論文紹介#1。"グリッド細胞の集合的な活動がドーナツ型になる" ことを示したプレプリントについて話しています。
グリッド細胞...内側嗅内皮質(MEC)にあるニューロンで、動物がいる場所に反応して活動する。一つの細胞が反応する場所は規則的に並んでおり、平行四辺形の格子(グリッド)の格子点に一致するのが特徴。
トーラス...ドーナツ(の表面)の形。
アトラクター・ネットワーク...時間に依存して状態を変化させるシステム(例:相互に結合するニューロンの活動)のうち、あるいくつかの特定の状態に落ち着く性質を持つもの。
コンティニュアス・アトラクター・ネットワーク...アトラクター・ネットワークの一種で、収束した状態を取るが、ある収束した状態から、それに近い別の収束状態へと遷移していく性質を持つもの。
Neuropixels...生きた動物の脳から神経細胞の電気的な活動(細胞外電位)を記録できる電極。1000, あるいは5000以上という大量の記録部位を持つ。
次元削減...大量の神経細胞の活動の時系列データは即ち "(神経細胞の個数)次元のデータ"だが、3次元以上のデータがもつ特徴を人間が直観的に認識するのは難しい。次元削減は、高次元のデータを、その特徴を保ったまま低次元データに置き換える手法。
Toroidal topology of population activity in grid cells...今回話題にした論文
本年度のノーベル生理学・医学賞の解説...場所細胞・グリッド細胞の解説
海馬体-嗅内皮質における空間認知システム...グリッド細胞の日本語レビュー
Path integration and the neural basis of the 'cognitive map'...空間を表現する Continuous Attractive Network がトーラスになる理由など
The entorhinal grid map is discretized...グリッド細胞のモジュール性を報告した論文
Neuropixels 2.0: A miniaturized high-density probe for stable, long-term brain recordings...最新版Neuropixelsに関するプレプリント
UMAP Uniform Manifold Approximation and Projection for Dimension Reduction | SciPy 2018 |...著者によるUMAPの解説
「柔らかいトポロジーの穴から眺める世界」...トポロジーの専門家、平岡裕章先生によるトポロジー講義
いきなりややマニアックな内容でしたが、圧倒的な論文で楽しかったです。宮脇さんがかなりちゃんと準備してきてくれたので今後の論文紹介回のハードルが...僕はここから徐々に下げていきます。ジェンダーニュートラルな表現を心がけてはいるのですが、「元妻」という響きはなんとなくエグいので「元奥さん」と言っていますが特に他意はないです。 萩原
マサチューセッツ州のドーナツ市場はダンキンドーナツ一強です。フレンチクルーラーやポンデリングも食べたいです。宮脇