この番組は、数字がちょっと苦手な中小企業経営者の方が、数字に強くなって業績をばりばりあげてもらうための応援番組です。
今回も、カイゼンコンシェルジュの石井住枝さんにお越しいただき、石井さんのご著書「世界一シンプルで世界一成果が出るトヨタ流の仕事の教科書」をもとに、トヨタで行われている“カイゼン”についてお伺いしました。
石井さんによれば、トヨタでは、「改良」、「改善」と「カイゼン」を使い分けているそうです。
改良とは、投資をしたり費用をかけたりして、現状をよりよくすること、改善とは、問題点を解決すること、そして、カイゼンとは、現状に問題があるかどうかにかかわらず、費用をかけないよう工夫して、現状をよりよい状況に持っていくことだそうです。
ちなみに、トヨタでは、カイゼンの考え方を海外の工場にも広めていますが、英語にはそれに該当する単語がないため、そのままカイゼンという言葉を使っているそうです。
ところで、なぜ、トヨタはカイゼンにこだわるのかというと、それは、現在のトヨタをつくり上げてきた根源的な考え方だからだそうです。
というのは、トヨタが自動車メーカーとして事業を始めたのは、実質的には戦後からで、その時は、旧財閥系の自動車メーカーと比較して後発だったそうです。
しかも、所在地が愛知県の「田舎」に立地しているということもあって、政府や銀行などからの支援もなかなか受けることができなかったそうです。
そのような中、「お金をかけずにどうすれば、ライバルに勝てるような性能のよい自動車を製造できるようになるか」という課題に、日々、取り組むしか選択がなかったそうです。
そして、それが、トヨタ独自の手法として発展していったそうです。
そして、このようなカイゼンがトヨタに定着した要因として、そのひとつに、トヨタは中小企業的な考え方をしているということが挙げられるそうです。
トヨタは大きな会社なので、自動車の製造工程の多くが自動化されているように思われがちですが、まだまだ手作業の部分が多いそうです。
石井さんは、かつて、塗装の工程のひとつを担当していましたが、塗装にむらや塊がないかを確認する作業は、人が手袋をつけて、すべて手で確認していたそうです。
このように、作業の精度の高さを維持するためには、必ずしも自動化にこだわらないという考え方を持っている点が中小企業的な発想であり、それを実現するために、カイゼンという考え方が必要になったということだそうです。
もうひとつの要因として、トヨタの歴史は失敗の歴史でもあると、石井さんは考えているそうです。
例えば、かつて、外国為替相場が、1ドル=70円代になったとき、200万円クラスの自動車の1台あたりの純利益が2万円しか得られず、100万円の自動車は赤字になったことがあったそうです。
これを反省し、車種ごとに利益が確保できるよう、車種ごとの製造担当のリーダーを配置したり、その車種専門の経理担当者を置くというカイゼンを行い、採算を確実に得られる管理体制を敷いたそうです。