1. 書籍紹介のきっかけ・背景
- 取り上げた本:『ちぐはぐな体、ファッションって何?』(鷲田清一 著)
- 坂田がファッション系販売の仕事をしているにもかかわらず、ファッションの本質を理解していないという問題意識から本書を手に取った
- チャンピオンのリバースウィーブばかり着ており、おしゃれへの照れや戸惑いがある
- 「なぜシルバーアクセはシルバーで統一するとおしゃれなのか」という根本的な疑問に誰も答えてくれなかったことが動機
- 本書はおしゃれになるためのハウツー本ではなく、ファッション論・哲学の書である
2. 第1章:体はイメージである
- 人間は自分の体を鏡や写真越しにしか見られないため、体のイメージはパッチワーク的に形成されており、本質的に不安定(フラジャイル)なもの
- 他者から見られることで体のイメージへの揺らぎが生じる
- 服を着ることは、そのイメージをより強固にする行為として機能する
3. 第2章:服が先にある・服が体を作る
- スーツや制服を着ることで、他者からの見え方(イメージ)が固まり、自分自身も安心感を得る
- ファッションは加点方式(おしゃれポイントを積み上げる)ではなく、先にある理想イメージに体を近づける作業であるという発見
- 古賀も「なるほど」と納得。言われてみればしっくりくる感覚
- 服を試着した際に「理想のモデルと違う」と感じるのは、このズレの実感として説明できる
- 制服は服によって人を支配・統一する機能を持つ
- 不良の着崩しは「与えられた服への反抗」=自分と服のズレからファッションが生まれる原点
- スーツを「楽だから着る」「自然体だから着る」という態度は、自分がどういう人間かを服の陰に隠しているとも言える(量産型・全身ユニクロ問題に通じる)
4. 第3章:社会から逸脱するファッション
- ヨウジヤマモト・コムデギャルソンなど、袖が極端に長いなど機能を無視したモード系の服を取り上げる
- そのような服を着ると何も持てず、未来の予定を考えられなくなる=社会のルール(未来志向)から逸脱させる効果がある
- 最先端モード系ファッションは、社会規範からの意図的な逸脱として機能する
5. 第4章:ファッションとは何か(結論)
- 拒食症の例:社会に受け入れられるための痩身追求は、美しさやモテへの欲求を超え、「社会への適応行為」そのものになっていく
- 社会は「若い・美しい・健康・清潔・新品」というメッセージを絶えず発信し、人はそこに晒され続ける
- 「見る・見られる」の非対称性(男女の差など)も議論されている
- 著者による核心的なテーゼ(引用):
> 「表面のプロポーションやバランスを大事にするけれど、そういうファッションを生み出す情念は甚だしく釣り合いを欠いたものだ。人生の外れを外しへと裏返す感覚、それがファッション感覚だ。最もスマートで流行に乗った人間が、実は最もアンファッショナブルである」
- 等身大のファッションは存在しない:服を着る時に常に自分とのズレが生じるため
- そのズレ(個人と社会のズレ)をポジティブに捉え直し、意図的に裏返す行為がファッションである
- トレンドを丸ごと着こなすことは「トレンドという制服」を着ているに過ぎず、ファッションとは言えない
- ファッションの定義(著者):「社会を組み立てる規範や価値観との距離感覚であり、自分との距離感覚」
6. 坂田のファッション観・まとめ
- 本書を読んで「自信を持って、自分の好きな服を着る」ことがファッションだという結論に至った
- 「変かも」と思われることを恐れず、好きなものを着る姿勢が重要
- チャンピオン リバースウィーブへの愛着は「普通っぽいけど普通じゃない」という安心感に依存しており、それ自体がまだファッション的ではないと自己分析
- 本当の意味でのファッションには、もっと自分のズレを意識的に楽しむ姿勢が必要だという気づきを得た