この番組は、数字がちょっと苦手な中小企業経営者の方が、数字に強くなって業績をばりばりあげてもらうための応援番組です。
今回は、弁理士の新井信昭先生にお越しいただき、新井先生の新刊、「iPod特許侵害訴訟ーアップルから3.3億円を勝ち取った個人発明家」の中から、iPod特許侵害訴訟の概要についてお伺いしました。
新井さんによれば、アップル社に特許侵害訴訟を起こした斎藤さんは、大学卒業後、大手家電メーカー系列のソフトウェア会社に就職し、ソフトウェアエンジニアとして働いた後、独立して会社を起こしたそうです。
しかし、事業に失敗し、多額の借金を抱え、家まで失ってしまうに至ったそうです。
そこで、齊藤さんは、発明家になることにしたそうです。
その後、齊藤さんは知人からiPodを見せられ、そのiPodに使われているクリックホイールは、齊藤さんの出願している発明に含まれているものに酷似していることに気づいたそうです。
そこで、齊藤さんはアップルジャパンに電話し、iPodが斎藤さんの出願に抵触していると伝え、その後、同社代理人弁護士と斎藤さんが直接話し合う機会を持つことになったそうです。
しかし、斎藤さんは、個人での交渉には限界があると感じ、弁護士の上山さんに協力を依頼することにしたそうです。
そして、アップル社との交渉と、齊藤さんの発明の特許化を上山さんと進めることになったそうです。
そして、その特許が成立したので、税関差止の手続きをしたそうです。
そのような中、アップル社から齋藤さんへ、「債務不存在確認訴訟」、すなわちアップル社が斎藤さんの特許を侵害していないことを認めてもらうための裁判の訴状が届いたそうです。斎藤さんは、これに応訴し、齋藤さんとアップル社の交渉は裁判での争いに移ったそうです。
裁判所は、斎藤さんに強く和解を薦めたそうですが、齋藤さんは和解を断り、その結果、東京地裁は斎藤さんに3.3億円の損害賠償を認める判決を出したそうです。
その後、アップル社も斎藤さんも控訴しましたが、知的財産高等裁判所も東京地裁と同様の判決になり、さらに最高裁判所に上告されたものの、知的財産高等裁判所の判断が指示され、結果として斎藤さんは3.3億円を勝ち取る結果となったそうです。
ちなみに、新井さんによれば、3.3億円を勝ち取るための裁判に、斎藤さんは約4千万円強の印紙税がかかったほか、弁護士報酬や税金を払うことになるので、まるまる3.3億円を手にすることはできていないそうです。
しかも、裁判で勝つまでに約20年もかかっていることを考えると、3.3億円という金額は大きな金額ではあるものの、斎藤さんにとって、果たして満足のいく金額であるか疑問が残るということです。
ところで、アップル社は、なぜ、齊藤さんに特許権使用料を払おうとしなかったのかお伺いしたところ、新井さんは、次のように想像しているということでした。
すなわち、アップル社は常に斬新的な製品を世に送り出しているという方針で製品を作っているので、すでに発明されている特許に基づく製品を作るということは認められなかったのではないかということです。