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セザール・フランク(セザール=オーギュスト=ジャン=ギヨーム=ユベール・フランク(César-Auguste-Jean-Guillaume-Hubert Franck)は、現在のベルギー王国リエージュ(当時のネーデルラント連合王国)、時代によって国境線が目まぐるしく塗り変わり、多様な言語が入り交じる地域で、ドイツ系の家系に生まれました。
フランスに赴いてパリ音楽院への入学を志しますが、外国人と言う理由で音楽院長のケルビーニに一度は入学を拒否されるものの、前年チェロで例外的に入学を許されたプロイセン王国(現ドイツ)から来たオッフェンバッハの例を引き合いに出し、特別に入学を許可された経緯があります。後に、パリ音楽院の教授に任命された折は、フランス国籍を取得しています。
このような自らのアイデンティティーの多様さが、フランクの音楽に影響しているのは否めないのかもしれません...。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】セザール・フランク作曲『交響曲 ニ短調』第二楽章 ギュンター・ノイホルト/指揮、ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
セルゲイ・ディアギレフ。ロシアバレエ団(バレエ・リュス/Ballets russes)を率いて大成功を収めた辣腕興行師のように伝えられる事が多いようですが、ディアギレフはロシア貴族の出で、深く広い教養を持つ先見性に満ちた人物だったようです。
まだ二十代のロシア人作曲家ストラヴィンスキーにロシア民話を題材にした『火の鳥』、直後には『ペトルーシュカ』を依頼、パリで大成功を収めます。
同じ時期、早くからその才能に注目していた若いラヴェルにも『ダフニスとクロエ』の作曲を依頼するなど、これらの作品群はパリを中心に、その時代の音楽の本流となって行きます。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ダフニスとクロエ』第3場「全員の踊り」 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
「スイス製の時計のような...」という、ストラヴィンスキーの言葉を借りるまでもなく『ダフニスとクロエ』のスコアに書き込まれた音符の精緻さは、あたかも点描の絵画から朧(おぼろ)げな輪郭が浮び上がるように綿密に計算されて並べられいて、全曲版の分厚いスコアを俯瞰して湧き上がって来る音は、絵巻物を見ているようです。
作曲を依頼したディアギレフは、その情景の色彩のみならず、均一ではない空気の漂いや淀みまでを感じさせ、音符という記号の積み重ねでそれを体現するというラヴェル素晴らしい能力をここまで予見していたのでしょうか。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ダフニスとクロエ』第3場「夜明け」 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
モーリス・ラヴェルの最後の棲家があるモンフォール=ラモリー(Montfort-l'Amaury)は、パリの西、ヴェルサイユ宮殿の広大な庭園の脇を走り抜けて間もなくの、小さな村です。
その家は傾斜地にある為、町や周りの森を見渡せる居間の階から、小さな螺旋階段を降りた庭に面したところに寝室があります。
この不思議な色彩感の空間の中、ラヴェルは天蓋の付いた小さなベッドの上で、若いころ作曲した『ダフニスとクロエ』の舞台になったギリシャへ憧憬を思い出すのでしょうか。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ダフニスとクロエ』第3場「パントマイム」 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏
インタビュー/トマ・プレヴォ 元フランス国立放送管弦楽団 フルート主席奏者
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
増四度の不明瞭な浮遊感を保ちつつ、輪郭の曖昧な世界を創り出す才能。
それまで多くの作曲家が、少しずつ拡げて来ていたハーモニーの流れや拡がりを、一気に未知の方向性に踏み込んだのは、やはりドビュッシーのエキセントリックとも思える性格や行動とは無縁ではないのでしょう。
その流れは、ラヴェル、プーランクを経て、遥かオリビエ・メシアンの不可思議な世界へと伝わって行きます。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『牧神の午後への前奏曲』 中田昌樹/指揮、エルムの鐘交響楽団/演奏
インタビュー/トマ・プレヴォ 元フランス国立放送管弦楽団 フルート主席奏者
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
サン=サーンスは3曲のヴァイオリン協奏曲を作曲しましたが、第二番を書き上げた後、第三番に着手するまでに20年の月日が流れます。
その間、協奏曲に限ってもピアノ協奏曲2曲、チェロ協奏曲と、妙技/名人芸をふんだんに盛り込み、技巧的にも難しい名作を生み出していました。しかし、何故か、この第三番にはヴァイオリンにとって腕前を衒(ひけらかす)ような複雑な重音奏法や超高速のパッセージはほとんどなく、むしろヴァイオリンの豊かで芳醇な音色と、サラサーテが得意とされたハーモニックス奏法(倍音)で奏でる舞い上がるように透き通った高音で全曲が満たされています。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲ヴァイオリン協奏曲第三番 ロ短調 第一楽章 パトリック・ガロワ/指揮 ファニー・クラマジラン/ヴァイオリン
シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ/演奏
インタビュー 破魔澄子 元フランス国立管弦楽団 ヴァイオリニスト
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
サン=サーンスと親交が深かったサラサーテは、現在スペイン領ナバラ州で生まれたバスク人。フルネームはバスク風に父方/母方の両方の姓を名乗るパブロ・マルティン・メリトン・デ・サラサーテ・イ・ナバスクエス(Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz)。
マドリードの音楽院で学び、10才のときにスペイン女王イサベル2世の前で演奏を披露し、続いてパリ音楽院に入学、13才で卒業する神童振りを発揮します。
フランスを中心に活躍するも、独特の文化/言語を持つ故郷のバスク地方の音楽への関心も強く、ソルツィーコ(zortziko) という5/8拍子(1+2+2)の伝統的な舞曲を一般に分かり易いように3/4拍子の記譜に直し、リズムを微妙に揺らして、本来の5/8拍子のように弾いて見せたそうです。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲ヴァイオリン協奏曲第三番 ロ短調 第二楽章 パトリック・ガロワ/指揮 ファニー・クラマジラン/ヴァイオリン
シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ/演奏
インタビュー 破魔澄子 元フランス国立管弦楽団 ヴァイオリニスト
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
モーツァルトと再来とも言われた早熟の天才サン=サーンス。若くしてパリ音楽院を卒業し、作曲家としての活動のかたわら、弱冠23才でその後20年間務めることになるパリ・マドレーヌ寺院のオルガニストという名誉ある地位に就きます。
その頃、13才でパリ音楽院したばかりの天才ヴァイオリン奏者サラサーテに出会い、お互いの才能を敬愛し合い、度々一緒に旅行するほど意気投合したようです。
バスク地方に生まれ、スペイン文化の影響を受けて育ったサラサーテの為に、サン=サーンスはさっそくスペイン風の『カプリス(奇想曲)』を作曲します。
そのテーマは20年以上後に書かれ、サラサーテに献呈されたヴァイオリン協奏曲第三番の第三楽章冒頭に用いられています。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲ヴァイオリン協奏曲第三番 ロ短調 第三楽章 パトリック・ガロワ/指揮 ファニー・クラマジラン/ヴァイオリン
シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
ドビュッシーが『海』の作曲を始めてから初演に至るまでには、三年という長い時間が費やされました。 海からは遠く離れた、ブルゴーニュ地方の妻リリーの実家で作曲を開始。直後、パリに戻ったところで裕福な銀行家夫人と出逢い、たちまち恋に落ちて、ジャージー島、ノルマンディと、海の近くに旅立ちます。 パリに戻ったところで、リリーの知るところとなり、彼女はなんとコンコルド広場でピストル自殺を計ります。未遂に終わったものの、親しい友人たちの多くはドビュッシーのもとを去って行った、と。 第二曲の水面を吹き抜ける風を思わせる流麗な音の流れに比べて、第三曲目の荒々しい海を思わせる曲想は、そんな周りの状況が微妙に影響しているかもしれません。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『海』第3曲「風と海の対話」 準・メルクル/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
『海』のオーケストラスコアを俯瞰すると、今までの規則通りに整然と並んでいた音符たちとは全く違う音型/配列で、とても変化に富んでいます。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『海』第1曲「海上の夜明けから正午まで」 準・メルクル/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
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