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秋になると便秘が悪化する方がいる、という話をご存知ですか・・・?
▼今回お話ししていること
まず水の話から。体を潤したいからと水をたくさん飲めばよい、とはいきません。余分な水を捨てて、きれいな水と入れ替える――その交換が進んで初めて、本当の潤いになると考えられているからです。巡りが整わないまま水だけを増やすと、かえって水が滞ってしまうこともあります。まして日本は海に囲まれた島国で、平均すれば湿度の高い土地。もともと余分な水が残りやすい環境ですから、「1日2リットル」といった目安をそのまま当てはめるのは考えものです。ただし、夏の熱中症対策は別の話。年齢を重ねると喉の渇きを感じるタイミングが遅れるため、こまめに摂るのは理にかなっています。多めに飲みたいときは、梅雨の回で登場した五苓散のように、水の巡りを助けるものを併せるとよいでしょう。
汗のかき方も季節で変わります。夏までは発散の季節でしたが、実りの秋から冬へ向かうにつれて、無理をしない時期に入っていきます。毛穴が閉じていく時期に大量の汗をかくのは負担になるため、流行のサウナも、秋冬はご自身の体力と相談してほどほどに。そして乾燥は、肌や肺だけでなく喉や鼻の粘膜も傷つけやすくします。風邪にも気をつけたい季節です。食べものは、少し辛いものを意識しつつ、体を潤すものを。秋に採れるいちじくやりんご、かぼちゃやきゅうりといった瓜の仲間は、肺を潤すといわれています。
2回で終わる予定が、3回目に続きます。次回は秋と心のお話など、さらに掘り下げていきます。ぜひ続けてお聴きください。
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秋に負担がかかる五臓はどこか、覚えていらっしゃいますか・・・?
▼今回お話ししていること
肺が弱りやすい理由は三つあります。ひとつは呼吸。肺の大きな役割である呼吸は自律神経と深く結びついていて、リラックスしているときはゆっくり、興奮しているときは浅く速くなります。体と心は表裏一体ですから、意識してゆっくり呼吸すれば心も落ち着く――健康法に呼吸法があるのは、このためです。ふたつめは皮膚。「皮膚呼吸」というとおり皮膚も呼吸を助けていますが、急に湿度が落ちると毛穴が閉じ、慣れるまでその効率が落ちてしまいます。そして三つめが、肺そのものが乾燥に弱いこと。乾いた咳が出やすくなるのは、この時期ならではです。
では何を摂ればよいのでしょう。五臓と味の対応でいうと、秋は「辛味」。辛いものは皮膚の表面へ体液を運ぶのを助けるとされ、乾いた肌にとっても心強い味です。ただし極端に辛いものは必要ありません。閉じている毛穴を一気にこじ開けることになり、かえって負担になるからです。玉ねぎ、長ねぎ、大根、にんにく――このくらいで十分。ちなみにお酒も辛味に分類されるそうですが、もちろん量はほどほどに。東洋医学では、余分な熱と水を皮膚の表面から蒸気として逃がすと考えます。湿度が高ければ逃がしづらくてむくみ、乾きすぎれば表面まで潤いが届かずカラカラになる。だからこそ、季節ごとに味を変えて肌を整えるのです。
次回は、それぞれの時期に使いたい漢方薬と食べものを、具体的にご紹介します。ぜひ続けてお聴きください。
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「八つ目うなぎ」は、目が8つあるわけでも、うなぎでもないことをご存知ですか・・・?
▼今回お話ししていること
まずは鯉の肝。目と関わりの深い五臓の「肝」に入る素材で、とにかく苦いのが特徴です。夏の回でお話ししたとおり、苦味には熱を外に出す働きがあるとされ、目の熱や赤み、痛みをしずめるのが得意。見た目に異常はないのに見えにくい、暗いところで見えづらい(鳥目)といった状態にも用いられ、長く飲めば体も心も強くなるといわれてきました。昔はお酒をよく飲む方や目が疲れやすい方に良いとされ、鯉の養殖場まで肝を買い付けに行くツアーまであったのだそうです。いまならスマホやパソコンで疲れた目に、というところでしょうか。
菊の花も同じく「肝」に入り、目の充血をしずめるほか、高ぶった肝を抑えることでイライラやのぼせ、こめかみの痛みにも用いられてきました。花粉症の時期に求める方が増えるのは、そのためです。動物実験では角膜の傷や炎症、活性酸素に関する報告があり、クコの実と組み合わせると角膜の酸化ストレスが減ったという実験も。そして八つ目うなぎ。目は左右にひとつずつで、その後ろにエラのような穴が七つ並ぶため「八つ目」と呼ばれるだけで、実はうなぎでも魚の仲間でもありません。ただし栄養は圧巻で、暗いところの視界に関わるビタミンAが本家のうなぎの5倍以上。血液をつくるビタミンB12や、粘膜を守るビタミンB2も豊富です。
真珠が濁りを澄ませ、鯉の肝と菊の花が熱をしずめ、八つ目うなぎが栄養を補う――役割の違う素材を組み合わせて、真珠散という処方は設計されています。目を酷使する毎日だからこそ、知っておきたい一剤です。
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目によいものといえばブルーベリー…ですが、漢方では宝石の「真珠」を使うことをご存知ですか・・・?
▼今回お話ししていること
まず面白いのが歴史です。日本に伝わったのは江戸時代。いまの新潟県あたりで真珠散がつくられ、各地の有力者に取次店を依頼する、いまでいう代理店販売の仕組みで全国へ広がりました。富山の置き薬が主流だった時代に、年に一度使用人を代理店へ派遣して代金を回収し、在庫が切れれば飛脚や船便で届ける――薬の業界にとっても画期的な仕組みでした。さらに、その利益は子どもたちが医学を学ぶために使われ、そこから名のある医師も生まれたのだそうです。
そして主役の真珠。宝飾に使うのは玉の部分ですが、貝殻の内側も同じように七色に光っていて、実は成分が同じ。そこで玉は宝飾へ、内側を削ったものを漢方へと、無駄なく使い分けているのです(製品の表示が「貝カルシウム」となっているのはこのため)。伝えられてきたはたらきは三つ。ひとつは目を明らかにし、かすみや濁りを澄ませること。ふたつめは心を落ち着かせることで、寝つきが悪いときや頭が興奮しているときに用いられてきました。三つめが肌で、「美肌の生薬」と記した書物もあります。実験では、皮膚のコラーゲンをつくる線維芽細胞でコラーゲンの合成が高まること、紫外線を浴びたときの炎症がやわらぐことが確かめられているといいます。
昔の人は、五臓六腑の「肝」と目のつながりに注目し、肝に入りやすい真珠で目を支えると考えました。次回は、真珠散のもう一つの主役「鯉の肝」などをご紹介します。ぜひ続けてお聴きください。
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秦の始皇帝の時代、山に逃げ込んだ女性が松と柏の葉だけで生きのび、見つかったのは200年以上あと――そんな伝説が残っていることをご存知ですか・・・?
▼今回お話ししていること
古い医薬書に記された松葉の働きは、「五臓の調子が上がる」「胃腸が守られて飢えない」「寿命が延びる」、そして「毛が生える」。書物によっては“緑の毛が生える”とも書かれていて、これは長寿の亀に生える緑の藻のこと。髪の話であると同時に、長生きの象徴でもあったのです。現代の研究では、血管まわりの報告がよく知られています。動脈硬化は、コレステロールが酸化し、それを取り込んだ免疫細胞がふくらんで血管にコブをつくり、炎症が起きるという段階を踏みますが、松葉から抽出したエキスはこの3段階のいずれにも関わるという台湾の研究があるのだそうです。
韓国でも研究が進んでおり、中性脂肪が下がる、毛細血管の血流が良くなる、血小板が固まりにくくなる、血圧に関するデータもあるといいます。クマザサと同じく葉緑素を大量に含むため抗酸化の面でも注目され、動物実験では体内の抗酸化酵素が増えたという報告も。さらに面白いのが香りです。森林浴でストレスホルモンが減るとされる、あの香り成分が松葉にも含まれており、中国では心が参ってしまったときの素材としても用いられてきました。ただし注意点がひとつ。松葉は松明になるほど油が多く、空気中のものをよく吸着します。空気の汚れ具合を調べる指標に使われるほどですから、道路や工場の近くの松は避け、山奥の澄んだ空気の中で育ったものを選んでください。
飲んでよし、香ってよし。そして、どこで育ったかまで含めて選ぶこと。身近な木が持つ力に、あらためて驚かされる回です。
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冬眠に入る前のクマが、大量に食べていく葉があることをご存知ですか・・・?
▼今回お話ししていること
まず驚かされるのが、クマとの関係です。クマは冬眠の前にクマザサを大量に食べ、腸内環境を整えてから眠りにつくといわれます。腸内環境が乱れたまま冬眠に入ると命に関わるためで、目覚めたあとも真っ先に口にするのだそうです。人の暮らしにも、クマザサは深く根づいてきました。笹寿司やおにぎりを笹で包むのは、冷蔵庫のなかった時代に、葉のもつ殺菌・防腐の働きで食べものを守るための工夫だったのです。あの青々とした香りには、ちゃんと意味がありました。
はたらきの中心にあるのが「腸」。クマザサは食物繊維が豊富なうえ、腸の細胞どうしをファスナーのようにつなぐ“タイトジャンクション”を強くし、乳酸菌などの善玉菌を増やすことが分かってきているといいます。この隙間が開くと、いわゆる腸漏れ(リーキーガット)につながってしまいます。ニオイのケアに用いられるのは、豊富な葉緑素がアンモニアや硫黄といったニオイ分子と結びついて捕まえるうえ、ニオイのもとをつくる菌の増えすぎも抑えると考えられているから。さらに、葉から採れる成分にはインフルエンザやヘルペスなどのウイルスを減らすという研究もあり、免疫の見張り役であるマクロファージに働きかけたり、免疫が張り切りすぎたときの炎症をしずめたりする面もあるとされています。
生命力、腸、ニオイ、ウイルス、免疫――ひとつの葉がこれだけの顔を持っているとは驚きです。次回は、同じ組み合わせのもう一つの主役「松葉」を取り上げます。ぜひ続けてお聴きください。
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うなぎに山椒をかけるのは、実は理にかなっていることをご存知ですか・・・?
▼今回お話ししていること
まずご紹介するのが「大建中湯(だいけんちゅうとう)」。“建中”とは中心=胃腸を立て直すという意味で、人参や山椒に加えて、水飴のような甘い生薬が入っています。甘味は胃腸に栄養を残すと考えられており、胃腸を動かしながら栄養も届けてくれる処方です。注目したいのは山椒。あのピリッとする成分が腸を刺激し、腸へ向かう血流を増やすことが健康な方の実験でも確かめられていて、動物実験では善玉菌が増えたという報告もあるのだそうです。土用のうなぎは栄養満点な一方で消化には負担がかかりますが、そこに山椒をかけるのは、胃腸を動かし腸内環境まで整えるという意味で、実によくできた組み合わせだったわけです。
もうひとつが、お腹がゴロゴロするときに使われてきた「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」。胃腸にこもった熱を分散させて動きを戻す処方で、ここにも黄芩・黄連という黄色い生薬が入っています。以前ご紹介した黄連解毒湯とも共通する、この苦味の正体が「ベルベリン」。悪玉になりやすい菌や炎症を起こす菌を抑え、体に良い働きをする菌を増やすこと、さらに腸の細胞同士をファスナーのようにつなぐ“タイトジャンクション”をしっかり保つ働きが分かってきているといいます。最後に身近な生薬をふたつ。七味唐辛子に入っているオレンジ色の粒「陳皮(みかんの皮)」はビフィズス菌などの善玉菌を増やすといわれ、生姜は腸内細菌のバランスを整えるとされています。生の生姜は発汗、蒸した生姜は内臓を温める――夏はどちらも上手に使い分けてみてください。
腸内環境は、全身のあらゆるところに影響します。普段はなかなか意識しないところですが、こうした身近なものを少しずつ取り入れて、健康に過ごしてまいりましょう。
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「腸内環境が悪いと、漢方薬も効きにくくなる」と聞いたら驚かれるでしょうか・・・?
▼今回お話ししていること
まずは、前回お伝えしきれなかった処方「人参湯(にんじんとう)」から。冷たいものを摂りすぎてお腹が冷え、軟便になってしまったときに用いられてきた処方で、含まれる蒸した生姜が、体の深いところ=内臓を温めてくれると考えられています。夏に水分を摂りすぎて胃腸が冷えてしまった、というときにも使いやすい処方です。そして夏が終われば、次は秋。梅雨時や季節の変わり目に働きが鈍りやすい五臓は「脾」ですから、この時期は胃腸を整え、いわばデトックスをして次の季節に備えたいところ。だからこそ、いま腸内環境の話をしておきたいのです。
腸内細菌は100兆個ともいわれ、人の細胞よりも多い数。種類も多いため研究が難しかったのですが、腸内環境全体の構成を解析できるようになってから、体との関係が一気に分かってきました。体の面では、肥満・生活習慣病・糖尿病・脂肪肝との関わり。太ったマウスの腸内細菌を痩せたマウスに移植すると、その痩せたマウスが太るという実験結果もあるほどです。腸は免疫が集中する場所でもあるため、乱れればアレルギーの起こりやすさや感染のしやすさにも関わりますし、慢性的な炎症は動脈硬化のリスクにもつながるといわれます。さらに心の面。“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンや、神経の安定に関わるGABAは腸でつくられるため、腸内環境の乱れは落ち込みや不安、集中力の低下、睡眠の質にまで関わってくると考えられています。
運龍堂で野草や野菜を発酵させたオリジナルの酵素ドリンクをお使いいただいているのも、こうした理由からです。次回は「腸内環境を整えるための漢方薬・生薬」を具体的にご紹介します。ぜひ続けてお聴きください。
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この猛烈な暑さを乗り切るために、頼りになる漢方薬があることをご存知ですか・・・?
▼今回お話ししていること
まずご紹介するのが「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」。黄連・黄芩・黄柏と、名前にも見た目にも“黄色”がつく、とても苦い生薬が集まった処方です。苦味には体にこもった熱を外へ出す働きがあるとされ、さらに生薬ごとに上半身・中心部・下半身と得意な場所が違うため、全身の熱をまんべんなく散らしてくれると考えられています。暑い日の外出前や、夜が寝苦しいときに用いる方が多く、夏になると求める方が一気に増える処方です。運龍堂でも、屋外で作業される現場監督の方がまとめて買いに来られることがあります。ちなみに二日酔い対策としても知られていますが、これはお酒でがんばった肝臓にこもった熱を散らし、働きを保つという考え方から。もちろん、お酒を推奨しているわけではありません。
もうひとつのキーワードが「水」です。夏にたくさん飲んだ水が体に残ったまま秋を迎えると、その水が冷えて不調のもとになるため、寒くなる前に捨て切っておきたいところ。そこで登場するのが「五苓散(ごれいさん)」で、余分な水を血管に戻して排出を促し、さらに含まれる桂皮(シナモン)が皮膚の表面から水分を発散させる後押しをするといわれます。そして手足のむくみで思い出してほしいのが「センソ(蟾酥)」。心臓のポンプの働きに関わる生薬で、面白いことに、心臓の酸素消費量を増やさずにポンプ機能を高めるというデータがあるのだそうです。むくみが強いときには、五苓散と組み合わせて使うこともあります。
異常とも言える暑さが続く夏。日々の養生に加えて、こうした漢方薬もうまく取り入れながら、健康な夏をお過ごしください。
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今年もシャレにならない暑さが続いていますが、「夏に一番負担がかかる五臓」はどこかご存知ですか・・・?
▼今回お話ししていること
まず押さえておきたい養生がふたつ。ひとつは「冷たいものを摂りすぎない」こと。汗をかくと体液は体の表面に集まり、逆にお腹まわりは手薄になります。そこへ冷たい飲み物や食べ物を流し込むと胃腸が冷えて動きが鈍り、夏の後半の食欲不振=いわゆる夏バテにつながっていきます。もうひとつは「一日一回、汗をかく」こと。夏は体に熱がこもりやすく、水分も多く摂りがちなので、余分な熱と水を汗として捨ててあげることが大切だと考えられています。シャワーで済ませずに湯船に浸かる、軽めの運動をするなど、ご自身の体力に合わせて習慣にしてみてください。
食養生のポイントは「赤いもの」と「苦いもの」。五臓の色でいうと、夏の「心」に対応する色は赤で、スイカやトマトが代表選手です(ちなみに肝は青・緑、脾は黄色で、味でいうと甘味にあたります)。一方、夏に合う味は「苦味」。ゴーヤのように、沖縄など暑い地域で親しまれてきた苦い食材には、体にこもった余分な熱を外に出す働きがあるとされています。面白いのは、赤い天然色素には紫外線のダメージを和らげるものが多いといわれること。昔ながらの五行の考え方が、現代的にも説明できてしまうのです。利尿作用の強いスイカは、余分な水を捨てるという意味でもこの季節にぴったりですね。
古の知恵は、やっぱりよくできている――そんな驚きもあわせてお届けします。次回は「夏の後半にこそ使ってほしい漢方薬」をいくつかご紹介する予定です。ぜひ続けてお聴きください。
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