くこと)に行くこともできず、母親が困っていたところ、どうやら重兵衛が話をつけ、おせんを養女として自分の家へ連れてきたようです。


     おせんは話ができないため、不自由なところはありましたが、顔立ちは美しく、おとなしくて働き者だったので、重兵衛は、「いい娘をもらって、本当に良かった!」と喜び、とてもかわいがっていました。近所の人たちも、おせんの事情をよく知っていて、同情する気持ちもあり、重兵衛のことは嫌っていても、おせんまで嫌う人はいませんでした。食べることにも困る実家にいるより、重兵衛の家へ来たほうが、おせんにとっても幸せだろう、とみんなも思っていたんです。


    (スクリプトはここまでです!あとは自分の耳で聞いてみて!)

    26 min

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