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岡山県出身の詩人・永瀬清子さんの詩をRSKアナウンサー 小林章子の朗読でお届けします。どんな景色が心に浮かぶでしょう?人生のステージや生活に合わせて読むことができる永瀬さんの詩の世界。多感な時期の悩み、結婚、両親、夫や子供など家族のこと、生活の中での驚きや発見、山や川、植物や天体など自然について、世の中について、老いについて。永瀬さんの詩は、過去の自分を振り返ったり、これから行く道の道しる... more
FAQs about 永瀬清子の世界:How many episodes does 永瀬清子の世界 have?The podcast currently has 131 episodes available.
March 17, 2025#51 「たんぽぽ」「朝」の訪れは、なんとすばらしいことなのでしょうか。しぼんでいたたんぽぽも、書けない私にも「見えぬ時計がやがてよい時間をもたらす」、つまり時間が力を回復させてくれるというのです。時間の持つ力と不思議さを感じさせてくれます。永瀬さんの晩年の詩には、この詩のように時間が味方してくれたことを書いた詩があります。目標に届かなかった。誰かを傷つけてしまった。弱さを盾にしてしまった。辛くないふりをしてがんばろうとしたのにがんばりきれなかった。そのような日々でも、明日は力が回復してよい日を迎えることがと励ましているのです。まるで力を失ってしまったことによって、新たな力がわいてくるかのように、「あなたの上に勿論きっと来ます」この言葉を誰よりも信じているのは、そのように「朝」を迎えていたであろう永瀬さんかもしれません。<文・白根直子>...more4minPlay
March 10, 2025#50 「三月」三月になると、太陽の光が力を取り戻したかのように景色が明るく見えてきます。三行ずつ六連で構成されるこの詩は、永瀬さんのさりげない工夫があります。第一連は、春そのもののあふれるような光を放っているのですが、連が進むにつれて日が陰っていくように光が弱くなり夕ぐれになるのです。また第一連では「猫柳にさわるように美しい」指が、最後の連になる「いまあるのは私の骨 私の震え」と、柔らかな指から肉が落ちて硬い骨となっています。つまり、若かった日の回想から始まり年を重ねた今の「私」を、光の強さや体の硬さで象徴的に表現しているのです。暖かい三月。光あふれる三月。だからこそ「私」の今がくっきりとして見えてきます。年を重ねたからこそ書ける永瀬さんの詩の境地ではないでしょうか。 <文・白根直子> ...more4minPlay
March 03, 2025#49 「緑」この詩は、短章「新年よ」に通じるといえるでしょう。この詩でも永瀬さんは、「信じてくれるやさしい『耳』」を願っています。それほど永瀬さんは、自分の言葉がうまく伝わらないという場面に出会っていたのかもしれませんし、表現しきれないもどかしさを感じていたのかもしれません。春になれば木々も草花も芽吹いていき、枯れ色だったところが少しずつ緑に変わっていきます。それは「どんな敷石の間からも」とあるように、自然にあちこちから生まれてくる言葉にたとえられます。自分の心からの言葉を伝えたい、そして理解されたいという願い。永瀬さんが折にふれて相手の心がわかることの大切さを述べていたのは、お互いの心からの言葉を理解しようとした現れなのかもしれません。<文・白根直子>...more4minPlay
February 24, 2025#48 「唯一の手紙」化石として残された恐竜の足跡。永瀬さんは、その足跡の化石から恐竜に心を寄せていきます。呼び続けても届かなかった声。永瀬さんは、はるかな時を超えて友達のように恐竜の声を受けとめ、残された足跡も詩も同じ「唯一の手紙」だと書いたのです。つまり、その恐竜や永瀬さんでなければ伝えられないことを伝えようとしていると捉えたのです。永瀬さんが生前最後に出演した谷川俊太郎さんとの朗読会では、この詩を「恐竜の足跡」の題名で暗唱しています。そこには、発表した詩にはないこんな詩句がありました。 私は一生懸命泥の中に足をつっこんでいる/それが私の最後のいろいろの心の言葉や行動や想いや/そんなものをみんな語ってくれるに違いないだろうと/そう信じてひとつの足跡を残すことを考えている 恐竜の足跡を発見した人たちがいなければ、さらにこの詩を永瀬さんが書かなければ、知ることのなかった世界。いつも耳を澄まし、心を働かせていた永瀬さんの姿が、この詩からも垣間見えます。<文・白根直子>...more4minPlay
February 17, 2025#47 「外はいつしか」永瀬さんは、いくつもの春の詩を書いており、この詩もそうした一つです。四季折々の美しさを発見し書き続けていたとはいえ、春を待ち望む心は、こんなにも永瀬さんを喜ばせ詩を書かせたのかと思わずにいられません。うまく出来なかったこと、思いやりが感じられないことを甘んじて受けとめたこと、厳しい出来事を黙ってやり過ごしたことなどを耐え忍んできたからこそ、春を待ち望み、そのやさしさを存分に味わい大きな喜びとしていたのでしょう。誰かにおもねらずとも、よいことは静かにいつの間にか来るのかもしれません。いつかきっと、という気持ちを抱き続けた永瀬さんの前向きな姿とともに、自分にとっての春の訪れを願い、時に感じながら歩んでいけたらと思います。<文・白根直子さん>...more4minPlay
February 10, 2025#46 「早春」長い冬の終わりがやっと近づいてきました。目には見えないけれども、感じないではいられない春の訪れ。いつもと同じ景色なのに、どこか明るく感じられます。寒さで縮こまっていた心が少しずつほぐれていく様子は、明け方の空の色や、朝になり芽吹きつつある欅の梢が太陽の光の中で揺れる様子からもうかがえます。季節のめぐりは、ふとした瞬間に感じられるものですが、この詩を読んでいると、そうした感覚が全身で感じられるようです。この詩は、高瀬麻利子さん、谷川賢作さん、大坪寛彦さんによって結成された現代詩をうたうバンドDiVaが、曲を付けて歌っています。機会があれば聴いてみてください。<文・白根直子>...more4minPlay
February 03, 2025#45 「にせ物語 d入浴」身近な人だからこそわかってくれるに違いないという期待や思い込みが、よかれと思ってしたことが、相手の気持ちにそぐわないことはあるものです。「女」が、友達にさえ理解されない思いを綴るのは、ノートでも原稿用紙でもなく手近な「台所の日めくりの余白」です。夫婦のありふれた生活が「台所の日めくり」に象徴され、その余白には、それぞれの思いが託されるのです。「女」の気持ちを思いつつも、「夫」が「女」の望む通りの言葉を返さないのは、明かすことのない思いがあるため余白のままなのでしょうか。一方「女」は、自分の見えているように「夫」の思いを捉え、余白に自分の思いを綴っていきます。「台所の日めくりの余白」に綴られる二人だけの世界が、この短章により私たちにも開かれています。<文・白根直子>...more4minPlay
January 27, 2025#44 「降りつむ」静かな詩です。雪は「かなしみ」の象徴。繰り返される「降りつむ」の言葉。しんしんと静かに降り積もる雪が視点を変えて描写され、「かなしみ」の深さが伝わってきます。さらに「その下からやがてよき春のたちあがれと雪が降りつむ」と、やがて来る春への希望があり、深く沈んだ「かなしみ」から視点が変わるのです。視点を変えながら「かなしみ」と希望は繰り返すかのように「かなしみの国に雪が降りつむ」で始まり終わることから、まるで降り続く雪のようです。いつか雪解けの春が来ることを静かに見守り祈り続ける大いなるまなざしが感じられる詩です。<文・白根直子>...more4minPlay
January 20, 2025#43 「一月」永瀬さんは、一年を登山にたとえてこの詩を書いています。「力一杯の辛抱 力一杯の投球」の結果、苦しみや悲しみ、辛い出来事があっても、今年はよいことに出会うかもしれないという希望をもちながら新しい年を迎えるのです。詩の最初にも終わりのほうにも「一足ごとの足裏に感じるほゝえみです」とあります。この繰り返しには、去年も今年もよい年を願う希望が託されているかのようです。山に登れば降りる。生きていると平坦な道を歩くばかりではありません。頂上で見られる「遠くの海」や空の青、雲間からの光を思いながら、「力一杯の辛抱 力一杯の投球」を続ける私たち。「一月がなくては/十二月の登山はできないのです」と、よいことも苦しみや悲しみも表裏一体であると気づきをくれる永瀬さんの詩は、私たちの見方を変えるきっかけになると思います。<文・白根直子>...more4minPlay
January 13, 2025#42 「熊山橋を渡る 一九四八年一月十四日」永瀬さんは、戦争が終わった1945年11月に現在の赤磐市の家に帰ってきました。翌年から農業にたずさわり、都会とは違う新しい生活の中で、様々な出会いと発見をし、まるで突然目が覚めたように詩を書いていた頃、この詩が生まれました。永瀬さんが渡った熊山橋は、現在のような立派な橋ではなく、木製の板を打ち付けて作られた「曲がりくねった低い仮橋」で、架けても流されることが繰り返されていました。終戦後に何度も洪水で流された橋が、この時やっと架かったばかりでもあったことから、幾重にも喜ばしく嬉しかったことがうかがえます。<文・ 白根直子>...more4minPlay
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