前回より続く宮崎駿監督談議、下巻は残りの1989-2013、およそ四半世紀に渡る波瀾にして未到のフィルモグラフィーを俎上に載せて、事態は国民的映画作家の具現へと。
ジブリブランドの確立、雇われ監督作品『魔女の宅急便』(1989)、近藤勝也のイメージボード、最後の傑作OP、女性の社会進出と宮崎ヒロインの排泄事情、モテ男としてのトンボ論、ニシンのパイとフード理論、発熱と思春期、プロペラ自転車と井上俊之、クライマックスの賛否、『紅の豚』(1992)制作の経緯、顕在化する女性観、バブルとフェミニズム、サボイアS.21運河の滑走、「戦争ごっこ」の功罪とナルシズム、世界情勢に揺れるパラダイム、憤怒の『海がきこえる』(1993)と『耳をすませば』(1995)の受容…
空飛ぶ魔法少女と飛行する内柔外剛少女の物語は、監督ごと国内映画産業の中枢に担ぎ上げんとする俗衆との齟齬に教育を孕んだ調律を施し、飛躍的なアニメ鑑賞のリテラシー向上を促進、結果的に就寝時の過度な頭髪の装飾や恐怖を遊泳で洗い流す虚像描写への指摘は掻き消され、新たな時代の指標として紅い閃光の如く飛翔する、全盛期の序盤戦へ。
※参考資料(https://x.com/sc_machine/status/1885481421495820630)