Step 19針 - 全4話の最終回は、紡績を経て紡ぎ上げた糸を用いて生地を織り上げる工程。
織機に糸をセッティングする難関や、各機種が持つ強みを解説します。
日本が世界に誇る名機も登場します。ぜひお楽しみ下さい!
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🎙️この番組は、ビスポークメーカーの2人が、技術とファッション、
時に笑いを追求するトークコンテンツです。
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【 専門用語集 】
◼︎ バンチ:BUNCH
→ 服地を収録した「生地の見本帳」のこと。
メーカーや商社などが、提案したいコンセプトに従って編集したラインナップは、一冊ごとに個性を帯び、多種多様な生地が収録されている
◼︎ トップ:TOP
→ 糸に撚りは加えず、西洋コマの形状にスライバーをまとめた状態。脂分や狭雑物のない中間製品。この状態の後に、紡績の工程へ移る
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【 精紡(せいぼう)の種類 】
◼︎ リング紡績(スパン)
→ しめ縄をつくる原理で糸に撚りを加えることで、滑らかな表面と強度のある糸に仕上がり、能率面でも優れた手法。
毛織物だけでなく、国内で流通するTシャツの大半がリングスパン糸を活用する
◼︎ キャップ紡績(オイルスパン)
→ 糸に撚りをかける際に、オイルを点滴することで、糸にかかる摩擦係数を少なし、毛羽立ちの少ない膨らみある糸が特徴で「英国式紡績」とも呼ぶ。
やや太番手の繊維質の原毛に適した紡績でもあることから、能率の悪さと細番手志向の現代マーケットでは非常に貴重な存在と言える
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【 紡績・織物の種類 】
◼︎ 梳毛(そもう):Worsted
→ 羊毛の長い繊維を梳いて(すいて)、強めの撚りをかけた糸をも用いて織り上げた生地、または糸を指す。メンズスーツの代表的な素材
◼︎ 紡毛(ぼうもう):Woolen
→ 短い繊維の羊毛のから糸を紡ぎ、梳毛に比べ糸の撚りは甘く糸は太く、ひとつひとつの繊維が絡みあった織り上げる生地や糸を指す。コートなどの膨らみの素材が魅力であり、フランネルやツイードなどが代表的である
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◼︎ 半寸表記
→ イタリアによく見られるサイズ表記は「44」「46」などは、SサイズやMサイズに相当する表示方式になるが、これは「44 × 2」の数式で胸囲「92cm」を示した半寸を根拠としている
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【 整経(せいけい)の工程 】
◼︎ 綜絖通し(そうこう・どおし)
→ 約3千から1万本のたて糸を綜絖と呼ぶ針金の穴に1本づつ通す事で、たて糸が上下に動く挙動を可能とする機構。
手作業の場合、このセッティングに約20時間を要すが、現代はドローイングと呼ぶ機械で自動化することで、約1時間に時短を実現する技術革新もある
◼︎ 筬通し(おさ・どおし)
→ 細かい櫛(くし)の目をはめ込んだ横長の枠のことを「筬(おさ)」と呼ぶ。
この筬にたて糸を何本集めて通すのかによって、”平織り”や”綾織“などの織物の構造(織り方)を決める重要な工程。「綜絖通し」と同様に非常に手間のかかる作業でもある
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【 お勧めYouTube 】
◼︎ 5分でわかる!桐生織のできるまで|群馬県文化振興課
https://youtu.be/qCCU7GflJJg?si=U8ubJzfSLq4Zz7Id
◼︎ 糸繰りと整経|桐生市チャンネル
https://youtu.be/P16NXD_gXUQ?si=0xso6KqHbOGYGERu
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【 代表的な低速織機 】
◼︎ ションヘル織機
→ 手織りに動力をつけたシンプルな構造を持つドイツ生まれの織機。たて糸の張りが緩やかで、繊維を傷めず優しくゆっくり織り進めることで、ウールの収縮性を活かした膨らみと、しなやかな生地が特徴。
稼働するメーカーは限られており、日本はこの機種において世界をリードし、高い評価を得ている
◼︎ ドブクロス織機
→ 現在は世界に14台しか残っていないと言われる、イギリス・マンチェスターの北部、ドブクロス村で発明された織り機。
産業革命当時、英国織物産業の中心地としても有名なエリア。低速で織り上げることで実現する膨らみと、ハリやコシもを持ち合わせ、現代も尚、世界中の職人と顧客を魅了し続けている
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【 代表的な高速織機 】
◼︎ レピア織機
→ レピア(剣)と呼ぶ部品がヨコ糸をつかみ、左から中央まで運び、右のレピアがその糸を受け取り、反対の右端まで持って行く作業を繰り返しながら織り上げる方式。
低速のシャトル織機に比べて速度が早く、織り幅も自由に決めることが出来る
◼︎ ウォータージェット織機
→ 高速で噴出する水流でよこ糸を挿入し高速運転を得意とする織機。高圧の水でよこ糸を飛ばすため、ナイロン、ポリエステルなど合成繊維(フィラメント)の製織に限られる