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区域麻酔の場合
L002 硬膜外麻酔
実施時間は、硬膜外腔に当該麻酔を施行するために局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。
L004 脊椎麻酔
実施時間は、くも膜下腔に局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。
全身麻酔の場合
L008 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔
本区分の全身麻酔の実施時間は、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を患者に接続した時点を開始時間とし、患者が当該麻酔器から離脱した時点を終了時間とする。なお、これ以外の観察等の時間は実施時間に含めない。
「深夜」の定義は、午後10時~午前6時
Reysner M, Reysner T, Kowalski G, et al. Chemical ablation of pericapsular nerve group with 95% ethanol for pain relief and quality of life in patients with hip osteoarthritis: a prospective, double-blinded, randomised, controlled trial. British Journal of Anaesthesia. 2025;135(2):382-389. doi:10.1016/j.bja.2025.04.045.
🧠 背景
股関節骨関節炎は高齢者に多く、強い痛みと日常生活の制限をもたらす疾患である。手術適応外や保存療法で十分な効果が得られない患者では、新たな疼痛緩和手段が求められている。近年、超音波ガイド下の神経ブロックが注目されるが、効果の持続性に課題がある。
🔬 方法
本研究は前向き二重盲検ランダム化対照試験である。股関節骨関節炎患者を対象に、周関節神経群(PENG)に対し95%エタノールによる化学的アブレーションを施行した群と、生理食塩水を用いた偽注射群を比較した。主要評価項目は疼痛VASスコアの変化、副次評価項目として股関節機能とQOLを評価した。
📊 結果
エタノール群では、治療後4週でVASスコアが平均6.7から2.4へ大幅に低下し、偽注射群では6.5から5.8と軽度の改善にとどまった。疼痛改善効果は12週時点でも持続していた。また、エタノール群では股関節機能スコアと生活の質が有意に改善した。重大な合併症は認められなかった。
💡 考察
95%エタノールによるPENG化学的アブレーションは、短期的かつ持続的な疼痛緩和をもたらし、QOL向上に寄与する可能性が示された。非手術的かつ低侵襲な治療として有用であり、特に手術不能例や保存療法不応例に適していると考えられる。
✅ まとめ
股関節骨関節炎患者に対し、95%エタノールを用いたPENG化学的アブレーションは、偽注射と比べて明確な疼痛軽減とQOL改善を示した。低侵襲で効果が持続することから、新たな治療選択肢となり得る。今後は長期的な安全性と最適な施行条件を検討する必要がある。
Rahnama N, Ben Jemâa N, Colson A, et al. Pregnancy in women with congenital heart disease: New insights into neonatal risk prediction. Am Heart J. 2024;273:148–158.
🧠 背景
先天性心疾患をもつ女性の妊娠は、母体だけでなく新生児にも高いリスクを伴うことが知られている。とくに低出生体重や早産、NICU入院の可能性が高いが、リスク予測の精度はまだ十分ではない。本研究は、大規模前向きコホートを用いて、新生児に関連するリスク因子を明らかにし、予測モデルを構築することを目的とした。
🔬 方法
ベルギーの大学病院で、2001〜2021年に先天性心疾患をもつ女性が出産した連続症例を対象に前向き観察研究を実施。合計647件の妊娠が解析対象となった。母体の心疾患の種類や機能分類、心エコー指標などを収集し、主要評価項目は「不良新生児転帰(NICU入院、早産、低出生体重などの複合アウトカム)」とした。多変量ロジスティック回帰により予測因子を探索した。
📊 結果
不良新生児転帰は全体の約39%に発生した。母体のNYHAクラスII以上、左心機能低下(駆出率45%未満)、チアノーゼ、抗凝固薬使用、双胎妊娠などがリスク増加と関連した。多変量解析では、母体の低酸素血症(OR 6.2)、左室機能低下(OR 3.1)、抗凝固薬使用(OR 2.9)が有意な独立因子であった。
さらに、先天性心疾患の重症度によってリスクに大きな差がみられた。ESC分類で重症にあたる群(フォンタン循環、単心室など)は全体の約7.5%にすぎなかったが、妊娠中の心合併症は40%、新生児の不良転帰は70%に達し、軽症群(25%)や中等症群に比べてきわめて高率であった。これらを組み合わせた新しいリスクスコアは、既存の単純モデルよりも予測精度が高かった。
💡 考察
本研究は、先天性心疾患女性の妊娠における新生児リスクを具体的な臨床指標で予測できることを示した。特に母体の酸素化と心機能の状態が強く影響する点は、周産期管理において重要な知見である。妊娠前からの適切な評価とリスク層別化により、NICU資源の適切な配分や出産計画の立案に活かせる。
✅ まとめ
先天性心疾患女性の妊娠において、不良新生児転帰は約4割に生じる。母体の低酸素血症、左心機能低下、抗凝固薬使用などが主要な独立予測因子であり、新しいリスクスコアの構築によって臨床的予測が改善した。今後は多施設での検証と、実臨床での導入が期待される。
医科診療報酬点数表
第2章 特掲診療料
第11部 麻酔
通則
1
血圧降下等当然予測される副作用等を防止するための注射、麻酔の前処置として行われる麻薬並びに鎮静剤等の注射及び投薬に要する費用については、第3節薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。
Kim HB, Oh AR, Park J, et al. Association of sugammadex, neostigmine, or pyridostigmine for reversal of neuromuscular block with postoperative bradycardia: a multicentre, retrospective observational study. Br J Anaesth. In press.
🧠 背景
全身麻酔に伴う筋弛緩薬は、適切な拮抗が行われないと呼吸抑制や合併症を招く。従来用いられてきたネオスチグミンやピリドスチグミンは有効である一方、コリン作動性副作用として徐脈を引き起こしうる。スガマデクスは異なる作用機序を持ち、副作用プロファイルも異なる。本研究は、多施設・大規模データを用いて、3種類の拮抗薬と術後徐脈の発生率を比較検証した。
🔬 方法
韓国の6大学病院における2019〜2022年の手術症例13万件以上を対象にした後ろ向き観察研究。筋弛緩拮抗薬としてスガマデクス、ネオスチグミン、ピリドスチグミンを使用した症例を抽出し、投与後1時間以内の新規徐脈(心拍数<60)を主要アウトカムとした。交絡因子を調整するため多変量ロジスティック回帰分析を行った。
📊 結果
総症例数:約132,000例
徐脈発生率
・スガマデクス:2.3%(約1,500例)
・ネオスチグミン:4.6%(約1,950例)
・ピリドスチグミン:5.1%(約1,250例)
オッズ比(スガマデクスを基準)
・ネオスチグミン:OR 2.04, 95%CI 1.88–2.21
・ピリドスチグミン:OR 2.26, 95%CI 2.06–2.48
重度徐脈(心拍数40未満)発生率
・スガマデクス:0.3%
・ネオスチグミン:0.9%
・ピリドスチグミン:1.0%
アトロピン投与率
・スガマデクス:0.4%
・ネオスチグミン:1.2%
・ピリドスチグミン:1.3%
💡 考察
スガマデクス使用例では、術後徐脈の発生率がネオスチグミンやピリドスチグミンのおよそ半分以下に抑えられており、重度徐脈やアトロピン投与も有意に少なかった。これは、スガマデクスがアセチルコリン濃度を上げることなく作用するため、ムスカリン受容体を介した副作用を起こしにくいことに由来すると考えられる。特に心疾患を有する患者や徐脈リスクの高い患者では、安全性において明確な利点を持つ。
✅ まとめ
13万例以上を対象とした多施設研究により、スガマデクスはネオスチグミンやピリドスチグミンに比べ、術後徐脈のリスクを約2倍以上低減させることが示された。重度徐脈やアトロピン使用も有意に少なく、拮抗薬選択における重要な根拠となる。
Edwards W, Chow L, Zaphiratos V. Postdural puncture headache in obstetrics. Can J Anesth. 2025;72:1163–1178. doi:10.1007/s12630-025-03013-2.
🧠 背景
硬膜穿刺後頭痛(PDPH)は、産科領域における脊髄幹麻酔や硬膜外麻酔の合併症として知られている。分娩期の女性に特有のリスクがあり、生活の質や母乳育児、退院後の生活に大きな影響を与える。近年は穿刺針の改良や手技の工夫によって頻度は減少しているが、依然として重要な臨床課題である。
🔬 方法
本レビューは、産科におけるPDPHの発生機序、リスク因子、予防法、治療法に関する最新のエビデンスを整理した。特に無痛分娩に伴う硬膜外麻酔での偶発的硬膜穿刺と、その後の管理が焦点となっている。
📊 結果
PDPHの発生率は穿刺針の種類と口径で大きく異なる。小口径のペンシルポイント針では1%未満である一方、Tuohy針による偶発的硬膜穿刺では40〜80%に頭痛が生じる。典型的な発症時期は分娩後12〜48時間で、約90%は5日以内に症状が出現する。
自然軽快は1週間以内で約30%、2週間以内で50〜70%にみられるが、強い頭痛で日常生活に支障をきたす例が多い。
治療的硬膜外血パッチの初回成功率は約70%、再施行を含めると90%以上に改善が得られる。効果発現は24時間以内が多く、持続的改善が期待できる。一方、カフェインの静注は一時的な軽快が50〜70%にみられるが、再燃が多く根治的治療とはならない。
💡 考察
PDPHは母体の回復過程に強く影響するため、予防よりも早期診断と適切な治療介入が重視される。血パッチは依然として標準治療であるが、施行タイミングや再施行の判断は施設や症例により異なる。産後の女性に対しては、疼痛緩和のみならず母児関係への配慮が求められる。
✅ まとめ
産科領域におけるPDPHは依然として重大な合併症である。発生率は穿刺針の種類により1%未満から80%近くまで幅がある。診断には発症時期や体位依存性の頭痛が重要であり、治療では硬膜外血パッチが初回で7割、再施行を含めて9割以上に有効である。今後は予防策や非侵襲的治療法の開発が期待される。
最後まで聞いてくださってありがとうございます。
🩸 硬膜外血パッチ(Epidural Blood Patch, EBP)のまとめ
施行タイミング
・発症直後(24時間以内)は成功率が低めで再発も多い
・症状が強ければ発症24時間以降に施行するのが一般的
・軽症例はまず保存的治療(水分・カフェインなど)で経過観察する
注入する血液量
・推奨は 15〜20mL
・15mL未満では効果不足のリスク
・20mLを超えると疼痛や神経圧迫のリスク増大
・注入はゆっくり行い、痛みや放散痛があれば中止
穿刺部位と体位
・穿刺は 偶発的硬膜穿刺部位と同じか1椎体下 が推奨
・体位は 側臥位が多用(患者の快適性と安全性)
・座位も可能だが分娩後の女性には負担が大きい
成功率
・初回成功率:約70%
・再施行を含めると 90%以上に改善が得られる
施行者
・原則として、経験豊富な医師による管理が必要
・レジデントは指導医監督下での施行に限られる
Yonekura H, Mazda Y, Noguchi S, et al. Trend in neuraxial morphine use and postoperative analgesia after cesarean delivery in Japan from 2005 to 2020. Scientific Reports. 2022;12:17234.
🧠 背景
帝王切開は日本でも増加傾向にあり、術後鎮痛の質向上が課題である。標準は多面的鎮痛で、特に脊髄幹麻酔下でのモルヒネ(脊髄幹モルヒネ)が有効とされる。本研究は、日本における脊髄幹モルヒネ使用の時系列推移と、術後鎮痛の現状を明らかにするものである。
🔬 方法
社員健保ベースの全国レセプト(JMDC)を用いた後ろ向きコホート研究である。2005年1月〜2020年3月に脊髄幹麻酔で施行された帝王切開65,208件(2,275施設)を解析し、年次の脊髄幹モルヒネ使用率を算出、さらに多層(施設をランダム効果)ロジスティック回帰で関連因子を推定した。脊髄幹モルヒネは「≤10 mgバイアルのモルヒネ投与」と定義した。
📊 結果
・全体の脊髄幹モルヒネ使用率は16.0%(95%CI 15.8–16.3)で、脊髄麻酔症例における脊髄内(くも膜下)モルヒネは20.6%であった。
・年次推移:2005年13.4%、2010年9.4%、2020年21.5%と上昇した。救急手術でも2005年11.0%→2020年24.8%に上昇した。
・麻酔法別:脊髄くも膜下麻酔での使用は2005年3.7%→2020年29.8%に増加(傾向検定P<0.001)。CSEA・硬膜外では低下傾向。
・多変量ロジスティック回帰:CSEAを基準として、モルヒネの使用は脊髄くも膜下麻酔麻酔はAOR 11.26(95%CI 9.91–12.79)、硬膜外麻酔はAOR 1.89(1.43–2.48)。2015–2020年度は2005–2009年度比でAOR 2.89(2.27–3.69)。500床以上の施設はAOR 12.05(4.81–30.19)、大学病院はAOR 3.83(1.07–13.73)。救急手術は選択手術よりわずかに低くAOR 0.90(0.82–0.98)。
・入院中の鎮痛薬:NSAIDs 87.9%、アセトアミノフェン36.5%、NSAIDs+アセトアミノフェン31.5%、アセトアミノフェン+トラマドール0.4%。経口モルヒネ・オキシコドン等の処方はほぼゼロ。フェンタニルは47.7%(脊髄幹モルヒネ群67.8%)、ペンタゾシン39.7%、ブプレノルフィン6.2%。
・術後持続硬膜外鎮痛は、脊髄幹モルヒネ群22.7% vs 非使用群38.5%であった。
💡 考察
日本の脊髄幹モルヒネ使用は増加しているが、米国(2008年71.4%、2018年83.4%)やオーストリア(71%)と比べ低水準である。施設規模(≥500床)・大学病院で導入が進み、患者背景(年齢・併存症)よりも医療提供体制要因の影響が大きい。日本では術後オピオイド(特に経口)の使用が極めて少なく、NSAIDsとアセトアミノフェン中心のオピオイドスパリング実態が示された。標準化と多面的鎮痛の徹底により、質の高い術後回復の促進が期待される。
✅ まとめ
2005〜2020年の日本の帝王切開65,208件において、脊髄幹モルヒネ使用は全体16%で年々上昇、特に脊髄くも膜下麻酔での使用が3.7%→29.8%へ拡大した。導入の強い予測因子は脊髄くも膜下麻酔(AOR 11.26)、近年の手術(AOR 2.89)、500床以上(AOR 12.05)、大学病院(AOR 3.83)であった。一方、日本の術後オピオイド処方は最小限で、NSAIDs/アセトアミノフェン中心である。今後は施設間格差の縮小と多面的鎮痛の標準化が鍵である。
Provenzano DA, Hanes M, Hunt C, et al. ASRA Pain Medicine consensus practice infection control guidelines for regional anesthesia and pain medicine. Reg Anesth Pain Med. 2025;0:1–50. doi:10.1136/rapm-2024-105651.
🧠 背景
区域麻酔や痛み治療の場面では、カテーテル感染や穿刺部位感染などの合併症が生じることがある。これらは稀ではあるが重篤化すれば敗血症や神経障害に至る可能性があり、感染対策は臨床現場において極めて重要である。しかし実際には施設や医師によって実践がばらついており、標準化された指針が求められていた。
🔬 方法
ASRA Pain Medicine は多領域の専門家による委員会を組織し、2020〜2024年にかけて文献レビューとDelphi法による合意形成を行った。対象は区域麻酔(脊髄幹麻酔を含む)および痛み治療で行われる注射やカテーテル留置であり、感染リスクの評価、手技ごとの消毒法、カテーテル管理、個人防護具の使用などについて推奨を策定した。
📊 結果
- 術前の皮膚消毒はクロルヘキシジンアルコール製剤を第一選択と推奨。
- マスク・滅菌手袋は全例で必須、帽子や滅菌ガウンは脊髄幹麻酔や長時間カテーテル操作で強く推奨。
- 超音波プローブには滅菌カバーを用い、滅菌ジェルを推奨。
- 硬膜外カテーテルは原則48〜72時間以内の抜去が望ましく、長期留置では感染率が2倍以上に上昇。
- 発熱や白血球増加を認める患者では、感染源評価を行い、区域麻酔は慎重に適応を判断。
1. 脊髄くも膜下麻酔(spinal anesthesia)での感染予防
・皮膚消毒:クロルヘキシジンアルコールが推奨。
・PPE:マスク・キャップ・滅菌手袋は必須。マスクは過去の髄膜炎アウトブレイクの教訓から特に重要。
・穿刺回数:繰り返し穿刺はリスク増加 → できるだけ最小限に。
・リスク:硬膜外膿瘍・髄膜炎の報告あり、髄膜炎の致死率は約15%。
2. 硬膜外カテーテル挿入での感染予防
・主な感染源:皮膚常在菌の針経路侵入。
・PPE:マスク・キャップ・滅菌手袋は必須。
・留置期間:原則4〜5日以内に抜去が望ましい。長期留置で感染率が上昇。
・工夫:トンネル化により感染リスクを低減できる。
・感染率:コロニゼーション率は4.2〜29%。
3. 末梢神経ブロック(シングルショット)での感染予防
・感染率:極めて低く、数千例規模研究で感染ゼロ。ただし稀に重篤例あり。
・皮膚消毒:クロルヘキシジンアルコールが推奨。
・PPE:マスク・キャップ・滅菌手袋を使用。
・超音波:滅菌カバーと滅菌ジェルを使用。
・免疫抑制・感染症患者:感染部位から離れた場所なら単回注射は許容、カテーテルは推奨されない。
4. 脊椎超音波(ランドマーク確認・マーキングのみ)での清潔度
・穿刺を伴わない場合:診断用超音波と同等の扱い。
・消毒レベル:低レベル消毒(LLD)で十分。
・滅菌カバーや滅菌ジェル:不要。
・例外:開放創や感染部位に接触する場合は、より厳格な清潔操作が必要。
クラス 特徴 代表的な手技 推奨される感染予防策
Class A 低リスク・短時間 末梢神経ブロック(シングルショット)、関節内注射、トリガーポイント注射 手洗い、滅菌手袋、マスク(滅菌ガウン不要)
Class B 中リスク・短期留置あり 脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔、硬膜外/PNBカテーテル(4日以内)、椎間関節ブロック 手洗い、クロルヘキシジン消毒、滅菌手袋・マスク・キャップ必須、(滅菌ガウンは不要)
Class C 高リスク・侵襲的 ニューロモジュレーション手技(SCS, PNSトライアル・交換)、椎間板造影(ディスコグラム)、椎間板内注射、RF焼灼(椎間関節/仙腸関節) 手洗い、マキシマムバリアプレコーション:滅菌ガウン、全身ドレーピング、マスク・キャップ・滅菌手袋、滅菌プローブカバー+滅菌ジェル
Class D 最高リスク・外科的侵襲度が高い SCSやDRG刺激装置の植込み・修正、髄腔内カテーテル/ポンプ植込み、椎体形成術・後弯形成術、仙腸関節固定術、インタースピナススペーサー マキシマムバリアプレコーション+術前抗菌薬投与が強く推奨
👕 滅菌ガウンが推奨される場面
・埋め込みデバイス関連手技
・皮膚切開を伴う操作や、埋め込み型デバイス(例:脊髄刺激装置〔SCS〕、ディスコグラム、薬物注入ポンプ)のトライアルや挿入など、感染リスクが高い手技では手術室レベルの無菌操作(滅菌ガウン+全身ドレーピング)を採用すべきとされています。
・Class C・D に分類される手技:ガイドラインでは手技をリスク分類しており、Class CおよびDの手技では最大限のバリア予防策(滅菌ガウンを含む)が必要と推奨されています。
👕 滅菌ガウンが必須でない場面
・短期間の持続区域麻酔(4日以内)
・短期間(およそ4日以内)の持続硬膜外や末梢神経カテーテルでは、滅菌ガウンの使用は必須ではないとされています。
・一般的な区域麻酔の多く(例:脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔、シングルショット末梢神経ブロック)
これらは滅菌手袋・マスク・キャップは必須ですが、滅菌ガウンまでは必須ではないと整理されています。
✅ 滅菌ガウンのまとめ
・必須 → デバイス埋め込み、ディスコグラム、SCS、長期留置などの高リスク手技。
・不要 → 短期間(4日以内)のカテーテル管理や、通常の脊髄幹麻酔・シングルショットPNB。
💡 考察
本ガイドラインは、エビデンスに基づく推奨と専門家の合意を組み合わせたものであり、世界中の麻酔科・ペインクリニック領域に統一的な実践基盤を提供する。特にクロルヘキシジンの優先使用やカテーテル抜去のタイムラインは、感染率低減に直結する具体的な指針である。また、PPE(個人防護具)の徹底はCOVID-19以降の感染管理の延長線上としても重要である。
✅ まとめ
区域麻酔・痛み治療における感染対策の新たな国際的標準が提示された。皮膚消毒、PPEの徹底、超音波機器の管理、カテーテルの適切な抜去時期などが明確化され、これらを遵守することで感染リスクを大幅に低減できる。今後は各施設での実装と教育を通じて、患者安全と治療成績の向上が期待される。
最後まで聞いてくださってありがとうございます。
Krusic SB, Milic JZ, Sharpe EE, et al. Association between the effectiveness of labor epidural analgesia and postpartum depression: a prospective cohort study. Journal of Anesthesia. 2025. doi:10.1007/s00540-025-03563-1.
🧠 背景
産後うつは母親の生活の質や子どもの発達に大きな影響を及ぼす。出産時の痛みや分娩体験の満足度は産後うつのリスク因子とされ、硬膜外産痛緩和の効果が注目されている。しかし、鎮痛の「効果の程度」と産後うつの関連については十分に明らかにされていない。
🔬 方法
前向きコホート研究として、初産婦を対象に調査を実施。分娩時に硬膜外産痛緩和を行い、鎮痛効果を5段階で評価。産後6週間でエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)を用いてうつ症状を判定した。主要解析は、鎮痛効果の程度と産後うつ発症リスクの関連をロジスティック回帰で検証。
📊 結果
研究には初産婦750名が参加した。うち、硬膜外産痛緩和の鎮痛効果が高いと評価された群は約520名(69%)、効果が低いと評価された群は約230名(31%)であった。
- 産後6週時点でEPDS≧13点の割合は、効果が高い群では9.2%(約48名)、効果が低い群では21.7%(約50名)と有意差を認めた。
- 多変量ロジスティック回帰では、鎮痛効果が低い群の産後うつオッズ比は2.47(95%CI: 1.52–4.01, p<0.001)であり、年齢、分娩時間、産科合併症などを調整しても独立したリスク因子であった。
- また、分娩体験の満足度スコアは、鎮痛効果が高い群で平均8.3点、低い群で6.1点と有意に低く、心理的満足度にも影響していた。
💡 考察
分娩時の鎮痛が十分でないと、産後の心理的負担が増し、うつ発症につながる可能性が示された。単に硬膜外を施行するか否かだけでなく、「どれだけ痛みを和らげられたか」が母親のメンタルヘルスに直結することが重要である。
✅ まとめ
硬膜外産痛緩和の有効性は産後うつのリスクに強く関連していた。臨床現場では、鎮痛の導入のみならず「効果の質」を高める工夫が求められる。今後は、鎮痛効果を最大化するプロトコルや産後うつ予防プログラムとの統合が期待される。
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