適応障害で休職した直後は、「明日から会社に行かなくていい」と少しホッとする一方で、「これから何をしたらいいんだろう」「早く生活リズムを整えないと」「何か復職のために始めた方がいいのでは」と、不安になる方も少なくありません。
昨日の配信では、休職したばかりの時期は、まず仕事から離れて、心と体を休ませることが大切だとお話ししました。
眠れるときに眠る。食べられるものを食べる。仕事のメールや連絡から距離を置く。
休職直後は、何かを始めることよりも、これ以上消耗しないことが優先です。
ただ、少し休めるようになってくると、「このまま休んでいるだけでいいのかな」「具体的に何をしておけばいいんだろう」と思うこともあります。
そこで今回は、休職初期に具体的に取り組んでほしいことを2つお伝えします。
1.休職に必要な手続きを整理する
休職すると、会社への書類提出や傷病手当金の申請など、さまざまな手続きが発生します。
必要なことではありますが、体調が悪いときに、すべてを一人で調べようとすると、それだけで疲れてしまいます。
まず確認したいのは、次の4つです。
* 休職期間はいつまでなのか
* 診断書は、いつ、どこに提出するのか
* 会社との連絡は、誰を通して行うのか
* 傷病手当金の手続きは、どのように進めるのか
会社の就業規則や、人事担当者から届いた書類を確認してみてください。
ただし、一度に全部を理解したり、終わらせたりする必要はありません。
確認した内容は、頭の中だけで覚えようとせず、紙やスマートフォンに書いておくと安心です。
たとえば、
「診断書は8月10日までに人事へ郵送する」
「傷病手当金の申請書は、次回の診察で主治医に渡す」
というように、次にすることを一つずつ整理します。
書類を読むこと自体がつらいときは、ご家族に一緒に見てもらったり、会社の担当者に、
「今は体調が悪く、内容を整理することが難しいので、必要な手続きと期限を教えてください」
と伝えても構いません。
手続きを自分一人で抱え込まないことも大切です。
ご家族や人事担当者に助けてもらうことは、復職後に仕事を一人で抱え込まないための、最初の練習でもあります。
2.体調と活動を簡単に記録する
少し昼間に起きていられるようになったり、簡単なことならできるようになったりしたら、体調と活動の記録を始めてみてください。
これは、休職初期だけではなく、リワークでも大切にしている取り組みです。
記録というと、「毎日きちんと日記を書かないといけない」と思う方もいるかもしれません。
ですが、詳しい文章を書く必要はありません。
まず、その日の体調を10点満点でつけてみます。
たとえば、
「今日の体調は10点満点で4点」
というように記録します。
そのうえで、次のことを簡単に書いておきます。
* 何時に寝て、何時に起きたか
* 日中に何をしたか
* 誰かと会ったり、話したりしたか
* その後、気分や疲労がどう変化したか
たとえば、
「体調4点。午前中は眠っていた。昼食は食べられた。夕方に10分散歩した。散歩の直後は気分が少し良くなったが、夜は疲れた」
というくらいで大丈夫です。
大切なのは、単に何をしたかを書くことではありません。
何をしたときに、気分がどう変わったのか。
どのような活動のあとに、疲れが強くなったのか。
人と会った当日は大丈夫でも、翌日に疲れが出ていないか。
こうした、活動と気分、疲労との関係を見ることが大切です。
たとえば、
「買い物に行くと気分転換にはなるけれど、帰宅後に強く疲れる」
「友人と話すと気分は良くなるけれど、長時間になると翌日まで疲れが残る」
「午前中に予定を入れると、午後は何もできなくなる」
「予定が続くと、その場では頑張れるけれど、数日後に体調を崩す」
といった、自分なりのパターンが見えてきます。
ここが、記録をつける大きな目的です。
記録は、自己理解を深めるためのもの
記録を続けることで、
自分は、どのような場面で無理をしやすいのか。
疲れているときに、どのようなサインが出るのか。
どのくらい活動すると、疲労が残るのか。
何をすると、気分や体調が回復しやすいのか。
こうしたことが少しずつ分かるようになります。
これは、自分を責めたり、性格を分析したりするための自己理解ではありません。
自分の心と体の取扱説明書をつくるための自己理解です。
リワークでも、ただ生活リズムを整えたり、仕事の練習をしたりするだけではありません。
自分が、どのような状況で調子を崩しやすいのか。
体調が悪化する前に、どのような変化が起きていたのか。
調子を崩し始めたときに、どのように対処すればよいのか。
こうしたことを、記録をもとに振り返っていきます。
たとえば、
「忙しくなると、昼休みを取らなくなる」
「人から頼まれると、断れずに引き受けてしまう」
「疲れていても、予定を変更せずに頑張ってしまう」
「睡眠時間が短くなると、考え方が悲観的になる」
といった、自分のパターンに気づくことがあります。
このようなパターンは、頭の中だけで考えていても、なかなか分かりません。
毎日の体調や活動を記録して、あとから振り返ることで、初めて見えてくることがあります。
記録は、再発予防の第一歩
再発予防というと、「二度と体調を崩さないようにすること」だと思うかもしれません。
ですが、どれだけ気をつけていても、仕事が忙しくなったり、人間関係で悩んだり、体調が下がったりすることはあります。
大切なのは、体調が悪化する前のサインに早く気づき、無理を続ける前に対処できるようになることです。
そのためには、まず、
「自分は、どのようなときに調子を崩しやすいのか」
「調子を崩す前に、どのようなサインが出るのか」
を知っておく必要があります。
記録は、そのための材料になります。
また、回復の途中では、良い日と悪い日を繰り返します。
昨日は動けたのに、今日は疲れていると、「また振り出しに戻ってしまった」と感じることがあります。
しかし、記録を振り返ってみると、
以前は体調が2点や3点の日が続いていたけれど、最近は4点や5点の日が増えている。
以前は人と会った翌日に一日中寝込んでいたけれど、今は半日休めば回復している。
そのような小さな変化に気づくことがあります。
一日だけを見ると悪くなったように感じても、数週間単位で見ると、少しずつ回復していることがあります。
記録することで、自分の回復を、その日の気分だけではなく、少し客観的に見られるようになります。
この記録は、主治医に体調を説明するときにも役立ちます。
「少し良くなりました」と伝えるだけではなく、
「体調は10点満点で4点から5点くらいの日が増えました。ただ、人と会った翌日は疲労が強くなります」
と、具体的に伝えられるようになります。
まとめ
休職したばかりの時期は、まず、心と体を休ませることが優先です。
そのうえで、少し余裕が出てきたら、具体的に取り組むことは2つです。
1つ目は、休職期間や傷病手当金など、必要な手続きを整理すること。
2つ目は、体調を10点満点でつけ、活動や人との関わりが、気分や疲労にどう影響するのかを記録することです。
特に、体調と活動の記録は、リワークでも大切にしている取り組みです。
記録を続けると、自分がどのようなときに無理をしやすいのか、どのような活動のあとに疲れが出やすいのか、体調を崩す前にどのようなサインが出るのか、何をすると回復しやすいのかが、少しずつ見えてきます。
それは、自分を責めるための自己理解ではありません。
復職後に、自分の調子を自分で把握し、早めに対処できるようになるための自己理解です。
そして、これが再発予防の第一歩になります。
今の段階でできることから、一つずつ始めてくださいね。
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