これまでのideariumではダイの大冒険や仮面ライダーなどについて取り上げてきたが、こうなると残るは1つ、ウルトラマンである。ミナベの分析によると、最近のウルトラマンの傾向として「昔の怪獣やウルトラマンが頻繁に出てくる」というものがある。ウルトラマンの制作元である円谷プロは、1回1回の怪獣の着ぐるみに莫大な制作コストがかかるために、以前は採算が良くなかった。しかし、現在は既にある着ぐるみを活用することで、採算が改善されている。新しい事業や経営を描くとき、みんな未来を見がちだが、ウルトラマンは歴史がかなり長く、そこに関わってきた人も多い。だからこそ、既存のアセットを生かすことはコスト削減だけではなく往年のファンを惹きつける魅力となっている。ものづくりのやり方として「エンジニアリング的なやり方」と「ブリコラージュ的なやり方」がある。前者は目的から逆算してものづくりをするやり方で、後者は、冷蔵庫の中身を見ながら晩ご飯を作る、みたいなやり方。現在の円谷プロの手法は後者にあたる。CULTIBASEで以前「技術主導のアプローチは悪か?」という内容の記事を書いたが、それと同じで、最近のウルトラマンの好調は、「古くなってしまったモノは全部ダメだ」と捨ててしまうのではなく、そこに意味をアップデートできる可能性を見出すことのできた好例である。