本エピソードについて
このエピソードは 大修館書店の月刊誌『英語教育』との連動企画として制作されています。詳細は2023年6月14日発売の『英語教育』7月号をご覧ください。
本日の出演者
ゲスト:寺沢拓敬さん(関西学院大学)
MC: anfieldroad
「英語教育実施状況調査」の実態
寺沢先生のこれまでの関連記事
* 蔓延する英語教育の謎ランキング:英語教育実施状況調査と英検IBAの謎集計 2022/6/19(日) 16:27
* 「英語力日本一は○○県!」と安易に報じる前に考えてほしい――文科省「英語教育実施状況調査」の問題点 2022/6/3(金) 7:14
* 文科省「英語教育実施状況調査」の数値は信頼できない 2019/4/22(月) 23:00
マスメディアには浸透している「調査」
* 文部科学省「英語教育実施状況調査」結果発表 前回調査から上昇傾向も目標値にはわずかに届かず(日テレNEWS)
* 英語力4回連続全国1位の秘訣 さいたま市の公立学校「GS授業」で確たる積み重ね(産経新聞)
「調査」の精度の話
* 理論的には「あてにならない」で終わりだが・・・
* 全国学力テスト(2019)との関係
* 全学テも都道府県のばらつきはあるが、トップと最下位のひらきはせいぜい10%程度。
* 実施状況調査のように都道府県単位で30%もひらきがあるのは異様。
英語科主任として回答していたときの話
* 「英検とかTOEICとかで基準クリアしましたか?」と口頭で同僚に訊くだけ
* 合格証の提示もないからいくらでも言える
* 担当が変われば、基準も結果も変わる恐れ
全国トップレベルの福井県の話
* 中学・高校3年生の英語力5回連続で全国トップの福井県 1位の理由は…中学生は2位東京に大差(福井新聞)
* 福井県は全員公費でGTECを受けていて、それだとクラスのほとんどがCEFRのA1レベルになる(その多くは英検3級受からないかも?)
* いろいろな可能性
* 福井以外の県でもGTEC受けたら同じような結果になる?
* 「未来志向」で結果が解釈され(てい)る?
県別ランキングの弊害
* 全国学調に続いて英語教育実施状況調査もランク化傾向
* 本来は抽出調査で全国平均だけ分かれば十分
* なぜ全数調査?
* 「全員でやるんだ」というメッセージ?
* 間接的に都道府県競争を煽るため?
* 「調査」として成立していない=「指標」
政策の理論的な話:統制
* 教育振興基本計画が昨日発表される
* 高校卒業段階で「英検準2級相当」6割以上に (朝日新聞)
* 英検2級相当、高校で3割に 新たな教育計画を決定 政府(時事通信)
あ、「準2級6割、2級3割」ということですね(訂正)
* 「正答率が50%を切った問題」に対策を求める教育委員会
* でも本来テストにはいろんな難易度の問題があって然るべき
* 数字の信頼を毀損する恐れ
* それでも短期的には文科省にメリットがある?
* 50%→60%に2割上げろと言うが上乗せの予算措置はない
* 現状ではハイステイクス(給与や予算と連動)な運用もされていないが…
* 統計処理されている埼玉県学力・学習状況調査
* 自治体や学校の比較はないが、教師の力量は可視化されてしまう恐れ
* 「伸び率」のマジック
どうすれば「よりマシな調査」になるのか
* シンプルだけど非現実的な改善案
* 改善案①:マスコミにランキング報道をやめさせる
* 改善案②:忖度が働かないガッチガチの基準を作る
* 「よりマシ」な改善案
* 改善案③:全数調査をやめて抽出調査にする
* 波及効果=風が吹けば桶屋が儲かるエフェクト
マスコミや一般の人々に伝えていく必要性
* 「日本の英語力は53位」というデマ報道が流れ出す季節になりましたね。
* マスコミには浸透してしまっている
* 研究者や学校教員がこれを再生産しないこと
* シンポジウム等でこの問題を取り上げたい方は、ご連絡ください
* 「現代のぁゃιぃ英語教育ランキングを考える」
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