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前回に続いてサン=サーンス作曲『チェロ協奏曲』の第二番をお届けまします。
サン=サーンス自身、第一番に比べてこの第二番は皆演奏したがらないだろうと言っていたようです。というのも、大袈裟な動きこそないものの、高い位置での三連符やポジション移動など、細かい技術が求められる実は結構大変な曲だからです。でも、チェロのシンプルで綺麗な音色を存分に生かしつつ、オーケストレーションも充実感ある曲なので、もっと演奏されてもいい曲ではないかと思います。
チェロの協奏曲といえばドボルザーク作曲のものが金字塔のように聳え立っていますが、その曲にまつわるベルリンフィルハーモニーでの若かりし頃のヨーヨーマのエピソードも番組後半(9分30秒〜)で語られます。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲『チェロ協奏曲第2番 ニ短調』 第二楽章 マルク・スーストロ/指揮 ガブリエル・シュヴァーベ/チェロ
マルメ交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
サン=サーンス作曲『チェロ協奏曲』の第一番につづき、第二番をお届けまします。
第一番に比べてほとんど演奏される機会のない第二番は二つの楽章に分かれていますが、第一楽章内が二つの部分に分かれており、三部形式の古典的で割合にきちっとした様式で書かれている曲です。冒頭は協奏曲というより交響曲のような情熱感溢れるサウンドで、その次にチェロの流麗で明るく、柔らかく朗らかな音域を使う部分が出てきます。
番組の後半では(15'06"〜)、3月下旬に京都フランス音楽アカデミーに講師で来ていたチェリストのアンリ・ド・マルケットさんへのインタビューの続きをお届けします。映画音楽の大家、ミッシェル・ルグランが彼のために書いたチェロ協奏曲の誕生秘話などが語られています。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲『チェロ協奏曲第2番 ニ短調』 第一楽章 マルク・スーストロ/指揮 ガブリエル・シュヴァーベ/チェロ
マルメ交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
弦楽器にとっての名人芸/ virtuosity である、難しいポジションを駆使する重音奏法をあまり使わないサン=サーンスの協奏曲は、ひたすら弦楽器の滑らかな音を、三連符の多用で無窮動(むきゅうどう)/Perpetuum mobile のような世界を創ります。
しかし、その動きがふと途絶えた刹那、中空に漂うような錯覚を抱くような静寂と敬虔な祈りの音楽が聞こえて来る、というのも、あのパリ・マドレーヌ寺院の広大で深い空間を熟知しているからでしょうか。
個人的な体験として、マドレーヌ寺院でヘンデルの大曲『メサイア』を指揮した時、ギリシャ神殿のような遮るものの無い、凄まじく広い直方体の中を、音の振動が空気を伝わって行くのを直に感じて、身震いした記憶が鮮明に残っています。
(中田昌樹)
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲『チェロ協奏曲第1番 イ短調』 第3部 ジャン=フランソワ・モナール/指揮 マリア・クリーゲル/チェロ
ボーンマス・シンフォニエッタ/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
サン=サーンスが作曲した弦楽器のための協奏曲は、装飾的で超絶技巧を必要とする複雑な音符はあまり並んでいません。縦横無尽に音符が駆け巡るような音形が、極度に簡素化されたオーケストラの伴奏によって引き立つような配慮がなされています。
それはパリ・マドレーヌ寺院という、奥行き108m/幅43m/高さ33mのギリシャ神殿のような形状の、途轍もなく巨大な寺院で、19年という長きに渡る期間オルガン奏者を務め、天地を揺るがすような壮大に響く縦のハーモニーの中に身を呈していたサン=サーンスにとっての反作用で、横に連続する音符が軽妙に疾走する音楽が、まったく別世界で魅力的だったのかも知れません。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲『チェロ協奏曲第1番 イ短調』 第2部 ジャン=フランソワ・モナール/指揮 マリア・クリーゲル/チェロ
ボーンマス・シンフォニエッタ/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
名作のあと書かれた曲は、その威光に隠れてしまって、音楽的にはより充実している筈であるのに、知名度が上がらない事もままあります。チャイコフスキーのやラフマニノフの協奏曲などもその例でしょう。
プーランクが『二台のピアノのための協奏曲』の約20年後、ボストン交響楽団から委嘱された作曲された、もう一曲の『ピアノ協奏曲』(通常の一台のための!)があります。
1950年、プーランク自身のピアノ、シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団で初演が行なわれた素敵な曲です。しかし彼自身は、「弾いているうちに、聴衆の間に興味が停滞して行くのに私は気づいた」という感想を漏らしたと言われます。しかし一方で「ロマン派の協奏曲のような仰々しさを帯びていないし、また主題が伝統的な方法で展開されることもない。旋律自体が協奏曲であり、それがこの曲の特質の一つなのである」と好意的な批評もありました。
【出演】中田昌樹(指揮者)
サン=サーンスがあまりに早熟だったため、” Petite Mozart “ (プティ・モザール/モーツァルトの再来)と呼ばれていた、と。
事程左様に、フランスでもモーツァルトは天才の象徴で、その音楽も単なるお手本というより、憧憬に近いようなものがあったのでしょう。
そして、サン=サーンスも、モーツァルトのパラフレーズ/トランスクリプション(transcription)いう手法で、その存在に近づこうとしたのでしょうか…。
作曲中のプーランクにも、ふとモーツァルトが過(よぎ)る刹那があったに違いありません。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】フランシス・プーランク作曲『2台のピアノのための協奏曲』第二楽章 ジャン=リュック・タンゴー/指揮 アイルランド国立交響楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
プーランク家は、代々大変裕福で、文化的にもとても高い関心を持つ中で育つ一方、両親は敬虔なカトリック教徒で、家系には聖職者を輩出することほどでした。
プーランク、20代前半の作品であるバレエ『牝鹿』の軽妙洒脱な中でも、祈りを想わせる静寂さが現れます。
また後に書かれた『グローリア』『スタバト・マーテル』などのオーケストラ付きの合唱曲は、洗練されたハーモニーを駆使した作風の中、神と真摯に向き合う教会での時間の体現でもあるのでしょう。
フランス革命の史実に基づいたオペラ『カルメル修道女の対話』は、遠く離れたコンピエーニュの修道院で敬虔な祈りと共に暮らす16人の修道女たちがパリに連行され、聖歌を歌いならも断頭台の露に消える無慈悲さのその刹那を、精緻にスコアに書き込んだ稀有な作品です。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】フランシス・プーランク作曲『牝鹿』より第4曲 アンダンティーノ ジャン=リュック・タンゴー/指揮 アイルランド国立交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
フランシス・プーランク。1899年、大統領府エリゼ宮近くに住む、代々続く大企業の経営者の家に生まれ、三男にもかかわらず兄ふたりが早世したため家業を継ぐ使命を負わされ、音楽の勉学に進むことを断念せざるを得ませんでした。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】フランシス・プーランク作曲『牝鹿』より第1曲 ロンドー ジャン=リュック・タンゴー/指揮 アイルランド国立交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
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