・娘(24歳)・・・声優を目指す女性/実家から離れて東京で一人暮らしをしている(CV:桑木栄美里)
・父(56歳)・・・家具職人/若い頃から飛騨の匠の元で修行して家具職人となった(CV:日比野正裕)
【Story〜「木の温もりと飛騨の匠/飛騨の家具/前編」】
父: 娘がバイト先のコンビニを出たのは、午後7時10分。
(BGM〜the-springs-peaceful-347491831)
父: 「明日、大事な声優オーディションなんだろ?」
娘: 「うん・・・え、それでわざわざ東京まで来てくれたの!?」
父: 「いや、たまたま東京のお客さんと打合せだったんだよ」
父: 「えっと、あ〜実は、ちょっと、軽く弁当作って持ってきたんだ」
娘: 「私、今日は早く帰って発声練習とルーティンの課題をこなしておかないと」
父: 「そうか、そうだったな、じゃあ、もう帰るから。父さんも明日仕事早いからな」
父: 娘は私の顔をチラリと見てからアパートへ向かった。
さて、このあとはどこか適当な居酒屋で夕食を摂るか・・・
娘が名古屋を出て東京で一人暮らしを始めたのは6年前。
あのときの娘と私は、一緒に家具屋へ行くほど距離が近かった。
娘: 「お父さん、口だししちゃいやだよ。私が選ぶんだから」
(BGM〜inspiring-whisper-347314386)
だから家の中は、私の手による、まさに一点ものの家具に囲まれていた。
食卓も、箪笥も、学習机も、ベッドも、すべて木の家具だった。
娘からはよく、どうして木の家具しかないの、って訊かれたっけ。
むかし、飛騨の匠たちが都へ呼ばれて、宮殿や寺院を建立したときも
きっと木の温もりを感じながらノミをふるっていたに違いない。
インテリアショップで楽しそうに見てまわる、娘の笑顔。
娘: 「だって、小さな部屋だもん。そんなに家具必要ない」
食卓、ソファ、ベッド、デスク。そのすべてが木の家具。
まるで声優になりたい、という夢への挑戦を表現するかのように。
父: 「い、いいんじゃないか。全部木の家具・・・なんだな」
娘: 「お父さん、いつも木には”温もり”があるって言ってたでしょ」
寂しくないように、温かくて優しい木の家具にするんだ」
父: こうして、木の温もりに包まれた娘の新生活がスタートした。
娘はコンビニでアルバイトしながら、声優を目指して日夜頑張っている。
父: 「あ、どうしたんだ?バイト先にわすれものか?」
娘: 「久しぶりにおとうさんのまずい料理食べたくなって(笑)」
木の家具って、釘とかビスとか冷たい金属は表面に見えないだろ?」
父: 「だから、日常のストレスを和らげて、安らぎと温もりを与えてくれるんだよ」
娘: 「そっか。私、気づかないうちに、温もりに包まれていたんだ」
父: 「おまえも、これから仕事がどんどん忙しくなっていって、
息つく暇もなくなって、心に余裕がなくなっていっても、
娘: 「おとうさんが思ってるような、可愛いだけの声の声優じゃなくて」
娘: 「さりげなくやっていることの一つ一つが高度で緻密、しかも的確。
納得できるクオリティに仕上げるまでとことん探求する。
娘: 「お父さん、やっぱりわかってる」
父娘: (笑い合う)