カフエマメヒコ井川啓央の「いかひこ深夜便」

カフエマメヒコ井川啓央の「いかひこ深夜便」

By カフエマメヒコ井川啓央の「いかひこ深夜便」ArtsPerforming ArtsFood
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カフエマメヒコ井川啓央の「いかひこ深夜便」 episodes

  • いかひこ深夜便2020 #23/三軒茶屋店について
    2005.7.1に三軒茶屋で始めたマメヒコも15周年を向かえました。その三茶店について語っています。三茶店は、ボクがカフェを作った最初の店なので、小説で言えば処女小説となります。
    作家が生涯を通じて書く作品は、処女作の中に全部埋まっている、という言葉がある通り、三茶店には、ボクのすべてが詰まっていると酒井くんはいいます。その根拠を客席の柱からにゅっと出ている水道の蛇口に見つけます。
    15年前、まだ誰もいない三茶店に足繁く通っていた若かりし頃の酒井くん。ボクもまだ若く、「こんなちっぽけなマメヒコのいまを見て、ボクやマメヒコを評価しないでほしい。まだまだあんなこともこんなこともやりたいんだ」と、生意気に話していたあの頃のボクが懐かしい。
    32 min
  • マメクル2020 #25/独りだけで生きる
    農学博士 五箇公一さんの記事に、こんなことが書かれていた。
    「人間って生物学上では本来すごく弱い生き物。弱いからこそ集まってコミュニティをつくって野生生物たちとの闘いに勝って、生き残ることができた。
    その過程で他の生物種が持たないヒューマニティという人間特有の性質を進化させた。
    弱いから強くなって、生き残ったので余裕がでた。その結果、文明文化が発達してきた。
    血の繋がりのない他者も助けるという利他性こそが人間の武器であるのに、社会が肥大化し、物質的な豊かさが増すにつれ、自我や個人的欲求を優先させてしまうという利己性が利他性に勝るようになってしまった」
    果たして独りだけで生きられるのか。利他性を取り戻すために、社会は縮小し、物質的な豊かさを減ればいいのか?そう単純なことではないだろうと思う。
    まぁ、つまり、イチからとことん新しく考え直さないといけないと思う。ボクはそれを考えながら、生きていきたいと思っています。みなさんはどうですか?
    28 min
  • いかひこ深夜便2020 #22/マメヒコは続けます
    今までのようなマメヒコのあり方では、遠い先のことはわからないとしても、近々続けていくのは難しい。そんな気がしています。東京のど真ん中にあって、食べ物や飲み物が美味しくて、空間も清潔で品もあって、店員も生き生きと働いてる。いろんなヒトとヒトが出会い、ほっとしたり、楽しくなったり、そういう場所を続けていくのがボクラのやりたいことなんです。それを維持するために、飲み物や食べ物代にその運営費を上乗せする。金額が小さいですから、たくさん稼ぐために、一人でも多くのお客に来てもらって、さらに飲み物や食べ物をじゃんじゃん頼んでもらわなければいけないけれど、それはやっぱり違うんじゃないか。ではどうしたらいいか。具体的な名案はすぐには浮かばないけれど、試行錯誤しながら、自分たちなりの方法を探すほかないんだと思います。逆に言えば、それが見つからなければ、ボクらは遅かれ早かれ退場し、さらに、それを応援していたヒトたちは、そうかマメヒコでもダメだったか、もはやこれまで、と思うかもしれません。ほかの事業からお金を回すというんじゃなくて、サスティナブルなやりかたを考え、考えてるだけではダメで、失敗を重ねて、やりながら直していく。マメヒコは続けていくために、大きな課題が待っています。
    33 min
  • マメクル2020 #24/わかんない気持ち
    「いまのボクの、率直な気持ちとしては、この店を閉めたいと思うんだ。うん。ずっと考えていることだよ。そこで、ここに集まった、ともに店を続けてくれたみんなの意見も聞かせてほしい。このまま、お店を続けていくべきかね。それとも潔く、閉めるべきかね」閉店後の細いライトの下で、沈黙したまま知った顔はみなうつむいている。「実際問題として、いまのまま店を継続していくのは厳しいものがある。もっとスタッフを減らしていくしか無いとも思う。もっともっとハードに働いてもらうしか無い気もする。給与もさらに下げることになりそうだ。それでも。それでもだな。ボクとともに続けてたい、そんな気持ちがあるなら。そういうヒトがいてくれるなら、ボクは続けようと思うが、みんなどうだろう。ボクと一緒に続けてくれるヒトはいるかな?」沈黙は続いたままである。誰ひとり、ものおとを立てまいとしている。ときどき製氷機の砕けた音が店内に響きドキリとした。呼吸さえ止めているのではないか。その静けさが、すべての答えだとボクは悟った。「わかった。ありがとう。それが答えだな。うん。そうか。うん、わかった。いままでありがとう。よくここまで頑張ってくれた」ひとしきり店員をねぎらったが、空気は変わらなかった。そのとき、女性店員が白い顔を上げ、ボクの方を見た。「あの」彼女は、顔を上げボクの目をちらっと見ると、すぐさまうつむいてしまった。「なに?」沈黙を時折混ぜながら、絞り出すように彼女は意見を言った。「わたしみたいなのが、やりたい、と言ったところでその、なんの意味もないんでしょうけど。やっぱり、閉めてしまうのは、なんていうか、もったいないっていうか。もったいないっていうのとも違うか。なんだろ」それきりだった。そのあと彼女は黙ったままだった。そしてあとに続くものもいなかった。会は煮えきらぬまま解散となり、出席した店員たちは何事もなかった顔をして、めいめい店を出てった。外からは、他愛のない会話が聞こえた。思っていたとおり、潮時だったのだ。これで踏ん切りがついた、店を閉めよう。決断は間違っていなかったのだ。みんな無理をしながら、続けてくれていたのだ。安い給料で過酷な仕事を続けていく理由などそもそもなかったのかもしれない。惰性でここにいただけなのだ。そう思ったら、気持ちが晴れていく、けれど同時に涙がこぼれた。もっとみんな、この店を愛してくれていると勘違いしていた自分が情けなかった。何年も続けた、小さな店の灯りが、時代の波に飲まれ消え失せる。頑張って続けてきた店だ。閉めるかもとなれば、口々にその継続の可能性を議論したり、模索したりするのではないかと、そんな淡い期待を寄せていた自分が情けなかった。それからボクは、さっさと手続きをし、事務的に店を閉めた。閉店の日は、賑わいの中で誰しも泣いていた。店員も長年通ってくれたお客もみな泣いていた。華やかな花がいっぱい飾られた店内に、ボクはいたくなかった。残念ですという言葉を聞くと腹ただしいのだ。何をいまさらと、白けた怒りが収まらなかった。
    21 min
  • マメクル2020 #23/経験が物をいう
    インターネット全盛の時代です。どんなことでも検索すれば調べられます。ついこのあいだまでは考えられませんでした。スマホ1つあれば、世界のすべてがこのポケットのなかに収まっているような、そんな気さえしますね。それはそれは大変便利な道具ですし、なんだかとても頭が良くなった気さえします。で、コロナ。ボクも色々とインターネットを通して調べて見たわけです。そこから調べた事実とは裏腹に、実際の社会、つまりその多くのヒトビトの反応が、事実を見ることなく反応したことにはとても驚いたのでした。んー。で、まぁ釈然としないこともいっぱいあったんですが。インターネットを離れ、街のヒトと話をしてみると、そこには経験を通した言葉があるのです。自粛要請がづき、混沌として先行き不透明な頃。どこに出口があるかもわからず、ずっとこの要請は続きそうなさなか、「ウイルスがなくなるまでは、危険だ、危険だと、もはやみんなパニックになってる気がします。でも簡単にウイルスがなくなるわけじゃないし。やれやれ。このまま永遠に我慢する気なんですかね」「んだもってよ。我慢しろ、我慢しろって言ってもだな。我慢には限度ってもんがあるのが人間よね」「ワクチンの開発はまだまだ先だと思うんですよ」「持って二ヶ月じゃないの。ハハハ。それ以上は我慢できないもの。なんとなはなしに、元に戻るもんさ」経験が物をいいます。
    22 min
  • マメクル2020 #22/ビールと盆踊り
    むかーし、むかし、ここにビール工場があったんだよ、という都内某所からお届けしています。ビールが戦後、家庭に浸透した要因ってなんだか知ってます?そのひとつは、第二次世界大戦です。戦前は、ビールは、ビアホールやカフェで飲むものであり、家庭でビールを飲むということはなかったんですね。それが第二次世界大戦中の配給制度で、ビールが各家庭に配給され、それまでビールなんか買って飲んだことがないという家庭にまで行き渡ったというのです。そんなビールですが、今では、もう当たり前のものになりすぎて、もはや、ありがたがって飲むヒトはいなくなりました。それは珈琲もそうですね。飲みきれない珈琲を捨てるところがカフェにある時代ですから。それはある意味では、とても幸福かもしれませんが、ある意味ではとても不幸です。当たり前の幸福は、幸福だと感じなくなる。それが人間の悲しい性だからです。むかーし、むかしは、どこにでもあった盆踊り。これも、もはや絶滅しそうな感じです。原因ははっきりしています。地域が崩れてしまったからです。いまの日本にもはや地域なんてありません。あるのは、地域をなんとかしようという感傷ともいえる動きだけです。誰が悪いわけではありません。だって煩わしい地域のコミュニティが、なんとなくみんな嫌で、都会に出ていったわけですし、それでビールも当たり前に飲めるようになったと喜んだわけですから。煩わしいところはあったけれど、地域のコミュニティがあって、ビールはたまのお祭りにみんなでワイワイと飲む。そんなビールはとても喉に染み渡って旨かった。と懐古してもそんなものはもうないのです。地域の集まりを見れば、そこにはお茶を急須で淹れてるヒトなんていないのです。もうみんなペットボトルのお茶を箱で買って、ただ配っているのです。なにを選んできて。なにを選ばないできたのか。そしてこれから、なにを選んで。なにを選ばないのか。それを考える必要があるのです。違いますかね。
    25 min
  • いかひこ深夜便2020 #20/時間の概念
    マメヒコでは、時給で働くという考え方を辞めたいなと、前々から思っていたんですが、いよいよそうします。「時給で働く」という考え方は、働く方も雇う方も双方メリットあるように見えて、デメリットが大きすぎる。効く薬は副作用もでかい、みたいなものです。まぁ、そんなことみんな薄々気づいてはいるけどね。ほかに選択肢もないし。だから、とりあえずそういう時間で区切って、という考え方を踏襲してるに過ぎないのよ、だと思うんです。マメヒコを15年やってきて、ボクラもボクラがやろうとしている人間関係も、時間で区切った考え方をしていたら一向に成長しません。成長しない組織を運営するのは苦痛でしかありません。ボクはそんなことにまったく興味がない。時間で区切った考え方をしているスタッフで、マメヒコに居続けたスタッフはひとりもいませんよ。一時間あたりいくらいくらです、という考え方は、近代以降の考え方でしょ。一ヶ月の家賃が決まっていて、月々の返済が決まっていて、それによって月の労働時間が決めなくちゃいけなくて、ゆえに一時間あたりの生産性を上げなくちゃいかんよ、と。ボクラ経営者は金融機関からお金を借りてますから、返済するのが善、当然の義務だとしますとね、四の五の言わず、時間あたりの生産性を上げろと、終始言われてるわけですよ。でも、そんなことしてるから、たかだか数ヶ月、経済が止まっただけで、過去最悪の経済危機が起きてるんだといいたい。これを教訓にますます生産性を上げるべきだと言ってるヒトがいますけど、どこまでとんちんかんなんでしょうか。みんな生産性を上げるためだけに働いているわけではないんです。ボクは、これからもっともっと世の中はのんびりでも回るよ、となっていくと思います。ボクラも自分たちのペースを創らなくてはいけません。
    33 min
  • マメクル2020 #21/わかりやすい言葉
    「メラビアンの法則って知ってる?7-38-55のルールとも言ってね。ヒトは話す内容より、見た目が大事なわけよ。それでオレはブランド身につけて、ビジネスやってさ。月に100万は稼いでるかな。いやいや、上には上がいてさ。中学生でもツイッター使って1000万稼いでるのとかいるからね。まぁ、君が本気で頑張るかどうかなわけよ。あとは金はついてくるから。ぶれない信念を持ってれば、ビジネスはうまくいくわけよ」と話してる男がいます。その向かいで、感化されたのか純粋そうな若者が、感心して聞いています。わかりやすい言葉に、ヒトはついていきやすいものですが、わかりやすさとは危険と紙一重だと思います。
    26 min
  • いかひこ深夜便2020 #19/珈琲が飲めなかった
    もともとはお子様舌だったというサカイ氏。だから苦くて珈琲が飲めなかったけれど、飲めるようになったのはちょっとしたきっかけ。そのきっかけがあって、珈琲の美味しさを知ったと。それでたまたまマメヒコに来て珈琲を飲んだ時、「おっ、この店の珈琲は美味しいな」と思ったのが10年ほど前。それが、のちにこのラジオにつながるのでした。人生というのは、どこでなにがどうなるかわからないですねー。珈琲がつなぐ縁の話。
    34 min

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