・特許判例百選(第5版)掲載判例(事件:008)
・均等論(均等の要件)
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【概要】
ボールスプライン事件は、日本の知的財産法、特に特許権侵害訴訟において極めて重要な判例として位置づけられています。この判決は、日本において均等論が判例法上確立された画期的な決定として広く認識されています 。
本判決以前、日本は成文法主義を採用し、特許法第70条第1項が「特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定めなければならない」と規定していたため、日本の司法は均等論の適用に一般的に消極的でした 。このような厳格な文言解釈は、法的安定性をもたらす一方で、侵害者が特許請求の範囲に記載された構成の一部をわずかに変更するだけで、容易に特許権侵害を回避できるという課題を抱えていました 。このような状況を放置すれば、発明の適切な保護が図れないだけでなく、衡平の理念にも反するという認識が生まれました 。
ボールスプライン事件における最高裁の判断は、この課題に対し、均等論を明確に認めることで、特許権者の保護を強化し、ひいては産業の発展に寄与するという政策的意図を反映しています 。本判決は、均等論を適用するための具体的な5つの要件を初めて提示し、将来の特許訴訟における明確な判断基準を確立しました 。