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『スペイン人作曲家よりスペインっぽい曲を書く作曲家』と称されたモーリス・ラヴェル。なのに、生涯、一度もスペインに足を踏み入れたことがなく、スペインに隣接した母の故郷バスク地方にも、生後三ヶ月居たのち25歳になるまで行っていなかった、と。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ピアノ協奏曲 ト長調』第一楽章 レナード・スラットキン/指揮、フランソワ・デュモン/ピアノ、フランス国立リヨン管弦楽団
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
パリから西に進み、広大なヴェルサイユ宮殿を通り過ぎ、細い木々の並木道を進んで、ふと視界が開けたところに、教会とカフェ一軒がある小さな村、モンフォール=ラモリィ(Montfort-l'Amaury)に辿り着きます。少し小高くなったところに、とんがり屋根の一風変わった家。そこが、自ら望眺荘(眺めのいい館/belvedere)と呼でいたという、モーリス・ラヴェルが人生の最後を過ごした棲家。室内の飾り棚からピアノの上まで、小さな置物たちでいっぱいで、まさに『ソナチネ』を形作っている十六分音符が点在しているかのようです。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ソナチネ』第三楽章 ピアノ/フランソワ・ジョエル・ティオリエ
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
モーリス・ラヴェル作曲の『ソナチネ』。ソナチネsonatine とは、ソナタsonata の指小辞(ししょうじ/diminutive)で、少し小さなとか、よりも小規模な、演奏も容易でピアノの入門者が弾くような曲をさすことが多いようです。ハイドン、モーツァルト以来、ベートーヴェンに至るまで形式/内容共に拡張の一途を辿ったピアノ・ソナタのジャンルの中で、ラヴェルはその厳格で常套的な手法/形式感を避け、敢えて前世紀の古典的形式に留まりつつも、精緻を極めるミニチュアな世界を創り出します。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ソナチネ』第一楽章 ピアノ/フランソワ・ジョエル・ティオリエ
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
イタリアの作曲家ロッシーニの流れを汲み、《フランスのロッシーニ》とまで言われた、快活で機智に富んだ華やかな響きの『ザンパ』序曲は、しっかりと音響設計された近代的なホールよりも、伝統的な箱型(shoe box type)の自然な響きが心地よいようです。
1883年に実施されたコンセルトヘボウ建築コンペでは、音楽ホールに関する特別な知識を持たないドルフ・ファン・ヘイト(Dolf van Gendt)のアイデアが採用されました。一階客席に全く傾斜がなく、ステージの高さは約2メートル。舞台の雛壇は50センチずつ上がっていく凄い角度がある為、客席からの死角は無し。指揮者は地下の控室からエレベーターで上がってきて、ステージ奥(二階バルコニーの高さ)から赤い絨毯の階段を駆け降りてくる、という世界でも類を見ない形状のホールから、世界屈指の素晴らしいサウンドが生まれる不思議。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】フェルディナン・エロール作曲『ザンパ』序曲 指揮/中田昌樹 演奏/関西学院交響楽団
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
フェルディナン・エロール。フランスの作曲家としてはあまり馴染みのない名前です。しかし、ベルリオーズ、ビゼー、ドビュッシーなどフランスの名だたる作曲家たちが受賞した《ローマ大賞》を獲得、オペラも22曲作曲した俊英でしたが、惜しくも42歳の若さで世を去ります。現在演奏されるのは『ザンパ』序曲くらいになってしまいましたが、そこには短いながらも豊かな才能の片鱗を伺い知ることができます。 『ザンパ』(原題は『大理石の婚約者/Zampa ou La fiancée de marbre)は、海賊の頭領ザンパが既に婚約者がいる伯爵の美しい娘に横恋慕して結婚を迫るものの、ザンパの先妻の大理石の石像がそれを阻止して、理不尽な権力に仕返しをするという内容のオペラです。これは十九世紀初頭にフランスで流行した典型的な《救出オペラ》で、民衆の心を捉え、大成功したようです。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】フェルディナン・エロール作曲『ザンパ』序曲 指揮/中田昌樹 演奏/関西学院交響楽団
ジョキアーノ・ロッシーニ作曲『泥棒かささぎ』 指揮/クリスチアン・ベンダ 演奏/プラハ・シンフォニア管弦楽団
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
作曲家が見知らぬ土地に辿り着いた時、感じ取るさまざまな情報。日差しであり、空気の流れであり、匂いであり、それらが混じり合って音に昇華するとすれば、その色彩感に違いが生まれるのは当然でしょう。サン=サーンスが受動的に聞いていた音像とは違い、イベールの、精緻でありながら厚く強い流れを伴った色彩感は、あの華麗で典雅ながら少し透明さすら感じるラヴェルの作品をも凌駕する濃密ささえ感じます。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジャック・イベール作曲 交響組曲『寄港地』より「ネフタ」「バレンシア」 指揮/佐藤道郎 演奏/倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
サン=サーンスは、若い頃は神童としての名を欲しいままにし、その後、フランス音楽界の重鎮としての作曲や演奏活動し続けました。それと並行して、各々の分野で素晴らしい専門的な知識も身につけていました。地質学、考古学、植物学、蝶類学のみならず、数学の専門知識を持ち、音響学、超自然的科学現象、ローマ時代の劇場装飾、古代楽器などに関する学術論文を発表、哲学書まで著しました。その間にも頻繁に旅行を続け、旅の果てに、滞在していたアルジェで客死。86歳でした。その際「これが最後の旅路かも‥」と呟いたそうな‥。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス『アルジェリア組曲』より「夕べの幻想(ブリダにて)」「フランス軍隊行進曲」 指揮/中田昌樹 演奏/岡山交響楽団
イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
モーツァルトを凌駕するほどの早熟な天才として、その名を馳せたカミュ・サン=サーンス。 名声を欲しいままにした順風満帆な人生でありましたが、晩年は、アフリカはもとより、西はサン・フランシスコ、東はセイロン(現スリランカ)、シンガポール、南はブラジルと、まさに世界中を旅してまわった、大変な旅行家でもありました。しかも、何故か恩師のフランソワ・サノワの名にあやかってか、シャルル・サノワという偽名を名乗って...。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】カミーユ・サン=サーンス『アルジェリア組曲』より「アルジェを眺めて」「ムーア風狂詩曲」 指揮/中田昌樹 演奏/岡山交響楽団
イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
ラヴェルは亡き友人たちへの思い出を語りかける言葉を、あの細かいたくさんの音符にして、フランス語の流麗な言葉を連ねたような音の世界を作りました。そしてそれを古典的な舞曲にのせて、さまざまな人模様を浮かび上がらせます。 ちょっとテンポを変えてみたりペダルを多用して弾いてみると、その影絵の部分も見えてくる不思議。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】モーリス・ラヴェル『クープランの墓』ピアノ組曲より「プレリュード」「フーガ」「フォルラーヌ」「メヌエット」「トッカータ」 演奏/江澤隆行
イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
第一次世界大戦時、愛国的忠義心からラヴェルも軍隊に志願し、体重が2kg足りない(48kgしかありませんでした!)とハネられそうになりましたが、辛うじて負担の軽い後方支援のトラック運転を担うことに。それでも結局は健康を害し途中除隊するほど虚弱であったようです。 この曲集は、戦争で失った親しい友人たちの思い出を、敬愛するバロック時代の作曲家クープランの名のもと、その時代の典雅な形式に納めて捧げた組曲です。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】モーリス・ラヴェル『クープランの墓』より第4番「リゴドン」 指揮/レナード・スラットキン指揮、演奏/フランス国立リヨン管弦楽団(配信期間:2022年3月26日〜4月25日)
イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
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