台湾版「食べる通信」始動者の楊璨如さんをゲストにお招きし、歩きながら1時間、対談する。通訳は、同通信事務局の月足由伸さん(中華MOA協進会)。
台湾では現在、「東台湾食通信」「中台湾食通信」「雲林食通信」など、5地域で食べる通信が発刊されている。東北食べる通信のビジョンはなぜ海を渡ったのか。
1通のメールが開いた世界の扉(2018.8.5 朝日新聞より)
「『食通信』という価値と思いをもっとたくさんの人に繋げていきたいと考えています」。16年10月、高橋に1通のつたない日本語のメールが届いた。台湾で都市計画や地方観光を手がける会社に勤める楊だった。
楊は16年7月、台湾の書店で高橋の著書「だから、ぼくは農家をスターにする」の中国語訳を手に取り、「感激した」。楊自身も台湾の農村出身。都市と地方の格差が広がり、故郷の生産者が困窮している姿を見ていた。
高橋のビジョンは、そんな楊の胸を打った。「不思議な窓が開いた」という楊は、すぐに自費で150冊を購入し友人に配った。台湾では1999年に2400人以上が犠牲となった台湾大地震がきっかけで、地方の過疎化が加速していた。
17年2月、楊の招きで高橋は台湾に渡った。4日間で7カ所を講演してまわった。会場は立ち見客がでるほど満席になった。寄せられる声は、地方の高齢化や過疎化、産業の衰退。そして、生きる実感の無さ。日本で聞くそれと「驚くほど一緒」(高橋)だった。
17年9月の「中台湾食通信」を皮切りに、計4カ所で台湾版の食べる通信が創刊された。台湾北東部の宜蘭県に住む廖冠維(リョ・カンイン、26)は、地元の人口流出に危機感を覚え、今年1月創刊の「東台湾食通信」に関わった。「地域の文化や食材を発信したい」と創刊号では、放し飼いで育てられた鶏と生産者を特集。生産者から「立派なものができた」と喜ばれ、購読者からも「おいしかった」と感想が届き反響の大きさに驚いた。
台湾版食べる通信の購読者は計約600人。まだ緒に就いたばかりだが、購読者も特集する生産者も少しずつ増えている。台湾版の食べる通信をサポートする台湾在住の日本人、月足吉伸(46)は「台湾、さらにはアジア各地に一歩ずつでもいいので拡大していけるようにしたい」。
ポケットマルシェ代表の高橋博之が、社会を“生きる“ゲストと対談する「高橋博之の歩くラジオ」。ゲストのみなさんは、農家・漁師、起業家、研究者、行政官、メディア、NPO、学生……と様々な立場から、自分たちの生活する場、自分たちの生きる社会をよりよくしていこうと、熱い想いや強い志をもって働きかけている方々です。
「高橋博之の歩くラジオ」では、あらゆる角度から社会についての議論が交わされ、心に響く言葉が生まれています。自分の“生きる“日々を振り返って、ちょっと立ち止まって考えたり、背中を押してもらったり。このラジオが、そんなきっかけになることを願っています。
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