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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Web業界に限らず「マッチング・一括見積サイト」は使わない方がよい、という話を整理してお届けします。
結論から言うと、マッチング・一括見積(比較)サイトは、短期的には楽でも、長期的にはおすすめしません。理由は大きく3つで、中間マージンで予算が目減りすること、価格競争で品質のしわ寄せが起きやすいこと、そして自社の「探す・見抜く筋力」が育たず、依存させられてしまうことです。
あわせて、「それでも探すのが怖い」というときに、どこへお金を使うと自社の資産が残るのか。私なりの現実的な代案もまとめます。
※これは2024年の第1回で、収録は1月1日の深夜24時57分ごろでした。令和6年能登半島地震が起きた1月1日16時10分から8時間後の収録でした。
1月1日から大変な事態が起きていて、犠牲者の方が少しでも少なくなることを強く祈っています。
私自身も、いとこの家族が金沢にいるので心配しながら過ごしていましたが、避難していたと聞いてひとまずは安心しました。ただ、被害の状況が日々見えてくる中で、何とも言えないスタートになったと感じています。
新年の最初に何を話そうか考えて、過去のメールマガジンや配信を見返していました。その流れで、以前も扱った「マッチングサービス」「一括見積もり」「一括比較」「一括資料請求」といった類のサービスを、改めて取り上げます。
私の結論は明確で、基本的には使わない方がよいと思っています。
これはWebやITの業界に限らず、できるだけそうした方向で進めた方がよい、という意味も含めています。
マッチング・一括見積の仕組みは、必ずと言っていいほど中間マージンが発生します。
目安としては20%前後が発生するケースが多く、結論から言えば,例えば「100万円」支払った案件でも、実際に製作側に回るお金が1大きく目減りするからです。
事業者側の感覚で言うと、「お客さんが支払ってくれたお金を、きちんとお客さんのために使い切れない」のが悩ましいのです。極端に言えば、予算の一部が最初から別のところへ流れてしまうので、成果に直結する工数や改善に回しづらくなります。
もちろん、こうしたサイトは「探す」「選ぶ」という部分を代行してくれています。そこには対価としての意味がありますし、何の価値もないお金が飛んでいく、と言い切るつもりはありません。
ただ、発注側が支払った予算のうち一定割合が、最初から現場の作業以外に消えていく構造は変わりません。この前提を、まず忘れないでほしいと思っています。
一括見積や相見積もりサイトは、「安くなる」印象が強いと思います。実際、安くなることもありますが、ここに落とし穴があります。
案件を取るために、登録している会社の多くは、どうしても価格勝負になります。
いまは昔のような「ハッタリ価格」よりも、最初からギリギリの適正価格で提示している会社が多いと私は見ています。そこからさらに安くしないと選ばれない、という状況が起きます。
たとえば、普通に依頼したら100万円かかるものを、相見積もりサイト経由で80万円で発注できたとします。
みなさん=発注側は「20万円得した」と感じるかもしれません。ただ、100万円かけないと作れないものを、80万円で同じように作るのは難しいです。
会社が吸収できる部分には限界があるので、そのしわ寄せは、工数や確認の厚み、品質の作り込みに出ます。また、手数料分を制作会社は、みなさんのために使うべきお金からマイナスします。そうすると、実質60万円くらいのものしかできなかったりするわけです。
結果として、6〜8割くらいの品質のものが納品されると考えた方が現実に近い、というのが私の感覚です。
本当は、80万円で“きっちり”やれる会社を探す方がいいのです。会社の仕組み化や無駄の省き方によって、他社なら150万円かかるところを120万円でできるような会社はあります。
大事なのは、無理に値下げさせることではなく、最初から適正価格と期待が噛み合う相手を見つけることです。
「探すのが大変なのは分かる。でも、探した方がトータルで絶対にいい」。
私はそう考えています。なぜなら、良い相手と出会うまでの試行錯誤そのものが、会社の資産になるからです。
多くの会社は一発で決まりません。入れ替えを繰り返したり、いったん良いと思った相手でも景気の変化などで急に改悪されたり、状況が変わったりします。
そうした経験を越えて、「自分たちは何を基準に選ぶべきか」「何を聞けば適正が見えるのか」という判断の型が育ちます。
私は、これからもっとWeb業界は人が減ってきて、会社も減ってくると思っています。そうなるとフリーランスの方なども含めて選択肢が増える中で、取捨選択して成功したノウハウを持っているかどうかが、会社にとっての大きなアセットになります。
ここを最初から諦めて相見積もりサイトに依存してしまうと、いつまでたっても筋力が鍛えられません。結果として、損がどんどん膨らんでいきます。
探す過程では、うまくいかないことも起きます。そのときに「この業者はダメだったんだな」と担当者を責めてしまうと、担当者は萎縮して、「怒られない選択」をしがちになります。
そうなると、選ぶ基準や資料が用意されていて言い訳がしやすい、ああいったサイトに流れやすくなります。だからこそ、会社全体の取り組みとして見て、探すこと自体を資産だと捉えてほしいと思います。
とはいえ、「探すのが大変だから、どうしようもない」というのも現実です。
そこで提案したいのは、相見積もりサイトに払う中間マージン相当を、別の使い方に変えることです。
たとえば、100万円のうち20万円〜30万円が持っていかれるなら、その20万円〜30万円を「判断の味方」に使う方が、会社のナレッジが残ります。
この形なら、「なぜそう判断したのか」まで一緒に積み上がるので、自社の資産になります。
良いところを探すこと自体は、できるだけアウトソーシングしない方がいい、というのが私の考えです。
WebやIT、システムの領域は、金額が「時価」のように感じられて難しいですよね。
ただ、いまは何でもかんでもスクラッチ(1から全部作る)というケースは、それほど多くないとも感じています。
クラウド型のサービスや、ベースとなる仕組みを活用することで、サービス選定の延長でまとまることもあります。たとえばサイボウズさんやZohoのように、導入の支援まで含めてサポートが用意されているケースもあるので、苦手意識を強く持ちすぎず、自分たちの言葉でぶつかっていけばいいと思います。
マッチング・一括見積サイトは、短期的には楽です。ただ、中間マージンと価格競争で発注側の満足度が下がりやすく、さらに自社の判断筋力が育たず依存させられてしまうという構造があります。
探すのが大変なときほど、サイトに払うお金を「判断の味方」に振り替えて、会社の資産を残す方向で進めてみてください。
相談できる人、相談できるサービスを見つけることは、かなり優先度高めで着手しておいた方がいいと思います。
中間マージンが発生して予算が目減りしやすいこと、価格競争が起きて品質のしわ寄せが出やすいこと、そして「探す・見抜く筋力」が育たず依存させられてしまうことが理由です。短期の楽さと引き換えに、長期の損が大きくなりやすい構造があります。
目安として20%前後の中間マージンが発生するケースが多く、発注側が支払った予算の一部が、成果に直結する工数や改善に回りにくくなります。結果として「払った金額分の価値を、現場で使い切れない」状態が起きやすくなります。
たとえば100万円のものが80万円になったとしても、100万円かけないと作れないものを同じように作るのは難しいです。しわ寄せは工数や確認の厚み、品質の作り込みに出やすく、結果として期待した体験や成果に届かないことがあります。
相見積もりサイトに払う中間マージン相当を、セカンドオピニオンや相談できる人に使うのがおすすめです。一緒に判断した理由まで積み上がるので、自社のナレッジとして残り、次の選定が楽になります。
同じです。いきなりスクラッチで全部作る前提にせず、クラウド型のサービスや既存の仕組みを選定することでまとまるケースも多いと感じています。だからこそ、判断基準を持てるようにしつつ、必要に応じて相談できる味方を確保しておくことが大切です。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第499回: Web業界に限らず「マッチング・一括見積サイト」は使わない方がよい理由 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、自分たちのところでファーストパーティーデータを持つことについてお伝えします。
Webマーケティングをやっていると、ファーストパーティーCookieやサードパーティーCookieなど、技術やアクセス解析の話を想像するかもしれません。でも、今回は技術の話ではありません。お客さんから直接得られる情報を、どう集め続けて、商売に生かすかという話です。
題材にしたいのは、以前メールマガジンでも取り上げたジャパネットのクルーズ事業です。その前に、なぜこれが大事だと考えているか、収録当時のAIに対する見通しからお話しします。
収録当時、私は2024年、2025年にかけて、生成AIがもっと効率よくいろいろなものを作れるようになるのではないかと考えていました。ここからのAIの話は、その時点での予測です。
当時も分野や内容、指示の出し方による差はありましたが、ChatGPTが出始めたころに比べれば、出力はかなりよくなったと感じていました。進化が加速するかは分からないものの、私はその可能性を考えていたんです。
「こういう内容で、知りたいことをまとめて、語り口はこうして」と頼み、写真や図版も含めて作れるようになれば、ある話題について分かりやすく説明するコンテンツは、かなり作りやすくなるでしょう。
そうなると、お客さんが知りたい情報を、どこもきちんと揃えているのが当たり前になるかもしれません。どの会社も十分な情報を出せるようになったとき、何を理由に自分たちを選んでもらうのか。そこを考えておきたいんですね。
お店まで道が続いていて、快適に歩いていけることは、今では当たり前に感じます。でも、昔はその状態を整えるにもいろいろな努力が必要だったでしょう。コンテンツも同じように、頑張って調べてようやく用意していたものが、当たり前に揃うようになるのではないかと思っていました。
網羅性が満たされれば、次は分かりやすさです。どこを削るかも含めて、AIを使うようになるのではないかと考えていました。お客さんは、すべての情報を知りたいわけではありません。自分の問題を解決できて、信頼できて、押さえておきたいことが分かればいいわけです。
文章だけでなく、図版や動画で伝えられるようになれば、情報を理解する手間も減るかもしれません。ただ、「知りたいことが載っていて分かりやすい」と「ここに決めよう」は、同じではありません。
どこを見ても安心できそうで、情報も分かりやすい。でも、決め手に欠ける。選ぶための違いが見えなければ、「結局、値段かな」となってしまうのではないか。私はそう予測していました。
だからといって、コンテンツやWebサイト、その後の商談で工夫する意味がなくなるとは思いません。そこで大事になるのが、自分たちしか知らない、お客さんに響く情報です。
ファーストパーティーデータというと固く聞こえますが、私がお伝えしたいのは、自分たちしか知らない情報を集め、保持し、常に新しい状態にしておける仕組みを持つことです。
コンテンツを作り込んでいる会社では、すでに「知りたいことは、探せばそこにある」という状態になっていました。それでも響かないことがあります。外の人に書いてもらった内容が響かなかったり、情報が多すぎて、お客さんが読むのを面倒に感じたりするんですね。
当時の私は、広く公開されている情報をもとにAIで文章を作るだけでは、どこも金太郎飴のようになっていくのではないかと感じていました。誰にでも通じる、破綻しない内容にはなっても、それだけでは深く入っていきにくいという感覚です。
でも、お客さんに聞いてみると、ネット上の情報を調べていても出会わなかった話が出てきます。「こういうところで決めるのか」「この切り口はなかったな」という情報ですね。お客さん自身も、情報が揃っている中で、次は何を基準に選ぶかを変えているはずです。
売り手がどこも同じようなことを言っていると、お客さんは「みんな同じだけれど、ここが違うな」と、自分で違いを探し始めます。
私は、ブルーオーシャン戦略の戦略キャンバスの話も思い浮かべていました。各社が同じ要素で競っていて違いが見えないなら、別の判断軸で選べるようにする、という考え方です。売り手が提示しなくても、買い手の側が新しい軸を探すことはあると思うんですね。
お客さんが何を基準に選び始めたのかを早く知り、その基準に自分たちはどう応えているかを示せるか。これはとても大事だと思います。
そのためには、お客さんの声を、できるだけ早く受け取れる業務の流れが必要です。直接話を聞くこともそうですし、仕事が終わった後のアンケートで何を聞くか、その後どんなイベントに招待して、継続して利用してくださる方から話を聞くか、といったこともあります。
私はこれを、ファーストパーティーデータを取り続ける仕組みと呼んでいます。一度聞いて終わりではなく、お客さんの変化を受け取れるようにしておく、ということです。
2023年の時点でも、ホームページを見る限りでは他社とあまり違わないのに、その後の商談に進むと、話や資料の具体性が全然違う、という傾向を感じていました。
送られてくるステップメールなど、少し閉じた場や、完全に閉じた場で出てくる内容に違いがあるんです。提案も、ただ目新しいだけではなく、「確かに、こういう基準で考えたらいいのかもしれない」と思える切り口が出てきます。
自分が選ぶための判断材料を示してもらえると、「違うところは違うんだな」と感じるわけです。こういう違いは、ツールで表の情報を調べるだけでは分かりません。
当時の私は、そうした新しい判断軸をAIが出せるようになるのは、ネット上にも十分な情報が出回った後ではないかと考えていました。その前にお客さんから直接聞いて、提案へ反映できるか。その差は大きいのではないかと思ったんですね。
ここで、ジャパネットのクルーズ事業の話です。私は2023年7月6日のメールマガジンで、当時読んだ記事をもとに、この事業を取り上げました。
ジャパネットというと、テレビなどを使って、型番のある商品を魅力的に売る印象が強かったので、高単価でカスタマイズされたクルーズ事業をやっていると知ったときは、意外でした。
当時の記事で印象に残ったのが、5回クルーズを運航する際に、同じコースを回るという話です。私なら、とっさに「5回とも違う場所やコースを試して、一番反応がよいものを選ぶのかな」と考えてしまったんですよ。
でも、同じコースを繰り返せば、毎回お客さんの声が集まります。指摘されたところを直し、また次の回で確かめる。お客さんの声を繰り返し集めて、そのコースの品質を上げていく取り組みとして、私は受け止めました。
もちろん、そのコースに需要があるという見込みがあって、五つの候補から選ぶ必要がないことも、大前提としてあるのだと思います。その条件も含めて、ファーストパーティーデータを集めるという観点で、とても強いやり方だと感じたんです。
やってみないと分からないことが多い仕事では、「うまくいったのはなぜか」「うまくいかなかったのはなぜか」「それなら次はこうしてみよう」を繰り返せます。同じコースを回る他社があっても、お客さんへの理解には違いが出るはずです。
なぜ、ここでこの出入りの仕方にしているのか。なぜ、このお店に行くのか。そうした判断に、現場で集めたお客さんの情報が使われているなら、表に見える行程を一度体験しただけでは、その裏にある判断まではまねしにくいと思います。
しかも、改善はその間も続いていく。何がよかった、悪かったという情報がすべて表に出ているわけではありませんから、強いなと感じました。
私がクルーズ事業の相談を受けたとして、本当に同じことを提案しただろうかと考えると、自信がないんですね。もっと手前の最適化を考えて、別のことをしてしまいそうです。自分ならどう考えるかという意味でも、印象に残る事例でした。
これはクルーズ事業だけの話ではありません。フェアやイベントでも、毎回まったく違うやり方にしたり、一部を変えるのではなく、そもそも全体をがらっと変えてしまったりすることがありますよね。
長い期間続けて何かを作っていこうとするなら、何がよくて、何が悪かったか分かるように違いを作り、お客さんの情報を集めていく必要があると思います。
毎回新しいことをするだけでなく、そこで得た声を次の回へつなげる。ジャパネットの事例から私が考えたのは、そういう業務の流れを持てるかということでした。
AIでコンテンツを作りやすくなったら、「うちの方が網羅している」「うちの方が分かりやすい」という優位性は小さくなるかもしれません。私は当時、少し悲観的なくらいに考えて、次にどう選んでもらうかを見ておいた方がいいと思っていました。
そこで残したいのが、自分たちだけが持つ、お客さんからの新しい情報です。それを業務の中で自然に集めて、日々のサービスや提案を改善する。その仕組みを持っていることが、お客さんに選ばれ続けるために大事になるのではないかと考えています。
集めた情報から相手への理解を深めるときは、Podcast 第251回:相手に寄り添う提案やコンテンツを作る2つのポイントも参考にしてください。
新しい商品を買ってもらうまでの取り組みは、Podcast[2023/04/14]:Webで新商品を売るときに考えておきたいことでお話ししています。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第498回: 顧客から直接情報を集め、選ばれる提案へ反映するには は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
ホームページへ情報を出しているのに、お客さんの知りたいことが伝わっていない。もう十分に説明したつもりなのに、これ以上何を出せばいいのか分からない。こういう状況を考えるとき、売り手と買い手が持つ情報の違いから見直してみると、分かりやすくなると思います。
今回は、Webサイトが情報を公開する場として広がってきた流れと、その後に残っている情報の差について、私の見てきたことをお話しします。
売り手は、商品やサービスのことをよく知っています。自社のことだけでなく、業界の事情にも詳しい。一方で、買い手は同じだけの情報を持っていません。この違いを、ここでは情報の非対称性と呼んでいます。
Webで調べることが当たり前になる前は、買い手が情報を得る手段は限られていました。パンフレットが欲しければ、その会社へ問い合わせなければならない。良さそうな商品だと説明されても、本当にそうなのかを、別の情報で確かめるのは簡単ではありませんでした。
日用品なら、近くに使っている人がいて、新しく出た洗剤はどうだった、と聞くこともできたでしょう。でも、企業向けの商品になると、そうしたつながりがいつでもあるわけではありません。
営業の話を聞くことが、買い手にとって情報を得る機会にもなっていたわけです。売り込まれるのは嫌でも、とりあえず話を聞かなければ分からない。私は、そういう情報の差も、かつての営業活動が成立していた背景にあると考えています。
そこへ、ホームページで情報を公開する会社が出てきます。問い合わせないと分からなかった価格を、先に見られるようにする。サービスの内容や、判断に必要な情報を、自分で調べられるようにする。そういう情報の先出しが進んできました。
チラシは手元に残る期間が限られますし、パンフレットは、まず手に入れなければなりません。Webなら、離れた場所からでも調べられて、必要なときに読み返すことができます。これは買い手にとって便利ですし、売り手にとっても、自分たちを知ってもらう方法になります。
情報を出した方が、結果的に問い合わせを得られる。そう分かって、公開する会社が増え、買い手も、調べてから問い合わせるようになっていった。私がこの仕事をしてきた中では、そうした変化が積み重なってきたと感じています。
ホームページは、売り手に会う前でも判断材料を手に入れられる場所になったんですね。だから、ただ会社の名前が載っていればいいわけではありません。お客さんが、ここへ相談してみようかと考えるための情報が必要になりました。
ただ、情報の公開が当たり前になれば、それで全部解決するかというと、そうでもありません。公開された情報と、自分が実際に受けるものとの間には、まだ分からないところが残っています。
商店街で考えると、以前は何屋さんなのかもよく分からない建物が並んでいて、扉を開けないと中が分からなかった。そこから、何を扱っていて、どのぐらいの価格帯で、どんな会社かが、外から見えるようになったというイメージです。
ところが、外に書いてある内容を信じて中へ入ったら、思っていた対応と違った。気になっていたプランは、もうやっていなかった。逆に、あまり期待せずに入ったら、自分が欲しかった別のサービスも扱っていた。こういう、外から見た姿と中の姿の違いは、皆さんも経験があると思います。
それを確かめるために、口コミや第三者の評価を参考にする。ただ、ほかの人にとって良いものが、自分にも合うとは限りません。誰かが満足したという情報だけでは、自分が使うとどうなのかまでは分からないんですね。
情報が増えた後も、「自分にとってどういうサービスなのか」という疑問は残ります。同じような説明をする会社がいくつもある中で、お客さんは自分が判断できる情報を探しています。ここまで公開しているのに、まだ足りないのかと思うのは、売り手の側から見た感覚なのかもしれません。
ここで難しいのは、売り手が情報を隠しているとは限らないことです。お客さんはこういうことが知りたいはずだ、と考えてFAQを作っても、本当に知りたかったことが入っていない場合があります。出し惜しみではなく、その疑問があること自体に気づいていないんですね。
そうすると、単に情報をもっと出しましょう、では解決しません。まず、何を出せばいいのかに気づく必要があります。お客さん自身も、自分が何を知りたいかを、うまく言葉にできていないことがありますから、決まった質問を送れば必ず分かるという話でもありません。
例えば、営業とアフターフォローの担当が連携して、その人がどの段階で、どんな言葉を使っているのかを捉える。どういう問いかけをすると、ほかのお客さんも抱えていそうな疑問が出てくるのかを考える。そうした情報を受け取れる仕組みがあるかどうかです。
売り手もまだ気づいていない情報の差を、お客さんとのやり取りから見つけていくことが次の課題です。ここには、誰でもすぐ使える魔法のような方法は、なかなかないと思っています。聞く力や、お客さんを知ろうとする会社の姿勢が関わってきます。
そうして分かったことは、自社の大事な知識になります。何でもすぐに公開するのではなく、商談やヒアリングの中で生かすことも考えてください。そのうえで、誰へ何を伝え、文章や画像、動画など、どんな形なら伝わるのかを選ぶ。これ以上何を出せばいいのかと感じたら、その前に、まだ気づいていないお客さんの疑問がないかを考えてみてほしいと思います。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第497回:情報を公開しても伝わらない、売り手も気づかない情報の差を考える は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、先週末に配信したメルマガ「ChatGPTによるテキストコンテンツ作成は現実的なのか?」の補足として、生成AIによる文章作成の現状と、品質を上げるために必要なものについてお話しします。
金曜日の夕方ぎりぎり、もしくは土曜日の配信になってしまい、開封率が思ったほど伸びなかったので、ポッドキャストでプラスアルファを整理しておきたい、という背景もあります。メルマガを受け取っている方は、12月15日〜16日頃に届いているはずなので、あわせて読んでいただけると嬉しいです。
結論から言うと、現時点では、マーケティングやセールスの文章を「丸ごと任せて、そのまま公開できる」状態にはまだ距離があります。一方で、生成AIは使いどころを絞れば十分に役に立ちますし、品質を上げる道筋も見えています。
本文では、次の3点を軸に整理します。
ChatGPTのような文章生成AIは、いわゆる定型的な文章を整える用途では、かなり使えます。たとえば、メール返信、欠席連絡、お礼への返事、お断りメールなど、用件が決まっている文章を短時間で整えてくれるのは実感しやすいところです。
加えて、自分の文章の「一般的に見て違和感が出やすい箇所」を指摘してもらう、といった使い方も得意です。言い回しを中立的に整えたり、角が立ちにくい文章に寄せたりするのは、生成AIが力を発揮しやすい領域だと思います。
一方で、マーケティングやセールスに使う文章は、無難にまとまるほど反応が取りにくくなりがちです。生成AIは破綻しない方向に収束しやすいので、読みやすくはなるのですが、読後に「結局、何が言いたいのだろう」と感じる文章になってしまうことも少なくありません。
「極端に」「とにかく引きつけるように」と指示しても、中央に寄った文章を少し荒らしたような出力になることが多く、結果として他と紛れやすい印象です。目立たせたい気持ちは分かるのですが、ここは過度な期待を置かないほうが安全だと思います。
分かりやすい例として、YouTubeのタイトル生成があります。生成AIに「バズりそうなタイトル」を考えさせると、たしかにそれらしい案は出てきます。
ただ、その「それらしさ」が強いほど、いかにも見慣れた雰囲気になって、結局は目立ちにくくなることがあります。似たような言い回しが並びやすいので、そこで勝負するのは得意ではない、というのが率直な感覚です。
もう一つ大きいのは、業界や切り口がニッチになるほど、出力の精度が落ちやすい点です。そもそもネット上に学習材料が少ない領域だと、近い業種の文章を寄せ集めたような内容になり、「それっぽいけれど、肝心なところが違う」文章が出やすくなります。
メジャーな職種や、世の中に文章がたくさん出回っている領域なら工夫の余地はありますが、掛け算でニッチになればなるほど限界が見えやすい、と考えておくのが無理がありません。
「全部AIに書かせてそのまま出したら、アクセスが上がった」という投稿を見かけることがあります。ただ、その話が本当かどうかは外から確かめにくいですし、何かしら別の意図(たとえばツール販売の文脈)が混ざっている可能性もあります。
さらに、後になって状況が変わったという話が出てくることもあります。私は、うまくいっているAI活用の多くは、AIを下書きや補助役にして、最終的には手を入れて「半分は自分の文章」に寄せているケースだと捉えています。
特に注意したいのは、安価にサジェストキーワードを網羅するような形で、月に何本も記事を納品するサービスです。WordPressの権限を渡して、ほぼ丸投げで運用しているケースも見かけますが、文章の質が伴っているかは、一度きちんと確認したほうが良いと思います。
昔なら「役に立たない」で済んでいたものが、量が増えるほどマイナスに働くケースも出てきています。やるなら、同じ予算で本数を増やすより、一本に寄せて丁寧に作ったほうが良い、というのが私の基本的な考えです。
文章の品質を上げるうえで、私が一番大事だと思っているのは、自社にしかない情報を増やすことです。デジタルの言い方をするとファーストパーティーデータですが、この回ではもっと具体的に、社内の提案資料、営業の頭の中にある言い回し、顧客の声、現場で撮った写真などを指しています。
こうした一次情報は、読み手にとっても価値が伝わりやすく、他社が簡単に真似できません。生成AIを使うにしても、この一次情報があるかどうかで、出てくる文章の密度が変わります。
一次情報を増やすメリットは、真似されにくいだけではありません。こちらがデータを渡さない限り、その情報を使って同じような文章を生成されることは起きにくい、という安心感にもつながります。
もちろん、人が真似しようとすれば可能性はありますが、少なくとも「どこにでもある一般論」に寄らないための土台として、一次情報の蓄積は強い資産になります。
現時点の使い方としては、生成AIに文章を丸ごと書かせるより、構成案を作る、論点を整理する、言い回しの候補を出す、といった補助の役割に寄せるほうが安定します。文章の方向性や、何を言うべきかを先に整えるだけでも、制作の負担はかなり下がります。
そして最後は、人の手で一次情報を入れ、お伝えしたいことと根拠をつなぎ直す。私はこの流れが、いまのところ一番現実的だと感じています。
ChatGPTの有料プランでGPTsを作れる機能があります。そこに資料や情報を持たせて、コンテンツの構成やアイデア出しに使う、という方向性は、考え方としてはとても分かりやすいと思います。(※学習させて良い情報かどうかの確認は重要です)
大事なのは、生成AIに「全部書かせる」ではなく、自社の一次情報を土台にしながら、作業を助けてもらう発想に切り替えることです。
生成AIは、定型文や文章の整形では強い一方で、マーケティングやセールスの文章を「そのまま公開できる品質」で丸投げするのは、まだ早いというのが私の見立てです。ニッチな領域ほど学習材料が少なく、違和感のある文章になりやすい点も押さえておいたほうが良いと思います。
品質を上げるために必要なのは、生成AIの使い方の工夫以上に、自社にしかない一次情報を増やすことです。その一次情報を土台に、生成AIを補助役として使う。この方向で進めると、現実的に使える形に近づいていきます。
現時点では難しいと考えています。無難にまとまりやすく、読みやすくても印象が残りにくい文章になりがちなので、そのまま公開する前提での丸投げはおすすめしません。
メール返信や欠席連絡、お礼やお断りなどの定型文を整える用途では頼りになります。また、自分の文章の違和感を見つけたり、言い回しの候補を出したりする使い方も向いています。
ネット上に学習材料が少ない領域だと、近い業種の文章を寄せたような出力になりやすいからです。「それっぽいけれど肝心なところが違う」という文章が出やすい点は、前提として押さえておくと安心です。
私は評価されないと考えています。量が増えるほど薄い内容が積み上がり、結果としてマイナスに働くケースもあるので、本数を増やす前に中身を見直したほうが良いと思います。
自社にしかない一次情報です。提案資料、営業の言い回し、顧客の声、現場で撮った写真などを蓄積し、それを土台にして生成AIを補助役として使うと、現実的に品質を上げやすくなります。
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投稿 第496回: ChatGPTなどでのテキストコンテンツ作成の現状と品質を上げるために必要な物について は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回はAIの話をもう一度取り上げます。業務に取り入れたい気持ちはあるのに、何から始めればいいのか分からない方や、そもそも重要性がまだ実感できず第一歩が踏み出せない方に向けて、私が日々のやり取りの中で感じていることを整理します。
AIを使ったほうが良い、というのは私自身がいろいろなツールを触っていても実感がありますし、世の中でも業務の効率化や無駄の削減、新しい事業づくりなど、幅広い目的で使われています。それでも導入できるところと、なかなか進まないところが出てくるのはなぜなのか。今回は、業務の側に踏み込んで考えてみます。
結論から言うと、AIが使えない理由は「AIツールが弱いから」だけではない、という話です。むしろ、業務プロセスの整理と、現場にある課題の言語化ができていないことで、AIの活用イメージが固まらないケースをよく見かけます。
この記事では、次の3点を持ち帰れるようにまとめます。
以前の回でも、AIが使いこなせない背景として「慣れていない」「問いを立てるのが苦手」といった話をしたことがあります。もちろんそれも一因になり得ますが、今回はもう少し業務の側に寄せます。
AIをまだうまく取り込めていない企業を見ていると、一定の確率で共通する状況があります。それは、そもそも自分たちの業務プロセスが整理されておらず、どこにどんな課題があるのかが見えにくい、という状態です。
業務プロセスそのものは、業種ごとに違いはあります。ただ、業務を分解して「どこで困っているのか」を捉える枠組みは、共通して使えることが多いです。
管理する立場の方であれば、全体像がどうなっていて、どの部分で無理・無駄・ミスが起きやすいのかを把握しているかどうかで、次に何を検討するかが変わってきます。ここが曖昧なままだと、AIの話以前に、導入の方向性が定まりにくくなります。
業務プロセスを分解できていて、課題が言葉になっている会社は、AI導入の検討が進みやすいです。なぜなら、「この課題を助けてくれる仕組みはあるか」という探し方ができるからです。
たとえば社内で質問が多く、ナレッジデータベースを作ったものの、うまく機能していない場合は「ナレッジデータベース × AI」で調べれば、候補のツールは出てきます。そこから、自分たちの要件に合うか、同じような事例があるか、といった検討に進めます。
もう一つ例を出すと、需要予測や生産計画のような話です。毎月の見立てが特定の人の経験に依存している状態は、当たっている間は回りますが、担当者の不在や離脱が起きたときにリスクが大きくなります。精度が落ちてきているなら、なおさら気になってきます。
このように「ここが属人的で危ない」「ここでムダが出ている」と認識できていると、在庫・生産・人事・社内の生産性など、どの観点でツールを探すかが定まります。結果として、AIを含む選択肢の中から試す対象が見えやすくなります。
課題が整理されていれば、優先度の高いところから順に試す、という動きが取りやすくなります。多くのツールには相談窓口や無料トライアルがありますし、検討を進める場は用意されています。
ここで一つでも業務に合うものが入ると、「業務にツールを組み込む感覚」が分かってきます。そうするとAIに限らず、他の部分もツール化できないか、という見直しがしやすくなります。
世の中には成功事例がたくさん出ていますが、事例はどうしても、分かりやすい成果や見栄えの良い点が前面に出やすいものです。導入前後の状況や、なぜそれを入れたのか、といった背景が揃っていないと、読み手の側は自社に置き換えにくくなります。
そのため、成功事例を眺めても「自社には合わない気がする」「何から始めればいいかは結局分からない」となりやすい。これは、事例が悪いというより、前提となる自社の課題の地図がまだ描けていないことが原因になりがちです。
もう一つ、よく見かける特徴として、製造業などの事例が目立ちやすい点があります。これは、もともとデータを持っていて、生産プロセスや現場の流れが見える形になっているケースが多いからです。課題の見つけ方や、改善の会議体がすでに回っている場合もあります。
ただ、だからといって「自分たちの業種は関係ない」と捉える必要はありません。他社の業種よりも、自社が抱えている問題意識に目を向けて、解決策を探していくほうが、結局は近道になります。
今回の話で私が強調したいのは、AIを名乗っているツールにこだわらなくて良い、という点です。コストや信頼性を踏まえ、問題が解決できるなら、AIではないツールで片づくこともありますし、それで十分です。
AIが流行しているからAIを入れる、という順番にしてしまうと、導入が目的化しやすくなります。そうではなく、業務のどこを楽にしたいのか、どんなミスやムダを減らしたいのかを先に置いておくと、検討が迷いにくくなります。
私が実際に相談を受けるときも、まずは「いま何が問題ですか」というところから入ります。課題がいくつか出てくれば、その場で一緒に候補を見ながら「この機能は状況に合っていますか」「ここも同じ悩みですか」と整理していけます。
このとき、特定のベンダーに寄せず、中立に比較していくほうが進めやすい場面もあります。要件が見えてくると、ベンダーとの打ち合わせや試用の場でも、判断材料が揃ってきます。
AIの組み込み方が想像できない、どこに使えばいいか分からない、という方は、AIの話に入る前に「業務プロセスが分解できているか」「現場の課題が言葉になっているか」を自分に問いかけてみてください。
もしそこで立ち止まってしまうなら、まずは業務の流れを整理し、面倒なところ、ミスが起きやすいところ、ムダが出ているところを拾い上げることから始めるのが良いと思います。そのうえで、見つかったボトルネックに対してツールを探し、結果としてAIが一番合うならAIを使う。そういう順番で十分です。
AIが入っているかどうかよりも、問題が解決できるかどうかが大切です。多くのツールにAIが大なり小なり入っている時代ではありますが、焦らずに、まずは自分たちの業務の見直しから進めていきましょう。
まずは業務プロセスを分解して、どこで面倒が起きているのか、どこでミスやムダが出ているのかを言葉にするところから始めるのが良いと思います。課題が言語化されると、必要なツールの探し方が明確になります。
ツールの問題だけではない可能性があります。業務の全体像や課題の位置づけが整理されていないと、何に使うべきかが決まらず、便利さを実感しにくくなります。
業務の流れを工程ごとに分けて、担当・入力・判断・出力がどこで発生しているかを見える形にすることです。そのうえで、面倒な作業、ミスが起きやすい作業、属人的になっている作業を拾い上げます。
事例は成果や見栄えの良い部分が中心になりやすく、導入の背景や前提が省かれることがあります。自社の課題が整理されていない状態だと、何を参考にすべきかが見えにくくなるので、先に自社の問題意識を固めるほうが効果的です。
目的は「AIを入れること」ではなく、業務上の問題を解決することです。コストや信頼性、運用のしやすさを踏まえて、解決できるならAIでなくても問題ありません。課題に合う道具を選ぶ、という順番で考えるのが良いと思います。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第495回: AI活用がまだの方へ…その理由は「業務プロセス理解」と「現場にある課題認識」の把握不足かもしれません は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は「PPCと比べたSEOの長所と言われていること、それは本当?」というテーマで整理します。きっかけは、海外のSEOメディアであるSearch Engine Journalに、SEOとPPCの長所・短所・違いをまとめた入門向けの記事があったことです。
この記事を題材にしつつ、私は「あら探し」をしたいわけではありません。現場でSEOを見ている立場として、よく語られる“SEOの良いところ”が、今の状況だとどう見えるのかを、なるべく正直にお伝えします。
結論としては、SEOもPPCも性質がまったく違うので、どちらが正しいという話ではなく、状況に応じて組み合わせるのが自然です。逆に言うと、SEOを「安い」「放っておけば安定する」といったイメージのまま捉えると、判断を誤りやすい時代になっています。
この記事では、Search Engine Journalの記事に挙げられていたSEOの長所3つを取り上げ、現場感の補足を入れます。そのうえで、SEOの短所として挙げられていた項目も踏まえながら、最後に「過剰な期待をしないための考え方」をまとめます。
今回取り上げるのは、Search Engine Journalの「SEO vs. PPC Pros, Cons, and Differences」という記事です。書き起こしでは“2023年11月30日付の記事”として紹介しており、入門向けの記事という位置づけでした。
なお、この種の記事はSEOメディアが書く以上、SEO寄りに見える部分が出やすいのも自然だと思います。
ただ、結論が「どちらか一方ではなく、両方を使いましょう」という着地になっている点は、私もその通りだと感じます。今さらSEO対広告のような対立で語るのは、あまり建設的ではありません。
参考:SEO Vs. PPC: What’s The Best Strategy For Your Business? | Search Engine Journal
記事でまず挙げられていた長所は「SEOは長期的に見るとコストを抑えられる」というものです。PPCのようにクリックのたびに支払うわけではない、という説明は分かりやすいですし、確かに“直接のクリック課金”はありません。
ただ、現場感として強く言いたいのは、SEOのコストは“間接的”という言葉で軽く扱えるほど小さくない、という点です。今のSEOではコンテンツがほぼ必須になっていて、しかもコンテンツは人件費が中心になりやすいので、簡単に削れません。
実際の現場として考えると、記事制作のためにライターだけでなく、内容によってはデザイナーが必要になったり、取材や社内の確認が発生したり、画像や動画などの要素が必要になったりします。これらの負担は、実質的に「自然検索からの露出を得るため」の投資になりやすいです。
だから私は、SEOを「そんなにお金がかからないもの」と捉えるよりも、むしろ“お金がかかる領域になっている”と見たほうが判断を誤りにくいと思っています。
昔はテクニカルな手当てで成果が出やすい時代もありましたし、コンテンツ制作の市場単価も今ほど高くありませんでした。けれど今は、良いものを書かないと露出しづらいですし、良いものを継続するにも負担がかかります。
「長期的に安くなる」というロジック自体は、初期の投資が資産として積み上がる、という意味では理解できます。ただし、その資産が“長持ちするかどうか”は別問題です。競合が似た訴求をしてきたり、検索結果の環境が変わったりすると、作ったものがそのまま残り続けるとは限りません。
また、コンテンツ制作のコストが重いからこそ、ChatGPTなどを使って制作負担を下げられないか、という試行が増えています。実験が増えている背景そのものが、「今のSEOはコストを無視しづらい」という現実の裏返しだと思います。
2つ目として挙げられていたのが「長期にわたって持続可能で安定したトラフィックを提供できる」という話です。これも、丁寧に手入れをし続けている前提なら、ある程度は成立します。いわゆるエバーグリーンコンテンツ(継続的に価値が落ちにくい記事)という考え方も、根っこはそこにあります。
ただ、現場感としては「良い記事を作ったので、しばらく放っておいても安定する」という発想は、今はかなり危ういです。放置すると内容が古くなりますし、競合は上位ページを観察して似た形に寄せてきます。結果として、作った内容が風化しやすく、維持のための手入れが必要になりやすいです。
さらに言うと、コアアップデートのような検索側の変化があると、伸びたり落ちたりの振れ幅が出ます。安定を期待して事業の軸に据えるには、以前よりも勇気が要る時代になった、と私は感じています。
SEOが役に立たないという話ではありません。積み上げとして効く場面は確かにありますし、長期で見れば効率の良い取り組みになることもあります。ただ、過剰な期待を持たず、他の導線も含めて複線化しておくほうが安心です。
ここはSEOの弱点として分かりやすいところです。PPCは、出した瞬間から数字が返ってきやすく、運用の手応えを掴みやすいです。一方でSEOは、公開して、クロールされて、インデックスされて、そこから徐々に動く、という段階を踏みます。うまく上がるなら、という前提もあります。
改善のサイクルを素早く回したいとき、SEOだけに寄せるのは難しくなりがちです。だからこそ、性質の違うPPCと組み合わせて考える、という話につながっていきます。
3つ目の「SEOはブランドの信頼性と信用性を高めることができる」は、3つの中では比較的納得しやすいと感じました。幅広いキーワードで検索結果に露出し、その先のページまで読まれる機会が増えると、単純接触の積み重ねが起きやすくなります。
検索広告は“今すぐ”の文脈になりやすく、何度も見て覚えてもらう、という性質とは少し違います。その点、SEOはさまざまな入口から出会いを作りやすく、じわじわ信頼につながりやすい面があります。
一方で、SEOだから信頼される、PPCだから嫌われる、という単純な比較は危ないと思っています。広告で嫌われやすいのは、たとえばYouTubeで強制的に挟まるものや、急に全画面に出てくるような表示、煽りが強いものなど、出し方や場所の問題であることが多いです。
少なくともPPCの検索広告は「広告だ」と分かりやすいので、必要な人にとってはむしろ判断しやすい面もあります。お金を払って出していること自体が、一定の体力や真剣さのシグナルとして受け取られることもあります。結局は、SEOでもPPCでも、中身と出し方で信頼は左右されます。
記事では短所として複数の項目が挙げられていました。Podcast内でも触れた通り、ここは箇条書きで確認しておくと整理しやすいと思います。
短所を並べると悲観的に見えるかもしれませんが、私は「だからやらない」という話ではないと思っています。むしろ、短所を前提として設計することで、SEOを冷静に扱えるようになります。
SEOは、幅広いキーワードで露出して、見込み客にゆっくり知ってもらう導線として、今でも重要です。クリック課金がなく、接触回数を積み上げやすいという意味では、確かに価値があります。
ただし、SEOが「安い」「安定する」「一度作れば長持ちする」といったイメージのまま進めるのは危険です。コストは上がりやすく、手入れが必要で、変動も前提になります。手段から入るのではなく、「どういう入口から、どういうお客さんに来てもらいたいか」を先に置き、SEOとPPCを含む手段を組み合わせて考える。その順番が、今はより大切だと感じています。
クリック課金がない、という意味では分かりやすいのですが、現場ではコンテンツ制作や更新の負担が大きくなっています。長期で見れば効率が良くなることはありますが、「安い」と短絡せず、必要な体制とコストを見込んで考えるのが安全です。
手入れを続ける前提なら一定の積み上げは期待できますが、放置で安定するとは考えないほうがよいです。競合の模倣や内容の風化、検索側の変化によって、伸び縮みが出る前提で設計しておくと安心です。
広告だから一律に避けられる、という話ではないと考えています。嫌われやすいのは出し方や場所の問題で、PPCの検索広告は分かりやすいからこそ判断材料になる場合もあります。結局は中身と出し方次第です。
性質が違うので、状況に応じて組み合わせるのが自然です。PPCは結果のフィードバックが速く、SEOは中長期の接触回数を積み上げやすい面があります。どちらが正しいというより、目的に合わせて設計するほうが現実的です。
「SEOは安く済む」「何か特別なノウハウを一振りすれば急に伸びる」「良い記事を作れば長く放置できる」といったイメージは、いったん外したほうがよいと思います。今は手入れや更新を含めた運用として考えるほうが現実に合います。
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投稿 第494回: [現場雑談]PPCと比べたSEOの長所と言われていること、それは本当? は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、久しぶりに名前を見かけた音声SNSの「Clubhouse(クラブハウス)」を手がかりに、当時の空気感と、音声メディアの特性を改めて整理してみます。
Clubhouseは、短期間で一気に広がり、そして驚くほど速く熱が冷めていきました。そこで「誰かが仕掛けたのでは」と言われがちですが、私の見立てでは、複数の要素が偶然うまく重なった結果として説明できる部分が大きいと思っています。
この回で持ち帰れるポイントは、次の3つです。
今回のきっかけは、Yahoo!ニュースでClubhouseに関する記事を見かけたことでした。クラブハウス自体、ブームから時間が経っているので「もう誰も覚えていないのでは」と思っていたのですが、コメントが100件以上ついていて、記憶に残ったまま方が想像以上に多いんだなと感じました。
そのコメントの中には「メディアが作ったブームなのでは」「何か仕掛けがあったのでは」といった考え方・方向性もありました。ただ、当時の状況を思い返すと、少なくとも日本での盛り上がり方は、そういう“仕掛け型”とは違う雰囲気だった、と私は見ています。
もし本当に大規模に仕掛けるなら、ネット内だけで終わらせないはずです。タイアップを強く打ったり、テレビで大きく扱ったり、分かりやすい著名人を継続的に巻き込んだり、複数チャネルで押し切る動きをするはずです。
ところがClubhouseは、体感としてはネット内で話題が完結していました。もちろん個別に発信する方はいましたが、「全面的に押し上げる仕掛け」があったかというと、その感じは薄かったと思います。
まず大きいのは招待制です。招待制は「入りたい」「まだ入れない」という感情が生まれやすく、話題そのものがステータスになりやすい面があります。
さらに、招待で入った人は「せっかく入れたのだから、良い場所であってほしい」と感じやすいものです。その結果、初期は「面白いよ」「良いよ」という声が強くなり、評価が膨らみやすくなります。これは良し悪しというより、構造としてそうなりやすい、と捉えたほうが自然だと思います。
新しいSNSや新しい機能が出ると、早く入り、早く立場を作りたい人が必ず出てきます。良い意味では情報発信が活発になり、悪い意味では「盛り上がりそのものが利益になる」動きも混ざります。
Clubhouseの周辺にも、いわゆる「これを教えます」「ここに乗り遅れるな」という空気を作る人たちは確かにいました。全員がそうではありませんが、結果として“盛り上げるほど得をする”層が熱を足しやすかった、という側面はあったと思います。
そして、当時はコロナ禍の始まりからしばらく経った頃で、オンラインでの交流や情報収集の形が揺れている時期でした。そこへ「テキストでも動画でもない、音声のライブ空間」が来たことで、新鮮さが強く出たのだと思います。
補足として、いただいた情報では、Clubhouseは米国で2020年4月にリリースされ、日本では2021年1月下旬ごろから招待制で広がった、という流れのようです。時期としても、社会の空気と“新しい場”が噛み合いやすいタイミングだった、と考えると腑に落ちます。
よく言われる分岐点として、X(旧Twitter)のSpacesの登場があります。ライブ音声の仕組み自体は、機能としては比較的シンプルなので、他社が追随するのは時間の問題だったと思います。
だからこそClubhouse側は、その間に「この場だからこそ続けたい」と思える体験に磨き込む必要がありました。ただ、そこで“置き換えられない強み”を十分に作れなかったことが、厳しかったのだろうと見ています。
私が大きいと思っているのは、聞く側の心理です。多くの人は「聞くだけ」でいたいわけで、むしろ話を振られたくない。ところがClubhouseは、参加していることが見えやすく、場合によっては話を振られるかもしれない、という緊張がつきまといます。
これは、大学の講義のように“その場にいる”ことが前提になりやすい構造とも言えます。気軽に音声を楽しみたい人にとっては、少しストレスが強かったのだと思います。
音声を楽しむ人の多くは、自分の好きな時間に、好きな番組を、気軽に聞きたいはずです。ところがClubhouseは、基本がライブで、アーカイブ前提でもなく、毎週同じ時間に同じ番組があるわけでもありません。
もちろん、その場の雑談に参加して楽しむタイプの人にとっては居心地の良い場所だったと思います。ただ、全体として多い「聞きたいだけ」の人にとっては、音声メディアとしての利便性が高いとは言いにくかったのではないでしょうか。
私自身、このポッドキャストもまもなく500回に近づき、長く続けてきた中で感じることがあります。それは、音声メディアは全体としてニッチなのに、やりたい人はとても多い、ということです。
動画は撮影や編集、見た目の準備が必要になりますし、テキストは文章を書く力が求められます。その点、音声は比較的始めやすく、「話すのはできる」という人が一定数います。ここに供給が集まりやすい一方で、聞く側の時間は限られるので、需給のバランスが崩れやすいジャンルでもあります。
音声は、距離感が近いメディアです。動画は画面越しの距離があり、テキストはさらに距離が取れますが、声はその人の温度や癖がそのまま伝わります。良い面もありますし、粗が見えやすい面もあります。
だからこそ、音声は誰にでも同じように向くとは言いにくいです。「この人の声なら聞きたい」と思われる関係ができると強い一方で、そこに至る前に離脱されることもあります。
音声コンテンツをマーケティングの入口に置く方もいますが、私はあまり相性が良いとは思っていません。声は近いので、関係性がない段階で長く聞いてもらうハードルが上がりやすいからです。
属人的に「人で選ばれる」領域なら、音声はうまく働くことがあります。私の場合も、問い合わせのきっかけとして「ポッドキャストを聞いていた」「メルマガと合わせて聞いていた」という話をいただくことがあり、これは音声の距離の近さが良い方向に働いている例だと思います。
一方で、多くの企業にとっては、音声より動画のほうが「知りたいこと」を伝えやすいと思っています。実際、動画を活用して成果につなげている例も見かけますし、視聴のされ方も比較的想像がつきます。
私としては本当は動画も出したいのですが、現実にはリソースの都合もあり、継続しやすい形として音声を続けています。だからこそ、音声を過大評価せず、向き不向きを踏まえたうえで選ぶのが良いと思います。
Clubhouseは、招待制と早期参入の熱、そして当時の空気と音声SNSの新しさが噛み合って、一気に広がったのだと思います。一方で、聞く側にとっての気軽さや利便性、そして他社の追随に対する差別化の難しさが重なり、自然に熱が冷めていった、というのが私の見立てです。
音声メディアは、今もニッチです。ただ、ニッチだからこそ合う場面もありますし、合う人には強く働きます。自分たちの目的と体制に合わせて、無理のない形を選ぶことが一番大切だと思います。
招待制が熱を生みやすかったことに加えて、新しい場所に先回りしたい人たちの動き、そして当時の空気と「音声SNS」という新しさが重なった結果だと見ています。特別な仕掛けがあったというより、複数の要素が噛み合った印象です。
それも一因だと思いますが、それだけではありません。聞く側にとって「気軽に聞くだけ」に徹しにくい構造や、ライブ中心で不便になりやすい点など、音声メディアとしての相性も影響したと感じています。
話したい人は多い一方で、継続して聞く人の時間は限られるからです。動画やテキストと比べると市場規模としては大きくなりにくく、需給のバランスが崩れやすいジャンルだと感じます。
ケースによりますが、私は合わない場合が多いと思っています。声は距離が近いので、関係性ができる前に長く聞いてもらうハードルが上がりやすいからです。人で選ばれる領域では強い一方で、一般的には慎重に考えたほうが良いと思います。
音声が合うのは、継続して聞いてもらえる関係性が作れる場合です。そうでないなら、伝えたい内容を分かりやすく届けられる動画のほうが向くことも多いと感じます。目的と体制に合わせて、無理のない形を選ぶのが大切です。
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投稿 第493回:改めて一瞬の花火「Clubhouse」の周辺と背景、そして音声メディアの特性について考える は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
自分たちのホームページを、お客さんはどんなふうに使っているのでしょうか。アクセス数やページごとの数字は見ていても、実際の動きを見る機会は少ないかもしれません。今回は、ヒートマップやマウスの動きの記録から、改善の気づきを得るというお話です。
こうした記録を見ると、思った以上にページが見られていなかったり、意図と違う動きをされていたりします。ちょっと怖いことでもあるんですが、その違いを受け入れるところから始めていただきたいんですね。
クリックのヒートマップは、どこがよくクリックされているかを、色の違いで表したものです。よく押されるボタンやメニューは目立ち、あまり押されていないところはそうでもない。本当はここを押してほしかったんだけれど、意外とこちらが押されているんだな、ということが分かります。
スクロールのヒートマップでは、ページのどの辺りまでスクロールされているかを見ます。例えば、半分ぐらいの人がこの辺りまで来ている、一番下まで行くのはこれぐらい、といった見方ですね。
途中に置いたバナーが、ページの終わりのように見えてしまっているのではないか。段落同士のつながりが悪く、そこで先へ進まなくなっているのではないか。こういうことを考えるきっかけになります。ファーストビューしか見られていないようなサイトに出会うこともあります。
大切なのは、下まで見せること自体ではなく、自分たちの認識と実際の動きの差を確かめることです。縦に長ければ、必ず最後までスクロールしてもらわなければいけない、というわけではありません。「この辺りまでは見てもらえているはず」と思っていたことを、記録に照らして見直すために使います。
数値で全体の傾向を見ることは、もちろん大事です。ただ、たくさんの人の動きをまとめて見ていると、一人ひとりの違いは分かりにくくなります。全体としてはこうなっている、という数字の中に、次の改善のヒントが埋もれていることがあるんですね。
マウスの動きを記録したものを見ると、例えば同じところを何度も押していたり、ボタンではないところを押そうとしていたりする。その人がどう動いたかが見えるので、こちらが想像していなかった使いづらさに気づくことがあります。
これは、インタビューやアンケートなどと同じように、少数の人から気づきを得る調査の一つとして考えていただくといいと思います。その人だけの動きかもしれないけれど、自分たちが考えるきっかけにはなるわけです。
一人の動きから仮説を見つけ、まとまった数字で確かめるという組み合わせを作ります。数値を見るか、個別の動きを見るか、どちらか一方を選ぶ話ではありません。両方を使うことによって、次に何を確かめるべきなのかが見えてきます。
記録を見る際には、どの状態のページのデータなのかも大切です。バナーの順番を変えた後のページに、変える前のクリック位置を重ねても、意味が分からなくなりますよね。記録と、そのときの画面はセットで考えてください。
ツールを入れても、その後に見なければ意味がありません。自分のサイトを使っている人の動きを見るのは、正直、ショッキングなことも多いです。ここは見てくれるはず、こう進んでくれるはずという期待が、どんどん外れていくからです。
途中で見るのが嫌になってしまう人もいるんですが、そこは慣れていくしかありません。自分の声を録音して、こんな声だったのかと思ったから、もう聞きたくないというのと少し似ていますね。第三者の目で、自分たちのサイトを受け止める練習でもあります。
私は、お客さんには「一日一件、記録を見ることをルーティンにしてください」とお伝えしています。習慣になってくると、少しずつ客観的に見られるようになります。全部を見ようとして、一日が終わってしまうような状態にする必要はありません。
一人で眺めて終わらず、気になった動きを持ち寄って話す場まで作っておくといいと思います。例えば月に一回、面白かった記録を共有する。余裕があれば月に二回ぐらいでもいいでしょう。同じ動きを見ても、人によって気づくところが違いますので、みんなで考える材料になります。
ここで気をつけていただきたいのが、一件の記録に振り回されることです。「こんな動きをしていた。だったらここを変えよう」と、すぐ結論を出すのは、ちょっと気が早いんですね。その動きが、ほかの人にも当てはまるかは、まだ分かりません。
そういう可能性があるなら、別の数字でも裏付けを取ってみる。あるいは、A/Bテストをしてみる。間に、確かめる工程を置いてください。印象的な動きほど気になってしまいますが、印象が強いことと、直すべき優先順位が高いことは、同じではないわけです。
観察で得たものは改善の答えではなく、検証するための仮説として扱います。そう考えていくと、仮説は立ったけれど、今の状態では確かめられない、ということにも気づくようになります。
そのときは、何があれば検証できるのかを考える。答えを得るために、サイト側で何か用意しておく必要があるかもしれません。実際の動きを見て、仮説を持ち、確かめられる状態を作る。こうしたことを繰り返しながら、数字と個別の行動の両方から、ホームページを見られる会社になっていただければと思います。
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投稿 第492回:ヒートマップで気づいたことを、すぐ修正の結論にしない は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今月は目標を達成できた、良いページができた。結果を振り返ることは、皆さん自然とやっていると思います。ただ、次の仕事をもっと良くしたり、チームに経験を残したりするには、もう一歩踏み込んでほしいところがあります。
それは、その結果が生まれたプロセスです。何をしたかに加えて、なぜそれをしたのかまで振り返る。ここを自分たちのものにできるかどうかで、経験の積み上がり方が変わってきます。
たとえば、お客様の声を月に一つ作っているとします。先月はそれほど反響がなかったけれど、今月はSNSで見てもらえた。サイトの中でも、そのページへ進む人が多かった。読み終わってすぐ去る人も少なかった。毎月の仕事の中にも、うまくいったときと、そうでないときがありますよね。
そこで、季節のせいかな、業界の状況が違ったのかなと大ざっぱに捉えて終わると、なかなかノウハウが残りません。季節の影響もあるでしょう。ただ、その季節を考えて、インタビューする相手を変えたのかもしれないんです。
事前の準備が違ったかもしれませんし、お客さんへ聞く内容や順番が違ったかもしれません。自分では同じルーティンをこなしているつもりでも、実際には毎回、小さな判断や行動が変わっています。
その違いを思い出して、これが良かったのかもしれないと認識することが大事です。「今回は何となくうまくいきました」で終わらせるのは、もったいないと思います。
特にチームなら、複数人が並行して試行錯誤できるという強みがあります。でも、それぞれの経験が本人の頭の中だけに残っていたら、ほかの人は分かりません。ページを一本作った、アクセスが増えたという結果だけの報告では、その強みを十分に生かせないんですね。
プロセスを振り返りましょうと言うと、何をしたかを順番に書けばいいのか、と考える方もいます。それも必要ですが、手順だけでは足りません。その行動を選んだ理由まで思い出してみてください。
たとえば、前回のアンケートではこの順番で聞いたけれど、今回は順番を変えた。書いてもらった後に、ある回答についてもう一度聞いてみた。行動の中でも、どの部分が気になって質問を足したのか。そこに、自分でもはっきり意識していない工夫があることがあります。
なぜそうしたのかと考えると、「以前、この聞き方をしたらこういう答えが返ってきたから」「あの人が話していたこととつなげて聞いたら、何か分かると思ったから」と、背景が出てきます。
行動の後ろにある理由を言葉にすると、本人の中に隠れていたノウハウが見えてきます。何をしたかだけでは伝わらなかった勘どころが、そこで共有できるようになるんですね。
私はお客さんとのやり取りでも、なぜそのやり方にしたのかを聞くことがあります。ただ、言い方によっては、責められていると感じさせてしまうので、トーンは気をつけた方がいいです。まずは自分自身に、あのときなぜそうしたのだろうと問いかけるところからでいいと思います。
成功事例やセミナーを聞いて、「この会社はこうして成功した」と理解したつもりなのに、自分たちの場合はどうすればいいのか分からない。そういう経験はないでしょうか。
やったことだけを見ていると、同じ条件でなければ応用しにくいんです。その会社がなぜその行動を選んだかまで分かると、自社では違う形で試せそうだという見方ができます。
バナーを作るときも、「まずこれを考えてください」という指示だけより、「こういう理由があるので、ここから考えます」と説明された方が、意図をつかみやすいですよね。
理由を共有することは、同じ手順を繰り返すだけでなく、別の場面で判断できるようにすることです。あの仕事で使った考え方は、こちらにも使えるのではないか。そういう広がりが、組織の財産になっていきます。
うまくいく金型が一つあるだけでなく、なぜその金型にたどり着いたかまで分かっていれば、別の良い金型も作れる。そんなイメージです。毎回、偶然の当たりを探す状態から、再現できる部分を増やしていきたいんですね。
新しく入った方への教育でも、同じです。「この順番でやってください」だけでなく、「こういう理由で、このようなものを作りたい」と伝え、考えてもらう。その方の良さを生かしながら、会社が積み上げたものを受け継いでもらいやすいと感じています。
ただ、なぜその判断をしたのかは、後から思い出そうとしても、なかなか出てきません。次の仕事が待っているからと振り返りを飛ばすと、少し時間がたっただけで、背景を忘れてしまいます。
だから、ポイントごとに振り返ることをお勧めします。マネージャーの方であれば、各自の気持ちに任せるだけでなく、そういうことをする時間を、仕事の仕組みに入れてしまった方がいいと思います。
成果物ができたところで終わらず、その判断に至った理由を残すところまでを、一つの仕事として考えてください。結果の良し悪しも見ますが、次へ持っていけるものがあるかという観点も必要です。
私が、一緒に解決策を考えるプロセスを大事にしたいと思うのも、そこに理由があります。答えだけを出してしまうと、相手の会社が自分たちで考え、学ぶ機会が残らないことがあります。一緒に考える経験まで共有することに意味があるんですね。
何をしたかだけでなく、なぜそれをしたのか。まずは、最近うまくいった仕事について、自分に問いかけてみてください。そこから引き出せるものを、次の成果と周囲の人につなげていただければと思います。
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投稿 第491回:うまくいった仕事の「なぜ」を聞き出し、判断の仕方を社内で引き継ぐ は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
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ChatGPTをまだ使っていない場合、理由によっては少し注意が必要です。
単に「新しいものが苦手」という話なら、使い始めれば自然に慣れていけることも多い一方で、「何を頼めばいいか分からない」「問いを立てられない」という状態が理由になっていると、これからAIが当たり前に組み込まれていく環境で、差が広がりやすくなります。
この書き起こしでは、ChatGPTを使っていない理由を整理しながら、今のうちにどこを整えておくと良いかを、私の現場の感覚でお話しします。
最近は、さまざまなツールの中に自然とAI機能が入り始めています。だからこそ、AIにまったく触れていない人は以前より減ってきた印象があります。
それでも「まだ使っていない」「どう使えばいいか想像がつかない」という状態が続いているなら、そろそろ一度立ち止まって考えてみてもよいと思っています。危機感を煽って行動してもらうのは、正直あまり好きではありませんが、別の言い方が見つからない場面もあるからです。
ChatGPTを使っていない理由は、大きく分けると2種類あると感じています。これは、Webサイト運用の相談で見てきた構図とも、どこか似ています。
いわゆる「ITが得意ではない」「新しいものは難しそうで避けてしまう」という理由です。このタイプの方は、私はそこまで心配していません。
というのも、一度使い始めると「こういう感じでいいのか」と分かり、そこから自然に活用が進むことが少なくないからです。背中を少し押せば、スムーズに入っていけるケースが多い印象です。
もう一つは、テクノロジーの苦手意識というよりも、「何を頼めばいいのか」「どう言葉にすればいいのか」が見えにくい状態です。これが理由になっている場合、AIが身近になればなるほど、かえって距離が遠く感じられることがあります。
私はここを、少し注意したほうが良いと思っています。なぜなら、AIは基本的にこちら側が投げる問いで動き始めるからです。
ChatGPTに限らず、画像生成のAIでも同じですが、AIは基本的に受け身です。こちらから問いを立てたり、依頼を投げたりして初めて動きます。
言い換えると、こちらがどう投げるかで返ってくるものが大きく変わります。「プロンプト」という言い方が広まっていますが、難しい言葉に見えても本質はシンプルで、お願いの組み立て方の話だと思っています。
単に慣れていないだけなら、使いながら乗り越えられることが多いです。ところが「問いが立たない」状態だと、AIツールが増えても増えるほど、結局どれも使いこなせないままになってしまいやすくなります。
その結果、AIを使える人と使えない人の間で、生産性の差が開きやすい社会になったときに、対応が難しくなる可能性が出てきます。だから今のうちに、基本・ベースとなる部分の部分を整えておくことをおすすめします。
結論としては、どちらのタイプであっても「とりあえず使ってみる」のが大切です。ただし、使う目的は少し違います。
この場合は、まず触ってみるだけで十分です。誰かが使った質問文をそのまま真似して入力してみて、返ってきた答えを見ながら「こう聞くとこう返るのか」を体験していくと、理解が早くなります。
思ったような答えが返ってこなかったときは、言い方を変えてみるだけでも結果が変わります。人とのコミュニケーションと同じで、伝え方を調整することで噛み合いやすくなります。
この場合は、AIを使うこと自体が目的ではなく、言語化の練習が目的になります。ChatGPTは何度聞いても付き合ってくれますし、同じことを繰り返し聞いても嫌がりません。
だからこそ、遠慮せずに試行錯誤できます。少しずつ「自分が何を求めているのか」「何の情報が足りないのか」を言葉にしていく習慣を、ここで作っていくと良いと思います。
今の時点でも、ChatGPT周りは情報としてお金になりやすい領域です。その分、分かりやすいノウハウの形にして売ろうとする動きも出やすく、注意が必要だと感じています。
だから私は、まずは「素の状態」で触ってみることをおすすめします。自分の体感ができていれば、情報の良し悪しも判断しやすくなります。
これからは、いわゆる「AIツール」だけではなく、さまざまなサービスの一部として、文章生成や画像生成などが組み込まれていくと思います。そのときに「どこで使うか」「どこは自分で考えるか」の判断が必要になります。
毎回すべてを要約させてしまうと、自分で読み解く力が落ちてしまうこともあります。長い情報をきちんと読み込み、自分の頭でつなげて理解することも、意識して残しておきたいところです。
ChatGPTをまだ使っていないなら、まずは一度触れてみることをおすすめします。苦手意識が理由なら慣れればよいですし、問いが立たないことが理由なら、問いを立てる練習として使うのが良いと思います。
AIが当たり前に隣にいる時代に備えて、今のうちに「使える土俵」に移っておく。今回は、そのための考え方として受け取っていただければと思います。
単に新しいものが苦手で触っていないだけなら、使い始めれば慣れていけることが多いです。一方で「何を頼めばいいか分からない」「問いを立てられない」状態が理由になっていると、AIが身近になるほど差が広がりやすくなるため注意が必要です。
大きくは「苦手意識が強く、触るきっかけがない」タイプと、「問いや依頼を言語化しづらい」タイプに分けて考えると整理しやすいです。自分がどちらに近いかを見立てると、取り組み方も決めやすくなります。
まずは遠慮せずに、ChatGPTに何度でも質問してみるのがおすすめです。思った答えが返らないときは、言い方を変えたり、前提情報を足したりして試すことで、自分の言語化の癖が見えてきます。
「何をしてほしいか」だけでなく、「背景」「目的」「制約(条件)」を一緒に書くと、噛み合いやすくなります。うまくいかないときは、一度短くして聞き直すなど、会話しながら調整していく前提で考えると続けやすいです。
どこで使い、どこは自分で考えるかを意識しておくと、バランスを取りやすくなります。長い情報を読み込み、自分でつなげて理解する時間も意識して残すことで、判断力や読解力を保ちながらAIを活用しやすくなります。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第490回:ChatGPT使ってますか?まだの理由が「これ」だと危険です は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
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