リスナーの皆様は、台湾にいらしたことはおありですか。台湾の各種グルメを召し上がり、人懐っこく親切な人達に出会い、きっと楽しい思い出をお持ち帰りになったことと思います。その一方で、びっくりされたことはありましたか。
コンビニに入った時の、茶葉と漢方の調味料で煮込んだゆで卵、茶葉蛋の臭い、ナイトマーケットを歩いていてモワーと臭ってきた臭豆腐の臭いなど、臭い系にびっくりされる方も一定数いると思いますが、日本と比較して特に異なる点といいますと、交通マナーの違いにびっくりされた方は多いのではないでしょうか。
私は台湾で暮らし初めて15年近く、お陰様で快適に暮らしていますが、唯一、慣れないのが、台湾の交通マナーです。
乗り合いバスやタクシーに乗っていますと、スピードの速さ、車間距離の狭さ、隙間が少しでもあると左右から入り込んでくる車やスクーターをみて、ヒヤヒヤすることがしばしばあります。また、歩行者の立場では、横断歩道を渡ろうとして、スクーターにひかれそうになったことが何度かあります。実際に、事故を目にすることも少なくありません。
昨年、2019年、台湾の交通事故による年間死亡者数は2865人でした。一方で、過去最少だった日本は3215人。交通事情も異なり、単純に比較できないとはいえ、中華民国台湾の人口が日本の5分の1以下と考えますと、やはり圧倒的に多いですよね。
もっとも、日本でも地域差はあるといいますし、韓国や東南アジアの友人に聞くと、台湾は自分たちの国と大差ない、東アジアの国の中で、むしろ日本が特殊なのではないか、と笑われることもあります。ただ、命に関わることなので、もう少し慎重でもいいのではないか、と思ってしまいます。
もちろん、台湾でも、多くの人々は事故を減らすべきだと考えています。実際にこの9月1日から一ヶ月間、取締りが強化され、法律も改正されることとなりました。
本日の「ようこそT-、ROOMへ」では、台湾の交通事故の現状、そして9月1日から始まった対策についてご紹介いたしましょう。
先程もご紹介しました通り、2019年、台湾における交通事故による30日以内の死者数は2865人、一方で日本は3215人。人口10万人あたりで比較しますと、日本が2.54人である一方、台湾は12.19人と、4.8倍近くとなっています。
一日およそ8人の人が交通事故で亡くなっているわけです。また、けが人を合わせると45万7382人という数となり、社会におけるそのコスト損失は、台湾元で5000億元(日本円にしておよそ1兆8120億円)という大きなボリュームとなっています。
昨年の交通事故による死者数2865人は、2012年の3219人に比べると減少しましたが、2018年に比べると85人増え、2016年からの直近4年間では最多となりました。また、今年1月から5月の累計は1221人と、昨年同期比で47人増加しています。長期間でみれば減少傾向にはあるものの、この数年は横ばい、微増と、毎年減少するほど顕著ではないんですね。
そして、いくつかの特徴が明らかになっています。ご紹介しましょう。まずは事故の内訳です。
交通部の分析によりますと、事故のうち全体の6割が交差点や道の出入り口で発生しており、歩行者の死亡事故のうち、4割近くも交差点で発生しています。
注目すべきは、歩行者の死亡事故が2017年の381人から昨年は458人へ増加、このうち交差点での死亡事故も2017年の179人から昨年の209人と増加している点です。こうした事故の原因のトップ3は、車両の前方不注意、車両の横断歩道前での一時停止違反、そして、歩行者が横断歩道、地下道、歩道橋など決められた場所を通らずに道を渡ったことによるもの、ということです。
事故の理由、世代別の事故数は、どうでしょうか。罰則の強化もあり、台湾では以前に比べ飲酒運転、そして死亡事故は減少している一方、高齢者と若者の死亡者数が増えています。
交通部によりますと、2019年7月から、飲酒運転に対する罰則を強化したこともあり、飲酒運転の摘発数は2015年の6658件から、昨年は4069件に減少、飲酒運転による交通事故の死亡者数も昨年は一昨年に比べ23人減少しました。
一方、昨年、65歳以上の高齢者の死亡者数は1159人と全体の4割を占め、一昨年に比べ人数で92人、割合で8.62%増加しました。このうち、およそ半数が、自動二輪車による事故によるものとなっています。また、歩行者の死亡事故についても、高齢者が321人、全体の7割と割合が高くなっています。また、18歳から24歳の若者の死亡者数も一昨年に比べ14.1%増加しました。
交通部道路交通安全指導委員会では、高齢化に従い、高齢者が事故に合う絶対数が増加する上、高齢者の身体は相対的に丈夫ではないため、一旦事故に合うと、死亡率も高くなるとしています。また、高齢者の二輪車の事故の多くは左折時の、前方からの直進車との衝突だとして、「二段階左折」の徹底を呼びかけています。
こうした中、交通部は警政署とタッグを組み、9月1日から全国の交差点で取締りを行っています。また、近年、自動車、スクーターなどが、歩行者優先の意識をもっていないことが事故発生につながっているとして、法の改正により、減速、一時停止をしなかったことによる事故発生に対しても、罰則を強化することとなりました。
具体的には、自転車、スクーターなどが、横断歩道前などで一時停止をせず、歩行者の横断を妨げた場合などの際の罰金が、現行1200元から3600元(日本円にしておよそ4350円から1万3060円)だったものを、最高6000元(日本円2万1720円)に引き上げたほか、適用範囲に、横断歩道のほか、交差点も含めました。
さらに、怪我をさせたり死亡させた場合の罰金も引き上げられ、重傷あるは死亡させた場合、免許取り消しとなります。
9月1日、取締強化の初日は全国で1万件を超える違反が摘発されました。全体のおよそ8割、8321件は、自動車、スクーターによる信号無視と赤信号での右折で、歩行者の違反は1370件でした。また、右折、左折時を含め、歩行者がいるにも関わらず、一旦停止しなかったケースが、およそ860件でした。
警政署では、9月の末まで引き続き取締りを強化することにより、違反を未然に防ぎ、事故の発生数を減らしたいとしています。
厳しい言い方をすれば既に習慣となってしまった「車、スクーター優先」の状況、死亡事故や大きな事故は、被害者の家族、周囲はもちろん、加害者自身の人生も変えてしまいます。
時間はかかるかもしれまんが、「歩行者優先」の意識が根付き、事故数、死亡者数が減少していくことを期待したいと思います。