ある日突然心が入れ替わってしまった女子高生と教育実習の教師見習い。ジュブナイルSFの鉄板パターンをボイスドラマ化しました(CV:桑木栄美里)
・シュウ=高山市の高校にやってきた教育実習生(大学4年生)
・エミリ=高山市の高校に通う女子高生(高校3年生)
朝のラッシュ時に41号超えるんがアカンのやさ〜!(※ここだけ飛騨弁で)
<エミリ> いったぁ〜い!どこ見て走ってんの・・・え?
<シュウ> いてててて〜。ごめん、ごめん・・・あれ?
<シュウ> そっちこそなんでオレの格好してるんだ!?
<シュウ> オ、オレはシュウ・・・って自己紹介してる場合じゃないだろう!
■学校のチャイム(遠くから聞こえてくる)※同時に叫ぶ
<エミリ> やっば〜い!学校始まっちゃう!また遅刻だぁ!
<シュウ> やっば〜い!学校始まっちゃう!初日なのに!
<シュウ> だってオレ、今日から教育実習であの学校行くんだよ!
<シュウ> 落ち着け、落ち着け!気を確かに!え〜っと!
<シュウ> そうだ!急げ!でも、ちょっと待ったぁ!
<エミリ> ん〜っと、じゃあ、私、職員室へ行くわ!
<エミリ> 私、遅刻常習犯だから、廊下に立たされたらごめんねー!
なんにも知らない状況で、6時限も授業受けるのってきついなあ。
え〜っと・・・なになに?ユウ?・・・ってオトコか。
”でも、LINEとか今まで通りで、たまには映画とか行こうぜ”
あ?しまった・・・これオレのLINEじゃなかったんだ。
終わった終わった。はよ家帰らんと〜。今日塾あったんだ・・・
だめじゃん、この姿で家帰ったら、パパ卒倒しちゃう。
え?ヒナタ?だれ?・・・って、だれじゃなくて・・・
ちょっと待った?そのまえに・・・オレたち、どういう関係だったっけ?
いやいやフツーだって。こういう喋り方なんだって。今日から。
それ、ムズくない?だって私、今日からしばらく学校で教育実習なのに。
いまちょっと心が入れ替わり・・・いや動転してるから
いや、だから、シュウはオレだけど、私じゃないから・・・
・・・ふう〜っ・・・どうしよう・・・シュウ先生になんて伝えよう・・・
<シュウ> やっと見つけたぞ。職員室から解放されたな。
<エミリ> うん、でも、私、先生に言わなきゃいけないことがある。
<エミリ> わかった。え〜っと、あのね。さっき職員室でたら電話が鳴ったの。
<シュウ> 電話?まさか、とってないよな。個人情報だぞ。
<エミリ> だって、スルーしようとしたら、応答ボタン押しちゃったんだもん。
<エミリ> だって・・・無視したらシュウ先生があとで困ると思って。
<エミリ> あの・・・来月からニューヨーク行っちゃうんだって!
<シュウ> オレが教育実習で高山にくる前から知ってたんだ。
<シュウ> 海外勤務がヒナタの夢だったからな。オレには止められない。
<シュウ> いいんだ。代わりに聞いてくれてありがとう。
<シュウ> いや、それが、間違って消しちゃったんだ・・・
<エミリ> なんでー!?ひょっとして中身見たの!?
<シュウ> いや、ごめん。見るつもりなんてなかったけど、顔認証で開いちゃったんだ。
<シュウ> いま付きあってるカノジョがいるんだって。
<シュウ> なあ、悪かったよ。勝手に見て、勝手に消して。
<シュウ> それより、オレたちのこと、なんとかしないと。
<シュウ> おい、待て!自転車で車道出たら危ないって!!待て〜!
<シュウ> オレが咄嗟に抱き抱えて受け身をとらなきゃホントに車にひかれてたぞ。
<シュウ> マンガみたいだけど、事故の衝撃で元に戻ったみたいだ。
<シュウ> そんなことより、記憶とか大丈夫か。CTでは異常なかったけど・・・
<エミリ> 大丈夫。覚えてる。でも、嫌なことは全部忘れちゃった。
<エミリ> シュウ先生って、こんなにカッコよかったんだ。
<シュウ> 入れ替わったのは、お互いに大事なことを知らせるためだったのかもな。
<エミリ> うん。これからは私、シュウ先生しか目に入らないから!
<シュウ> なにバカなこと言ってる・・・
<エミリ> ばかじゃない、本気だもん。君の中の僕へ、思い届けるから〜!