【鄭南榕と三大運動:(1) 1986 / 519戒厳令反対】
国民党政府の軍人、警察と特務による恐怖統治を突破するのに、雑誌の発行 やペンの力での批判だけは足りません。そこで、1986年に鄭南榕は戒厳 令反対の運動を呼びかけました。それが「519グリーンアクション」です。 1949年5月19日以来37年間にわたり人民の自由をはく奪してきた戒 厳令に抗議したのです。
鄭南榕をリーダー格とした「グリーングループ」は、ほかの「党外雑誌」の 同志と連帯してそれぞれ雑誌、ビラ、ステッカー、説明集会などを通じて集 中的にキャンペーンを張り、人びとに自らの権利に関心を持たせようとしま した。5月19日当日に街灯、欄干、街路樹など目立つ場所や自分の二の腕 に緑のリボンを縛りつけるように呼びかけたのです。デモ行進に参加する場 合、当日の朝、龍山寺に集合し鄭南榕たちの行列に加わって総統府までデモ 行進をしました。
5月19日当日、政府は宣伝用の印刷物を押収しただけではなく、更に2千 人以上の警察を動員して龍山寺を包囲し行進を予定していたデモ隊を封じ込 めました。そのため、人びとは予定を変更して境内の広場に座り込み、国民 党の軍事的戒厳令の統治に抗議しました。 最初に予定した30分ほどのデモ行進は、結局12時間にもわたる駆け引き をくり返しました。
龍山寺を囲んだのは、警察、憲兵隊、特務以外に、応援に駆け付けた反体制 の人々や関心を持つ民衆、野次馬なども加わりました。一方、閉じ込められ た人たちは座り込みと同時に演説リレーを始め、37年間にわたる戒厳令へ の意見を発言し人民の権利を勝ち取ろうという決意を示しました。そして、 これ以降、同様の抗議行動を毎年続け、国民党政府が戒厳令を解除するまで 継続しようと決定しました。
この「519グリーンアクション」は、予定していた総統府までの行進はと うとうできなかったものの、12時間にもわたる集会に加え、周辺の群衆か らの支持を得られたことにより、自由という萌芽が人々の心の中に定着した のです。
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