残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

By kotaro zammaBusinessEntrepreneurship
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残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか" episodes

  • "か・け・ふ"ノベーション(1814回)

    伊藤忠商事の岡藤正広取締役会長の言葉に、人間の意思決定の癖と、その乗り越え方について考えさせられました


    曰く

    「たまたまね、社長内定を受けた時に、不安だから色々と書類を見てたわけですね。


    各商社の決算書を見る時に、伊藤忠の場合は、粗利は大きいけども、その次の経費のところでわーと利益は減る。そして最終利益は特損があって、もっと減ると。


    要するに”稼ぐ”力はあるけども、経費が多いと、これはやっぱり”削る”だと。


    そして最後のところのその特損ですね。これを減らすために”防ぐ”ということを考えたわけですな。」


    ここから私は思いました


    1、人は「稼ぐ」に引き寄せられてしまう

    2、「削る」は損失の痛みに向き合う意思決定

    3、「防ぐ」は挑戦を止めるのか、それとも支えるのか


    1、人は「稼ぐ」に引き寄せられてしまう


    哲学者トマス・ホッブズは『リヴァイアサン』の中で、

    「人間は、満足を得てもなお、さらに力を求め続ける」

    と述べています。


    人は、稼げば満たされるわけではない。

    むしろ、稼げるほど、さらに稼ぎたくなる。


    だからこそ、“稼ぐ”に意識が集中し、

    その裏で起きている歪みに気づきにくくなる。


    それは幸福というよりも、

    そうなってしまう人間の性なのかもしれません。


    2、「削る」は損失の痛みに向き合う意思決定


    行動経済学者ダニエル・カーネマンは、

    「人は利益よりも損失を強く感じる」と指摘しています。


    何かをやめるというのは、

    合理的でも「失う」感覚を伴う。


    時間を手放すこと。

    関係を手放すこと。

    これまでのやり方を手放すこと。


    だから人は削れない。


    削るとは効率ではなく、

    損失の痛みを引き受ける意思決定なのだと思います。


    3、「防ぐ」は挑戦を止めるのか、それとも支えるのか


    多くの大企業では、「防ぐ」はこう働いてしまう気がします。


    ・失敗しないために止める

    ・前例がないからやらない

    ・リスクがあるから見送る


    つまり、防ぐ=挑戦しない理由になる。


    でも岡藤さんの話は、少し違う。


    「特損を防ぐ」とは、

    すべてのリスクを取らないことではなく、


    致命傷だけを防ぐ、という発想に見えます。


    思想家ナシーム・ニコラス・タレブは、

    「壊滅的な損失を避けることが最優先である」と語っています。


    全部を防ごうとすると、挑戦は止まる。

    でも、致命傷だけを防ぐなら、むしろ挑戦は加速する


    ここに、


    リスクを取らない経営と

    リスクを制御する経営


    の違いがあるのかもしれないなあと思いました


    ということで、一言でいうと、


    "か・け・ふ"ノベーション


    そんな話をしています


    参考: カンブリア宮殿リニューアルSP【新MC初登場!“最強の商人2026/4/ 2(木)テレビ東京

    17 min
  • 「グレート・ブートストラップ」ノベーション(1813回)

    企業のカーボンアカウンティングを自動化するテック企業「Normative」のKRISTIAN RÖNN CEO兼共同創業者の言葉に、深く考えさせられました


    曰く


    "ダーウィンの悪魔はいわば進化のバグだ。利己的にふるまうことは個にとって適応的なのだが、それが結局、環境全体には害をもたらす。"


    "しかし、自業自得とはいえ生存の危機が近づいているので、私たちにはもはや、私たちを破滅への道に向かわせる悪魔的な選択圧を超越する以外に選択肢がない。この超越のことを私は「グレート・ブートストラップ」と名づけた"


    "誰もが個人の短期的な利益のためではなく、全体に善をもたらすために行動できるようにすること、それがグレート・ブートストラップの目標だ。"


    ここから私は思いました


    1、進化的自殺と資本主義の構造

    2、合理性が崩壊を加速する

    3、贈与としての進化の超越


    1、進化的自殺と資本主義の構造


    進化生物学には、「進化的自殺」という概念があります。

    個体にとっては有利な進化が、結果として種全体の存続を危うくするという現象です。


    進化生態学者の 松田裕之 は、これを

    「個体レベルでは適応的な進化が、集団レベルでは絶滅をもたらすことがある」

    と説明しています。


    つまり、生き残るための最適化が、最終的に生き残れなくする。


    この構造は、経済にもどこか重なります。


    カール・マルクス は、

    「資本は自己増殖する価値である」(『資本論』)

    と述べました。


    増え続けることが前提になる。止まれない。


    その結果、成長し続けるほど、基盤を削ってしまう。


    成功のロジックそのものが、持続を難しくしてしまう構造があるのかもしれないなあと思いました


    2、合理性が崩壊を加速する


    歴史学者の ジャレド・ダイアモンド は、著書 文明崩壊 の中で、こう述べています。


    「不適切な状況でも人々が最も固執する価値観は、かつて成功をもたらした価値観である。」


    かつてうまくいったからこそ、やめられない。

    でも環境が変わったとき、その成功体験が逆に足かせになる。


    さらに彼は、


    「私たちの最大の脅威は、自分たち自身が作り出した問題である。」


    とも言っています。


    誰も間違っていない

    むしろ合理的に動いている


    それでもなお、全体は崩壊に向かうことがある。そんなことが起きる可能性についても、実はあるのかもしれないなあと思いました


    3、贈与としての進化の超越


    ここで一つ鍵になるのが、「贈与」という考え方かもしれないなあと思いました


    文化人類学者の マルセル・モース は、『贈与論』の中で、人間社会は単なる交換ではなく、

    「与える・受け取る・返す」という関係性によって成り立っていると述べました。


    贈与は、短期的な合理性では説明できない行為です。


    見返りが保証されているわけではない

    むしろ損をする可能性すらある


    それでも、与える。


    この「与える」という行為は、進化的には不利に見えるかもしれない。

    でも、それによって関係性が生まれ、共同体が持続していく。


    短期的な利益を超えて、全体に善をもたらす行為。


    それはまさに、ダーウィンの悪魔を超える選択、もしかしたら、「グレート・ブートストラップ」の一つの手段なのかなあと思いました


    奪い合う進化を越えて、与え合う選択ができるかどうかが、次の時代を分けるのかもしれないなあと思いました


    一言でいうと


    「グレート・ブートストラップ」ノベーション


    そんな話をしています


    参考:本: ダーウィンの罠 私たちはなぜ重要な選択を間違い続けるのか? 電子書籍版データ作成日 2026年2月10日 第1版 著者 KRISTIAN RÖNN 訳者 夏目 大 発行 株式会社日経BP

    17 min
  • ヒンナと金塊ノベーション(1812回)

    映画「ゴールデンカムイ 」を観て大変感動したと共に、「ヒンナ」と言う世界と、金塊を奪い合う世界。そのあいだに、この物語の問いがあるように思いました


    私が以下のことを思いました


    1、自然との共生の美しさ

    2、人間の強奪する欲望

    3、最後はすべて土に還る


    1、自然との共生の美しさ


    アシㇼパが口にする「ヒンナ」という言葉は、

    食べることを“奪う”のではなく、“受け取る”行為へと変えているようにおもいます。


    そこでは、自然は対象ではなく、関係そのものとして存在している。


    レイチェル・カーソンが、「沈黙の春」で、「自然の中では、何一つとして単独では存在しない」と語ったように、人はそもそも自然の外に立つことはできない。


    ヒグマやシャケを余すところなく活用して、必要な分だけ感謝して頂くという行為は


    とても根源的な、自然との共生が、どれほど美しいことなのかを、改めて教えてくれてるような気がしました


    2、人間の強奪する欲望


    一方で、金塊を巡る争いは、自然との関係を断ち切ったとき、に立ち上がる世界を象徴しているように感じました


    自然も人も対象化され、

    すべてが「奪うもの」へと変わっていく。


    ひとつは、生き延びるために、

    関係よりも“確実に手に入るもの”を優先してしまうこともあるかもしれない


    そしてもうひとつは、「すべてを支配できる」という全能感に、強く惹かれてしまうから。と言うこともあるのかもしれないと思いました


    欲望は本来、生きる力ですが

    ただそれが、関係から切り離された瞬間に、

    強奪へと変質してしまう。


    リップルモデルで言えば、パッションは、仲間と接続できなくなると、方向性を見失うかもしれない


    誰もが陥る罠について、深く考えさせられました


    3、最後はすべて土に還る


    どんなにたくさんの金塊を手に入れたとしても、最後に死ぬ時が来る、その時には、誰もが必ず土に還ることになる


    それは、自然の関係性の中に、最後は、必ず溶け込むと言うことなのかもしれないなと思いました


    そして、そこに気づけると言うことがとても大切かと思いました


    そして、そこに気づくためには、自然との関係性を保っている仲間との出会いなのかもしれないと思いました


    誰もが金塊の罠にハマるけれども、ヒンナな仲間との出会いさえあれば、またはそれを受け入れることができれば、きっと関係性の中に戻ることができる


    そんなことを、この物語は教えてくれているような気がしました


    つまり人は、

    関係から離れようとすることはできても、

    関係の外に生き続けることはできない。


    関係へと還る道は、ヒンナな仲間との出会い、そこに希望が残されているのだと思いました


    ということで、一言でいうと、


    ヒンナと金塊ノベーション


    そんな話をしています


    参考:映画 ゴールデンカムイ  網走監獄襲撃編 原作:野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊) 監督:片桐健滋 脚本:黒岩勉 出演 山﨑賢人 山田杏奈 など 配給:東宝

    https://kamuy-movie.com

    23 min
  • 桜守ノベーション(1811回)

    桜守16代目、佐野藤右衛門さんの言葉に、創造という営みの本質を、教えられた気がしました。


    曰く

    「いわゆる新しい生命と、一緒に付きおうていく楽しさ


    で、今育ててるやつは、私花見できません。

    やっぱ30年はかかりよるから。


    次の世代のものが、それをまたやってくれるやろうという望みですわな。


    そういうものがあるから、やっぱり楽しいんでしゃろうな。」


    (NHK「午後LIVE ニュースーン」2026年4月8日放送より)


    私は以下のこと思いました


    1、成果を手放す勇気

    2、自分の命を超える創造

    3、他者を信頼する希望


    1、成果を手放す勇気


    自分が植えた桜を、自分では見ることができない。

    それでも植える。


    誰に届くかもわからない。

    いつ報われるかもわからない。


    それでも、手をかける。


    ジャック・デリダは『与える時間』の中で、「贈与とは、見返りも感謝も期待しないときにのみ成立する」といった趣旨を語っています。


    つまり、贈ったことすら意識に残らないような行為。


    イノベーションも同じで、

    「自分が評価されるかどうか」を前提にすると、どうしてもスケールが小さくなる。


    誰かの未来に届くかもしれない、くらいの距離感で差し出す。


    そんな創造が、結果として長く残っていくのかもしれないなあと思いました。


    2、自分の命を超える創造


    30年かかる桜を植える。

    それは、自分の人生の中では完結しないものに、手をつけるということ。


    自分のためにやるのではなく、

    自分の時間の中で終わらせることも前提にしない。


    それでも、手をかけ続ける。


    リチャード・ドーキンスは『利己的な遺伝子』の中で、「われわれは遺伝子という自己複製子を運ぶ乗り物にすぎない」と述べています。


    命は、一人の中で閉じていない。

    つながりの中で続いていく。


    桜守の営みは、文化の遺伝子を植えているようにも見えます。


    イノベーションもまた、

    「それは自分の命を超えてまで遺すべきものなのか」という問いに立ったとき、

    まったく違う設計になるのかもしれないなあと思いました。


    3、他者を信頼する希望


    次の世代がやってくれるだろう、という前提。

    そこには、未来を信頼する感覚があります。


    クロード・レヴィ=ストロースは『野生の思考』などで、文化とは個人が作り上げるものではなく、「無数の人の手を経て受け継がれていく構造」であると捉えました。


    つまり人は、創る存在であると同時に、受け渡していく存在でもある。


    先人から受け取り、

    少し手を入れて、

    また次へ渡していく。


    ここで必要なのは、「自分がやり切ること」ではなく、

    「次の世代が続けてくれると信じきること」。


    桜守の営みも、まさにその連なりの中にあるのかもしれないと思いました


    イノベーションも、

    完成させることよりも、

    誰かが続けられる形にすること、

    そしてそれを信頼して託すことの方が、本質なのかもしれないなあと思いました。


    今回、なんとなく思ったのは

    本当に長く残るものほど、「自分のため」から離れていくということなのかもしれないなあと


    リップルモデルで言えば、自分のパッションから仲間を通じて、どんどん外側の大義の方へ広がっていく


    一言でいうと、

    自分の命を越えてでも遺したいと思えるものだけが、未来に残るのかもしれないなあと


    桜守ノベーション


    そんな話をしています


    参考: NHK総合・東京 午後LIVE ニュースーン 午後4時台 桜守・16代目佐野藤右衛門 2026/4/8(水)


    17 min
  • 大切なものは目に見えないノベーション(1810回)

    文芸評論家の三宅香帆さんが、「星の王子さま」から語られていた言葉に、深く考えさせられました


    曰く


    「一番心に残ったのは、その可能性を見出すっていうこと自体が、何か愛情とか絆とか隣人愛とかの一番大事なことで


    『大切なものは目に見えない』っていうのはすごく、いろんなところ言われてるセリフなんですけれども


    やっぱそれって目に見えない、確実性がないからむしろ意味があるんだ、可能性がそこに見出すことができるんだ


    っていうのが、本当に信仰であれ物語であれの意味なんだなっていうのがしみじみ思いました」

    (番組内での発言より)


    ここから私は思いました


    1、目に見えないから問いが生まれる

    2、不確実な可能性こそが希望

    3、希望が創造の原点


    1、目に見えないから問いが生まれる

    『大切なものは目に見えない』

    とは、めちゃくちゃ有名な「星の王子様」のセリフですが、三宅さんが、"目に見えないことに意味がある"との言葉に共感しました


    愛とか友情とか心とか、目に見えなくて大切なものは沢山ありますが、それを感じることがとても大切と思います


    と同時に、そのほかにも、目に見えないからこそ、問いが生まれるということも、沢山ある気がしました


    表面的に見えている痛みや課題は、目に見えているけれども、何故か癒やされない、うまくいかない


    そんな、実は目に見えていない痛みや課題って、沢山あると思います


    そういうことにこそ、問いという力で、実は何が隠れているのか、本当に大事なことはどこにあるのか?という問いを立てることができる


    それこそ、とても大切なことなんだよとも、言われている気がしました


    2、不確実な可能性こそが希望

    そんな問いの立てられた世界には、たくさんのはてな?が生まれて、そしてそれを、明らかにしていくアクティビティを呼び込むと思います


    でもそれらは、最初は、もしかして、こういうこと?みたいな仮説ばかりになるので、何一つ、確実なことのない世界と思います


    でも、その確実ではないことを、もしかしたら、こんな未来だって作ることができるんじゃない?


    と考えることで、希望が生まれてくる


    本当に目指すべきところはここなんじゃないのか?という、新たな希望の地が生まれてくる


    そんな原動力に、まだ見えなくて、不確実だからこそ、なってくる


    そんなことにもつながるなあと思いました


    3、希望が創造の原点

    そんな新しい未来が見えてきたら、その未来へ向かって、何をしていかなければならないのか?という創造のアクティビティに繋がってくるなあと思いました


    イノベーションの世界で、ビジョン設定型解決法というものがありますが、これはまさに、まだ見えていない未来、本来は向かうべき未来を、不確実な情報の中で、まずは見据えてみる


    だとしたら、そこへ向かう道筋は、今からこんな一歩を踏み出す必要があるのでは?という、イノベーションにつながっていく、第一歩かと思いました


    以前、楽天の三木谷さんが、50年後の未来を見据えて、今何をやるかが、ビジネスの種になるとのお話を思い出しました


    例えば自動運転、核融合、いずれもまだ本当に実現するかどうか、わからない、けれども、その見えていない未来がくるとしたら、そんな希望の未来がくるとしたら、今何をするべきなのか


    それはすぐには結果としての見える世界が来ないかもしれませんが、希望を目指して、新たな挑戦が沢山生まれて、いつの日が到達する未来が来るかもしれない


    見えない世界を信じるというのは、そんなイノベーターにも、とても大切なお話なのかもしれないなあと思いました


    ということで、一言で言うと

    大切なものは目に見えないノベーション


    そんな話をしています


    参考:NHK Eテレ東京 こころの時代  ファンタジーに秘められた宗教(1)『星の王子さま』 2026/4/6

    16 min
  • 自分でもそれをしてみるノベーション(1809回)

    京都大学人文科学研究所准教授で文学博士の岡田暁生さんの言葉に、わかりたいことへの取り組み方について教えて頂いた気がしました


    曰く

    ''「する」と「聴く」と「語る」が一体になった親密な音楽共同体を作り出すために何より大切なのは、「よりよく味わうためにこそ自分でもそれをしてみる」ということであるように思う。


    どんなジャンルでもいい。もう少しその音楽について知りたいと考え始めたら、思い立ったが吉日で、すぐにレッスンに通い始めてみることだ。それが何よりの「聴き上手」への道ではないか。"


    "「もっと聴いて楽しみたいから学ぶ」というアマチュアにとって何より必要なのは、一方的ではない学び、つまり巧みに弾くことだけを至上目的としない学習であるはずだ。''


    "何より確保されねばならないのは、経済営為とは無縁でありつつも、一種の公共性を備えた社交空間としての、真摯なる「アマチュアの領分」ではないだろうか。"


    ここから私は、思いました。


    1、受け手から当事者へ

    2、学びは目的ではなく“感受性の拡張”

    3、非経済空間が創造を育てる


    1、受け手から当事者へ


    「よりよく味わうためにこそ自分でもそれをしてみる」


    これって、とてもシンプルなんですが、本質的だなと思いました。


    音楽でも、ビジネスでも、イノベーションでも、

    “わかった気になる”ことはできるんですよね。


    でも実際にやってみると、まったく違う景色が見える。


    アカペラを楽譜のとおりに歌ってるつもりなのに、なぜか気持ちが良くない

    あんなに楽に歌ってるように見えたのに、やってみると全然できない


    とかとか、やってみて気づくことだらけです

    でもだから、より聴いていて、素晴らしさがわかってくる


    これは、デューイが言うように、

    「経験こそが学びである」という話にも通じると思いました


    つまり、聴いてるだけ、調査してるだけなどの、観察者でいる限り、そこにある本当の面白さや辛さは、わからない


    当事者になった瞬間に、“めちゃくちゃわかってくる”


    いろんな趣味や、音楽や、イノベーションも同じで、机上で外から評論しているだけではわからない


    とにかく自らが少しでも突っ込んでいく


    その瞬間から、世界がびっくりするほど、変わり始める


    世界を変えるためには、自分が自ら突っ込んでいく、これしかないのかもしれないなと思いました


    2、学びは目的ではなく“感受性の拡張”


    「もっと聴いて楽しみたいから学ぶ」


    この順番が、とても大事だなと思いました。


    つい私たちは、

    「うまくなるために学ぶ」と考えてしまう。


    でもここでは逆なんですよね。


    “楽しみたいから学ぶ”


    この違いってすごく大きいと思いました


    たとえば、ピエール・ブルデューが言う「ハビトゥス」のように、

    人は自分の経験の枠の中でしか世界を感じ取れない。


    だから、学ぶというのは

    “上達”というより、“感じ取れる幅を広げること”。

    そこでなんらかの成果を出すためだけではない


    音楽が深く聴こえるようになるのも、

    ビジネスの構造が見えるようになるのも、

    本質的には同じことなんだと思います。


    つまり学びとは、

    “世界の見え方を変える行為”。


    イノベーターにとって必要なのは、

    スキル以上に、この“感じる力の更新”なのかもしれないなと思いました


    3、非経済空間が創造を育てる


    「真摯なる『アマチュアの領分』」


    この言葉に、すごく大きなヒントがある気がしました。


    今はどうしても、

    「それは儲かるのか?」

    「意味があるのか?」

    という軸で物事を見がちです。


    でも、本当に面白いものって、

    最初は“役に立たない場所”から生まれることが多い。


    ハンナ・アーレントも、

    人間の営みの中で「活動(アクション)」は

    必ずしも経済的合理性とは一致しないと言っています。


    つまり、

    無駄に見えること、遊びのようなこと、

    そこにこそ公共性や創造性が宿る。


    アマチュアの領分って、

    評価されない自由がある場所なんですよね。


    だからこそ、試せるし、失敗できるし、語り合える。


    イノベーションも、

    いきなりビジネスの中で生まれるのではなく、

    こういう“余白”から芽が出てくるのかなと感じました。


    一言でいうと、

    なんか気になったら、やってみること

    目標も上手くなることも、年来も経験も関係ない

    そしたら、ある日、世界が変わって見えてくる


    自分でもそれをしてみるノベーション


    そんな素敵なお話かと思いました


    参考:本: 書名:音楽の聴き方 ――聴く型と趣味を語る言葉 著者名:岡田暁生(おかだあけお) 発行:中央公論新社 電子書籍制作日:2013年2月28日

    23 min
  • 名もなき人ノベーション(1808回)

    ゲド戦記の翻訳者である清水眞砂子さんからの言葉に考えさせられました


    清水さんが、ゲド戦記のメッセージなのではないかと言われていた次の言葉です


    「世界に希望が残されているとしたらそれは名も無き人々の中にある」


    (『ゲド戦記』より)


    ここから私は思いました


    1、未完成感

    2、承認欲求の沼

    3、誰もが創造者


    1、未完成感


    ダニエル・カーネマンは、「私たちは、自分が理解していると思い込むことで、実際よりもはるかに世界を理解していると錯覚する。」と言われています


    これはなかなか自分にも戒めなければいけないなと思います


    うまくいった経験が増えるほど、「これでいい」という確信が強くなるし


    でもその確信は、自信にもなるけれども、新しい可能性への感度を鈍らせてしまうことがあるのかもしれないなあと


    名もなき状態というのは、まだ確信がない状態。

    だからこそ、試せるし、疑えるし、変われる。


    希望は、確信の中ではなく、不確かさの中、常に未完成であるという気持ちに生まれるのかもしれないなあと思いました


    2、承認欲求の沼


    これは自分もそうですが、評価される経験をすればするほど、その評価を失いたくなくなる。


    すると、いつの間にか「その路線で他人に評価される行動」を選ぶようになる。


    エーリッヒ・フロムは、「人は自由であることの不安から、他者の評価に依存してしまう」と言われています


    本当は自由に創造できるはずなのに、

    他人の期待の中に、自分が閉じ込められてしまうこともあるのかもしれないなあと


    でも、名もなき人とは、評価に縛られない人で、むしろ自らのパッションの源に正直でいられるかどうかかもしれないなと


    だからこそ、少し変なことや、まだ意味がわからないことにも踏み出せる。


    その一歩が、結果として新しい価値につながっていくのかもしれません


    3、誰もが創造者


    ハーバード大学の広中平祐教授が言われていた通り


    「誰かに編み物をしてあげたり、庭の手入れをしたり、日々の工夫をして生きている人たちは、みんな創造者である」と思います


    創造というと、どうしても特別な才能や、大きな成果を思い浮かべてしまいますが


    でも本当は、日々の中で誰かのために工夫すること、少しでも良くしようと手を動かすこと、それ自体が、すでに創造なのだと思います。


    だから、日常を生きている一人ひとりが、誰かのために何かをしてあげる、ということをしている限り、そこに創造がうまれ、そして希望が生まれていく


    ハンナ・アーレントは、人間を「新しい何かを始める存在」と捉えました。


    どんな小さな行為でも、誰かのためにその人が一生懸命考えたことならば、それは世界を少しだけ更新して


    名もなき営みの中にある、小さな創造。

    それが積み重なって、やがて大きな変化になり、希望につながっていくのかなと


    希望とは、名もなき誰もがすでに持っている、小さな創造の中にあるのだと思いました


    ということで、一言で言えば

    名もなき人ノベーション


    そんな話をしています


    参考: NHK Eテレ東京 こころの時代ライブラリー

    己の影を抱きしめて 清水眞砂子 初回放送日2024年1月26日(金)午後11:00


    18 min
  • ブートレガー・ノベーション(1807回)

    オックスフォード大学サイード・ビジネススクール准教授のパウロ・サバジェさんより、にっちもさっちも進めない時の、どうにかする、ソリューションのヒントを頂きました


    曰く

    「誘導路による回避術は、最初こそ根本的解決にはならないが、根深い問題をしのぐことはできる。」


    「アイデアを推し進めるために、会社のルールや業務命令を回避することを選ぶ人もいる。イノベーションマネジメントの専門家はそれを、アメリカの禁酒法時代にブーツに酒を隠した習慣にたとえて、『ブートレギング』と呼んでいる」


    「ブートレガーは、プロジェクトの真価が明らかになるまでは秘密にしておく。」


    「ブートレガーはそうした自己強化的なふるまいを乱して、企業文化を変えることができる。」


    (参考:パウロ・サバジェ『どうにかする』)


    ここから私は思いました

    1、他責から自責へのマインドセット

    2、正面突破だけが解ではない

    3、まずやることが、文化を変える


    1、他責から自責へのマインドセット


    新しいアイディアを思い浮かんだときには、まずは上司に相談するな


    という笑い話が、大企業でイノベーションを推進している人たちの合言葉のようなもの、と私は思っていますが


    最終的には、どうしてもその上司を突破しなくてはならない。


    そこで大切なのは、まずは、マインドセットなのかもしれないと思いました。


    つまり、上司がいつも新規プロジェクトをやらせてくれないから、もうやーめた。だっていくら言ったって短期の収益しか入ってこないし、リスクの高い案件といって、絶対ハンコ押さないんだもん


    みたいな感じで、諦めちゃうことがたくさんあるとおもいます。


    制度が悪い、ルールが悪い、組織が悪い。

    そう思った瞬間に、思考は止まってしまう気がします。


    ここで思い出すのが、ピーター・ドラッカーの言葉です。

    「成果をあげる者は、問題を外に求めない。自らに何ができるかを問う。」


    組織がどうであろうと、本当のイノベーターは、そんな環境でも、なんとかできる道を探る、そのマインドセットが、まずは重要かと思いました


    2、正面突破だけが解ではない


    とはいえ、制度やルールに真正面から向き合うほど、動けなくなってしまう


    特に大きな組織ほど、合理的であるはずの仕組みが、逆に創造を止めてしまう。


    ミシェル・ド・セルトー曰く

    「日常的実践とは、与えられた構造の中で人々が編み出す“ずるさ”である。」


    これは悪いことをするということではなく、うまく抜け道を探すということかと思います


    イノベーションマネジメントの専門家が言われる「ブートレガー」のような手段が何かないのかを探し続ける


    考えてみれば、私がサラリーマン時代に、よく、そんな予算がつきましたね、とか、どこから予算持ってきたの?とよく言われましたが


    自担当の正面突破が、難しければ、あの手この手で、社内の予算を取ってきて、そこでプロジェクトを進めていく


    それがパウロさんの言われている「誘導路による回避術」の一つだったなあと思います。


    ブートレガーは、当時の米国は違法だったと思うのですが、決して違法ではない、誰にも迷惑をかけない、倫理と信頼を前提とした中での回避策


    これこそ、大企業におけるイノベーターに必須の能力なのかもしれないなあと思いました


    3、まずやることが、文化を変える


    企業風土を変えたい、という会社もたくさんおられると思いますし、より、社員一人一人が自ら考えて動けるような、そんな組織へ変えたいという企業もたくさんあると思います


    そのために、会社としてのミッションを社員みんなで作り直そうとか、トップダウンな方策もあると思いますが


    社員からそのようなトップへの進言がうまくいかずに悶々としてしまう、みたいなこともあると思います


    で、幹部に絶望する社員は辞めるしかないのか、という究極の選択になってしまうのか、それとも、まずは自らでブートレガーとなって、やってみせる


    そこから出てきた本物の成果を示して、フラッグシップとして、草の根を積み重ねていく、という方法もあると思います


    よく、トップが変わらなければ会社は変わらない、という話もありますが、私はブートレガーな社員が小さな波を立てて、決して革命ではない、新しい動き方が、会社の風土を変えていく突破校にもなり得る


    そんな風に思いました


    ということで一言でいうと

    1人からでも会社を変えることができる

    ブートレガー・ノベーション


    参考: どうにかする  めちゃくちゃな状況で「圧倒的な結果」を出している人と組織の思考法 令和7年12月発行 著者 パウロ・サバジェ 訳者 水谷 淳  発行 ニューズピックス


    21 min
  • 「三方一両損」ノベーション(1806回)

    落語などで、江戸の名裁きとして語り継がれる 大岡越前 の話に、「関係性の価値」について深く考えさせられました


    概ね以下のような内容です

    "「三方一両損」は、三両を拾った左官と、それを受け取らない大工の、江戸っ子としての意地がぶつかって、大岡越前が登場し、自ら一両を出し、四両を二両ずつ分けることで、全員が一両ずつ損をする形に収めた"という物語です


    ここから私は思いました


    1、ソーシャルキャピタル

    2、良い関係を創造する→三方よし

    3、壊れた関係を修復する→三方一両損


    1、ソーシャルキャピタル


    「人々のつながりは、個人と社会の生産性を高める。」


    ロバート・パットナム のこの言葉は、とてもシンプルですが、関係性の価値を端的に示しているように感じます


    つながりは、単なる人間関係ではなく、生産性そのものを高める「資本」である


    関係があることで、協力が生まれ、摩擦が減り、挑戦がしやすくなる


    それを、ソーシャルキャピタルと表されているわけですが、これを如何に維持していくことができるのか


    ここに人類の叡智が結集していくべきイノベーティブポイントなんだろうなあと、思いました


    2、良い関係を創造する→三方よし


    ソーシャルキャピタルを創り出す叡智の一つとして、近江商人の 三方よし は、その一つの答えのように感じます


    売り手よし、買い手よし、世間よし


    マイケル・サンデルが『これからの「正義」の話をしよう』の中で


    「正義を考えるには、私たちがどのような共同体に属し、どのような物語を生きているのかを問わなければならない。」


    と言われている通り、どんな集団にいようと、共同体としての物語を紡いでいかないと、ソーシャルキャピタルは、実現できない


    という意味では、三方よしは、何か新しいソリューションを世に出す際には、必須の物語なのだろうなあと思いました


    3、壊れた関係を修復する→三方一両損


    ただ現実は、どれだけ設計しても関係は壊れることがある、という事実にも向き合わなければならない


    そのときに必要な人類の叡智が「三方一両損」なのかもしれないなあと思いました


    三方一両損は

    誰も得をしていないのに、関係が戻るという不思議な構造です


    その本質は、ルールを変えているから、にあるのかもしれないなあと思いました


    つまり、これまでプレイヤーが2人だったところに、大岡越前が、プレイヤーとして参加するという離れ技を繰り出すこと


    それによって、みんなが平等に損する構造を作り出すことができる


    「ハーバード流交渉術」で有名なロジャー・フィッシャーは、


    「交渉の本質は、既存の選択肢の中で決めることではなく、選択肢そのものを拡張することである。」


    と言われています


    全員が少しずつ損をすることで

    自分だけが損をしていない状態をつくる


    そのためには、なんらかの既存の枠組みを壊すことでできることはないのか?


    大岡越前は、めちゃくちゃイノベーターだったのかもしれないなあと思いました


    ということで、今回のお話からは

    ソーシャルキャピタルを如何に構築・維持するか

    その際には、近江商人の「三方よし」と、大岡越前の「三方一両損」が、人類の叡智、と言っていいのではないか


    そんなことを思いました


    一言でいうと


    「三方一両損」ノベーション


    「三方よし」で創り

    「三方一両損」で守る


    そんな話をしています


    18 min
  • ジョブ・クラフティング・ノベーション(1805回)

    同志社大学名誉教授の太田肇さんの「自営型社員」という考え方に、新しいことを始める時の心構えと、人材教育について深く考えさせられました


    曰く

    "「労働の人間化」は人間中心というところに照準を合わせているものの、人間的な働き方ができるよう第三者が職務を設計し直すところは、従業員にとって受け身のアプローチであることに変わりはない。


    それに対し、「ジョブ・クラフティング」は従業員自身が職務設計に直接関わる点に特徴がある。"


    "とくにジョブ・クラフティングに関する最近の研究では、組織と従業員が双方向的に職務設計を行い、やりがいを高めることに焦点が当てられつつある。


    その点においてジョブ・クラフティングは、個人が受け身でなく仕事内容や仕事のペースを自発的にコントロールしながら働く、自営型と相性がよいと言えよう。"


    ここから私は思いました

    1、会社員だからこそパッションの源

    2、自分軸と他人軸

    3、自営型組織と1世帯あたり一法人化


    1、会社員だからこそパッションの源をメモる

    この4月に新入社員になられた方も多いと思いますが、本書によると、離職される方の割合が年々多くなってきてるとのこと


    それは必ずしも悪いことではないと思いますが、もし、それがネガティヴな理由で行われることは、望ましくない方向性だと思いますし、企業にとっても行末が不安になることだと思います


    以前、神戸大学の西村さんと同志社大学の八木さんが、日本全国の20歳以上70歳未満の男女2万人を対象に行った調査によると、幸福感に与える影響力は、 健康 → 人間関係 → 自己決定 → 所得 → 学歴  の順だったというお話を思い出しました


    どんな環境にいようと、自分で決定しているという気持ちがないと、幸福感を損なわれるということを、意識する必要がますます大きなくなってきているのかもしれません


    そこで重要となるのは、例えば会社という大きな組織に入ったからこそ、自らのパッションが、ワクワクすることってなんなのか?ということに、目を逸らしては行けないなということです


    新入社員では、さまざまな研修を受けて、そして仲間とのチーミングをして、お客様も含めた他人への貢献感もたくさん生まれてくると思いますが


    自分自身がどんな人になることを目指すのか?何にワクワクして会社に入ってきたのか?をメモっとく


    すなわちパッションの源になるわけですが、これがあとあと、とても効いてくるような気がしました


    2、自分軸と他人軸


    "「ジョブ・クラフティング」は従業員自身が職務設計に直接関わる点に特徴がある。"とあるように、自らが自らの職務設計を担わなければならないということになります


    もちろん、新入社員の段階でそれがどこまで出来るかというと、自分のことを振り返ってみたら、甚だ疑問になりますが


    外しては行けないのが、先ほどの自分自身の人生におけるパッションの源だと思います


    自分軸と他人軸でベン図を作ってみた時に、会社からのミッションは、他人軸で、会社生活になると、ほとんど全てが、こちらに記載さることになると思うのですが


    忘れちゃいけないのが、自分軸における、自らのパッションの源をきちんと書いておく、ということかと思います


    最初はベン図の真ん中には何もないかもしれませんが、アップデートしていくうちに、その真ん中にかけるものを創発できるようになってくる


    それを育てていくことが、ジョブクラフティングなのではないと思いました


    3、自営型組織と1世帯あたり一法人化


    とはいえ、組織的な活動ができないと、なかなか自営型人材をやり切るというのも、大変だと思います


    組織的に、このような仕組みづくりを促していくことが、自営型人材育成組織ということになるかと思います


    私がコンサルティングの組織にいた際には、いわゆるジョブ型にプロジェクト毎に組織が作られ、解散してを、目まぐるしく実施していたので、ある意味、次のプロジェクトに読んでもらうためには、自分自身が自営型人材にならざるを得なかったような気がします


    職種にもなかなかの影響を受けそうですが、自らの自営型へのwillとともに、組織としての仕組みかというのも、合わせていかないと、どうしても個人が萎んでしまう、ということにもなりかねないかもなぁとも思いました


    私は独立する前は、副業申請をして、少しずつ案件をやりながら、なんとなくそちらでも行けそうな感じがしてから、独立に踏み切るということもしているので、それも一つの手かもしれないなあとか


    アルムナイでブーメラン的なネットワークがとても大切になってきてるので、そういう意味では、ずいぶんと素地が出来てきてるような気がします


    その先には、私がビジョンで掲げています、全世界1世帯あたり一法人化を目指すような形になっていけば、大企業の中に居ながらにしても、自分自身からの価値を創って世の中へ届けることもやってる、みたいなことになり


    それで独立する人もいれば、副業でやる人もいれば、大企業の中で、自営型人材として活躍する、そんなバラエティになっていけば、より面白い形になるのかもしれないと思いました


    ということで、一言で言えば


    ジョブ・クラフティング・ノベーション


    参考:本: 離職ゼロ。「自営型社員」が会社を変える!

    電子版発行日 2025年12月30日 Ver. 1.0  著者  太田肇   発行所 東洋経済新報社

    28 min

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