「腸内環境が悪いと、漢方薬も効きにくくなる」と聞いたら驚かれるでしょうか・・・?
同じ病気で入院している患者さんに同じ漢方薬を使っても、よく効く人とあまり効かない人がいます。調べてみると、悪玉菌が多い方は効きが悪く、善玉菌が多い方は効きが良い――薬の構造上、西洋薬よりも漢方薬のほうが腸内環境の影響を受けやすいのです。今回は夏の養生の締めくくりとあわせて、体にも心にも関わる「腸内環境」の話を詳しく解説していきます。
・言い残していた夏の処方「人参湯」― 冷えたお腹を内側から温める
・季節の変わり目にケアしたい五臓は「脾」
・なぜ漢方薬は、西洋薬よりも腸内環境の影響を受けやすいのか
・肥満・糖尿病・脂肪肝との関わり(太ったマウスの腸内細菌を移植すると…)
・腸は免疫が集中する場所。アレルギーや慢性の炎症との関係
・セロトニン・GABAは腸でつくられる ― メンタルとの深いつながり
まずは、前回お伝えしきれなかった処方「人参湯(にんじんとう)」から。冷たいものを摂りすぎてお腹が冷え、軟便になってしまったときに用いられてきた処方で、含まれる蒸した生姜が、体の深いところ=内臓を温めてくれると考えられています。夏に水分を摂りすぎて胃腸が冷えてしまった、というときにも使いやすい処方です。そして夏が終われば、次は秋。梅雨時や季節の変わり目に働きが鈍りやすい五臓は「脾」ですから、この時期は胃腸を整え、いわばデトックスをして次の季節に備えたいところ。だからこそ、いま腸内環境の話をしておきたいのです。
腸内細菌は100兆個ともいわれ、人の細胞よりも多い数。種類も多いため研究が難しかったのですが、腸内環境全体の構成を解析できるようになってから、体との関係が一気に分かってきました。体の面では、肥満・生活習慣病・糖尿病・脂肪肝との関わり。太ったマウスの腸内細菌を痩せたマウスに移植すると、その痩せたマウスが太るという実験結果もあるほどです。腸は免疫が集中する場所でもあるため、乱れればアレルギーの起こりやすさや感染のしやすさにも関わりますし、慢性的な炎症は動脈硬化のリスクにもつながるといわれます。さらに心の面。“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンや、神経の安定に関わるGABAは腸でつくられるため、腸内環境の乱れは落ち込みや不安、集中力の低下、睡眠の質にまで関わってくると考えられています。
運龍堂で野草や野菜を発酵させたオリジナルの酵素ドリンクをお使いいただいているのも、こうした理由からです。次回は「腸内環境を整えるための漢方薬・生薬」を具体的にご紹介します。ぜひ続けてお聴きください。
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