モーリス・ラヴェルのオペラ『子供と魔法』の最終回です。
やんちゃをした男の子にモノの逆襲は続きます。算数の教科書から不思議な老人が現れ、闊達な音楽にのって、蛇口から出る水や電車の発車時間を言い立てたり、呪いの言葉のように4 x 4 = 18など間違った計算して男の子を困らせます。
動物たちも彼に襲いかかります。やがて男の子のそばに怪我をした小さなリスが転がり落ちてきます。すかさずキズの手当てをした男の子。それを見ていた動物たちは「ママ!」と叫んでお母さんを呼び、「彼はいい子だよ、賢いよ、とても優しい...」と歌いながら、オペラは穏やかに終わります。そこにラヴェルの優しさが感じられます。
番組後半では、ラヴェルの唯一の高弟で、ラヴェルの評伝を書いた指揮者のマニュエル・ロゼンタールと彼に師事したジェローム・カルテンバックとの交流も語られます。
中田昌樹さんのFacebookでは番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。
【演奏】モーリス・ラヴェル作曲歌劇『子供と魔法』より
"Deux robinets coulent dans un reservoir!"/ 二つの蛇口からひとつのタライに水が流れ込む! (小さなおじいさん、子供、数字たち)
"Il est bon, l'enfant, il est sage"/ いい子だよ、この子は(動物たち、子供)
レナード・スラットキン/指揮、エレーヌ・エブラー/ソプラノ、デルフィーヌ・ガルー/コントラルト、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行