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岡山県出身の詩人・永瀬清子さんの詩をRSKアナウンサー 小林章子の朗読でお届けします。どんな景色が心に浮かぶでしょう?人生のステージや生活に合わせて読むことができる永瀬さんの詩の世界。多感な時期の悩み、結婚、両親、夫や子供など家族のこと、生活の中での驚きや発見、山や川、植物や天体など自然について、世の中について、老いについて。永瀬さんの詩は、過去の自分を振り返ったり、これから行く道の道しる... more
FAQs about 永瀬清子の世界:How many episodes does 永瀬清子の世界 have?The podcast currently has 131 episodes available.
October 13, 2025#81「賢治思慕 c ヨクミキキシワカリ」5「必ず読むべき本を読まずに長年をすごした」ことを悔いる「私」がしていたのは、「思うこと」や「空想すること」でした。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節「ヨクミキキシワカリソシテワスレズ」は、そんな「私」への「はげましの言葉」となっていました。読むこともその中に含まれているのでしょうが、賢治が明言しなかった「思いやり」に「私」は救われるような思いを抱いています。読むことは他者の声に耳を傾けることであり、空想もまた他者を想像し、理解しようとすることです。「私」は、読まなかった時間にも、「思うこと」や「空想すること」を通じて「思いやり」を育んでいたのではないのでしょうか。「私」は、賢治の言葉を知識の量ではなく理解の深さと記憶の持続に重きを置いており、そのことにより「私」の来し方を静かに肯定していると思います。<文・白根直子>...more4minPlay
October 06, 2025#80「微塵」永瀬さんは、農作業をしながら多くの詩を書いています。収穫の季節、籾摺機の中に入れた穀物の外皮が太陽の光を受けてキラキラしながら飛んでいく様が目に浮かぶようです。それら「微塵となって飛んでゆく」のは、「私」の書く詩の言葉の象徴でもあり、単なる風景描写ではなく、詩が生まれる瞬間の象徴ともいえます。さらにその言葉は、「詩の重みだけを残して」「自然の奥へと消えてゆくのだ」と、「景色」になってしまうのです。永瀬さんの詩は、農作業という生活の中に、言葉の美しさと儚さを見出しています。「微塵となって飛んでゆく」という言葉は、言葉が読者の心に届き、やがて自然の一部となって消えていく様子を表しているようです。詩作と収穫の喜びが重なることで、詩の根源が自然にあることを私たちに教えてくれるのです。<文・白根直子>...more4minPlay
September 29, 2025#79「私の足に」詩人の新川和江さんは、永瀬清子さんの詩を「広々とした宇宙感覚がなければ生まれない詩」と語り、詩「私の足に」を朗読されました(第4回朗読会「永瀬清子の詩の世界」2000年2月13日)。自分の足に合う靴が星空にあるかもしれないという「宇宙感覚」による発想。そこには、既製の靴では満足できない「私」の心が浮かび上がってきます。オーダーメイドの靴ならば、「私」は満足できるのでしょうか。こんなふうに「私の足に」合う靴を探す姿は、永瀬清子さんが「私」の心に叶う言葉を探し、詩を書く姿にも重なります。あなたの「足」にぴったり合う靴は、どこにあるのでしょうか。永瀬さんの詩は、そんな問いを私たちの心にそっと残してくれます。そして永瀬さんの詩作と響き合いながら、私たちが自分だけの言葉を見つけようとする営みにもつながっていくのかもしれません。<文・白根直子>...more4minPlay
September 22, 2025#78「昔話」「昔話」は、永瀬清子さんの両親の思い出話が題材となっています。娘には語れなかったけれども、孫には語った昔話。そこから、「親」をただ「親」という血のつながりとしてだけではなく、「長い人間のあたたかい鎖」でつながる一人の人間として感じているのです。つまり、祖母と孫という命のつながりとともに心のつながりがあり、年を経たからこそ語れる話、この人だからこそ語れる話ができたことで残すことができた思い出といえるでしょう。この詩は、単なる家族の思い出話ではなく、「語ること」「聞くこと」「残すこと」の意味を静かに問いかけてくるようです。<文・白根直子>...more4minPlay
September 15, 2025#77「詩とは」永瀬清子さんは、詩について考えたことを、折にふれて書き残しています。「詩というのは、『記憶に価する言葉の流れ』ではなかろうか」という書き出しに、まず心をつかまれます。これは、戦前に発表した詩集『諸国の天女』の短章「韻律の尺度」に「よき詩の一行は一たび会つて忘れない。/よき詩の一行は必ず暗記暗誦に堪える」と書いていることを思います。さらに、そうした言葉を見つけることは「何が価値あるかをつかむ仕事と結びついているので、だんだん自分の考えをはっきりさせていくことになる」。つまり、自らの価値観に照らして言葉を選ぶことの大切さを語っているのです。永瀬さんにとって、詩と生きることは両輪であったと思わずにいられません。<文・白根直子>...more4minPlay
September 08, 2025#76「年月をすごしても」「年月をすごしても」は、戦後間もない1946年11月に発表した詩です。岡山県赤磐郡豊田村(とよたそん)松木(現・赤磐市松木)の家に帰り、初めての農作業にたずさわっていた永瀬さん。この詩にも「どんな時でも生きている/小さな希望が御座いますから。」と新しい生活の中で前向きに生きる「私」がいます。そして「幸福な昔の私のおもかげ」や「今の私をあわれんでくださる方」に向けて、「水藻の花」のように静かに流れに任せて咲いている姿を示すのです。これ見よがしではなく、ひそやかだけれども今を大切に生きる姿が「水藻の花」に象徴されており、戦後の再生への希望が伝わってきます。<文・白根直子>...more4minPlay
September 01, 2025#75「わが老人の日-月はふたつ-」敬老の日がある9月。年を重ねた「私」にたくさんの花の贈り物が届きました。贈り物を貰うほどに老いたことを認めて「きっとみんなが慰めてくれてるのだ」と思う「私」。けれども、その一方で「私」は、「とりあえず慰められていようか」と、老いたことを受けとめ切れていない「私」もそこにいるのです。そんな「私」は、「乱視がすすみ白内障も加わって」夜空の月が二つあるように見えており、そのためあらためて花束も慰めも二倍に見えていたと気づきます。老いたことを認める気持ちと認めがたい気持ちも重ね合わせてあるとはいえ、花束も慰めも二倍に見えていたところには、慰めが老いたことよりも大きかったとも思えてきます。老いと向き合う静かなユーモアと感謝がうかがえます。<文・白根直子>...more4minPlay
August 25, 2025#74「死によって」亡くなった人のことを思い、ここに居てくれたらと思うことがあります。この世にいる人ならば、車を走らせたら会える。電話をかけたら声を聴くことができる。けれども、この世から「居なくなった人」にはそれができません。「あの時、何かを恐れもう一歩近よらなかった失策が、はじめてわかる」という心境は、年を重ねていくにつれ、実感しないではいられないのではないでしょうか。だからこそ、後悔のないよう人のために自分のために、今できることをしたくなるのかもしれません。それでも「失策」があることは、人のすることゆえ仕方ないのでしょう。だからこそ「『死』があることはきっと『わかる』ことのためなのだから――」という最終行に救われるような思いがします。誰かが「わかる」と思えば、「居なくなった人」の「失策」でさえも、その誰かにとっての生きた意味と価値として生きて命をつなぐのかもしれません。 <文・白根直子>...more4minPlay
August 18, 2025#73「夏のわかれ」「季節」は、不思議に満ちています。まだまだ日差しは強く暑さに辟易しているにもかかわらず、夏から秋への変化を何とはなしに感じ取ることがあります。この詩は、そんな瞬間を切り取っています。「夏のエネルギー」に力を得ていた筈の「私」は、ある時から「夏の詩をすべて嫌悪する」ようになり、「葉の次第に落ちてゆく楓のように自分を感じる」ようになるのです。このどうしようもない気持ちを「裂目のある一枚の葉のこころと/わたしのこころがきっちり重なる」と、みずみずしい葉ではなく落葉に向かう葉に重ねることで、自然とともにある「私」を描いています。永瀬さんの夏から秋へ向かう時を書いた詩は、この他にもあります。興味をお持ちになった方は、読み比べてみてはいかがでしょうか。<文・白根直子>...more4minPlay
August 11, 2025#72「八月の願い」7月7日は七夕ですが、旧暦の8月7日に七夕を行う地域があります。「天の川までとどく願いをこめて」短冊をつるした「美しい笹」。この詩の舞台は戦争中。短冊に託した人々の願いが、天に届いてほしいと思わずにいられません。1945年8月6日、広島に世界最初の原子爆弾が落とされました。「広島平和都市記念碑」には、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれ、「原爆の子の像」には、「これはぼくらの叫びです/これは私たちの祈りです/世界に平和を/きずくための」の碑文が刻まれました。永瀬さんの詩もそうした祈りであり願いであるとともに、ひとつの警鐘として受けとめてもよいのではないでしょうか。<文・白根直子>...more4minPlay
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