前回のジョブ・クラフティングの話題の最後にSOC理論という単語だけが飛び出しました。今回はSOC理論について。
一般的に考えてシニアは衰えて、若い頃にできていたことができなくなる、つまり一方的に喪失していくと考えがちです。努力しなければ失う一方なのですが、努力の仕方によっては失うものを補い、新たな価値を獲得することが可能になります。
そこで提唱されているのがSelection(選択)、Optimization(最適化)、Compensation(補償)の3つの要素に基づく戦略です。
「選択」は、それまで追いかけてきた目的や目標から新たな目的・目標に絞り込むことです。現状の自分と向き合ってパラダイムを変えれば絞り込むべき目的・目標が見えてきます。若い頃のように何にでもチャレンジするのではなく、チャレンジする目的・目標を絞り込むのです。
最適化とは、目的・目標が絞り込めたら、その達成のために自分が持つ資源を最適に配分し直すこと。例えば絞り込みによって生まれた時間を、絞り込んだ目的・目標を達成するための能力やスキルの向上に集中的に振り向けるのです。
補償とは、失ったものをそのままにせず、人の力を借りたり、テクノロジーを利用して補うことです。
こうすればシニアには新たな目的・目標が生まれ、それに向かって成長し、失ったと思っていたものも補完できるのです。そこで大切なことは、失ったものをそのままにしないことなのです。
シニア個人の話をしていましたがシニアでなくても、予期せぬ出来事で何かを失ったときにも、この考え方は有用です。個人ではなく組織においても、例えば退職によってエースを失ったとき、リーダーだけでなくチーム全員でSOC理論で考えてみると道が開け、組織が成長し、より強くなるのではないでしょうか。
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