ジェイ・Zとビヨンセが先月出演したティファニーの新広告、”アバウト・ラブ”に非難が殺到している。広告の中でビヨンセは、推定価格3000万ドル(日本円で約36億円)の128.5キャラット入りイエローダイヤモンドネックレスを身につけていた。しかし、広告を見た者の目をさらったのは、ジェイ・Zでもなく、ビヨンセでもなく、彼らの後ろに飾られていた、ジャン・ミシェル・バスキアの絵画であった。
反資本主義者として知られていたバスキアの絵を、宝石を売るためのコマーシャル素材として使用したティファニー社に対して、SNS上では多くの批判を浴びせられていたが、とうとう広告に出演をしたジェイ・Zとビヨンセにまで、バスキアの友人や共同作者たちから、非難の矛先が向けられ始めた。
1979年から1980年にバスキアとともに暮らしていた友人のアレクシス・アドラー氏は、”数日前に広告を最初に見たときはゾッとした。ジャンの作品が商業化し、商品化までされてしまっていることは、もはやこの時点でジャンそのものと全く異なる”と、語った。
今回世に初めて公開されたバスキアの絵は、ティファニーのトレードマークでもある、ティファニーブルーを彷彿とさせる背景色となっており、バスキア自身が表現した色彩がそもそもティファニーとは全く関係のないことから、それを自社のCMの素材に使用したティファーニーに対して多くのバスキア支持者の反感を買ったと見られる。
ただ、一方で、そんな半資本主義者であったバスキアの心情とは裏腹に、彼の作品は近年では数多くの俗にいう資本主義ブランドとコラボをしており、ユニクロからザラ、フィギュアではベアブリックなどともコラボ作品を販売しており、今回のティファニーの広告の件で怒りをあらわにしている方々がそもそもこれについてどう思っているのかは不明である。
なお、株式会社ZOZO創立者の前澤友作氏が123億円で落札したバスキアの絵画”Untiltled”のベアブリックモデルは、定価13,200円から販売している。もはや、この資本主義の中で彼の作品は非常に身近なところに溢れ返っているとも言える。