バックハウスについては、あまり良くしらないのだけれど、師匠のペーター・マークがかつて、彼の話をしてくれていたことや、あのルービンシュタインが回想録で語っていたことを元に、もう一度バックハウスについて考えてみた。良く考えると、彼が室内楽をやった経緯というのは記録に残っていない。彼はイギリスやウィーンで教鞭を執ったらしいが、それもあまり知られていない。彼の数少ない演奏について語ってみた。そう言えばここでは語っていないが、彼の最期の演奏会で演奏されたブラームスの作品118は語り草だった。むーらん

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今日はヴィルヘルム・ケンプについて語るはずが、ケンプは一人で弾くより、誰かと室内楽をやった方が好きなので、チェリストのピエール・フルニエとのベートーヴェンについて語ったんだけれど、そうしたらフルニエの話になって、シュナーベルが出てきたり、カラヤンやホルショフスキーの話になった。まあ、そういうもんなのだろう。音楽は話が尽きない。むーらん

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エドウィン・フィッシャーの印象は、最初はバッハ。そしてベートーヴェン。最後にモーツァルトとブラームス。もちろんシューベルトも。彼はスイス生まれでバーゼルの出身。（これは多分、録音の中で間違った情報を話していると思う。）とにかく音楽の内容は、「自由」だった人。そしてフルトヴェングラーとの友情というか、彼らは音楽が似ていた2人だと思う。枠に縛られず、そこから自由に音楽を表現しても、けっしてスタイルを失うことはなく、失うどころか、新しい世界を体現できた人。素晴らしいアーティストだった。むーらん

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ルービンシュタインについては、これまで何年にも亘って各所で書いたり話しているので、またか、と思われるかもしれない。でもその位私の人生に大きな影響を与えた人であることは、間違いがない。指揮者としての目標も、言ってみれば彼みたいな音楽家になりたい、というところ。だから私にとっては、いつまでも変わらないスーパーヒーローなのだ。むーらん

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グレン・グールドの特異性は、現代ではもう特異でも何でもなくなったと思う。現代社会は、自分のそれまで隠していた欠点を、まるで長所に見せることができるようになったからかもしれないと思ったりする。そのくらい、20世紀という時代は、価値が多様化してはいなかったと思う。グールドがもしインターネットに出会っていたなら、どう話しただろう。そんなことを考えながら、今日の録音をしていた。彼なら音楽のクオリティを、インターネットを通じてどう表現しただろうか。むーらん

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グルダと言えば、私が知るウィーンでは、ちょっとお茶目な音楽家だったけれど、過去を遡れば本当に素晴らしい正統派のピアニストだった。彼のバッハの平均律やベートーヴェンのピアノソナタの全集は素晴らしいものだし、ショパンの演奏も見事なものだった。そんな彼がいつの頃からか、ジャズを弾きだして、モーツァルトのピアノ協奏曲のカデンツァをジャズ風にアレンジしてみせたのには、正直面食らったけれど、それもまた、グルダ風の正当派なジャズだったような気もする。とてつもなく自由な雰囲気に憧れた私の、大好きなピアニスト。むーらん

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コルトーには昔からお世話になった。自分の好きなピアニストの一人だったし、ショパンの楽譜の校訂者としても、彼の詩的なコメントが楽譜のなかにちりばめられていて、コルトー版が好きだった。そんなコルトーを良く知る人が自分の師匠になり、世界は変わって行く。私はコルトーのせいで、パリに行きたいと思うようになったから、ウィーンでピアノ科に入るチャンスが来たとき、ロシア人の教授に「パリに行くからあなたのところへは行かない」などと、言ってしまったのを今でも思い出す。人生のそういった局面は、本当に面白い。てなわけで、今日はコルトーです。むーらん。

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南米からは優れたピアニストが輩出されていて、なかでもその草分けと言える存在が戦後ではクラウディオ・アラウが代表格だろうと思う。80年代まで結構頻繁に日本に来日して、素晴らしい円熟の境地を魅せてくれたアラウ。そのベートーヴェンの解釈は、豊かさと言う点において、他の追従を許さなかった。厳しさとかではなく、豊かさ。響きの豊穣さ。厳しさや正確さを語る人は多いが、そういった豊かなものを感じさせてくれるピアニストは、実はなかなか存在しない。稀有の人だったと思う。むーらん

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ピアニスト列伝として今日はマウリツィオ・ポッリーニさんのことについてお話しています。ポリーニさんと私は誕生日が一緒で、そういうことからも参考になると思っていたのですが、結局私はピアノではなく指揮者になったので、昔よりもかなり冷静に観察できるようになったかもしれません。当時から彼の演奏会を聴くことはありましたが、どちらかと言えば録音を聴くことの方が多かったように記憶しています。そう。ザルツブルク音楽祭のライブ録音とか。それを一生懸命録音しては、聴いていましたね。でも痺れるくらい感激したのは、一度だけ。ブラームスのピアノ協奏曲第2番。しかもNHK交響楽団との演奏です。あれは忘れられない演奏になりましたね。FMで生中継を聴いていたのを思い出しますね。むーらん

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ピアニスト列伝を始めることにしました。それで私が最初に影響を受けたピアニストのアシュケナージさんについてお話することにしました。80歳を超えてまだ精力的な指揮活動をされていますが、彼のピアニストとしての素晴らしさは、本当に当時の私に大きな影響を与えてくれました。そんな彼のピアニズムについて、少しお話してみました。むーらん

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