帝国データバンクが発表した最新レポートをもとに、2024年のガソリンスタンドの倒産や休廃業が184件に達し、3年連続で増加している現状が詳しく解説されています。コロナ禍以前の水準に迫るこの数字は、ガソリン価格の上昇や補助金の縮小といった経営環境の悪化を背景に、業界全体が大きな転換期を迎えていることを示しています。
レギュラーガソリンの販売価格は、パンデミックによる需要低下で一時は底を打った後、世界的な経済活動の再開や主要産油国の減産調整、さらには円安や日米金利差の影響で上昇に転じました。政府は「燃料油価格激変緩和対策事業」として補助金を支給し、一時的に価格を抑え込むことに成功しましたが、補助金の支給が終了または縮小される中で、販売価格は再び上昇。2025年1月には182.9円に達しており、経営を圧迫する大きな要因となっています。
また、技術の進歩や環境意識の高まりにより、ガソリン車の燃費向上、電気自動車(EV)やハイブリッド車の普及が進む中、人口減少や若者の車離れといった需要減少の要因も重なっています。さらに、地下貯蔵タンクの改修や更新義務といった設備投資の負担が業者にのしかかり、倒産や休廃業を選択せざるを得ない状況が続いています。
歴史的な視点から見ると、1995年には約6万421か所あったガソリンスタンドが、2019年には約3万70か所、さらに2024年には約2万7414か所にまで減少しており、業界全体の縮小が顕著です。報告書は、従来の単なる燃料供給拠点から、総合的なサービス提供拠点への変革が求められていることも指摘しています。
一方、バイクでツーリングに出かけた際にガソリンスタンドが見当たらず困るという意見や、車が生活の必需品である地域においてはガソリンスタンドの減少が日常生活に大きな影響を与える可能性があるとの声も紹介されています。電気自動車の充電スポットの整備は進めるべきですが、従来のガソリンスタンドも同時に維持していくことが、今後のエネルギー供給の安定に不可欠だと考えられます。